山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

富士山頂を舞うラブジョイ彗星 精進湖~富士宮  平成25年12月21日

2013年12月24日 | 番外編
 山梨県の山の上からの撮影を狙っていたのだが、連休中も職場に行かねばならず、未明の南部町の山からの撮影は難しくなってしまった。そこで、今回出かけたのは静岡県富士宮市白糸の滝付近。おそらく未明4時ごろに富士山山頂の左側付近にラブジョイ彗星が姿を現すはずだ。

 未明2時に自宅を出発し、精進湖線を行くと右左トンネルを過ぎたあたりから雪景色になった。路面にも少し雪が積もっている。この景色を見て行き先を変更して御坂山塊の黒岳か三つ峠あたりに変更しようかとも思ったのだが・・・10時までには職場に行かねばならないこと、雪景色はまだこれからもチャンスはあるが、ラブジョイ彗星はもう2度と見る機会が無いことを考えて、予定通り白糸の滝に行くことにする。3時、精進湖湖畔の道路から富士山を見上げると、雲でもかかっているかのように月光に照らされた富士山が白く浮かび上がっていた。精進湖湖畔に立ち寄り、しばしこの美しい月光富士を撮影して楽しむ。

    月光照らす富士山と精進湖。風が穏やかでダブル富士が綺麗に映る。


    同上


    西に沈んで行くオリオン座と愛車

 20分ほど精進湖で富士山を楽しんだ後、目的地の白糸の滝に向かう。駐車場近くに富士山の好展望地があったような記憶があるが定かではない。到着してみると、大きな駐車場は鎖で閉鎖されていて普段は有料の駐車場に止めることになるが、この時間では管理人さんはいない。もう時間は4時に近く、もうすぐ彗星が昇って来るかもしれない。急いで三脚とカメラと交換レンズを持って場所を探しに行くが、閉鎖されていた駐車場の端のほうで好位置が確保できた。さっそくレンズを焦点距離55㎜でセットして撮影してみるが、まだ彗星は見えていない。

    白糸の滝駐車場から見上げる月光富士


    ラブジョイ彗星はまだ現れていない。


    200mmレンズに変える。予想では山頂左側から現れるはずだ。

 しかし、待てど暮らせど彗星は現れない。時間は4時半を回った。軌道計算を間違えたのか?それとも地球から遠ざかって小さくなってしまったのか?しかし、今頃は太陽からの距離はあるものの、近日点を通過している頃のはずだ。右を狙っても左を狙ってもそれらしき緑色の光はいない。とりあえずは5時まで粘ってみようと思ったその時・・・! 4時40分、想定していた時間よりも30分ほど遅れて富士山頂にラブジョイ彗星が現れた。しかも、山頂の左側ではなくて右側、剣ヶ峰近くから姿を現した。

    4時40分、富士山剣ヶ峰付近に姿を現したラブジョイ彗星


    富士山頂を舞うラブジョイ彗星


    月光に照らされた白い富士山とラブジョイ彗星をイメージしていたが、月明かりがやや明る過ぎる。


    55mmレンズに変える。月が明るいためこの視野では彗星はかなり小さく見える。


    富士山左裾に現れた明るい星はこと座のベガ。


    富士山を照らした月齢19の明るい月。明るい星は木星。斜光線が富士山を照らすのも計算済みの撮影。

 思ったよりも月明かりが明るく、彗星はやや暗くなってしまったが、ほぼイメージ通りの撮影となった。残念なのは山梨の山の上では無かったことだ。年内中にもう1チャンスあるが、果たして行けるかどうか?そして空が晴れてくれるかどうか?

 再び精進湖に戻る。冬至の頃で太陽がいちばん低い位置(南寄り)に来るこの季節、精進湖から見る日の出はちょうど富士山の裾野から昇って来る。空がすっきりと晴れ過ぎてしまった感はあるが、日の出を見るには絶好の条件だ。星の輝きがそろそろ消える朝6時少し前に精進湖湖畔に到着する。既に湖畔にはカメラマンの車がずらりと並んでいる。大きなカメラとレンズを装着して三脚を2本、3本と立てて待っている人の姿も見られ、私のカメラと三脚では少し見劣りしてしまう。まずはラブジョイ彗星を狙ってみるが、この時間ではもはや写らない。そして、この場所からでは富士山と一緒に写すのは困難と思われる。

