山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

雪の大蔵高丸  平成20年1月25-26日

2008年01月28日 | 大菩薩・小金沢山系
平成20年1月26-27日 天候晴れ
 
 ようやく少し固まって雪が降った。甲府盆地から見る御坂の山塊も白く雪化粧していて、ようやく冬らしい景色になってきた。そこでさっそく、冬の秀麗富岳十二景、大蔵高丸を訪れてみることにした。春から秋にかけては林道を車で行けば難なく登れる大蔵高丸だが、冬季はゲートが閉鎖されているために湯ノ沢峠登山道の入り口まで余計に1時間半ほど歩かなくてはならない。さらに沢沿いの道を1時間歩いてようやく湯ノ沢峠なので、雪道であることも考慮すると山頂までは4~5時間かかると思って良い。しかも、この日はテントを担いで山頂泊り、星空と月光の富士山を狙う。
 土曜日の夕方に私用が入ってしまったので、金曜日の午後出発となった。午前中の仕事を早々に片付けて甲府を出発したのは午後1時を回っていた。天目温泉から林道に入ったが、予想通り私の車ではスリップしてとてもゲートまでは行けそうも無い。即効であきらめて車を回し、天目温泉近くの空き地に車を止めて林道を歩く。時間は既に午後3時、山頂到着前に日が暮れるのは確実だ。

    林道入り口近くにある竜天宮神社

 歩くこと1時間半、順調に湯ノ沢峠への登山道に到着。ここから沢沿いの道を歩くのだが、幸運なことにトレースがつけられていた。雪の深さはくるぶしからすねのあたりまでで、さほど歩きにくくはないが、急斜面ではところどころスリップする。途中で日が暮れてしまい、ヘッドライト装着、湯ノ沢峠の避難小屋に到着したのは午後6時近くでもう真っ暗だった。小屋は開放されていて、中には布団も用意されていた。いざとなったらここに駆け込めば良いなと考えつつ、大蔵高丸への道を進む。この先でトレースは白谷ノ丸側に曲がっており、大蔵高丸側には全くトレースはなかった。しかし、ここから先は広くて良い道なので夜でも歩ける。新雪を息絶え絶えに進むこと45分あまりで湯ノ沢峠お花畑に到着。東の空にオリオン座と冬の大三角形が大きく輝いており、ここで三脚を出し、最近試している星空の撮影を試みる。薄い霞が一枚かかり、東京都の明りが減弱されてはいるものの、かなりの明るさが東の眼下に見えていた。やがてその明りの上に赤い月が昇りはじめた。
    
      空に輝く冬の大三角形  下の明かりは東京都の明かり


    星の成る木  湯ノ沢峠お花畑で撮影

 さて再び大蔵高丸山頂目指して山腹のジグザグ道を歩き、午後8時半過ぎにようやく山頂に到着した。月明かりに照らされてうっすらと雲のかかった富士山らしきものが見えている。バルブ撮影しながらテントを張り、画像を確認してみると確かに富士山だ。後側に雲がかかっている。食事をとり、10時過ぎにテントの外に出てみると、今度は月明かりではっきりと富士山が見える。昼間見る富士山とはまた違う味わいがあり、都合良く三つ峠の電波塔は明りが灯っていなかった。ピントを合わせてバルブ撮影、さらにオリオン座と富士を入れて星空の撮影を試みる。気温はマイナス10度くらいだろうか、かなり寒く感じる。夜間の撮影で電池を大量に消費してしまい、明日の撮影分を残して夜の撮影は撤退、12時にシュラフにもぐり込んで眠る。

    月光富士

    
      オリオン座輝く  午後11時半ごろ撮影


    甲府盆地と南アルプスの夜景

 思ったよりも夜は寒く、未明の3時ごろに寒くて目が覚める。一旦ガスバーナーを焚いて暖をとり、ダウンジャケットとズボンをさらに着込んでまた眠る。ふと目を覚ますと周りがもうずいぶんと明るくなっている。時間は6時20分だった。パンを1枚食べて三脚を担いでテントの外に出る。雪をかぶった御坂山塊の山並がきれいだ。やがて富士山に朝日がかかりはじめるが、期待していた茜色の富士山にはならず、残念。午前7時、もう山頂に登ってきた人がいた。私と同じく朝の富士山狙いのカメラマンだった。午前3時から歩き始め、やっと日の出の時間に到着できたという。トレースがあって助かったとは言っていたが、やはり冬の大蔵高丸に登るのはちょっと苦労だ。

