山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

夕暮れの富士、新道峠と黒岳  平成23年10月26日

2011年10月29日 | 御坂・毛無・天子山系
 平成23年10月26日

 御坂山塊の紅葉を期待して釈迦ヶ岳に登ってきたが、紅葉はいまひとつで期待したような景色は見られなかった。そして、夕暮れを見るならば眼下に河口湖の町明かりが広がるこの場所、新道峠から黒岳に至る尾根が良い。釈迦ヶ岳から下山し、4時半、新道峠の駐車場に到着した。先客は山梨ナンバーの車1台のみだ。平日なのでカメラマンは少ない。

    新道峠駐車場から見る夕暮れの釈迦ヶ岳

 駐車場から釈迦ヶ岳を見ると夕陽で赤く染まっていた。反対側の富士山はどうなのか?三脚を担いだまま新道峠に登り、定位置の木の生えている場所まで急ぐ。既に河口湖は夕闇に包まれ、町明かりが灯り始めた頃だった。富士山にはまだ陽が当たっている。赤く焼けるのを期待しながら先客1人と写真談義をしながら待つが・・・富士山も夕暮れの空もあまり焼けてはくれなかった。

    新道峠の夕暮れ富士


    同上  空も富士もあまり焼けないまま夕暮れとなる。

 このまま帰ろうかとも思ったのだが、足はまだ元気だったので、黒岳まで行ってみることにした。ひょっとしたら天の川が撮れるかも知れないという期待があった。奮闘50分、私にしては異例の速さで黒岳展望台に到着、時間は6時5分だった。もう夕焼けの時間は終わり、河口湖の町明かりの上に真っ黒な富士山が立つ。1枚撮ってみるが、予想通り河口湖の町明かりに富士山が負けてしまう。これを想定して町明かりを減光するためのハーフNDフィルターを持ってきた。露出時間やIso感度を変えていろいろ撮ってみるが・・・あまり面白い写真にはならなかった。

    河口湖の夜景と夕景富士  ハーフNDフィルター使用


    夕景富士と天の川  線が写っているのは飛行機。この時間には次々に飛んで来るためカットするのが難しい。
    
 6時半過ぎ、頭上には夏の大三角形が高く昇り、それを貫いて天の川が見え始めた。しかし、カメラの画角に入る低・中空部分は白く霞み、さらに町明かりが加わってすっきりとは見えてくれない。空は青空だったが、空気が澄んだ状態では無かったようだ。なんとか天の川と富士山が入るように撮影はしてみたものの、天の川は霞んでしまっている。7時過ぎまで粘ったが状況は変わりそうもなく、撤退する。下山途中、新道峠ではまだカメラマンが粘っていたが、やはりあまり良いものは撮れなかったようで、そのまま一夜を明かす予定を止めて、一旦撤退すると言っていた。

    東の空に昇って来た木星


    森に昇った夏の大三角形  中央を斜めに夏の天の川が流れているのだが、写らない。

 例年ならば9月中頃から星空の広がる夜が数日はあるのだが、今年は10月になってもほとんどそのような空にならない。りゅう座流星群もオリオン座流星群も空振り、さらに、火打山の夜も、蔵王も大朝日岳も夜は駄目だった。いつになったら星の輝く空が見られるようになるのだろうか。
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紅葉の御坂山塊、釈迦ヶ岳  平成23年10月26日

2011年10月29日 | 御坂・毛無・天子山系
 平成23年10月26日

 久しぶりの秋らしい青空が広がったこの日、午後から西沢渓谷あたりに紅葉を見に行こうと出発した。その途中で見渡す御坂山塊や大栃山の上部3分の1あたりが良い具合に紅葉しているのが見えた。富士山も良く見えている。それを見て、気が変わり、目的地変更。ホームグラウンド釈迦ヶ岳に行って、紅葉の新道峠尾根の上に立つ富士山を見に行くことにする。

    登山道から見上げる紅葉の釈迦ヶ岳


    モミジの紅葉と富士

 いつもは広い道の脇に車を止めて林道を歩いて登るのだが、この日は時間短縮のために細い林道をいちばん奥まで車で行き、そこから登るという反則技を使う。30分ほど時間が短縮でき、釈迦ヶ岳山頂まで約1時間で到着できる。午後1時半に歩き始めて、順調に午後2時半、山頂に到着した。途中は紅葉してはいるが、まだ緑色が残ったまま葉が落ちてしまっている木が多い。カエデやモミジの赤もあまり鮮やかとは言えず、他の場所と同様御坂山塊も今年の紅葉はぱっとしない。