    薄明の富士山と精進湖。午前6時を過ぎると明るい星でももうほとんど写らない。


    湖面に映るダブル富士山


    モヤが湧いて良い雰囲気となった精進湖


    湖に湧くモヤとダブル富士山


    雪を纏った三方分山に朝日が射す。こんな日にあの稜線を歩いたらさぞかし美しくて楽しいだろう。


    もうすぐ日の出。


    朝日現れる。


    冬至の頃の精進湖の日の出


 こういう撮影は年をとって山に登れなくなってからと思っていたのだが、彗星は次はいつになるのか予想がつかないために条件が良かったこの日は狙い通りに撮影を終えた。しかしまだ満足しているわけではない。山梨百名山なる山の上からなんとか富士山とこの彗星を撮影できたらと願っている。



    この季節の精進湖湖畔はカメラマンがたくさん。朝日の昇って来る位置が良い。
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北岳を舞うラブジョイ彗星撮影ならず 高谷山  平成25年12月16日

2013年12月18日 | 山梨無名山
 アイソン彗星が消滅し、今ではもうひとつのラブジョイ彗星の方が注目を集めている。4等級ほどの明るさで未明の空に観察されるが、夕方6時ごろの北西の空でも条件が良ければ見ることができる。今回は北岳の空を舞う夕暮れのラブジョイ彗星を狙って、夜叉神峠の近くにある高谷山という山を訪れてみた。西の空には十三夜の月が昇っており、月光に照らされた北岳とラブジョイ彗星を組み合わせるという趣向だった。

 午後3時に夜叉神峠登山口を出発する。甲府を出た頃は青空が広がり、鳳凰山がすっきり見えていたのだが、午後3時ごろになると南西の空から薄雲が広がり始めた。雲は次第に広がって肝腎の北西側、さらに全空に広がってしまう。4時に夜叉神峠到着した頃はところどころ青空が見えるものの、星空の撮影にはかなり不利な空模様となってしまった。

    さっきまで青空だったのに・・・夜叉神峠登山口出発する頃には薄雲が広がり始める。


    11月30日に歩いた時よりは雪が増えている。


    日没ギリギリに夜叉神峠到着。


    北岳の空の上にはだいぶ雲が広がっている。運良く雲の切れ間を彗星が飛んでくれるのを祈るしかない。


    隣に見える円錐形の高谷山。

 小休憩して高谷山に向かう。夜叉神峠から20分ほどの行程だが、雪が積もっているだろうから少しばかりのラッセルを覚悟していたのだが、都合良いことに踏み跡がしっかりとあってすっかり踏み固められていた。これならば夜の下山の時も迷う心配は無い。

    高谷山山頂近くから見る櫛形山越しの富士山


    同上ズーム


    高谷山山頂


    北岳側が開けており、北岳のみ良く見える。

 ラブジョイ彗星のおおよその軌道は計算してきたが、太陽軌道の範囲外を彗星が飛ぶため、カシミール3Dでは正確な軌道と時間が割り出せない。予想では5時40分ごろに北岳の右脇を舞うはずだが・・・果たして飛んでくれるかどうか?この空模様ではかなり難しそうに見える。まずは1本のレンズを135mmズームに合わせ、ピントを合わせてセロテープでしっかり固定する。これは彗星を探すために使うレンズ。もう1本は200mmF2.8の単焦点レンズで、こちらのほうが解像度が良く、撮影用のものだ。この2本を準備しておいて、5時15分ごろから彗星が飛びそうな位置を狙ってひたすらシャッターを切るが・・・全く写ってくれない。空を見上げると、夏の大三角形すら良く見えない。

    東の空に昇って来た十三夜の月と甲府盆地の明り


    135mmレンズの視野。


    こちらは200mmレンズの視野。


    そろそろこの視野に写る時間のはずだが・・・いない。星が全く写らない。


    5時半を過ぎた。しかし・・・何も写らない。

 5時50分ごろまで辛抱して撮影を繰り返したが何も写らず、あきらめて帰ろうかと思った時、200mmレンズ視野のいちばん上に微かに薄緑色の光を捉えた。これがラブジョイ彗星か?繰り返し撮影すると・・・どうやら間違い無さそうだ。しかし、空をおおった雲に阻まれてその輝きはきわめて薄く、尾は全く写らない。

    左上に小さなゴミのような点


    薄緑色の光、彗星で間違い無さそうだ。


    トリーミング画像。雲に阻まれて尾は全く写らない。


    吊尾根の上を飛ぶラブジョイ彗星

 こうしてなんとか写るには写ったが、残念ながら彗星と言えるような画像にはならなかった。広角レンズに換えて撮影してみると、空には夕暮れ時以上に雲が厚く広がっていた。これでは4等級の彗星では写らないのも無理は無い。6時半まで粘って撤収する。