    雪を纏った御坂の山々と富士


    朝富士


    朝の南アルプス

 8時、すっかり日が昇ったところで撮影止め、朝食をとってテント撤収する。同じ頃にもう一人の彼も下山していった。さて、私はこれからハマイバ丸、米背負峠を経て大蔵川林道に下山するコースをとる。トレースが全く無いのが若干不安だったが、道は尾根通しに歩けば良く、さほど迷うところもなく三脚を担ぎながらダケカンバや広葉樹林の雪景色を楽しみつつ1時間半くらいでハマイバ丸に到着。一休みして笹原の急斜面を下るのだが、ここはちょっと苦労した。登山道に雪で倒れこんだ笹が覆いかぶさり、道が全く見えなくなっていた。覆いかぶさった笹の下を足やストックで探ると空間が空いているので、そこを探して笹をかき分けながら進むが、胸元から背丈ほどある笹で雪まみれになりながら通過した。さらにその先、2~3のコブを越えてようやく米背負峠に到着したのは12時半。結構疲れた。

    ハマイバ丸稜線の妖しげな木

    
      雪と木と富士  ハマイバ丸手前で撮影

    
      雪と笹で閉ざされた登山道  この笹原の下に道がある。

雪を溶かして昼食にスパゲッティをつくり、1時間ほど休憩して沢沿いの道を歩く。ここも全くトレースなし、道も良くわからないところがしばしばあったが、ところどころに道案内の看板がつけられているのでそれを目印に下る。ここはコース時間通りに40分で通過できた。そこから先は長い林道歩きだ。曲がりくねった林道をテクテクと歩いて行くと、右側が大きく崩落している場所があり、その先で車が入れないようにブロックが積んであった。2年くらい前に来た時は車で行けたのだが、これでは当面は通行不能だろう。夏場でもある程度の林道歩き覚悟で行く必要がありそうだ。かなり下まで降りたところにトンネルがあり、中は真っ暗。車が来るといけないので右端を歩いていたところ、大きなアイスバーンがあって見事にすってんころりん。久しぶりに雪の積もった山で転ばなかったかと思えば、こんなところで転んでしまった。その後は道のど真中を歩いて林道を通過、車の止めてある天目温泉には午後3時半に到着した。雪を楽しむには手頃な雪量の山だった。
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職員旅行、カンボジア編

2008年01月28日 | 番外編
 1月18日(金)
 カンボジア行きの飛行機が午後3時半出発のため、午前中はオプションツアーでクチトンネルを訪れました。ここはベトナム戦争の激戦地、枯葉剤が散布されたことで有名ですが、クチの人たちは全長60kmにも渡るトンネルを掘ってアメリカ軍の攻撃に耐えたのでしだ。(写真は割愛)
 さて、午後の便でカンボジアに移動。この日はホテルに到着して夕食を食べて寝るのみ。ホテル近くのショー付きのレストランでバイキング形式料理を食べる。ショーなど、最初は全く興味無かったのですが、試しにズームレンズをつけて踊り子を覗いてみるとこれが実に良い表情をしている。ついつい熱中して思い切りシャッター切りまくってしまいました。

    シェム・リアプ空港(カンボジア) 


    レストランで催されたアプサラの踊りのショー

    
      アプサラの踊り子  神に捧げる踊りとしてアプサラの踊りが行なわれる。

1月19日
 この日は結構なハードスケジュール。早朝5時半にホテル出発し、日の出のアンコールワットを眺めた後、一旦ホテルに戻って朝食をとり、8時半再出発、午前中アンコール・トムを見て午後からアンコールワットとタ・プロ-ムを回り、ホテルで休憩後夕食を食べて空港に直行、そのままベトナムで乗り継いで成田に朝到着の予定です。
 日の出のアンコール・ワットは最近人気が高く、たくさんの人が訪れていました。どこで写真を撮ろうかとうろうろしているうちに良さそうな場所はあっという間に人がいっぱいになってしまいました。日の出の光は強いので木の枝で光を減弱できそうな場所を探して三脚を構え、日の出を待ちます。隣にいた人は大阪から来られた日本人。私と同じく山が大好きな人で、南アルプスの話で盛り上がりながら日の出を迎えました。

