山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

金ヶ岳の観音峠側岩場を散策  令和1年9月22日

2019年09月26日 | シダの仲間
 折角の3連休だったのだが天候に恵まれず降りそうで降らない天気、かと思えば登山口まで向かえば雨が降って来るという消化不良な3日間になってしまった。中日の22日は夕方から食事会があったので、その前にちょっとだけ鎖やロープの岩場が多くてシダがありそうな観音峠から金ヶ岳に至るルートを途中まで歩いてみた。


    ヤクシソウ。向こうに見える三角錐がこれから向かう金ヶ岳のルート。


    観音峠周辺や林道の周辺にはツリフネソウやキツリフネがたくさん咲いている。


    さて、いきなり出てきた何だか分からないシダ。


    胞子嚢群の配列。


    楕円形のものや半円形の枕のような形の胞子嚢が付着している。これはヘビノネゴザというシダではないだろうか?


    途中の岩に付着していたものもたぶん同じシダ。


    中腹の尾根筋で見た色付き始めているシダもたぶん・・・


    同じものだと思う。


    先日の八丁峠で見たものと同じようなヒゴタイが生えていた。


    ここにあるヒゴタイの葉は中央が細くてバイオリン型のものがあるが、そうでは無いものもある。


    総苞には蜘蛛毛があるがあまり密では無い。たぶんこれもコウシュウヒゴタイであろうと思う。


    前方に見えてきた岩が船首岩。


    途中には石灰岩を含んでいると思われる白い岩の崩落地があった。探しているのは石灰岩地を好んで生育するシダだが、果たして見つかるかどうか?


    登りにくいさらに降りにくい船首岩の岩場


    船首岩と曲岳


    太刀岡山とチラ見えの富士山


    岩場を覗き込む。イワデンダとイワヒバとノキシノブ


    こっちはフクロシダ


    フクロシダのソーラス


    そして一番期待していたこの層状になった岩の側面だったが・・・


    あったのはイワデンダ


    そしてイワヒバ。

 この山塊で探しているのはヒメウラジロという珍しいシダだが、簡単に姿を見せてくれるものでは無さそうである。ミヤマウラジロもあるのではないかと思っている。さらに上の岩場を探ってみる。


    イワトラノオ。のようだが、今まで見てきたものよりもかなり小型で華奢に見える。大きなもので10㎝ほど、小さなものは3cmくらいである。


    ソーラスの配列。羽片に1~3個の胞子嚢が付着している。


    これはヒメイワトラノオではないかと思うのだが、大きさだけで判断して良いのかどうかは分からないので保留にしておく。


    これはシダなのだろうか?


    裏側を見てみるとしっかりと胞子嚢が付いていた。


    面白いことに、細くなった葉の先端に無性芽を付けてそこから新しい葉が出ている。


    無性芽


    調べてみるとこれはクモノスシダという変わり者のシダだった。残念ながら山梨県では絶滅危惧種では無かった。


    クモノスシダとイワトラノオ。交雑する可能性もあるらしいが、この時はそんなことは全く知らず。もう少し周辺を探してくるんだった。


    近くにはミツバベンケイソウが生えていた。

 ツルデンダというシダが見つかったので近付いて写真を撮ろうとすると、何やらブンブンとハエかハチか何かがたくさん飛んでいる音がする。どこを飛んでいるのかと辺りを見回すと・・・ビックリ仰天!自分の足元に50匹は居ようかという小さな蜂の群れが舞っている。おそらくヘボと呼んでいる蜂だろうが、どうやら地面にある巣を踏み付けたらしい。これはまずい、と一目散に走って逃げ、斜面を30mほど走ってなんとか蜂の群れから逃げ出した。スパッツを履いていたことが幸いして全く刺されずに済んだ。

 気を取り直してもう1段上の岩場に行ってみる。


    時間的にこのあたりの岩場を巡って撤退になりそうだ。


    こんな感じの岩壁を探る。


    元気なフクロシダ


    そして先ほどは蜂の巣を踏んで撮れなかったイワデンダがここにもあった。


    このシダも先端に無性芽を付けて増殖することが出来る変わったシダ。


    もちろん、胞子でも増殖する。シダ植物はラン科植物に劣らずに様々な分化と発達を遂げている植物だと思う。


    ここでこの花に出会えるとは思わなかった。


    ジンジソウ

 金ヶ岳山頂までは普通に歩けばあと30分ほどだろうが、着替えと移動の時間を考えるとそろそろ下山したほうが良さそうな時間になった。探し物にはなかなか出会えないが、クモノスシダという奇怪なシダに出会えたのは本日の一番の収穫だった。まだこの山塊の一部しか探索していない。きっとそのうち、見たことも無いような代物に出会う時があると思う。
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分かりずらいシダ コバノヒノキシダとイワトラノオ

2019年09月24日 | シダの仲間
 イワトラノオだと思ってブログに掲載していたシダが実は別のものが含まれていることが分かってきた。渓谷の岩壁に着生しているシダと道路脇の石垣に着生している似たようなシダ、ソーラスの配列が同じように見えたので同じものだと思っていたのだが、ネットの記事を見ていたら家の周りの石垣に普通に生えているシダとしてコバノヒノキシダというシダが掲載されていた。そして図鑑を見直してさらにネット記事と自分の写真を良く照らし合わせてみると・・・渓谷で見たものはイワトラノオで間違い無さそうだが、道路脇の石垣や積翠寺の周辺で見てきたものはコバノヒノキシダであろうということが分かってきた。