    広角レンズで捉えた北岳の空。雲はさらに厚くなっていた。


    上空に輝くのはこと座のベガ。


    森に昇った十三夜の月


    夜叉神峠から見る月光の白根三山。空に見える星は右がこと座のベガ(織姫星)、左がわし座アルタイル(彦星)。


 月光で白い北岳を浮かび上がらせ、その上を飛ぶラブジョイ彗星を撮影しようという目論見は見事に失敗してしまった。彗星は毎日軌道を変え、夕暮れの空では北西から西の空に移動して行く。高谷山から北岳を彗星が舞う構図はあと1週間くらいは可能だろう。その後は夜叉神峠から撮影が可能となる。ラブジョイ彗星は12月22日ごろに近日点通過して折り返し、次第に遠ざかって行くと言われている。楽しめるのは1月初旬ごろまでと予想している。



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富士山頂を舞うラブジョイ彗星撮影成るか? 貫ヶ岳(2日目)  平成25年12月6日-7日

2013年12月09日 | 山梨百名山
 12月6日夕方5時半に貫ヶ岳晴海展望台に到着したまでは良いが、富士山は低空に出た霞の中に大部分が埋もれている。肝心の山頂周辺の空も霞んでいて星は鮮明に見えてくれない。ラブジョイ彗星が富士山頂に昇ってくる未明2時半頃、果たして空は晴れてくれるのだろうか?

 シュラフを持ってきたペットボトルの破損で濡らしてしまうというトラブルがあったが、カッパを着て寝たおかげで冷たさを感じること無くぐっすりと眠れた。未明2時、セットした携帯電話のアラームで目が覚める。テントの外に出てみると、北斗七星がひしゃくの部分を真上に持ち上げて富士山の上に昇っていた。まだ彗星は現れていないようだ。三脚とカメラをセットして撮影を開始する。


    富士山の上に昇った北斗七星


    上空は晴れたが富士山周辺はまだ霞が残る。富士山の右裾に輝く星は牛飼い座アルクトゥールス。


    西の空に傾いたオリオン座と冬の大三角形、そして木星。


    霞む富士山。果たしてラブジョイ彗星は現れるのか?

 200mmズ-ムレンズに変えて富士山山頂付近に照準を合わせて撮影を繰り返す。計算が合っていれば山頂真ん中あたりに現れるはず。肉眼で見るのは困難なので撮影してモニターで確認してを繰り返していると、ほぼ計算通りの位置に突然ぼんやりとした薄緑色の光が現れた。ラブジョイ彗星だ。しかし、霞の中に埋もれてぼんやりとした光だけ、彗星の尾は写らない。

    200mmズームレンズに変えて富士山頂を撮影。まだ彗星は現れていない。


    山頂の右寄りのところに淡い緑色の光。ラブジョイ彗星登場。


    霞の中に埋もれて彗星の尾は写ってくれない。


    高度を上げて富士山から離れて行くラブジョイ彗星


    同上


    ようやく少しだけ彗星の尾が見えるが、これ以上は200mmレンズの視野に入らない。

 なんとか写ってはくれたが、空の透明度が悪いために画像はノイズが多くて彗星の尾はいまいち写ってくれなかった。あまり見せられるような画像にはならず、残念な結果に終わる。


    レンズを変えて追うが、やはり写りはいまいち。


    このあたりまで昇るとようやくまともに移り出す。


    霞を抜けたあたりで200mmレンズで再写。富士山山頂付近でこのくらい写ってくれると絵になるのだが・・・。

 時間は未明4時になった。まだ日の出までには時間があるのでテントに入り、シュラフに潜り込んでもう一度寝る。そして目を覚ましたのは午前6時、あたりが明るくなってもうヘッドライト無しでも大丈夫な時間となった。テントの外に出ると、水平線がオレンジ色に染まっていた。夜明けの美しい景色を楽しみながら、そのまま日の出を迎える。


    薄明の富士山


    日の出


    夜明けの富士山


    晴海展望台から見る朝富士


    200mmレンズで捉えた朝富士。やはり霞んでいる。

 日の出を迎えたところでテントに戻り、朝食をとる。早朝にここまで登ってくる登山者はいないと思うが、もしもやって来るとテントが邪魔になってしまうのでテントを撤収する。そして撮影機材と水だけザックに入れて、8時頃貫ヶ岳山頂に向けて出発する。この山に登ったのはもう8年も前のことで、記憶が薄くコース状況などほとんど覚えていない。貫ヶ岳山頂は晴海展望台よりも若干標高が低く、標高差で100m近くぐっと下ってまた登り返すが、途中の中沢集落からの合流点は見覚えがあった。30分ほどで貫ヶ岳山頂に到着する。