    日の出前のアンコール・ワット


    アンコール・ワットの日の出

 ホテルに戻って食事をとった後、8時半からアンコール・トム見物に出発。こちらも凄い人出です。三脚を出したりしまったりは面倒なので、三脚出しっぱなしで担いで歩きます。念のため登山靴を履いて行きましたがそこまでは必要ありませんでした。
    
      アンコール・トム南大門。大混雑です。


    アンコール・トム中心部のバイヨン寺院

    
      バイヨン寺院正面の門


    寺院上部の塔


    ゾウの広場  バイヨン寺院の北側にある。反対側には運動場のような大きな広場が広がる。

 3Kmくらい歩いたでしょうか。一旦バスに乗って昼食に行きます。メニューはラーメンセット。ベトナムのホーよりは細く、ビーフンのような(たぶんビーフン)麺でした。午後はアンコール・ワットに移動、午前中同様に三脚を担いで回ります。三脚を立てて遅くなると申し訳ないので、ガイドさんの先回りをして撮影しました。

    アンコール・ワット外堀


    西側参道とアンコール・ワット


    ちょうど結婚式が行なわれていたので、お願いして一枚撮らせていただきました。


    池に映るアンコール・ワット  水が少なく、蓮は咲いていませんでした。

    
      第2回廊の柱に施された彫刻  見事な彫刻と美しいデバターがたくさん描かれている。


    第3回廊は現在改修中で、塔に登ることはできない。


    第1回廊東側の彫刻  蛇を引く人(神)たち。蛇神ナーガは神と人をつなぐ掛け橋とされていた。

 西側の参道から入り、東側に抜けてバスに乗り、さらにタ・プロ-ム遺跡に移動。ここは大きな木が遺跡に根を下ろしていることで有名な遺跡で、映画トゥ-ム・レイダー(アンジェリーナ・ジョリー主演)の撮影場所となったことでも有名です。

    遺跡に根を下ろす大木  人がたくさんいましたが、運良く人を避けて撮影できました。


    同行した当院の美人女医N先生


    木の上に木が寄生し、血管のように張り巡らされた木々の根

 ここも2kmくらい歩いたでしょうか。本日は合計6kmくらい歩いたと思います。しかし、まだまだ見たのはほんの一部だけ。1日で見るのはとても無理です。今回はガイドさんに恵まれて、大変効率良く見学することができました。今度来る時は3日以上かけてゆっくりと回りたいです。
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ベトナム&カンボジア 職員旅行で行ってきました。

2008年01月24日 | 番外編
平成20年1月16日-20日
 私が勤務する病院は十数年前から職員旅行に海外と国内の2コースを用意し、いずれかを選択して行けるようになっています。毎月それなりの積み立てもしていますが、この医療費抑制の時代にあって病院側の負担もそれなりに大変です。しかし、職員一同、この職員旅行を楽しみにしています。
 今年は北海道とベトナムの2コースで、当初は秋の北海道に行こうと思っていたのですが、ベトナムからカンボジア、アンコールワットまで足を延ばそうという話が持ち上がり、行ってきました。日程的にやや難がありましたが、現地のガイドさんに恵まれてなんとか1日でアンコールワット、アンコールトム、タ・プロ-ムの3つの遺跡を見て回ることができました。

1月16日(水)
 病院前4時半集合、成田空港11時ごろの飛行機でベトナムへ。この日はホテルに着いて休憩後、夕食を食べて休むのみ。でしたが、食事後ビアホールにくり出してビールをたらふく飲んで寝ました。安い、うまい、一人6ドルくらいでした。
1月17日(木)
 朝6時前から目が覚め、シャワーを浴びて朝の散歩に出かける。時差は2時間なのでほとんど誤差の範囲で時差ボケなし。ホテル前の大通りを命懸けで渡ってサイゴン川のほとりの公園を散歩する。(ホーチミン市は道路に信号などというものはほとんど無い。道を渡るのは車とバイクを避けながらその隙間を縫って渡るのだが、車もバイクも止まる気は全く無いので道を渡るのは一苦労です。)