    石空渓谷で初めて見たこのシダ。


    あまり大型ではないが10~15くらいの大きさ


    ソーラス配列は羽片の裏側に2~3個付く。これはイワトラノオで間違い無さそうである。


    葉の先は丸っこい。注目してほしいのは中軸(全体の真ん中を通っている軸)の中央がやや窪んでいるところ。


    こちらは甘利山の林道脇石垣にゴッソリと着生していたシダ。


    形は大きいもので25~30㎝くらい。


    ソーラス配列は石空川で見たものと同じように見えたのでこれもイワトラノオだろうと思っていたのだが、良く見れば葉の先がギザギザしている。


    中軸の形を見ると中央に稜のような盛り上がりがある。この葉軸中央の盛り上がりがこのシダの特徴らしい。これはコバノヒノキシダである。

 コバノヒノキシダの幼弱なものを見た時に葉の先端部のギザギザが無いように見え、石空川で見たものも成長すると同じような形になるのだろうと思っていたのがそもそもの間違いだったようである。そんな目で改めてあちらこちらで見てきたこのシダの類を見直してみる。


    これは板敷渓谷で見てきたもの。小型で10㎝ほど。


    中軸を見てみると窪んでいる。葉の先端は丸い。これはイワトラノオ。


    積翠寺の畑の生垣に生えていたシダ


    葉先はギザギザしており中軸中央に盛り上がりがある。コバノヒノキシダ。


    昇仙峡の道路脇石垣に着生していたシダ


    画像が荒いが葉先がギザギザで中軸は盛り上がっているように見える。これもコバノヒノキシダ。


    金ヶ岳中腹の岩場に付いていたシダ。かなり小型で3~10cmくらいの大きさ。


    葉先は丸く中軸は窪んでいる。このシダは華奢で小型のことからヒメイワトラノオではないかと思っているがもう少し別の場所でいろいろ見てきてから判別したいと思う。

 図鑑とにらめっこしただけでほとんど知識の無いシダ植物を判別するのはほとんど困難である。いちばんの問題は形よりもそのシダの生育環境と出現頻度を知らないことだろう。絶滅危惧種のシダはそれなりに特徴的な形をしているものが多いので判別し易いと思うのだが、ホラシノブの仲間、ワラビの類い、そしてこの同じような形をしたチャセンシダの仲間は図鑑だけで判別するのは難しい。シダ植物のネット記事は少ないが、現地で見てきたレポートの類は大いに参考にさせてもらっている。
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山上の岩場に生育するシダ 升形山  令和1年9月19日

2019年09月23日 | 山に咲く花
 黒富士農園から登るメインルートを行くとそこそこに時間がかかる黒富士・曲岳・升形山山塊であるが八丁峠の裏側にある短絡ルートを使うと午後からでも短時間で行けるお気楽ルートになる。時間的な余裕があれば黒富士まで行きたいが岩場の周辺のシダを散策しながらだとたぶん無理なのではないかと思う。まずはいちばん近い升形山に行ってみる。


    この葉の先が細長く伸びている花は・・・


    たぶんカメバヒキオコシ。ヤマハッカ、コウシンヤマハッカとこのカメバヒキオコシは判別が難しい。


    まだ決着がついていないヒゴタイが現れた。


    葉の切れ込みは浅くバイオリン型では無い。


    総苞にはクモ毛が生えているがさほど密ではない。おそらくはコウシュウヒゴタイと思われる。


    葉の幅が広くヤマトリカブトと思われる。


    花柄の毛は開出毛だった。


    ジュウモンジシダだがいつも谷沿いで見ているものとは別物のように大きい。


    木に着生していたシダ


    アオネカズラを期待したが・・・


    葉の裏側の毛は薄く、これはオシャグジデンダのほうだった。山梨県準絶滅危惧種。


    ここでもまたこのシダが・・・


    葉先に毛が生えている小さなシダ。


    裏側にあふれんばかりに付着している胞子嚢。


    カラクサシダで間違い無いと思うが、ⅠA類のシダをこれだけあちらこちらで見かけると判別が間違っているのか?と思ってしまう。

 升形山の岩場に到着した。真っ直ぐ山頂には登らず斜面をトラバースして岩の下側に入り込む。予想していた通りに岩場が好きなシダが付着している。


    イワヒバ


    小さめだが・・・


    ソーラスを見てみるとフクロシダ。


    イワデンダ。どこの岩場でも普通にみられることが分かる。


    沢沿いの木の根元にも付着していた。


    これも確かシダの仲間だったはず。


    ヒモカズラ


    シシガシラに似るが生育環境が全く違う。


    同じシシガシラ属のオサシダ。胞子葉は栄養葉と形があまり変わらない。


    向こうに見える黒富士。時刻は4時を過ぎ、往復だけなら可能だが花とシダを観察しながら歩くには時間が足りない。


    反対側の瑞牆山から金峰山を含む奥秩父山塊。あちらにもお宝がたくさん眠っているはずだ。

 探し物のシダは残念ながら見つからず、時間的に黒富士は無理だったので撤退する。この界隈におそらく裏側が白いシダが2種類眠っているのではないかと思っている。


    林道脇にゴッソリと生えていたメハジキ。


    普通にあると聞いているが実は見るのは初めてである。


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秋の恒例の南部町スルガジョウロウホトトギスを訪れる  令和1年9月16日

2019年09月20日 | 山に咲く花
 まだ存在しているかどうか不明だった山梨県のスルガジョウロウホトトギス群生地が発見されてから5年になる。かつてはそれなりにあったらしいのだが、園芸のために徹底的に採取され登山道周辺の自生地からは姿を消してしまった。ネット上でカイジョウロウホトトギスと名前を変えて売買されていたことに腹が立ち、なんとか探し出して保護に乗り出そうしたのがこの花を探しに行ったきっかけである。発見以来毎年この自生地の状況を山梨県山岳レインジャー活動を通じて山梨県に報告し、そして今年になってからこの花は「山梨県希少野生動植物種の保護に関する条例」の中で特定希少野生動植物種に指定されるに至った。これによって採取や移動・売買が禁止されることとなった。とりあえずはこの花の保護のための法律的な規制を取り付けることが出来て良かったと思っている。引き続き自生地の状況の変化と個体数の変化は調査を行う必要がある。

 例年だと10人くらいの参加者があるスルガジョウロウホトトギス現地調査であるが3連休中というのもあって今回の参加者は私を含めて5人となった。動きやすい人数なので、今回は目的の花だけでは無くて最近勉強しているシダ植物も見ながら歩かせていただいた。