    向かいに見える貫ヶ岳は少し見下ろすような感じ。


    貫ヶ岳山頂への檜樹林帯の登リ。


    貫ヶ岳山頂。草むらは綺麗に狩り払われていた。


    8年前に来た時は富士山山頂が見えたが、木が伸びて今では枝の向こうに透かして見える。夏場はおそらく見えないだろう。 

 30分ほど貫ヶ岳山頂で過ごし、晴海展望台に戻る。青空が広がり、富士山の霞も次第に晴れてきたように見える。置いていった荷物をザックの中に詰め込んで下山する。この山に来たのはもうひとつ目的があって、来年1月、富士山世界遺産登録を記念して商工会連合会が主管となって山梨県・静岡県合同の食料品物産展を銀座松屋で開催することになっている。その際に、山梨・静岡県境の富士山の写真を展示したいという依頼を受けていた。毛無山塊と笊ヶ岳の画像は準備できたが、この南部町界隈の山は全く良い画像が撮れておらず、再写に行きたいと思っていたところだった。山頂付近の霞がだいぶとれて、なんとか人に見せられるくらいの富士山画像を撮ることができた。

    再び晴海展望台。富士山の霞がだいぶ取れ、良い感じの雲が巻き出した。


    PLフィルターを効かせて、晴海展望台からの富士山。山梨百名山最高峰の富士山と最低峰の白鳥山(右下)が一緒に写せるのがこの山の特徴。


    こちらは十国展望台。こちらは山梨・静岡県境から数分だけ山梨側に寄ったところに位置する。


    十国展望台から見る富士山と白鳥山


 日が昇るとあっと言う間に気温が上がり、歩くと少し汗ばむほどになる。樽峠で一休みして順調に下山し、11時半樽峠登山口の駐車場に到着。車が1台止まっていたが貫ヶ岳では誰にも会わず、おそらくは高ドッキョウ方面への登山者だろう。


 今回のラブジョイ彗星はとりあえずは写ったというレベルで、とても人に見せられるようなものではなかった。この彗星は近日点通過が2月なのでまだしばらくは楽しむことが出来る。まだまだ撮影のチャンスはあるので、スケジジュール、天候、撮影場所、そして月の位置を見合わせながら、納得の行く画像が撮れるまで挑戦してみたいと思う。 

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富士山頂を舞うラブジョイ彗星撮影成るか? 貫ヶ岳(1日目)  平成25年12月6‐7日

2013年12月09日 | 山梨百名山
 アイソン彗星は見ることが出来なくなってしまったが、もうひとつの注目彗星ラブジョイ彗星は何度がブログに掲載している通り、200㎜望遠レンズで場所さえ特定できれば容易に撮影することができる。インターネットからのラブジョイ彗星軌道とカシミール3Dを照らし合わせて年末までに彗星が富士山頂を飛んでくれそうな場所はほぼ計算できた。では本当に写ってくれるのかどうか?朝霧高原から南下して静岡県富士宮あたりでも撮影は可能なのだが、ここは山梨県の山にこだわって静岡県県界からわずかに山梨側に寄った山、貫ヶ岳に足を延ばしてみることにした。

 計算上では貫ヶ岳の尾根沿いにある晴海展望台からが一番良さそうだ。彗星が富士山頂に姿を現すのは未明2時半ごろと推定される。メインの登山口は中沢集落の公民館に車を止めて登る道だが、裏側の樽峠からも行ける。夜間山行で登ることも可能だが、夜明けまでかなりの時間がある。ならば・・・荷物は重くなるがテント泊のほうが無難である。7日(土)は山梨県地方部会という会合が午後3時から夜7時ごろまで開催されるので、7日の登山は無理。となると、6日(金)午後から強行するしかない。どちらから登るか?何時から登り始められるのか?いろいろと不安があったが、以外にもあっさりと業務が終わり午後1時には出発することができた。南部町に入ったところで時間は午後3時、稜線までの距離が近そうな樽峠からの入山に決める。

 標高900mほどしか無い山塊なので鳳凰山ほどの装備はいらない。シュラフは1枚にして衣服も減らし、荷物は18㎏ほどまで減らす。午後3時半、樽峠登山口を出発、道標に書かれていた通り、40分で樽峠に到着した。もうすぐ日が沈む時間だ。

    樽峠登山口。車を4~5台止められるスペースあるが、途中は中部横断道工事のためにダンプカーが行き交い、走り辛い。


    もうすぐ樽峠というところで林道に出る。この林道は工事中で車は入れない。


    樽峠。右に行くと高ドッキヨウ、左に進んで平地の段(貫ヶ岳山塊最高点)を目指す。

 樽峠を左に曲がって平地の段方面に進むと、その先は見上げるような激登りの階段道になっている。そのあたりで日が暮れてヘッドライトを装着する。標高差は200mほど、ひたすらに階段を登り、平地の段に到着したのは午後5時、もう真っ暗だ。ここで道標に従って左に曲がり、貫ヶ岳方向に進むとすぐに十国展望台に到着する。ようやく富士山とご対面である。見えてはいるがかなり低空が霞んでいる。その先は下りになり、また登り返した頂上に晴海展望台がある。午後5時40分、晴海展望台に到着。

    森に輝く月と金星。今宵の月は月齢3、まさに三日月。


    晴海展望台


    低空が霞んでいる。明日は冬型の気圧配置になるが、果たして彗星が昇る時間に霞は晴れてくれるのか?