    御坂山塊の紅葉と富士


    同上  光の当たり方が悪いのもあるが、紅葉はいまひとつ。


    夫婦地蔵と秋富士


    黒岳と三つ峠山


    甲府盆地と八ヶ岳、奥秩父山系


    釈迦ヶ岳山頂と南アルプス

 午後3時になると日はだいぶ西に傾いている。新道峠の尾根に当たる光の角度が強すぎて写真撮影にはあまり良くない。ここはやはり午前中が良いのだろうが、それよりも紅葉が鮮やかではない。もっとすっきりした富士山が見られると思っていたのだが、予想よりも白く霞んでいた。夕暮れまで山頂にいるつもりだったが、いまひとつなので下山する事にした。

    西に傾く陽と南アルプス

 これでは満足できず、30分で車のところまで下山し、次の場所に向かう。
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道無き尾根を行く、節刀ヶ岳北側尾根

2011年10月21日 | 御坂・毛無・天子山系
 平成23年10月19日

 この山に登るたびにこの道が気になっていた。山頂から裏側(北側)の林に入ると、急斜面を真直ぐに下りる明らかな道・・・2万5千分の1の地図にも記されていない。果たして、この先はどうなっているのだろうか。
 節刀ヶ岳の北側の尾根は何本にも分岐しているが、途中まで延びている林道が2本あり、そこからおそらくは登れるだろうと以前から予想はしていた。しかし、なかなか機会が無く、勇気も出なかった。しかし、終日晴れの天気予報、山の紅葉、そして偶然訪れた平日休み、これらの条件が揃って前日に行くことに決める。
 自宅を6時半に出て芦沢オートキャンプ場には7時過ぎに到着した。まずはコースの下見、登り口がどこなのかわからない。林道を行けるところまで行くと、車が3台ほど止められるスペースがあり、その先に道が続いている。その入口の立て看板には「通行不能」と書かれていた。少しだけ歩いてみたが、全く手入れされていない薮っぽい道が続く。その少し手前に川を渡る立派な橋が架かっており、そちらの看板には「危険、立入禁止」と書かれていた。おそらくはその橋の先が水沢山のコルを経て鬼ヶ岳へ行く尾根になっているのだろう。まともなルートはやはり無いことをここで覚悟し、単独で登って大丈夫なものか、迷った。
 林道を戻ってキャンプ場を過ぎたところで右側(東側)に行く林道があった。これが別の沢沿いに延びる林道だ。どこまで行けるのか、そしてその先に道はあるのか・・・行ってみると、300mほどのところで砂防ダム工事をしているところがあり、さらにその先まで車は行け、悪路ながら1km以上奥の林道終点まで行けた。その先には一見まともな道がある。地図を確認して、ここから取り付いてみることにする。下見で時間を費やし、時間は9時になってしまう。

    林道突き当たりの取り付き口。ここには一応道がある。


    ガレた沢を歩く


    水が流れてナメのようになったところもある。


    沢の詰め。右側に取り付く。

 沢沿いの道はほどなく消失してしまい、ガレた沢の中を歩く。時折道らしきものが出現するがすぐに無くなってまた沢を歩く。しだいに川幅は狭くなり、傾斜も増して、水の流れている場所もあった。ひたすら沢を詰めて行くと、遂に沢の源流にたどり着いた。段差になっていてそのまま真直ぐには登れず、右側の急斜面を登って沢の先にある尾根に登り付いた。そこには、林業作業の踏み跡と思われる道らしきものがあったが、急斜面を登って行くとすぐに道は無くなってしまった。

    道無き尾根をひたすら上に登る。向こうに見える尾根はどこなのか??