    普通に見られ、かつ有名なシダ、ハコネシダ。


    姿が美しくネーミングも良い、クジャクシダ。


    それほど珍しくも無いと思うが山梨県では初めて見るツルデンダ。小学校の夏休みの自由研究で千葉の実家近くでこのシダを採取したことがある。


    先端に無性芽があり、これが地面に着いて増殖する能力を持っている。


    たぶんオウレンシダ


    切れ込んだ葉の縁に付く胞子嚢。石灰岩地を好む少し珍しいシダのようだが、普通に見られるような気がする。


    これも沢沿いに普通にある。ジュウモンジシダ。


    そして櫛形山に続いてこちらでも発見。カラクサシダで間違いないと思うが、裏側の毛が茶色く無いのがちょっと違う気もする。


    沢沿いの岩壁に大量に着生したイワユキノシタ。


    シラヒゲソウほぼ満開。


    シラヒゲソウ


    アップでシラヒゲソウ

 この地域はヤマヒルが多いことで有名であるが今年はあまり出会わず、ノルマとしていた10匹撃退には及ばなかった。例年よりも樹林の中が乾燥しているような印象を受けた。沢筋に入ってもいつもならば水が流れている場所に水が無く、今年は降水量が少なかったようである。GPSを持って行くのを忘れて若干沢筋のルートに迷ったものの、予定通りの3ヶ所を巡り歩く。


    1ヶ所目は自生していた斜面の苔が大きく剥げ落ちて数が半分以下に減ってしまっていた。


    2ヶ所目。5年前に訪れた時はこの岩に30~50株生育していたが岩と土が崩落して少ししか残っていない。


    ズーム。わずか数株である。花はまだ蕾。


    岩壁の上部に群生していた株も今年は少ない。


    咲いているにはいるのだが、発見当初は最大の自生地だったこの谷は5年前の半分以下に減ってしまっている。懸念していた岩と土の崩落が原因だろう。


    3ヶ所目。ここは状態が良く昨年よりも個体数が増え花付きも良い。


    満開には少し早かった。


    それでも見ごたえは十分。


    昨年は咲かなかったこの辺りも今年は立派な花を咲かせてくれた。


    下からのぞき込む


    テバコモミジガサとスルガジョウロウホトトギス

 全体的には減少傾向にあるスルガジョウロウホトトギスで、盗掘では無く岩の崩落や土の斜面の流出によるものと思われる。山と谷全体がなんとなく乾いてきているような印象を受ける。今後も引き続き観察が必要であるが、別の沢の奥にも生育していると思われ、探索してみる必要があるだろうと思っている。

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櫛形山で見たシダ植物  令和1年9月15日

2019年09月18日 | 番外編
 まだ分からないことばかりのシダ植物だが、生えているのを見ると近付いて裏側の胞子嚢群(ソーラス)配列を見るのが癖のようになってきた。薄暗い場所で撮影するのでシャッタースピードが遅くなるため手持ちで撮るのは難しく、やはり三脚が必須となり、撮影には普通の花以上に多大な時間を要してしまう。コースタイムの2倍はかかるのがここのところの山行では当たり前になりつつある。普通に見られるが何だか分からないシダがほとんどであるが、時としてこれは・・・というシダに出会うこともある。


    オシダ。櫛形山の少し湿った斜面には群生が見られる。


    このシダは裏側を見なくても判別できるようになってきた。


    イワデンダ


    シシガシラ、だと思うが根元の鱗片を見ないとオサシダとの区別が出来ないらしい。


    普通にたくさんあるが何だか知らないのがこのシダ。裏側にソーラスは付いておらず胞子葉を別に出すタイプのシダと思われる。


    あちらこちらにゴッソリと茂っているこのシダもたぶん同じもの。シラネワラビと思われる。


    そしてもう1種類、登山道脇のあちらこちらに普通に生えているが何だか分からないシダ。このシダもソーラスが付いていない。


    クラマゴケの仲間。(と思っていたが・・・)


    マクロレンズで覗き込んでみると葉の形は米粒型で先端に小さな棘がある。


    花のような胞子嚢を出していた。➡これはクラマゴケの仲間では無くツボゴケあるいはコツボゴケという苔の仲間と判明。


    コケシノブの仲間だが、コケシノブにしては丸っこい感じがする。


    コウヤコケシノブかと思ったが葉はギザギザしていない。裏側を見て来なかったので葉軸に毛が生えているかどうかは不明。毛が生えていればキヨスミコケシノブだが、たぶん普通のコケシノブだろう。


    コケの中から生えていた小さなシダ。いつも見ているイワトラノオかと思ったが・・・


    近付いて見てみると驚き!


    葉の先端部を主に毛が生えている。


    裏側のソーラス。葉脈に沿ってあふれんばかりに付着している。


    判別が間違っていなければこれはカラクサシダだろう。山梨県絶滅危惧種ⅠA類のちょっと珍しいシダである。

 カラクサシダと思われる小さなシダの撮影には1時間近い時間を費やした。びっしりと付着したソーラスにも驚いたが毛の生えた葉にはもっと驚いた。3年間で山梨県絶滅危惧種のシダ類8割制覇が目標であるが、判別が間違っていなければヤツガタケシノブに続いて新たに1種類ゲットしたことになる。



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初秋の花咲く櫛形山へ  令和1年9月15日

2019年09月18日 | 山に咲く花
 アヤメの復活が著しい櫛形山はアヤメ咲く7月やクガイソウとシモツケソウのお花畑になる8月には何度も訪れているが9月になってから訪問したことはほとんど無い。おそらく、マツムシソウのお花畑がそろそろ終わりかけている頃だろう。探していた花の情報が花仲間から入ってきたことがあり、見に行ってみることにした。