 彗星撮影のためにわざわざこんな山の上まで来る物好きはいないだろうから、展望台のど真ん中にテントを設営させてもらう。風は無く穏やか、気温も0℃を少し下回った程度で、鳳凰山に比べると天国だ。夕食をとって(今回も毎度のインスタントラーメン)7時過ぎテントの外を覗いてみると、オリオン座が昇って来ていた。富士山の裾野には明るい木星が昇り始め、この程度の霞などものともしない明るさだ。アイソン彗星も無事近日点を通過していればこのくらい明るかったのだろうかと考えつつ星空を眺める。

    東の空に登って来たオリオン座


    霞の中に輝く木星


    西に沈んで行く三日月と白鳥座。少しだけ天の川が写る。


    200㎜レンズで富士山試し撮り。霞んではいるが、ひとまずは写ってくれそうだ。


 昇って来たオリオン座と木星を見たところで時間は午後8時を回った。明日は午前2時から勝負だ。さっさと寝るが・・・ここでトラブル発生。最近の構造が薄いペットボトルは不安に思っていたのだが、まさかのここで亀裂が入ったらしく、封を切っていないペットボトルの水が半分ほど漏れていた。おかげでシュラフの首に当たる部分がびしょ濡れだ。シュラフカバーを内側に入れて一旦は寝たが・・・中が蒸れて寝心地が悪い。次はカッパを着て濡れた部分はシュラフカバーで包むように丸めこんで、なんとか冷たさを感じること無く眠ることができた。

 さて、翌朝は携帯電話の目覚ましで予定通り午前2時に起床。ラブジョイ彗星はどうなったのか??(2日目に続く)
    
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地球照の月再び 大平山  平成25年12月5日

2013年12月06日 | 番外編
 先月は月齢3の月を追って石割山に登ったが、雲と霞が多くて画像はいまいちだった。今回はそれよりも1日早い月齢2の月を追って大平山に撮影に出かけた。月の沈む時間は先月の撮影よりも30分ほど早くなるが、その分日没時間も早くなるので、条件的には前回とあまり変わらない。違うのは、今回は200mmF2.8という明るいレンズを使うのでシャッタースピードを早く切れること、そして画像解像度が良くなったことがある。まだ使い始めたばかりのレンズなので使いこなしているとは言い切れず、どのように写ってくれるかも見てみたい。

 午後から出かけて、山中湖に到着したのは3時過ぎ。途中の花の都公園でダイヤモンド富士になるらしく、たくさんの人が集まっていたが富士山は少し霞んですっきり見えていない。丘の上に立つマウント富士の脇を車で通り過ぎ、その先まで行くと東海自然歩道を指し示す道標が立っており、大平山ハイキングコースと書かれていた。道脇のスペースに車を止めさせてもらい、3時40分ごろから出発する。この道を歩くのは初めて、さらに大平山に登るのも今回が初めてだ。標高差は300mほどだが、地図を見ると途中に小ピークが2つほどある。

    大平山ハイキングコースを示す道標。アスファルトの道は別荘に行く道で、普段は閉鎖されている。登山道はその右脇。


    整備された登山道


    電波塔の立つ最初のピークから見る富士山

 15分ほどで電波塔の立つ最初のピークに到着する。ここからの富士山の眺めもなかなか良い。車のタイヤ跡がついた林道を下ると、今度は丸太の階段上り。登ったところでその向こうに大平山が見え出すが、折角登ったのに今度は階段の激下り。そして長い階段を登りつくと、広々とした大平山の山頂に到着する。時間にして約1時間の行程だ。

    階段登り。


    今度は下り。向こうに見えるのが大平山


    そして最後の階段激登り。


    大平山山頂。

 大平山の山頂に到着すると、三脚を立てて熱心に撮影している先客が一人。誰かと思えばUさんではないか。月と金星が接近するこの日、良い撮影場所はどこかと聞かれたのでここを紹介したところ、本当に山頂に来ていた。しかも、二十曲峠から石割山、平尾山を越えてのロングコースで、帰りもまた同じコースを二十曲峠入口のゲートまで歩くという。恐るべき体力と根性。帰りは私の来たコースを下りてゲートまで車で送ることにする。