    1,500m平坦地に出る。北西側から来る尾根と合流し、そこには道らしきものがある。


    境界見出標が立つ

 晴天になると思っていたのだが、空は雲におおわれていまひとつ。かつ、山に雲が巻き付いて周囲の様子が見えない。高度計を見ると1,100mあたりだが、地図を見る限りではもう少し高そうだ。(後に100mほど低く表示されていたことがわかる。)クヌギ、ナラ、ブナの広葉樹林帯の中を尾根に忠実にひたすら登って行くと、右からの尾根と合流して平坦になった場所に出た。そこには境界見出標の杭が打たれていた。高度計は1,400mを示しているが、ここは地図上では1,500m付近の尾根分岐点である。右側から来る尾根には比較的明瞭な道が続いており、おそらくそちらが本来のルートだったのだろう。帰りはそちらに下りてみようとこの時は思った。

    1,500m平坦地の先は明らかな道。ところどころ藪に紛れるが、山頂まで道がある。


    林の隙間から見え始めた節刀ヶ岳。もう少し。


    節刀ヶ岳北側尾根、最後の登り。このあたりまでは以前来た時に下見しておいた。


    着いた!!節刀ヶ岳山頂。

 その先はところどころ低木の薮で断列するものの、比較的明瞭な道が山頂に向かって延びていた。ひたすら登り、最後の急斜面を登り付くと、山梨百名山の標柱の立つ山頂に飛び出した。やった!久しぶりに味わう達成感があった。時間は12時半、雲海の上に浮かぶ富士山が出迎えてくれた。ドウダンツツジは紅葉しているものの色はいまひとつ、葉先が茶色く焼けてしまっているものが多かった。御坂山塊も今年の紅葉はハズレのようだ。

    ドウダンツツジの紅葉と雲に浮かぶ富士山


    紅葉と御坂黒岳、三つ峠


    節刀ヶ岳山頂の紅葉

 昼食もそこそこに写真を撮っていると時間は1時を過ぎてしまった。登るよりも下るほうが遙かに道を間違え易く難しい。山頂には「通行不能」の看板も立てられている。1時10分、下山開始。最初の尾根分岐でいきなり道がわからなくなった。ぐるりと周囲を見渡すと、いちばん左側の尾根筋に境界見出杭があり、木には赤いペンキサインがついていた。そちらに進むとその先もずっとペンキサインがある。しかし、登って来た道とは様子が違う。1,500mの平坦地に出ないのだ。高度計で見ても明らかにおかしい。ふと見れば、左側には鬼ヶ岳から連なる尾根が見えており、西寄りの尾根を下りていることがわかる。しかし、ペンキサインがあるのでルートであることは間違いない。戻らずにその道をそのまま下りることにする。ひたすら真直ぐに尾根伝いに下りて行くと、突然ペンキサインが無くなってしまう。しかもその先は急峻な崖のようになっている。どうやら道を間違えたらしい。登り返してペンキサインのあるところまで戻り、周囲を良く探してみると、179番のペンキサインのところで30度ほど方角を北に変えて延びる尾根に道がついていた。

    山頂の看板には「通行不能」の文字。確かに・・・


    179番ペンキサインのところで尾根は30度ほど右向き(北西向き)にルートを変える。


    急傾斜を下り付くと沢の分岐部に出た。対岸にピンクのテープあり。

 その先は更に傾斜がきつくなり、道が脆く足を取られやすくなる。木の枝や根につかまりつつ、ひたすら下りるとやがて沢の分岐に降り立った。そこには、明らかな道があり、対岸にはルートを示すピンクのテープもあった。時間は2時半、道に迷いつつも、思ったよりも早くまとも(そうな)道にたどり着いた。

    沢の左岸から流れ込む滝があった。


    ルートを示すテープ。渡渉後、振り返って撮影。

 休憩しながら、沢に流れ込む滝を撮影する。渡渉してテープに導かれて道を進むと、もう一度沢を渡り返し、明らかな道に出た。そして程なく今朝下見した林道終点に出た。時間は3時。ここから林道を歩き、芦川オートキャンプ場で一休みし、そこから林道に止めてある車の回収まで30分以上もかかった。3時55分、車に到着。無事に帰れてひと安心、どっと疲れが出た。

    芦川オートキャンプ場奥の林道終点に出る。


    芦川オートキャンプ場。静かで良いところ。水がおいしい。

 節刀ヶ岳北側の尾根は予想通り道があることはわかったが、道標も何も無い上級者ルートとなる。普通の登山に飽きた方にはおすすめだ。但し、尾根を間違えて強引に下りざるを得ないことがあり得るので、ザイルは携帯したほうが良いだろう。