    苔生した登山道を行く。出発時間が遅くかつ途中でシダ植物の撮影に多大な時間を要したためもう木の影が長く伸びている。


    斜面を覆い尽くすシダ。こんな普通にありふれたシダの名前も分類も実は知らない。


    午後3時に裸山に到着。こんなにたくさんタムラソウが咲くとは知らなかった。


    毎度の定点からの撮影。向こうに見えるのが櫛形山山頂。マツムシソウはもう終わりかけているがこれでもかというくらいにマツムシソウとタムラソウが競って生えている。


    本日は天候に恵まれてスッキリした富士山がお目見え。


    裸山山頂の花たちと富士山


    タムラソウと富士山


    花が散ってしまっているマツムシソウの群落。もう少し早い時期に訪問していれば薄紫色のお花畑と富士山が見られたのであろう。


    色鮮やかなトリカブト


    裸山山頂から見る白根三山

 貴重な生育情報をいただいて見に行ったのは、かつて山梨県絶滅危惧ⅠA類だったが確認されていた生育地から消滅してしまい、2018年版から情報不足(DD類)になってしまった花である。ほとんど情報が無く探す術も持っていなかった花の情報が偶然舞い込んできた。


    目的の花はこの鮮やかな黄色の花。


    3出複葉のこの葉、間違い無さそうである。


    隣の長野県では結構見られるようだが山梨県で見るのは難しい、ナガミノツルキケマン。


    それなりに個体数はあったが、先が千切れていて食害に遭っているらしいのが心配である。

 山梨県では初めて見るナガミノツルキケマン、探してはいたが全く見つかる気配が無く、ようやく出会えたといった感じである。ごく限られた範囲にしか生育しておらず、食害跡らしきものがあるのが心配である。

 午後4時に裸山を出発して日没前には下山出来た。


    夕暮れの富士山


    この季節にしては珍しくアースシャドウが見えた。

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激焼けの赤富士 富士山奥庭展望台  令和1年9月14日

2019年09月17日 | 番外編
 富士山御中道を大沢崩れの休憩所まで散策して奥庭駐車場には午後5時に戻って来た。さて、あと1時間は待たずに日没を迎える。眼下には相変わらずの雲海が広がっており青空の中に富士山が映えている。この天候ならばたぶん夕映えの赤富士が見られるはずだ。道路を隔てて反対側にある奥庭展望台に行ってみることにする。ここを訪れるのは初めてである。


    大沢崩れからの戻り際に見る雲海広がる景色。


    石畳の道と雲海


    振り返って見る富士山。真っ青な青空が広がっている。


    道路を渡り、車には戻らずそのまま奥庭展望台に向かう。


    いちばん奥にある展望台だが、その手前から抜群の富士山の眺望が得られる。


    少し雲が湧いて一時富士山が見えなくなってしまったが・・・


    雲海に沈んで行く夕陽


    夕陽に照らされて霧がオレンジ色に輝いた。


    そして霧が晴れて赤富士が姿を現した。


    激焼けの赤富士


    朝のパール富士は失敗だったが夕方のこの赤富士は凄かった。


    陽が沈み再び霧が巻き出した富士山

 朝のパール富士敗退を取り返して余りある激焼けの赤富士を堪能して大満足して帰路についた。いつどこで良い景色に出会えるかは分からないものである。スマホでの撮影を含めて、いつどこでもどんな場合でも撮影出来る準備はしておくべきだろうと思った。

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富士山御中道とオオサワトリカブト  令和1年9月14日

2019年09月17日 | 高山に咲く花
 前日から山中湖きららに泊まり込んで未明の鉄砲木の頭から見るパール富士(この日は中秋の名月で狙い目だった)を狙ったのだが睡眠薬が効き過ぎて山頂まで足元がおぼつかず、かつ到着した頃には富士山と月は雲の中。撃沈して下山してきた。そして車に到着するや否や爆睡してしまい、目が覚めれば9時半を過ぎていた。

 さて、それから富士山に移動して以前から歩きたいと思っていた御中道の散策に出かける。マイカー規制が解除されたばかりで本日は5合目の駐車場は大混雑しているらしいが御中道の入り口にあたる奥庭駐車場は数台止められるスペースが空いていた。御中道のルートは何ヶ所か崩落していて通行不能という話も聞いているがネットで検索してみると行けないことも無いようである。ダメならばそこで撤退・・・ということで11時に出発する。


    さて、無事に大沢休憩所まで行けますかどうか?


    石畳の道


    御庭から見上げる富士山。青空が広がった。下界は暑いだろうが標高2,300mのこの場所は快適である。


    案内板があってそれに従って大沢崩れの道に入るが・・・


    すぐにロープが張られて通行止めの看板。やはり行けないのか?

 大沢崩れへの道に進んだがすぐに通行止めの看板に突き当たってしまった。ルートが変わったのか?と思って一旦戻り、広い道を歩いているとその通行止めの道を下りてきた人に偶然出くわした。大沢崩れへの道を尋ねると、現在歩いている道を進むと林道を経由して元の場所に戻ってしまうそうだ。大沢崩れまで行くには看板を無視して進むのだそうで、その先は自己責任で進むということになる。GPSで位置を確認して看板をくぐり抜けて先に進んでみる。何人か先行して入っている人の姿が見えた。


    広いザレ地に出た。見上げる富士山。


    反対側は一面に広がる雲海。荒川岳・赤石岳が浮かんで見える。向こうからこちらを見ると雲海の上に浮かぶ富士山が見えているのだろう。


    その先でルートは崩落していた。先行者の足跡がありそれをたどって対岸に入るが・・・ルートが見つからず。


    上に登ってルートを探すと頼りないテープがあった。そこから樹林の中に入ると細い踏み跡があった。


    頼りないテープと薄い踏み跡。これに沿って下って行くと本来の御中道の道に出た。


    仏石流の石塔


    その先で2ヶ所目の崩落地。これも先行者の足跡をたどって対岸に至る。今度はあっさりとルートが見つかった。

 2ヶ所の崩落地を過ぎるとその先は明瞭な道でそれなりにルートは整備されていた。大沢崩れまで行けば本日のお目当てのオオサワトリカブトが見られるはずだが、その手前の一番沢周辺でも見ることが出来た。