      朝のホーチミン市  ホテルの窓から撮影(8階)


      足で舟を漕ぐ老婆  サイゴン川、朝の一コマ

 公園を散歩していると自転車の前に籠のついた乗り物(名前は忘れました)を運転するおじさんが近寄ってきて何やら良くわからない英語で解説をしてくれました。あっちが上流で1時間でどっかの町?どうでも良いけど乗り物に乗って欲しいというのは明らか。この手の乗り物はぼったくれるのはわかっているのだが、あまりにも熱心なので8時半の集合時間まで30分ほど乗ってみることにしました。あの車とバイクがブンブン走る道も何てことなく渡って行きますが、怖いの何の…。しかし、普通は歩かない地元の市場や裏通りを回ってくれて、結構楽しめました。ホテル前に8時15分、無事到着。料金を聞くと60ドル、高すぎるでしょう。50ドル払ってもうお金が無いと言って少しだけ値切りましたが、それでもおじさん大喜びで帰って行きました。

    車とバイクがブンブン走る道路を渡る。籠のついた自転車の乗り物から撮影。

 さて、8時半ホテルロビーに集合し、全員で市内観光ツアーに出発。キリスト教大聖堂、郵便局、戦争記念館、市場など、お決まりの場所(たぶん)をバスで巡る。全員集合で写真を撮ったのはキリスト教会をバックに私のカメラで撮影したこの一枚のみでした。三脚を持って行って良かった。(いつも山に持って行く1.6Kgの三脚です。)市場は臭い強烈、外に出て待ち合わせ場所で待とうと思ったら、そこはちょうどドブ掃除をしていて市場の中以上に強烈な臭い。あきらめて市場の中をぐるぐる回ってました。
    
      キリスト教大聖堂前で、全員集合し記念撮影


    大市場。活気があるが臭いが強烈。しかも外はドブ掃除の真最中、さらに強烈な臭いが…。

 市内観光を終えて午後2時ごろにホテルに到着。一休みしてから、ちょっと近くのスーパーマーケットに買い物に出かけました。おみやげはチョコレートとコーヒーのみなので買い物は簡単。男の買い物ってこんなもんでしょ。ホテルに荷物を置き、今度は渡り船に乗ってサイゴン川の対岸に渡ってみることにしました。料金は片道500ドン、日本円にすると3円くらいになります。安すぎ!対岸は地元らしい素朴(というか小汚い)町並みが広がっていました。途中で買って食べたピロキシのような食べ物はたいへんおいしかったです。
    
      渡し船に乗って対岸に渡る。向こうに見える白いビルが宿泊したルネッサンスホテル。


      対岸の船着場ゲート。HAVE A NICE TRIP.

 ホテルに戻り、夕食はベトナムの麺、ホーを食べに出かける。味はとても良かったのですが、辛味とパクチーを調子に乗って入れすぎて大辛になってしまいました。スープを一口飲むたびにゲホゲホとむせますが、それでも全て平らげます。その後、昨日行ったビアホールに再び行き、ビールを飲んであとは気持ち良く寝るのみ。明日は午前中クチトンネルを見学し、午後からいよいよカンボジアに移動します。
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八ヶ岳、小泉口から権現岳を目指して  平成19年12月30日-1月1日(3日目)