    今回歩いた(と思われる)ルート(ほとんど道らしき道はありません。)
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紅葉の朝日岳(2日目)、大朝日岳から古寺鉱泉へ

2011年10月20日 | 日本百名山
 平成23年10月9-10日

 大朝日小屋前にテントを張らせていただいた夜、りゅう座流星群を期待していたのだが空は雲におおわれて月も霞んでしまい、流星群を見られるような空にはならなかった。
 翌朝は未明3時に起床した。相変わらずの曇り空で、明るい木星だけが時折薄くなった雲を透けて見えるだけだった。山頂に行くのはあきらめてもうひと寝入りしようとするが、隣りのテントの団体さんが同じ時刻に起床して出発の準備を開始した。しかも、その声がやたらと大きくて寝られたものではない。さすがに周囲のテントの人たちも迷惑して、静かにするようにと怒鳴られていた。山に居るのは自分たちだけではないのだから、周りにも気遣って欲しいものだ。

    薄明の西朝日岳と木星


    朝日連峰の夜明け  見えている山は小朝日岳

 結局は寝られずに4時にテント撤収し、4時半、ヘッドライトを点けて下山を始める。振り返って大朝日岳を眺めつつ、三脚を担ぎながら星が出ないか期待したがとうとう見えずに夜が明けてしまう。大朝日岳の斜面には朝日が差し込んで撮影には良い光が入るのだが、霞が多くてすっきりした写真にはならなかった。その後も三脚を担いで歩き、良い場所を見つけては太陽の光が差し込むのを待ちつつ歩く。小屋はいちばん早く出発したが、後から来た人たちにことごとく追い抜かれた。

    朝日差す大朝日岳


    同上  霞がかかって、PLフィルターをかけてもコントラストと彩度がいまひとつ。


    朝日差す紅葉の小朝日岳

 小朝日岳の山頂で遅い朝食にしようと思っていたのだが、その場所は前日同様に風が強く、やめて鳥原山まで行くことにする。小朝日岳は急登を登るのも大変だが下りるのも大変、鳥原山側の急斜面にはロープが設置されていて、三脚を担いだまま下りるには少し苦労した。空腹はお菓子やソイジョイでひとまず我慢し、稜線の紅葉を楽しみつつ鳥原山まで行く。

    紅葉の朝日連邦  小朝日岳中腹から


    小朝日岳山頂  ここで朝食の予定だったが、風が強くてあきらめる。


    鳥原山中腹から見る大朝日岳(左)と小朝日岳

 10時、鳥原山到着。山頂手前に展望台があり、そこからの朝日連邦の眺望が抜群だ。大朝日岳と小朝日岳が並んで立つ。紅葉も良かったのだが、次第に雲が増えてしまい、山は霞んでしまった。ゆっくり食事をとっている間に前日登りで一緒だった2グループがやって来て、私が食事している間に先に出発した。少し行くと左側に分かれる道があり、その先に鳥原山三角点があった。

    鳥原山展望台  ここで遅い朝食。


    鳥原山展望台から見る大朝日岳と小朝日岳

 整備された木の階段と木道を進んで行くと沼地に出た。ここの紅葉は見事で、ナナカマドの葉が落ちずに真っ赤に紅葉していた。左手に分かれる道があり、その先はどろどろのぬかるんだ道になっていた。しかし、踏み跡がたくさんある。沼地の道を真直ぐ進んでふと振り返ると、道の分岐点に道標が立っており、その泥沼の道こそが古寺鉱泉に至る道だった。折角なので木道を真直ぐに進んでみると、やがて下りになっていた。その先が鳥原小屋なのだろうが、登り返しが疲れそうなので途中まで下って戻り、古寺鉱泉への道を進む。

    古寺鉱泉分岐点の沼地。紅葉が美しい。


    赤く染まったナナカマドの紅葉

 その先の道は明瞭ながら、今まで歩いてきた道に比べるとだいぶ細くなっていた。大小のブナが立ち並ぶ林は心地良く快適だ。途中の水場で休憩し、さらにブナ峠分岐で地図を確認しつつ休憩、さらに古寺鉱泉まであと15分というところで爪先が痛くなり、靴を脱いで休憩。そして、午後1時、ようやく駐車場に到着した。たくさん止めてあった車はまばらにしか残っておらず、路上駐車の車は私の1台しか残っていなかった。それほどたくさんの人に抜かれたという印象は無く、おそらく日帰りの登山者が大勢いたのではないだろうか。