    大平山の夕暮れ富士


    月と金星が輝き始める。


    地球照が始まる。


    200mmレンズで捉えた地球照の月。この時間に富士山山頂あたりに月がいると絶好だが、今回も20分ほど時間が早い。


    闇が広がり、富士山と一緒に地球照の月を撮ろうとするとどうしても月の露出がオーバーになってしまう。予想していたことではあるが、なかなか良い時間に合わない。

 月が富士山山頂付近に来るのは6時頃。氷点下の山上で1時間以上その時を待つ。しかし、予想通り月が富士山頂に来る時間が遅く、地球照のいちばん良い時間は過ぎてしまう。

    もうすぐ富士山頂に月がかかる。


    暗くなったところで、再度地球照の月


    縦位置でなんとか200mmレンズに納まるが、やはりゴーストが発生してしまう。


    横位置でギリギリのところまで月が来る。


    富士山頂で輝く地球照の月


    月の真ん中を飛行機が飛ぶ。飛行機雲で串刺しになった地球照の月。


    薄雲がかかる。


    富士山剣ヶ峰で輝く月


    もう半分以上沈んでいる。


    本日これまで。


 この日の大平山はポジションは良かったが、時間的には遅いことはおおよそ見当がついていた。山中湖湖畔から見上げればちょうど良い時間に撮影可能であったことも承知していたが、車で乗り付けて労せずに(といったら富士山撮影に命をかけているカメラマンの方に失礼だが)撮ることは、山を歩く私自信が良しとしなかった。歩けるうちは歩いて、低くても良いので山の上からの写真が撮りたいと思っている。カメラマンが大勢集まる場所は、以前にも書いたかもしれないが老後歩けなくなってからのためにとっておこうと思っている。

 Uさんとともに、午後7時下山。登り返しはちょっと面倒だったが、40分ほどで登山口に到着した。
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アイソン彗星のかけらを探して 鳳凰山(2日目)  平成25年11月30日‐12月1日

2013年12月02日 | 山梨百名山
 近日点を通過する際に崩壊してしまったアイソン彗星だが、放出したはずのダストの尾が見えるかもしれない、1等級ほどの明るさで残った核の残骸がひょっとしたら写るかもしれない、そんな淡い期待とロマンを求めて、冬の鳳凰山に登った。

 1日目は南御室小屋で夕暮れとなってしまい、ここでテント泊となった。夕方6時前には眠りについたが、その時の気温はマイナス10℃だった。朝は想定した通り、マイナス15℃くらいの冷え込みになると予想される。3シーズンシュラフと夏用シュラフを重ねたうえにさらにシュラフカバーをかけた3重構造の寝袋が私の冬用スタイルだ。マイナス15℃程度ならばほとんど寒さを感じないのだが、この夜は背中に寒さを感じて10時半に目が覚めた。シュラフのファスナーが少し空いていたため、そこから冷気が入り込んだようだ。ファスナーを閉め直してまた寝て、12時に起き出す。風は無く穏やかな天気だ。軽食で済ませて朝食用にはアルファ米のピラフを作ってザックの中に入れるが、持って行く荷物の詰め込みや防寒対策の服装装備やらで手間取ってしまい、出発は1時半になってしまう。

 トレースを追って暗い樹林帯の中の道をひたすら登る。砂払山まではところどころ急な登りがある。2時間近く登って視野が開け、甲府盆地の明りが見渡せるようになる。砂払山に到着した。反対側に白根三山がうっすらと見えるが、撮影するにはオリオン座と冬の大三角形の位置がまだ高い。3時40分薬師小屋に到着、テントは一張りのみ。トレースをつけてくれたことに感謝して横を通り過ぎて進む。

    砂払山から見下ろす甲府盆地の夜景。時間節約のため三脚は出さず、岩の上にカメラを置いて撮影したため、少しブレている。


    薬師小屋近くから見上げる空は一面の凄い星空。冬の大三角形を貫く天の川が見える。いちばん上の明るい星は木星。


    薬師岳山頂の岩の上に昇った北斗七星。ひしゃくの柄を伸ばした先にあるのが牛飼い座アルクトゥールス。尖った岩峰の真上に緑色に輝く小さな星がラブジョイ彗星。


    ラブジョイ彗星。薬師岳岩峰と一緒に捉えようとしたのだが、視野の中に岩が入らず。 200mm F2.8開放、3.2秒、ISO6400。

 頭上にはきらめく凄い星空が広がった。薬師小屋を通り過ぎたところで三脚とカメラをセットし、撮影しながら歩く。ラブジョイ彗星が昇っているはずなので、薬師岳岩峰の上あたりで撮影できそうな場所を探して撮影してみるとバッチリと写った。しかし、岩峰を入れた構図では200㎜レンズの視野には入らなかった。
 4時半、薬師岳山頂到着。二十七夜の細い月が甲府盆地の明りの向こうに昇り始めた。この景色も今回狙っていた風景だ。反対側の白根三山にはオリオン座が傾き始め、いよいよ撮影には良い時間となった。