    一番沢の石塔。その上にオオサワトリカブトが咲いているのを発見。


    沢の周辺ではそこそこにオオサワトリカブトが咲いていた。葉はもっと細いのかと思っていたがホソバやキタダケトリカブトほど細く無い。


    一番沢に咲くオオサワトリカブト


    花柄に生えている毛は開出毛(直毛)


    さらに進むとやっと大沢休憩所の小屋に出た。花を見ながら写真を撮りながら来たこともあるが、4時間かかった。


    大沢休憩所小屋の前に咲いていたオオサワトリカブト。先ほどのトリカブトよりも若干葉が細い気がする。


    花


    帰り際に別の場所で見たオオサワトリカブト


    こんなのも生えていた。タテヤマキンバイ。


    これも見たかった花だが当然もう終わっている。ムラサキモメンヅル。


    大株のヤハズヒゴタイ


    樹林の中ではミヤマフタバランが普通に生えていた。


    ミヤマウラボシ。他にもシダはたくさん見てきたが何だか分からないので掲載せず。

 帰りはルートに迷うことも無く、普通のペースで歩いて2時間で駐車場に到着した。途中霧に巻かれて小雨も降ったがおおむね天気に恵まれて目的だったオオサワトリカブトを存分に楽しむことが出来た。季節を変えるとまた違った花が咲き、秋にはカラマツの紅葉を楽しむことが出来るのだろう。道迷いには十分に注意が必要だがなかなか面白いコースだった。(激焼けの赤富士に続く)




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甲府市積翠寺町の自宅周辺を散策  令和1年9月8日

2019年09月10日 | 里に咲く花
 この日は町内の祭があり、来年町内会の役員を仰せつかっているために準備の手伝いがあった。午前のうちに準備して実際に祭の集会があるのは夜7時からだが、台風15号が接近しているため開始時間が1時間早くなって6時から会が始まることになった。祭の会場の準備は午前11時には完了したので夕方までは時間が空くことになった。周辺の田んぼを見てみるとあまり見かけない花が咲いている。これは絶滅危惧種の花か?と思ったのだが写真を撮って良く見てみるとそうではないことが判明した。


    本日は積翠寺町内会伝統のこの御釈迦堂に祭られている薬師如来のお祭り。真ん中に座するのは釈迦如来で、薬師如来は左下の箱の中に祭られている。


    灯篭を立てたり竹を立てたり会場を準備したりするのが今年と来年の役員の仕事。


    御釈迦堂の裏の土手にはツリガネニンジンが咲いていた。こんなのが咲いているとは初めて知った。


    自宅の庭に舞い降りてきた蝶、アカボシゴマダラ。元々は南方系(奄美大島付近)の蝶だが人為的な放蝶により分布域を広げたらしく、山梨県にも居るらしい。特定外来生物になっている。


    近くの田んぼで見かけたのがこの花。絶滅危惧種のアギナシだと思っていたのだが・・・


    葉の形を良く見てみたら矢じり型の葉の下の部分が長くしかも先端が尖っていない。これはオモダカのほうだった。

 周辺の田んぼにもこの花が生育しているのかどうか、ついでに段々畑の構造になっている積翠寺界隈の田畑は石積みが多く、その隙間には変わったシダが生育しているかも知れない。ペットボトルの水1本とマクロレンズをポーチに入れて散策に出発する。


    積翠寺の里。向こうに見えるこんもりした山は要害山。低山だが山梨百名山の一座で山頂からは富士山が見える。


    数は少なかったが他の田んぼにもオモダカが生えていた。


    初めて見る?いや、前にも見ているが目に止めなかった田んぼの雑草、と言ったら花が可哀そうだ。


    ホシクサ


    これは初めて見る草。


    まだ花は開いていないらしい。イグサ科と思うが、コウガイゼキショウ(笄石菖)か?


    こちらも初めて見る花。


    花弁は4枚。アカバナ科の植物か?


    ガマ。こんなのがすぐ近くの田んぼに生えているとは知らなかった。

 シダが分からないと同じようにその辺に生えている草も分からないものばかりである。

 石積みの間にはちょっと変わったシダも生えていた。


    イノモトソウ。これは普通。


    イワトラノオ。これも普通にあることが分かった。➡これはコバノヒノキシダと判明。湿った石垣や岩壁に普通にある。


    ちょっと珍しそうなのはこのシダ。


    線状のソーラスが羽片の中央に配列している。


    これはチャセンシダかと思ったのだが、葉軸が茶色では無いので違うようだ。何だか分からないシダ。➡たぶんトラノオシダであまり珍しく無さそう。


    これまた何だか分からないシダ。葉の先端が細く枝垂れていて板敷渓谷で見てきたものと同じシダだろう。


    ソーラス配列も同じ。イヌワラビ?


    これもわからないシダだが、椹池周辺の道沿いで見たシダと同じようだ。


    風でブレブレのソーラス配列。おそらく上の2つのシダはその辺で普通に見られるシダなのだと思う。いずれ正体が分かるだろう。

 山の上よりもその辺の田んぼや野原に生えている花のほうが名前を知らないものが多いようである。種類が多くて図鑑に載っていないものが多いこともあるが外来種がはびこっていることも分からない要因のひとつだと思う。花の名前を知ることよりも普通にみられるものなのか、珍しいものなのかを見極めるくらいの観察力は身に着けたいと思っている。
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板敷渓谷を散策  令和1年9月7日

2019年09月10日 | 番外編
 もう少し深い渓谷に入りたかったのだが、午前の仕事を片付けてパソコンに向かって調べ物をしていると時間はもう午後2時に近い。もはや長い渓谷を歩くには時間が足りなくなってしまい、近場の板敷渓谷を訪れてみることにした。春にハナネコノメを探しに訪れており、コースが良く整備された美しい渓谷で一番奥の大滝までは普通に歩けば20分ほどで到着出来る。はずだが、おそらくまたシダを見ながら歩くと1時間くらいかかるだろう。