    心地良いブナの森を行く


    同上


    古寺鉱泉到着。前日は向こう側の道を進んだ。これで1周。

 さて、甲府までの帰路は長い。空模様が悪かったのが幸いして夜ぐっすり寝られたので、途中昼寝休憩することも無くひたすら東北道を走る。福島あたりから渋滞に突入、栃木県に入ったあたりで夕暮れとなり、渋滞の黄昏空を眺めていると、大きな流れ星がひとつ流れていった。唯一見た今年のりゅう座流星群だった。甲府には9時半到着。渋滞に巻きこまれた割には早く着いた。
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紅葉の朝日岳、古寺鉱泉から大朝日岳へ(1日目)

2011年10月18日 | 日本百名山
 平成23年10月9-10日

 10月8日、早朝に霧に巻かれた蔵王熊野岳を往復した後、朝日岳を目指して朝日鉱泉に移動した。カーナビでいちばん近そうな道を選んだのだが、途中から渓谷の脇に刻まれた細い林道となり、舗装はされているものの対向車とのすれ違いに相当苦労し、10時半に朝日鉱泉に到着した。選択した道を間違えたかと思い地図を見直したが、この道で間違いなく、夏の登山シーズンにはバスが通る道だった。それにしても細い。駐車場は既に満杯で路上にずらりと車が止まっていた。ちょうど到着した頃に小雨が降り出し、準備して出発しようとした11時ごろには本格的に降り出してしまった。前夜の寝不足もあり、ここは一旦退却して明朝から登ることにして山形市まで引き返す。帰り際に月山インターチェンジから南下してくる広い道があることを知り、そちらの道を行ってみるとそこから古寺鉱泉と日暮沢の登山口に行く林道が出ていることがわかった。細い林道はできるだけ避けて、明日は古寺鉱泉から大朝日岳を目指すことに決める。この日は山形市内の宿をなんとか確保して夜8時に寝る。

    古寺鉱泉の駐車場


    古寺鉱泉  橋を渡って鉱泉前の道を行く。


    大きなブナの並ぶ登山道を行く。これは合体の樹。


    下部は紅葉にはまだ少し早かった。

 ぐっすり寝て翌朝は4時起床、山形自動車道を月山インターまで行き、そこから南下して古寺鉱泉に到着したのは6時半だった。既に駐車場は満杯、路上にずらりと並ぶ車に並んで車を止める。7時出発、前日とは一変して透き通るような秋空が広がる。5分ほどで古寺鉱泉の建物が右手に見え、橋を渡って古寺鉱泉の前を通って古寺山に向かう登山道に入る。ブナの巨木が立ち並ぶ心地良い森は、川入から登る飯豊連邦に似ている。紅葉にはまだ少し早かったが、高度を上げるにつれて色付きはじめる。

    日暮沢からの合流点手前にある水場。水量は豊富。


    林の隙間から見える古寺山

 水場を過ぎて日暮沢からの尾根と合流した後、ひと登りするともう一つ水場があり、そこから20分ほどで古寺山に到着する。このあたりの紅葉は見頃を迎えており、色付く山肌の向こうに大朝日岳から西朝日岳、竜門山へと連なる山並が大きく見える。そして、眼前にはこれから越える小朝日岳の格好良い三角錐が立つ。山頂を越えずに行く巻き道もあるのだが、時間もあることだし、ここは小朝日岳に登って行くことにする。

    古寺山山頂


    古寺山と朝日連峰(左から大朝日岳、西朝日岳、竜門山)