    薬師岳岩峰に昇る二十七夜の月


    白根三山とオリオン座。 使い慣れた17‐55㎜F2.8レンズだが、精進湖パノラマ台で破損して以来周辺のピントが甘くなったようだ。


    白根三山に輝くオリオン座と冬の大三角形  もう1本の広角レンズに変えて撮影。

 ゆっくりと撮影していたかったのだが、あまりのんびりするとアイソン彗星が昇って来るであろう午前6時の時間に間に合わなくなってしまう。時計とにらめっこしながらギリギリの時間まで撮影して観音岳を目指す。尾根は樹林帯とは違って時折冷たい風が吹き抜ける。薬師岳から先はトレースが不明瞭となり、尾根を進むとルートを間違えたらしくハイマツの中に突入してしまう。強行突破を試みると吹き溜まりで腰のあたりまでずっぽりと雪にハマってしまう。手と膝で雪を潰して脱出し、正規ルートに戻る。そちらのルートも膝下程度の雪が積もっており、なかなか予定の時間では進めない。苦戦しつつも観音岳山頂直下には5時45分になんとか到着した。雪の斜面を入れた構図で撮影するため、山頂の30mほど下で三脚を構える。

    薄明の甲府盆地に昇る月。アイソン彗星のダストの尾は・・・見えない。


    薄明の富士山


    朝焼けの空。時間は午前6時を回った。この視野の中にいるはずなのだが・・・


    200㎜望遠レンズに変えてそのあたりを撮りまくるが・・・やはりいない。ちょっとピンボケ。

 薄明の空とにらめっこ、レンズを変えつつ、軌道計算した場所とその周辺を再三撮影したが、残念ながらアイソン彗星のかけらや尻尾を写すことはできなかった。日の出は6時半ごろ、その頃には反対側に雄々しく聳え立つ北岳、白根三山に朝日が射し込む。澄んだ朝の空気、撮影には申し分ない。

    もうすぐ日の出。


    広角レンズに変えて再写。やはり写らない。


    アースシャドウたなびく白根三山


    日の出。 (年賀状用のカット)


    朝日射す白根三山


    日の出再写。低空の薄雲のために白根三山は赤く染まらなかった。


    朝の甲斐駒ケ岳と地蔵岳。観音岳山頂から。


    見るものを圧倒する冬の白根三山

 朝食をとって下山しようと思い、ザックの中からピラフを取り出すと・・・凍りついてカチカチ、食べられたものではない。こんなこともあろうかと持ってきたパンを食べて下山開始する。薬師岳まではこの素晴らしい白根三山の姿を堪能しながら、ところどころ三脚を出して撮影しつつゆっくりと(というよりも疲れてピッチが上がらない!)歩く。10時前に南御室小屋到着した。

 食事をとってテント撤収するが、登って来た時と荷物の量も重さもあまり変わらない。持ってきたのはほとんどが防寒対策の寝袋と服、そしてカメラ機材だ。食事はラーメンとアルファ米の軽いものばかり、帰りのザックもあまり変わらないのだ。11時半に南御室小屋を出発。何か所かある登り返しでうんざりしたが、棒のようになった足を無理矢理動かして午後3時、夜叉神峠登山口の駐車場に到着した。疲れるには疲れたが、11月に行った丹沢檜洞丸から蛭ヶ岳のほうがもっと疲れた。

    薬師岳の上に出た雲。少しだけ虹色に輝く彩雲になっている。


    薬師岳から見る白根三山。薬師岳山頂は雪が少ない。


    圧倒的な存在感、冬の北岳


    仙丈ヶ岳


    富士山の上に昇った朝日。雲が増え始めたが、富士山は1日中見えていた。


 アイソン彗星のかけらは残念ながら見ることは出来なかった。しかし、ずっと再写したいと思っていた白根三山と冬の大三角形は撮影することができた。しかし・・・レンズの収差が大きくいまいちな画像と言わざるを得ない。何度登っても満足な画像を撮ることはできない。だから懲りずにまた登るのだが・・・どこの山に登っても簡単に登らせてくれるところは無い。(と思う)
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彗星のかけらを探して 鳳凰山(1日目)  平成25年11月30日-12月1日