2008年01月08日 | 八ヶ岳・秩父山系
平成20年1月1日(3日目) 天候晴れ時々曇り
 元日の朝は4時に目が覚めた。外に出てみると空は雲が覆い、時折うっすらと三日月が透けて見えるものの星は全く見えない。初日の出を見るのは難しいか?と思いつつ再びシュラフに潜り込む。5時半頃に再び起き出し、準備をする。ゴソゴソとやっていたらみんな目を覚ましてしまった。
 6時10分、ヘリポートに登ると、甲府盆地の明りはまだ灯っており、足早に雲が流れ行く中を時折富士山が姿を現していた。朝焼けの空がオレンジ色に染まっている。間もなく、ほかの3人も到着し、日の出を待つ。6時56分、富士山の左手の雲がきらきらと輝き出し、真赤な平成20年の初日の出が昇る。雲の巻く感動的な初日の出を拝むことができた。白く凍りついたカラマツ林の樹氷が朝日に輝き、また一段と美しさを増している。私は7時半まで樹氷の林を前景に富士山を撮影し、テントに戻った。

    平成20年元日の富士  八ヶ岳ヘリポートから


    平成20年の初日の出  勢い良く雲が流れ行く中、真赤な日が昇る。


    雪煙舞う  時折強風とともに雪煙が舞い上がる。


    朝日に輝く樹氷と富士

 本日の朝食メニューは正月料理のお雑煮。朝から腹いっぱい食べる。のんびりした後、いよいよテント撤収、下山だ。9時半、下山開始。2日間吹き荒れた強風はやや納まり、青空が見えている。しかし、下山途中に八ヶ岳を見上げるとヘリポートの上あたりからどんよりと暗い雲がかかっており、冬型気圧配置の時は八ヶ岳はなかなか晴れないらしい。順調に下山し、10時半八ヶ岳遊歩道通過、11時半に小泉口ゲート到着した。

    富士山を見ながら笹スベリを下る

 3日間で人に出会ったのは下山時に八ヶ岳神社で一人のみ、この季節は小泉口から三つ頭、権現岳を目指す人は少なく、静かな山旅ができる。しかし、その分ラッセルは覚悟して登らねばならないだろう。
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八ヶ岳、小泉口から権現岳を目指して 平成19年12月30日-1月1日(1・2日目)

2008年01月08日 | 八ヶ岳・秩父山系
平成19年12月30日・31日(1日目・2日目) 天候曇り・雪・強風

 所属する嶺朋クラブで権現岳に行くというので同行させていただいた。メンバーは私を含めて4人、ベテランの人たちばかりで足を引っ張りそうだ。私が早朝写真を撮影に行く際に他のメンバーに迷惑をかけると悪いので、当初は私だけ1人用テントで寝るはずだったのだが、天候が思わしくなく、写真は無理そうなこと、さらに持って行く荷物を見てびっくり、食料と燃料、アルコール等、もろもろで大荷物だ。カメラ機材だけで4キロ強あり、それに自分のテントと分担荷物を持って行くパワーはとても無いので、即効でテントはあきらめ、一緒のテントに寝させてもらうことにする。
 6時、韮崎市役所の駐車場に集合し、車1台に乗り込み移動、小泉口ゲートから7時40分に歩き始める。林道にはほとんど雪はないが、ところどころ凍りついていた。伐採中のカラマツ林を通過し、1時間後八ヶ岳神社を通過、9時10分、八ヶ岳遊歩道を横断する。このあたりから足元に少しずつ雪が見え始め、そこから30分ほど登ったところで小雪が舞い始め、積雪もくるぶしくらいのところまで積もっている。ビュービューと風の吹く音が聞こえる。スパッツと防寒着を装着し、小雪舞う中を笹すべりの長い登りをひたすら歩く。

    八ヶ岳神社  もっと大きな神社かと思っていたが、意外と小さかった。


    八ヶ岳横断遊歩道を横切る。このあたりから雪が見え始める。

 予定では木戸口あたりにテント設営するはずだったが、木戸口の稜線に抜けると風が強そうなので、ヘリポート直下の開けたところにテントを設営した。時間は12時、まだ早いので、木戸口までトレースをつけに行くことにする。初めてワカンを装着して雪上を歩いたが、なかなか快適で楽しい。しかし、明日は大丈夫か?荷物が重かったので、ここまでで結構足に来ている。木戸口まで登ると、予想通り稜線上は強風で極寒、木々が凍りついていた。ヘリポート下にテントを張って正解だった。

