平成22年3月21-22日
前日強風を押して金峰山山頂に到着したのは午後4時半。テントを設営して星空を待つが、雲が巻き小雪舞う天候となり、8時半には眠りについた。目が覚めたのは11時半、肩のあたりが寒くて目が覚めた。気温を見ると、テントの中で-10℃(あまりあてにならない温度計だが・・・)、思ったよりも冷え込んだ。テントの換気窓から外を見ると相変わらずの真っ白な空模様で、星はひとつも見えない。シュラフとシュラフカバーの紐を締めなおして首周りをしっかりと閉じ、また寝る。
次に目が覚めたのは午前1時45分。目覚ましをかけたわけではないのだが、今までの経験からしても睡眠薬を使った時はたいてい4~5時間で目が覚めるのだ。再び換気窓から外を見ると・・・今度は星が見えている。良く見ると昇ってきているのはさそり座だ。ちょうど縦位置に頭を持ち上げ、もうすぐ尻尾まで昇って来るところだった。富士山は・・・何となく霞んでいる。天の川を撮るにはまだ1時間ほど時間が早い。まずはバーナーを焚いて暖をとり、撮影に備えて持ってきた全ての服を着込む。外はまだ風が強く、体感温度は-15℃以下になるが、意を決してテントの外に飛び出し、空を見上げる。満天の星空、とまでは行かず、若干霞がかかっているようで天の川はすっきりとは見えてくれなかった。
富士山の東側に昇ってきたさそり座 低~中空の霞が邪魔になる。
こちらは八ヶ岳。双子座と火星が沈んでゆくところだったが、山頂には雲がかかり、スキー場の明りが明るすぎて絵にならない。オレンジ色の明りがキッツメドウズ、緑色が富士見パノラマスキー場。
五丈岩の上に沈む春の大三角形 どれだかわかりますか?今は三角形のすぐ下に土星が輝いている。
山頂側に昇ってきたはくちょう座と夏の大三角形 この季節、一晩で冬、春、夏の三つの大三角形を見ることができる。ただし、睡眠時間が・・・
山頂側に行ってみると、ちょうど春の大三角形が五丈岩の上に沈みかけているところだった。寒さと強風に耐えながら、五丈岩と山頂のあたりをうろうろと三脚とカメラを担いで歩き回る。南東側に昇って来たさそり座はやがて富士山頂を越えて南に傾き出す。それに伴って天の川の最大部分がはっきりと見えるようになり、さらに夜明けが近付くとともに空気が冷え、低空をおおっていた霞が沈んで富士山がはっきりと確認できるようになってきた。昨年は見ることができなかったさそり座と富士山の上を流れる天の川の情景、今年は見ることができた。そして、薄明の空が真っ青に映るほんの10分ほどの時間帯、まさに見たかった五丈岩に傾くさそり座、そして真っ青な空を流れ行く天の川、まさに見たかった情景が目の前に広がった。強風に耐えて前日登って来た甲斐があった。神様への捧げ物のお返しにこの素晴らしい景色を贈ってくれたのだ。山の神様に深く感謝した。
富士山上を流れる天の川 しだいに空気が澄み、天の川と富士山がはっきりと見えるようになってきた。
薄明の空に流れる天の川 見たかった情景はまさにこれ。山の神様の贈り物。
五丈岩と甲府盆地の夜景
夜明けの五丈岩と富士山
夜明けの富士山
朝日射す五丈岩と南アルプス
同上、富士山
そしてやがて日が昇る。すっきりと晴れた空、風はまだ強いが今日は良い天気だ。すっかり満足してテントに戻り、残っていたパンを1個食べてテントを撤収する。時間はまだ7時半だが、さっさと下山にとりかかる。それは急いで下りるのではなく、稜線からの眺望を存分に楽しみつつ、朝の斜光線のうちに写真を撮りたかったからだ。三脚を出したりしまったり、存分に朝の景色を楽しんでから下山した。
南アルプスの眺望 五丈岩南側、テントの前からの風景。
八ヶ岳とミズガキ山の眺望
金峰山の雪屁と南アルプス
ほとんど直線的に山の斜面を下りることができるので、雪道の下りは楽だ。しかし、注意すべきはアイスバーンだ。大日岩から下の大日小屋に至るまでの林の中は、ほとんどがカチンカチンに凍りついたアイスバーンになっていた。アイゼンを思い切り蹴りこみながら、木の枝や根につかまりつつ慎重に下る。9時半ごろに大日小屋あたりを通過したが、その時間には金峰山目指して登って行く人たちとたくさんすれ違った。この日はきっと登った人たちはその眺望に歓喜したことだろう。富士見平で車の中で飲む水を汲みに水場に立ち寄ったが、その際にアイスバーンで見事にスリップ、仰向けに倒れる。さらに水を汲んで振り返って歩き出すときにまたしてもすってんころりん。こんなところまで下りてきてから転ぶとは・・・山の神様のたわむれか?苦笑いしながらザックを再び背負い、下山。11時10分、駐車場に到着した。
何度登ってもその眺望の良さに圧倒される冬の金峰山。特に今回はようやく見ることができた天の川とさそり座に大満足した。強風下のテント泊はやや危険ではあるが、このような天候の時こそが星空撮影のチャンスでもあるのだ。今回も無事に山行を終えることができ、また素晴らしい風景を見せてくれた山の神様に感謝するばかりだ。
