山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

ヤワタソウ (ユキノシタ科)Peltoboykinia tellimoides (Maxim.) H.Hara

2024年07月14日 | ユキノシタ科
  山地帯の林床や陰湿な谷間を好んで生育する多年草である。高さ40 ~ 60㎝。根生葉は腺毛のある長柄に楯形につけ、7 ~ 13 裂した大きな掌状葉となり、基部は深い心形となる。茎葉は数個互生し、表面に渋い光沢がある。茎には細くて鋭い毛が生える。茎の先に集散花序をつけ、白色~帯黄白色の花を数個つける。花は5弁で、下向きに咲き始めのちに上を向くようになる。花期は 5 ~ 7 月。 山梨県での個体数は少なく、シカの食害を受け、分布地の個体数は減少している。

 2018年山梨県カテゴリー:絶滅危惧ⅠB 類(EN)  2005年山梨県カテゴリー :絶滅危惧Ⅰ B 類(EN)   2017年環境省カテゴリー:なし

    谷間に咲くヤワタソウ 2024年7月 東部富士五湖方面で撮影

    葉と花。白色ないしは少し黄色味を帯びる。花は少し痛み始めている。

    鹿の食害を受けており、食害を受けにくい傾斜のきつい斜面に花が咲いていた。


    花柄は葉の付け根の部分から分岐する。

    花弁は5枚で先端部は細かく切れ込んで尖る。

    ヤワタソウの葉。掌状に深裂しさらに鋸歯状に細かく切れ込む。渋い光沢がある。

    茎には細くて尖った毛が生える。良く似たイヌショウマの葉はほとんど毛が生えていない。





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山梨県の絶滅危惧のユキノシタ科植物一覧

2020年10月24日 | ユキノシタ科
2018年版山梨県レッドデータブックに登録されているユキノシタ科の植物は以下の通りである。

絶滅危惧ⅠA類(CR)

 ムカゴユキノシタ(2005山梨県CR 2017環境省-)
    

絶滅危惧ⅠB類(EN)

 ハナネコノメ(2005山梨県EN 2017環境省-)
    

 コガネネコノメソウ(2005山梨県EN 2017環境省-)
    

 コチャルメルソウ(2005山梨県EN 2017環境省-)
    

 ヤワタソウ(2005山梨県EN 2017環境省-)
    

 シコタンソウ(2005山梨県EN 2017環境省-)
    

準絶滅危惧種(NT)

 ジンジソウ(2005山梨県NT 2017環境省-)
    

 イワユキノシタ(2005山梨県VU 2017環境省-)
    

 ハナネコノメ、コガネネコノメ、コチャルメルソウはあちらこちらで見つかっており個体数も多いので、いずれはランクが下がって来るであろうと思っている。




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シコタンソウ(ユキノシタ科)

2020年10月24日 | ユキノシタ科
高山帯の岩礫地に生育する多年草である。花期は7~8月。空から星が降ってきたような5弁の可愛らしい花で、しばしば大きな群落を形成する。山梨県では南アルプスと八ヶ岳に生育しており、生育地での個体数は比較的多い。

    シコタンソウ 平成29年7月 北岳で撮影

    同上

    同上 空から星が降ってきたような5弁の星型をした花。

    平成28年7月 大仙丈沢で撮影

    同上 そこそこに個体数はある。

    平成23年7月 八ケ岳キレットで撮影

    同上 八ヶ岳はあまり個体数が多いとは言えない。



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ムカゴユキノシタ(ユキノシタ科)

2020年10月24日 | ユキノシタ科
高山帯の岩礫地に生育する多年草である。山梨県では北岳にのみ生育し、特に山頂周辺に多く生育する。花期は7~8月。高さ5~15㎝の小さな花で、通常は1~2個の花を順に咲かせて行くが、時として多数の花を同時に咲かせている個体を見かけることがある。

    ムカゴユキノシタ 平成29年7月 北岳で撮影

    同上 北岳山頂付近の岩の間を好んで生育している。

    ムカゴユキノシタの花。ほとんどは1個の花を順に咲かせて行く。

    しかし時として多数の花を一度に咲かせる変わりものの個体を見ることがある。

    ハハコヨモギとムカゴユキノシタ いずれも絶滅危惧の花。



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イワユキノシタ(ユキノシタ科)

2020年10月24日 | ユキノシタ科
沢沿いの岩壁に群生する常緑の多年草である。花期は5~6月。山梨県では県南部に生育し、渓谷の林道や渓谷内を散策すると普通に見られる。