    古寺山から見る大朝日岳

 急登を頑張って登ると小朝日岳山頂に到着する。山頂は広くて平らで眺望も良く、休憩するには絶好の場所だが、先客がたくさんおり、また風が強かったのでそのまま通過する。大朝日岳側の斜面は紅葉真っ盛り、三脚を取り出して撮影しながら急斜面を下る。下り付いたところから振り返って見る小朝日岳の紅葉は見事で、ちょうど良い西日が当たっていっそう彩が鮮やかだった。再び登りになり、眺望の良い尾根を進むと目指す大朝日岳がどんどん迫って来る。大朝日小屋への最後の登り直下にある銀玉水という水場は冷たくておいしい水が豊富に流れている。小屋の向こう側(西朝日岳とのコル)には金玉水という水場があるが、小屋から往復30分ほどかかるらしく、ここで汲んで行くのが良いと休憩している人に教えてもらった。水が涸れていることを恐れて3リットル背負ってきたが、この山域は水が豊富でその心配が無さそうだ。

    小朝日岳の紅葉と大朝日岳


    錦秋の小朝日岳


    ナナカマドと小朝日岳  ナナカマドが色付き始めてすぐに雪が降り、葉が落ちてしまったと聞く。


    銀玉水  大朝日小屋宿泊の際はここで水を汲んで行くと良い。

 もうひと登りして平らになった尾根の先に大朝日小屋が立つ。到着したのは3時20分、写真を撮りながら相当ゆっくり来たつもりだったが、少し早かった。この日は連休2日目、小屋は大混雑が予想され、それを見越してテントを持って来た。朝日連邦は植生保護のために全域テント禁止で、その代わりに随所に避難小屋が設置されている。この日の混雑を予想して、管理している大江町役場に前日電話で問い合わせたところ、小屋が満杯の場合はテントも止むを得ないという話を聞いていた。早く到着し過ぎると小屋の中で寝ることになってしまうので、登山者が皆到着した後に小屋に入り、混雑しているのでテントを張らせてもらうという作戦だった。さらに、この日はりゅう座流星群が観察できる夜でもあり、空が晴れれば夜間に活動するので周りの人たちに迷惑がかかってしまう。

    ハイマツの斜面と西朝日岳


    うっすらと見えるのは月山


    大朝日岳と大朝日小屋


    夕暮れの影迫る小朝日岳(大朝日小屋前から)

 小屋に到着するや否や、私の姿を見て管理人さんがやって来た。ザックの横にあるテントポールを見て、テント泊かと尋ねて来た。町役場に問い合わせたこと、流星群が来ていること、さらに条件が良ければカノープスという星が山頂から見えるかも知れないということを話すと、快くテント設営を許してくれた。さらに、テントが風で飛ばされないようにと、しっかりした鉄杭まで打ってくれた。さらに、小屋に入りきれないグループのために小屋にある大きなテントを2張、管理人さんが設置してお迎えしていた。親切に、そして快適に過ごせるように登山者を迎えてくれる大朝日小屋の管理人さんには頭が下がった。

    夕暮れの大朝日岳山頂


    夕焼けの空

 さて、テント設置し、食事を済ませ、日暮れを狙って大朝日岳山頂に登る。小屋から20分ほどで到着できる。この時間になると山頂は静かで、2人の先客のみ、1人は茨城県から来られた金融関係のKさん、もう1人は東京から来られた、私の横にテントを張った若者だった。昼間は快晴だったのに、日暮れが近付くにつれて雲が増え、山は霞んでしまった。南側の祝瓶山まではなんとか見えるが飯豊連邦は見えない。月が昇っていたが、次第にその月も霞み始め、期待していた天の川は全く見えなかった。残念ながら星の輝く空と流星群はあきらめざるを得ない空模様になってしまう。

    月が昇る。この尾根に時折ちらりと明かりが見えたが、まさか真っ暗になってから人が登って来るとは・・・


    夕暮れの小朝日岳


    霞んだ空に昇って来た木星。星を撮影したのはこのカットのみ。

 すっかり暗くなった夕方6時、ヘッドライトを点灯して山頂で景色を見ていると、朝日鉱泉から直登する急峻な尾根に時折ちらりと明かりが見える。何の明かりだろうかと思っていたら、6時半、声が聞こえ出し、明かりが次第に近付いて来た。なんと、この暗闇の中を若者2人が山頂に登って来たのだ。しかも1人はヘッドライト無し、首からぶら下げた豆電球のような明かりを頼りに登って来たのだ。月明かりがあって幸いしたようだ。途中でへばってしまい、予想以上に時間がかかってしまったとの事だった。星空は見えそうも無いので、ここは2人を先導して小屋に下りることにした。ちょうどザックの中に懐中電灯にもなるテント用LEDランタンが入っていたので、それを貸してあげた。寝る場所があるのかどうか心配したが、1階の入り口近くになんとか寝場所を確保できて良かった。
 明朝、空が晴れればもう一度山頂へ、という思いも空しく、空は霞におおわれてこの夜は星を見ることはできなかった。
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霧に霞む蔵王  平成23年10月8日