前日強風を押して金峰山山頂に到着したのは午後4時半。テントを設営して星空を待つが、雲が巻き小雪舞う天候となり、8時半には眠りについた。目が覚めたのは11時半、肩のあたりが寒くて目が覚めた。気温を見ると、テントの中で-10℃(あまりあてにならない温度計だが・・・)、思ったよりも冷え込んだ。テントの換気窓から外を見ると相変わらずの真っ白な空模様で、星はひとつも見えない。シュラフとシュラフカバーの紐を締めなおして首周りをしっかりと閉じ、また寝る。
次に目が覚めたのは午前1時45分。目覚ましをかけたわけではないのだが、今までの経験からしても睡眠薬を使った時はたいてい4~5時間で目が覚めるのだ。再び換気窓から外を見ると・・・今度は星が見えている。良く見ると昇ってきているのはさそり座だ。ちょうど縦位置に頭を持ち上げ、もうすぐ尻尾まで昇って来るところだった。富士山は・・・何となく霞んでいる。天の川を撮るにはまだ1時間ほど時間が早い。まずはバーナーを焚いて暖をとり、撮影に備えて持ってきた全ての服を着込む。外はまだ風が強く、体感温度は-15℃以下になるが、意を決してテントの外に飛び出し、空を見上げる。満天の星空、とまでは行かず、若干霞がかかっているようで天の川はすっきりとは見えてくれなかった。
富士山の東側に昇ってきたさそり座 低~中空の霞が邪魔になる。
こちらは八ヶ岳。双子座と火星が沈んでゆくところだったが、山頂には雲がかかり、スキー場の明りが明るすぎて絵にならない。オレンジ色の明りがキッツメドウズ、緑色が富士見パノラマスキー場。
五丈岩の上に沈む春の大三角形 どれだかわかりますか?今は三角形のすぐ下に土星が輝いている。
山頂側に昇ってきたはくちょう座と夏の大三角形 この季節、一晩で冬、春、夏の三つの大三角形を見ることができる。ただし、睡眠時間が・・・
山頂側に行ってみると、ちょうど春の大三角形が五丈岩の上に沈みかけているところだった。寒さと強風に耐えながら、五丈岩と山頂のあたりをうろうろと三脚とカメラを担いで歩き回る。南東側に昇って来たさそり座はやがて富士山頂を越えて南に傾き出す。それに伴って天の川の最大部分がはっきりと見えるようになり、さらに夜明けが近付くとともに空気が冷え、低空をおおっていた霞が沈んで富士山がはっきりと確認できるようになってきた。昨年は見ることができなかったさそり座と富士山の上を流れる天の川の情景、今年は見ることができた。そして、薄明の空が真っ青に映るほんの10分ほどの時間帯、まさに見たかった五丈岩に傾くさそり座、そして真っ青な空を流れ行く天の川、まさに見たかった情景が目の前に広がった。強風に耐えて前日登って来た甲斐があった。神様への捧げ物のお返しにこの素晴らしい景色を贈ってくれたのだ。山の神様に深く感謝した。
富士山上を流れる天の川 しだいに空気が澄み、天の川と富士山がはっきりと見えるようになってきた。
薄明の空に流れる天の川 見たかった情景はまさにこれ。山の神様の贈り物。
五丈岩と甲府盆地の夜景
夜明けの五丈岩と富士山
夜明けの富士山
朝日射す五丈岩と南アルプス
同上、富士山
そしてやがて日が昇る。すっきりと晴れた空、風はまだ強いが今日は良い天気だ。すっかり満足してテントに戻り、残っていたパンを1個食べてテントを撤収する。時間はまだ7時半だが、さっさと下山にとりかかる。それは急いで下りるのではなく、稜線からの眺望を存分に楽しみつつ、朝の斜光線のうちに写真を撮りたかったからだ。三脚を出したりしまったり、存分に朝の景色を楽しんでから下山した。
南アルプスの眺望 五丈岩南側、テントの前からの風景。
八ヶ岳とミズガキ山の眺望
金峰山の雪屁と南アルプス
ほとんど直線的に山の斜面を下りることができるので、雪道の下りは楽だ。しかし、注意すべきはアイスバーンだ。大日岩から下の大日小屋に至るまでの林の中は、ほとんどがカチンカチンに凍りついたアイスバーンになっていた。アイゼンを思い切り蹴りこみながら、木の枝や根につかまりつつ慎重に下る。9時半ごろに大日小屋あたりを通過したが、その時間には金峰山目指して登って行く人たちとたくさんすれ違った。この日はきっと登った人たちはその眺望に歓喜したことだろう。富士見平で車の中で飲む水を汲みに水場に立ち寄ったが、その際にアイスバーンで見事にスリップ、仰向けに倒れる。さらに水を汲んで振り返って歩き出すときにまたしてもすってんころりん。こんなところまで下りてきてから転ぶとは・・・山の神様のたわむれか?苦笑いしながらザックを再び背負い、下山。11時10分、駐車場に到着した。
何度登ってもその眺望の良さに圧倒される冬の金峰山。特に今回はようやく見ることができた天の川とさそり座に大満足した。強風下のテント泊はやや危険ではあるが、このような天候の時こそが星空撮影のチャンスでもあるのだ。今回も無事に山行を終えることができ、また素晴らしい風景を見せてくれた山の神様に感謝するばかりだ。