    板敷渓谷入り口。


    板敷渓谷の流れ。深い谷で少し薄暗い。


    フクオウソウはまだ蕾だった。


    途中の滝。両岸にはイワタバコの葉がたくさん。


    いちばん奥の大滝。豪快に落ちる2段の滝。


    モミジガサと大滝


    ツリフネソウ

 今回も渓谷沿いの岩を覗き込みながらシダ植物の散策であるが、あまり人は来ないだろうと思っていたのに10人以上の団体さんを含めて次々に散策者がやって来た。三脚を出しにくいうえに谷の中は薄暗くしかも沢風が吹いて草が揺れるためなかなか思うように撮れない。


    このシダは渓谷の岩壁に普通に生えていることが分かってきた。


    フクロシダ


    このシダも普通に見かける。


    イヌシダ。中軸に毛が生えているのが特徴。


    結構生えていたジュウモンジシダ。上はイヌシダ。


    胞子嚢群


    これも普通にあるようだが、この渓谷ではあまり見かけなかった。


    イワデンダ


    コケシノブのようだが、何となく全体的に丸っこくて違うような感じがする。


    接写してトリーミング。葉の辺縁を見るとギザギザしている。これはコウヤコケシノブという別のシダだった。


    こちらがコケシノブ。葉は全縁。


    固まって生えていたクラマゴケの仲間


    マクロ接写


    さらにトリーミング。葉の先端は尖っている。タチクラマゴケらしい。山梨県はこちらのほうが多いのか?それとも判別が間違っているのか?➡ツボゴケという苔の仲間と判明。


    これも普通にあることが分かった。イワトラノオ。


    そして難敵の最も普通に見かけるようなこんなシダ。葉に光沢があっていちばん根元に近い部分のいちばん下の葉が少し大きい。(最下羽片の下向き第一小羽片というらしい。)


    イタチシダの仲間だと思う。


    接写してトリーミング。中軸に付着している鱗片は根元が袋状になっている。胞子嚢は円形の包膜で棘無し。おそらくこれはヤマイタチシダだろう。


    今度は最下羽片の下向き第一小羽片(面倒なので葉元のハの字と省略する)が小さいシダ。ベニシダの仲間か?


    風に揺れてきっちり撮れないが、ソーラスは小羽片の真ん中あたりに配列している。何だか分からない。


    似ているようにも見えるが全く違うシダ。葉の先端部が細くて枝垂れているちょっと格好良いシダ。葉元のハの字は小さい。


    細長いソーラスが小羽片中央にびっしりと着いている。イヌワラビか?


    途中で見た何だか分からないものと同じもののようにも見えるが違うもののようにも見える。


    やっぱり何だか分からない。

 滝の落下と沢の流れが生み出す沢風は暑さを忘れさせてくれるマイナスイオンを含んだ清涼な風だった。珍しい(と思われる)シダには出会えなかったが、半分くらいは何のシダだか分かるようになってきたのは大進歩である。図鑑を見ても何だか分からないワラビの類、ベニシダの類をどうやって攻略すれば良いのか、これからも手探りの状態が続くだろう。
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椹池周辺で見たシダ植物  令和1年9月6日

2019年09月08日 | 番外編
 椹池を訪問した際に最近勉強しているシダの仲間も見て回ってきた。


    よく見かけるが名前は知らなかったシダ、シシガシラ(シシガシラ科ヒリュウシダ属)。胞子葉を出している。


    シシガシラの胞子葉


    道路脇の壁にこれでもかというくらいに生えていたシダ。


    裏側のソーラス


    イワトラノオ。どうやらこのシダは繁殖力旺盛で普通に見られるようだ。➡これはコバノヒノキシダと判明。


    コバノヒノキシダに混じって生えていたミツバベンケイソウ。こんなところでお目にかかれるとは意外だった。


    これもたぶん普通に生えているシダだろう。〇〇ワラビの類いだろうが?


    ソーラス配列。円形の胞子嚢と思われる。配列を見ても何だか分からない。イヌワラビ?ヒメワラビ?


    側溝の脇に生えていたシダ。これは普通にあるのか、それとも珍しいのか?


    ソーラス配列。おそらくオウレンシダと思われる。夕暮れ近くなり風で揺れて撮り難い。


    初めて見た細長いミミズのような虫。


    ヒモムシ。気持ち悪い。

 シダ類はまだ判別出来るものが少なく、図鑑と見比べても特徴的な形や胞子嚢群配列をしているもの以外は判別出来ないと言って良いだろう。これは師匠を探すしか無いのでは?と思っている。
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サワギキョウ咲く椹池  令和1年9月6日

2019年09月07日 | 番外編
 昨年の記録をみると8月29日に椹池を訪問しているがその際にもうサワギキョウは終わりかけていた。花期が遅れているとはいえおそらくもう終わっている可能性が高いサワギキョウであるが、他に探している水辺に咲く花があって遅いのを承知のうえで訪れてみた。


    椹池。本日は誰も訪問者がおらず静かである。


    池のほとりに咲くミゾソバ


    サワギキョウが咲く浮島


    やはり訪問時期が遅く大部分が終わっている。


    日当たりの悪い場所ではまだ咲き残っていた。


    椹池に咲くサワギキョウ


    サワギキョウ


    マクロ撮影


    コバノギボウシ


    探している花はこんなところに生えていると思うのだが、あるのはアブラガヤばかり。双眼鏡で丁寧に覗き込んだつもりだが見つからず。


    ホタルイとサワギキョウ


    570㎜望遠で捉えたホタルイ


    こちらはカンガレイ。山梨県では絶滅危惧種。


    カンガレイ。葉の先に花がついているように見えるが実は茎。


    そしてもうひとつ絶滅危惧種の花があった。ミクリの仲間だが、おそらくナガエノミクリ。


    6月に訪れた際は何の葉だか分からなかったがこれで正体が判明した。


    1,440㎜望遠。画像だけでミクリとナガエミクリの判別は難しいと思うが、レッドデータブックのメッシュを参考にするとこのあたりはナガエミクリらしい。


    咲き始めたばかりのこの花にも出会うことが出来た。


    アケボノソウ


    先日訪問した乙女高原では出会えず、こちらで出会えるとは思っていなかったため、嬉しい出会いとなった。

 昨年この池で初めて見たアギナシはまだ咲いていないのか見当たらず、探していたコマツカサススキ、ないしヒメマツカサススキは発見できなかった。昨年も探したが見つかっておらず、ここには無いのかも知れない。もうひとつ探していたのはヒツジグサであるが何度探しても見つからずおそらくこの池には生育していないと思われる。もうひとつ探していたものがあり、周辺の湿地にトクサが生えているのではないかと思ったのだがそれも見つからず。目撃情報が無い場所での花探しはやはり難しい。