2013年12月02日 | 山梨百名山
 大彗星になるとの期待が高く、天文ファンのみならず一般の人たちからも注目されていたアイソン彗星だったが、残念なことに近日点(太陽にいちばん近いところ)を通過することが出来ず崩壊してしまった。予想ではマイナス5等級くらいになるはずだったので、近日点通過後2日目の朝焼けの空の中にうっすら輝く姿が写真に写ってもおかしくは無かった。しかし、崩壊直後の等級は1等星くらいで、これからどんどん暗くなってしまうであろうから、朝焼けの空の中でこの彗星を捉えることはほとんど不可能となった。しかし・・・直径5kmもあった巨大な彗星だけに、多量のダストを噴出したはずである。彗星の核は見えずとも散らばったダストの尾がひょっとしたら見えるかもしれない。そんな淡い期待を持ちながら、東側の眺望に優れた鳳凰山にテント1泊で登ってみることにした。

 前夜は職場の仲間と私的な食事会があり、自宅に帰ったのは11時頃。この日は早朝目が覚めて自宅前からラブジョイ彗星の撮影をやっていたので寝不足、山の準備はまだ出来ていないが、まずは寝ることにする。目が覚めたのは朝5時半、それからテント1泊の荷物や食料等を準備していると、自宅出発は7時を回ってしまった。夜叉神峠登山口を出発したのは9時頃、新しいレンズ1本を加えて3本のレンズを担ぎ、氷点下15度を想定したザックの重さは20kgを超えた。出来れば、薬師岳まで行って星空を見ながら寝たいが、どこまで行けるのか??

    夜叉神峠途中から空を見上げる。もう日はだいぶ高く昇っている。


    夜叉神峠。白根三山が圧倒的な存在感を放っている。


    火事場の跡地。まだ雪は少なく、ケルンはほとんど埋もれていない。


    火事場の跡地から見る白根三山。時刻はもう午後2時近く、薬師岳までは難しそうだ。

 11月最終日なので、まだ雪の量は少なく、くるぶしは超えない。杖立峠でアイゼン装着したが、アイスバーンは無くサラサラな雪道だった。アイゼンはかえって仇になってしまい、少ない雪と石と木の根っこのミックスした道はしばしアイゼンの歯をひっかけてバランスを崩し歩きにくい。ヘバりにヘバって南御室小屋に到着したのは午後4時過ぎ、もう日が沈みかけていた。もしこの先のトレースが無ければ・・・未明に暗い中をルート探して薬師岳まで行くのは至難の技となってしまうので、このまま強行して砂払山まで行こうと思っていたが、幸いにして明瞭なトレースがあった。しかも風が無く、トレースが消える心配も少ない。今日は南御室小屋テント泊に決める。

    南御室小屋。積雪は20cmほど。本日のテントは全部で6張りほど、そのほとんどが単独登山者。


 薬師小屋までは2時間はかかる。そこから観音岳までは1時間ほどだが、雪道なのでもっとかかるかもしれない。さらに途中の撮影時間を1時間入れて観音岳5時半到着とすると、午前1時頃には出発したい。さっさと夕食をとって6時前に寝る。夕暮れの空に輝く金星だけでも撮影しようと思ったが、木々に邪魔されて金星は見えなかった。夕方5時過ぎに見上げる空には夏の大三角形が輝いていた。


    翌日の薬師小屋付近から見上げる空。凄い星空になった。あの彗星は見えるのだろうか?

(2日目に続く)
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もうひとつの注目彗星 ラブジョイ彗星  平成25年11月29日

2013年12月01日 | 番外編
 アイソン彗星は残念な結果となってしまったが、もうひとつ北東の空、北斗七星のひしゃくの柄のすぐ下あたりで輝いている彗星がある。光度は3~4等級で、11月23日に竜ヶ岳で最後に撮影したアイソン彗星とあまり光度は変わらない。未明3時前に昇って来ているので、夜明けの明るさにも邪魔されること無く観察しやすく、双眼鏡でも確認できるくらいになりつつある。カメラに装着した200mmF2.8のレンズで覗き込んでもその姿は確認することができた。これは試しに自宅前の田んぼのあぜ道から要害山の上空で輝いているラブジョイ彗星を撮影してみたものである。


    こちらはオリオン座と冬の大三角形


    音もせずに空を飛んで行く明るい光。これは人工衛星。かなり大きな衛星、ひょっとして若田さんが乗っているISS?この視野の中にラブジョイ彗星が写っている。


    北斗七星。ひしゃくの柄を伸ばした先に小さな緑色の光が見えますか?


    200mmレンズで捉えたラブジョイ彗星。尾の大きさはそれほどではないが、核の大きさは11月23日のアイソン彗星に匹敵する。


    少し視野を変えて撮影


 天体望遠鏡を使わずとも十分に撮影可能な彗星である。今後の増光に期待したい。


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