    イワユキノシタ 令和1年5月 南部町で撮影

    同上 渓谷沿いの林道の岩壁に群生していた。

    同上

    同上 線香花火のような綺麗な花である。

    平成27年9月 福士川で撮影。岩壁に群生している姿を良く目にする。

    同上 遅咲きの花



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ハナネコノメ(ユキノシタ科)

2020年10月24日 | ユキノシタ科
山地や渓谷の陰湿地や渓流の岩の上に生育する多年草である。花期は3~5月。普通は白い花であるが稀に薄紅色のものがある。黒富士周辺の奥秩父山系の渓谷には多数の生育地があり個体数も多い。そのほかに南部町、櫛形山、八ヶ岳遊歩道、一ノ瀬高原などでも生育を確認している。

    ハナネコノメ 平成30年3月 黒富士農園近傍で撮影

    同上

    同上 圧倒的な個体数がある黒富士農園近傍の渓流。

    令和1年5月 櫛形山平成峡で撮影

    同上 個体数はあるが林道が開く時期が微妙でなかなか花は見られない。

    令和1年5月 八ヶ岳横断歩道で撮影

    同上 既に花が散っていたので、良い時期に再訪したい。

    令和2年3月 南部町内房境川で撮影

    同上 ほとんど人が入らないマイナーな川だが個体数は多い。

    同上

    令和2年4月 篠井山で撮影

    同上 廃道になったルート上の渓谷内に咲いており、ここまで行くには気合が居る。

    令和2年3月 黒富士農園近傍で撮影

    同上 やはりこの渓流沿いが歩き易く個体数も多い。

    ハナネコノメの花 時期が良ければ赤い葯の花が見られる。



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コチャルメルソウ(ユキノシタ科)

2020年10月24日 | ユキノシタ科
ブナ帯の川沿いの樹林や谷間の湿性地、渓流沿いの岩の間などに生える多年草である。花期は4~6月。羽状に裂ける奇怪な形の花弁は宇宙から降って来た花のように見える。大菩薩連邦の渓谷沿いや櫛形山、尾白川渓谷、乙女高原など多数の渓谷で確認しており、個体数も比較的多い。

    コチャルメルソウ 平成29年5月 大蔵沢で撮影

    同上

    平成30年5月 焼山沢で撮影

    同上 群生するコチャルメルソウ

    令和1年5月 櫛形山で撮影

    令和1年5月 乙女高原で撮影

    同上 羽状の不思議な形をした花弁と花。

    同上 群生するコチャルメルソウ



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コガネネコノメソウ(ユキノシタ科)

2020年10月24日 | ユキノシタ科
山地や渓谷の陰湿地に生育する多年草である。花期は4~5月。黄色い花弁と黄色い葯を持つこの花は͡コガネ(黄金)の名にふさわしい。しばし群落を形成して黄金色の絨毯となる。茅ヶ岳から黒富士を中心とする奥秩父山系の渓谷には多数生育が見られ、個体数もかなり多い。

    コガネネコノメソウ 平成29年5月 茅ヶ岳で撮影

    同上 しばし群落を形成して黄色い絨毯となる。

    平成30年5月 マウントピア黒平で撮影

    同上 渓谷沿いの遊歩道周辺にたくさん咲く。

    同上 黄色い花弁と黄色い葯のコガネネコノメソウの花。

    平成30年4月 黒富士農園近傍で撮影

    同上 コガネネコノメソウの絨毯

    同上 群生するコガネネコノメソウ

    令和1年5月 乙女高原で撮影。渓谷沿いに群れるコガネネコノメソウ。

    同上



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ジンジソウ(ユキノシタ科)

2020年10月24日 | ユキノシタ科
山地の岩壁などに生育する多年草である。花期は9~11月。ダイモンジソウに似るがこちらのほうが大型で、5枚の花弁のうち下2枚が長く「人」の文字のような形を呈する。山梨県では南アルプス、奥秩父、八ケ岳、県南部など多方面に生育しており個体数も比較的多い。

    ジンジソウ 平成19年10月 早川町雨畑で撮影

    同上

    平成29年10月 尾白川(黒戸尾根下部)で撮影

    同上 この場所は個体数が多い。

    同上 ジンジソウの横顔

    令和1年9月 金ヶ岳で撮影

    同上 この場所では稀。



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