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塔岩川に生育するシダ植物  令和1年8月22日

2019年09月05日 | 番外編
 オオキツネノカミソリを見に行った塔岩川であるが同時に沢沿いに咲くシダ植物も見てきた。まだ分からないものが多く、間違っているものもあると思うが、自分自身の勉強のために掲載する。


    塔岩川の渓谷の流れ。ところどころ作業道が残っているが明瞭な道は無し。


    見に行ったのはこの花。オオキツネノカミソリ。


    その際にシダ植物も見て回って来た。これは普通に目にするシダ、ヤブソテツ(オシダ科ヤブソテツ属)。


    胞子嚢群(ソーラス)。オニヤブソテツ、ヤマヤブソテツなどがあるようだがまだ判別出来るまでの実力無し。ちなみにソーラスは4列のようだ。


    これも普通に目にするシダ、イノモトソウ(ホウライシダ科イノモトソウ属)。


    ソーラスはまだ出ていない。


    これも普通に見かけるシダ、ヤマドリゼンマイ(ゼンマイ科)。


    ソーラス無し。春に胞子葉を別に出す。


    これもそれほど珍しく無いことが分かってきた。イワデンダ(イワデンダ科イワデンダ属)。気になるのは一緒に生えている3枚葉の植物。これもシダの仲間か?


    ソーラスは小羽片の外寄りに配列。


    林道脇の岩壁にたくさん生えていたシダ。


    ソーラスは小羽片の真ん中前方に配列している。


    中軸に毛が生えている。これはイヌシダ(コケシノブ科コバノイシカグマ科)と思われる。図鑑には普通にあると書かれている。石空川渓谷で見たものはこれの毛が生えていないタイプのもののように見える。


    岩に2種類のシダが生えている。


    右側のシダのソーラス。これは石空川渓谷で見てきたものと同じイワトラノオ(チャセンシダ科)。


    分からないのが左のシダ。ありふれたシダのように見えるのだが?シケシダ(イワデンダ科シケシダ属)かその仲間だと思う。


    これも良く見かけると思うが分からないシダ。


    鱗片。画像を拡大して見ても形状の詳細は不明。


    円形の包膜があるソーラス。拡大して見ると小羽軸の鱗片は袋状に見える。おそらくオシダ科のヤマイタチシダかその仲間と思われるが詳細は不明。


    前出のイワトラノオに似ているが葉が細い。


    ソーラスはまだ出ていない。図鑑とにらみ合わせて葉の形だけ見るとコバノヒノキシダ(チャセンシダ科)に近い。見かけたのはこの場所だけだった。

 難敵は〇〇ワラビという名前のつくオシダ科カナワラビ属とオシダ属、さらにそれに似た形をしたシダのようだ。図鑑の解説を読んでも区別がほとんど分からない。これが区別できるようになると中級者の仲間入りが出来るかも知れない。

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新たなる挑戦 渓谷に生育するシダ植物を巡る  石空川渓谷  令和1年9月1日

2019年09月03日 | 番外編
 北岳や八ヶ岳などに生育している高山性シダの判別のために昨年から少しずつ着手しているシダ植物であるがまだほとんど分からないものばかりである。まずやるべきことはシダの観察で、そのシダが普通に見られるものなのか、それとも珍しいものなのか、どんな環境のところにどんなシダが生えているのかを観察してくることが必用だろう。登山を始めたばかりの頃に八ヶ岳赤岳で見たコマクサはその当時コマクサの名前すら知らなかったが初めて出会ったその時の感動は忘れない。まだ10数年前の話である。その頃はどの高山植物を見ても普通に見られるものも珍しいものも皆新鮮で驚きに満ちていた。これからやろうとしているシダ植物もその時と同じ感動がある。そもそも絶滅危惧種の中に占めるシダ植物の割合はラン科植物に劣らず多いのだが、目立たずに可憐さが無いことからあまりシダを追いかけている人は見かけたことが無く、マニアの領域と言って良いのではないかと思う。いよいよ新しい領域への本格的なチャレンジである。

 石空川渓谷の遊歩道は急峻な階段や滑り易い岩場もあるのだがコース整備が行き届いたハイキングコースである。駐車場から滝見台までは普通に歩けば40分、ゆっくり休憩しながら歩いても1時間といったところだろう。そのコースを今回は4時間という時間をかけて歩いたのだが、その費やした時間のほとんどがシダ植物の観察である。名前の分かるシダは特徴的なジュウモンジシダと先日乙女高原で見てきたイノデくらいである。あとはどれを見ても全く分からずこれはシダなのかどうかという植物もあった。見かければ近付いて裏側の胞子嚢群(ソーラス)配列を確認して撮影する、といった行動を繰り返したところ、4時間という長時間を費やすことになってしまった。しかし、何だか全く分からないだけに見るシダ全てが新鮮で裏側を見るたびに新たな感動がある。ハッキリ言って分からないだけに面白いのである。


    特徴的な形をしたこのシダ。十文字に枝分かれするジュウモンジシダ(オシダ科イノデ属)。


    ソーラスの配列。まばらに配列している。


    湿った岩に着生していたシダ。左側の羽片の切れ込みが無いものと右下側の浅い切れ込みがあるものの2種類があるように見受けられる。


    右下側のソーラス配列。羽片のやや外側寄りに配列している。左側のシダはソーラスがはっきりせず。


    別の場所で見た同じものと思われるシダ。羽片の辺縁に成熟したソーラスが配置しているのが見える。イワデンダ(イワデンダ科イワデンダ属)だろう。浅い切れ込みがあるものも同じと思われる。


    コケに混じってチョロッと生えているのも確かシダの仲間だったはず。


    クラマゴケ、かと思ったのだが・・・


    トリーミングして拡大して見ると葉先が尖っている。クラマゴケの葉は米型で円いはず。これはタチクラマゴケ(イワヒバ科)だろう。➡シダでは無く苔の仲間でした。


    これもシダだと思うが?