   凍るサルオガゼ  木戸口公園の直下で。

 午後1時、テントに戻り、軽食をとって早速ビールで乾杯、嶺朋クラブ宴会モードに突入。4人でビール10缶とウィスキー類約1.5リットル、アルコールも食べ物も時間もたっぷりある、はずだった。しか~し、みんな結構強い。特にリーダーのMiさんはうわばみ、明日の分を数缶残してビールは瞬く間に消失、ブランデー500mlも日が暮れる前に無くなり、サントリーオールド1本(720ml)をほとんど飲み尽くしたあたりで消灯時間の7時となる。今回の食事担当は女性のMaさん、キャベツ1個をまるごと持ってきて、ツナとキャベツのサラダを作ってくれたが、これは激ウマい。夕食の餅入りラーメンもうまかった。いつも単独でテントに篭り、ドライフードばかり食べている私のテント山行とは大違いだ。いろいろと勉強になった。

    ヘッドライト舞う  ヘリポート直下にテントを張る。夜景が見える。

 翌朝は5時半に起床し、朝食をとり、7時に権現岳目指して出発。昨日つけたトレースは強風と雪でところどころかき消されていた。心配していたとおり、私は登りはじめから足が重くてついて行くのがやっと。木戸口を過ぎたあたりからは完全に3人に遅れをとるようになる。ワカンを装着してはいるが、膝までは平気で沈み、一歩間違うと腿まではまる。急斜面は想像した以上に登りにくく、ワカンごとずるずると滑り落ちてしまう。しかも強風、小雪舞う悪天候で視界もあまり良くない。悪戦苦闘し、3人から遅れること15分、ようやく三つ頭に到着した。時間は10時30分だった。風はさらに強さを増し、その先の権現岳は全く見えない。いつもなら天女山側から登って来る登山者が必ずいるものなのだが、この日は全く歩いた形跡なし。早々に記念撮影を済ませ、ここで引き返すこととなった。

    三つ頭を目指して  強風,小雪舞う悪天候。


    三つ頭山頂にて  悪天候のためここまでで引き返すことにした。

 登りは歩くのに必死で景色を見ている余裕などなかったが、下りながら周りを見回すとあまり見たことのない凄い景色が広がっていた。強風で雪が横から吹きつけ、真白になったシラビソ原生林、ところどころに開けるダケカンバ林、独特の曲がりくねった幹と、枝の先には雪がつき、きれいな樹氷になっている。景色を見ながら下山していると、左足のワカンで右のワカンを踏みつけて転倒し、見事に1回転。さらに今度は左足のワカンが木の枝にひっかかって半回転、急斜面じゃなくて良かった。
 他の3人はそのままテントに戻ったが、私はダケカンバの樹氷を写真に撮りたくて、木戸口公園に一人残り三脚を立てる。時折見える青空と樹氷に陽が差し込む瞬間をじっと待ち、シャッターを切る。たいした写真にはならないが、こうやって寒い中を待ってシャッターを切る瞬間は言い難い楽しさがある。家に戻ってから気がついたのだが、右耳は軽い霜焼けになっていた。

    木戸口のダケカンバ林  強風で寒いが、枝についた白い樹氷が美しい。

      
        一瞬の青空


    雪のカラマツ林

 1時間半くらい木戸口で過ごし、2時40分、テントに戻る。私の分のビールと絶賛したキャベツとツナのサラダを準備してくれて迎えてくれた。おせち料理まで持ってきてくれていて、感激!再び嶺朋宴会モード突入。明日は下山するだけなので、消灯時間を夜9時に設定したが、アルコールが7時過ぎには無くなってしまった。つまみと酒でほとんど腹も減らないが、夕食はきちんと食べる。本日のメニューは年越しソバ。しかも乾麺ではなくて生ソバだ。腹いっぱい食べ、アルコールは無いのか?そういえば私のサックにポケットサイズ瓶のバーボンが少し残っていたか?探すとあったのでそれを飲み、さらに元日のお神酒に持ってきた日本酒紙パック2本のうち1本を飲みつくして本日の宴会終了。9時まで持たず、8時半に消灯となった。夕方は青空が広がっていたので、元日の初日の出を拝められることを期待しつつ眠りにつく。
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