2011年10月14日 | 日本百名山
 平成23年10月8日

 雨雲が去り、澄んだ好天の予報となった10月の3連休。南の低空に輝くあの星を求めて北に遠征することにした。その星とは・・・南極老人性カノープス。3年前に北穂高岳から撮影に成功し、2年前には槍ヶ岳の山頂からも見えることを確認、さらに唐松岳からも見えた。では、さらにその北、東北の山からはどうなのだろうか?アストロガイドのソフトでは蔵王や朝日岳でかろうじて見える位置に昇ってくるはずだが、実際には低空の霞や雲に邪魔されてよほど条件の良い時でなければ見えないだろう。蔵王刈田岳から撮影に成功した人がいるという話を聞いたことがあったので、澄んだ星空を期待して7日の金曜日、午後から蔵王を目指して車を走らせる。
 甲府を午後1時過ぎに出発し、蔵王刈田駐車場に午後8時半ごろに到着した。まだ低気圧の影響が残り、車が揺さぶられるほどの強風が吹き荒れ、すぐ目の前に見える刈田岳すらとても登れるような状態ではなかった。空も思ったほどの星空にはならず、雲がかかり天の川は見えない。この夜の撮影はあきらめて、早々に車の中で寝て明朝に期待することにした。

    お釜行きのリフト。この右横に登山道がある。


    朝の南蔵王の山々。霧と雲に霞む。


    蔵王の紅葉。色付いてはいるが、光が入らず鮮やかには見えない。


    ナナカマドは色付く前に葉が落ちてしまっていた。

 目覚まし時計を未明3時にセットし、起きてみると風は少し納まってきたが空は真っ白、星など全く見えない。りゅう座流星群が見頃を迎えている頃だが、とても観察できるような空では無かった。あきらめてもう一度寝て、次は明るみ始めた6時に起きる。ひとまず山頂の熊野岳は踏んでこようと、6時10分に駐車場を出発する。お釜行きのリフトがあり、その横に登山道があって20分ほど登ると稜線に出る。霧がかかって真っ白、何も見えない。目印が無ければ方向を見失いそうだが、都合良いことに登山道に沿って長い杭が立てられており、道標もしっかりしている。その杭に沿って馬の背を歩いて行くと、30分ほどで熊野神社と避難小屋の分岐点に到着。左に進んで行くと鳥居が見え始め、その先に熊野神社の社が建っていた。避難小屋が設置されていて、中で2人休憩している人がいた。宿泊して星の撮影をするにはこの上なく良い小屋だが、勝手に使ってよいものなのかどうか??熊野岳山頂の標柱は神社の先に立っていた。相変わらず何も見えない。

    リフト山頂駅付近。霧に巻かれて視界不良。


    神社があった。蔵王神社?


    道標と整備された馬の背の登山道


    時折陽が射すが、この程度。


    「お釜」の看板があるが、どこ??


    熊野神社


    霧で霞む熊野岳山頂

 地図で熊野岳山頂は三角形に周回できることを確認し、隣の避難小屋も見に行った。こちらも快適に過ごせる小屋で、ストーブと燃料まで置かれていた。屋内の看板を見ると、やはり緊急時の避難小屋で、やたらに使うのはまずいようだ。お釜を一目見たかったが、結局終始霧に巻かれて全く見えないまま、8時過ぎ、駐車場に戻る。星空も流星群も紅葉も不発に終わってしまった。

    避難小屋


    小屋の中にある利用者心得


    この先に蔵王お釜が見えるはずなのだが・・・とうとうお目にかかれなかった。

 次の目的地、朝日鉱泉に向かうが、山形市内は晴れていた。しかし、振り返って見る蔵王は真っ黒な雲が覆っていた。この日の蔵王はおそらく1日中雲に巻かれていたのだろう。
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