    裏側にソーラス無し。ではシダでは無いのか?調べてみるとイワガネソウ(ホウライシダ科)というシダの仲間らしい。


    苔の生えた岩の下から出ていたシダ。シノブの仲間のように見えるが・・・


    細長いソーラスが葉の真ん中に配列。イワトラノオ(チャセンシダ科)だろう。


    形が似ているがちょっと違う。


    裏側のソーラスを見ると配列が全く違う別物。中軸に毛は生えていない。おそらくオウレンシダ(コバノイシカグマ科)と思われるが図鑑では石灰岩地に多いと書かれている


    これは富士山樹海の森で見たことがある。


    コケシノブ(コケシノブ科)


    岩壁から垂れ下がるスラリと格好良いシダ。先ほどのイワデンダに似ているが羽片の切れ込みが深い。


    ソーラス配列は羽片の真ん中寄りで袋状。名前は知っていたがこれがフクロシダ(イワデンダ科イワデンダ属)。


    さらに羽片の切れ込みが深いこのシダは?


    ソーラス配列はフクロシダに似ているようにも見えるが違うようにも見える。中軸に毛は生えていない。


    これは何?フクロシダということにしておこう。


    たぶん同じものだと思うが、形はイヌシダ(コバノイシカグマ科)というシダに似ている。しかし特徴的とされる毛が生えていない。


    先日乙女高原で見てきたオシダ(オシダ科)。


    裏側のソーラス。


    綺麗に配列したこのソーラス、芸術的と見るか、それとも蕁麻疹のようで気持ち悪いと見るか?

 図鑑とにらめっこしながら調べた名前なので間違っているものもあると思う。薄いほうの図鑑はなんとなく使いこなせるようになってきたが、入門書のこの図鑑には絶滅危惧のシダたちはほとんど掲載されていない。名前の前にまずは観察、珍しいものか普通にあるものかを見てくる必要がある。シダ類が多く生育する渓谷沿いはこれからも多大な時間を費やして歩くことになるであろう。しかし、撮影していて思ったことはひとつひとつのシダはそれなりに個性があって美しいということである。また次の渓谷を訪れてみたくなった。

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今度こそ渓谷に咲くキツネノカミソリ 石空川渓谷  令和1年9月1日

2019年09月02日 | 山に咲く花
 8月下旬に沢沿いで見てきたキツネノカミソリと思っていた花はオオキツネノカミソリと判明した。では山梨県絶滅危惧種Ⅱ類のキツネノカミソリはどこにあるのだろうか?さっそく花仲間が見つけてきて連絡をいただいたので見に行ってみた。


    橋を渡る。


    ダムが見える。


    駐車場周辺は主にゲンノショウコが咲いていたが遊歩道の中に入るとコフウロが咲いていた。


    花の付き方が少なくて華奢に見えるのでカノツメソウ・・・だと思っていたが・・・


    葉があまり細く無く、ヤマゼリのほうかも知れない。


    2段の滝に橋が架かる。


    橋と滝。よくぞこれだけのルートを整備したものである。


    咲き残りのイワタバコが一輪


    三の滝


    滝の脇に咲く白い花


    シラヒゲソウ。危険な場所で、とてもではないが近付けない。200㎜望遠レンズで撮影。


    2又に分かれたこの奇妙な葉っぱはギンバイソウ。花は咲かなかったようだ。


    オクモミジハグマに似ているが葉っぱがハート形。これはいったい何?


    清涼な沢の流れ。


    滝見台に到着。


    精進ヶ滝

 お目当ての花は場所を聞いてあったことと目立つ色の花なので容易に見つかった。聞いていた通り、この花は雄しべの長さが先日見てきたオオキツネノカミソリに比べて短く、キツネノカミソリと見て良さそうである。花の大きさ自体はあまり変わらないように見えるが花弁はやや細いように感じる。


    教えていただいた情報通りに出会えました。


    オオキツネノカミソリに比べて少し花弁が細く華奢に見える。


    雄しべの長さは花弁と同じくらいかやや短い。


    これはキツネノカミソリと見て良いだろう。


    こんな花にも出会えた。


    マネキグサ


    山梨県での生育地は1ヶ所しか知らなかったので嬉しい出会いとなった。


    落花したオニノヤガラ


    落ち葉が積もった湿った薄暗い森の中。環境的に居るのではないかと探してみたら顔を出していた。


    ミヤマツチトリモチ。ほとんどキノコのように見えるがこれでも絶滅危惧種の花。


    フォッサマグナの露岩


    河原を探してみるとやっぱり咲いていた。オオビランジ。


    もちろん花筒に毛は生えていないのだが確認したかったのは花柄の部分。予想では毛が生えていないだろうと思っていたのだが微妙に生えている。ではビランジとの決定的な違いは何?

 これで懸案だったキツネノカミソリに出会うことが出来た。場所によっては山梨県内で群生しているところもあるらしいのだが、いずれ見られる日が来ると思う。マネキグサとミヤマツチトリモチが見つかったことは新しい生育地の発見ということになるのだろう。

 普通に歩けば滝見台まで40分でルートが良く整備されたハイキングコースであるのだが、今回は4時間という長時間をかけて滝見台まで登った。撮影だけでこれほどの時間を要することは無いのだが、いったい何をやっていたのか?次回の新たなる挑戦に続く。


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