山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

尾白川渓谷を散策  令和1年9月28日

2019年10月01日 | 南アルプス
 竹宇駒ケ岳神社から渓谷道を神蛇の滝まで登って周回するコースは、普通に歩けば3~4時間というところだろうが、今回はまたシダ植物を見ながら散策するので最低でも5時間はかかるだろうと思う。午前の仕事を片付けて竹宇駒ケ岳神社から出発したのは12時近くになった。ひょっとしたら下山はヘッドライト点灯になるかも知れないと思いつつ渓谷道を進む。


    竹宇駒ケ岳神社。今回もシダを見ながら歩くがそのほかにもお目当ての花が咲いているはずだ。


    神社近くの岩に生えていたシダ。


    葉の先端が円く葉軸が平ら。イワトラノオ。渓谷の中にもたくさんあった。


    これは石垣の周辺だけで見かけた。


    積翠寺の石垣にあったものと同じものだと思う。


    おそらくトラノオシダ。高山帯の石灰岩地にあるアオチャセンシダに似ている。


    クジャクシダ


    ソーラスは羽片の前方に寄って配列する。


    千ヶ淵。今年ここで2人がおぼれて亡くなるという事故があった。


    渓谷にかかる橋が新しくなったような気がする。崩落して一時通行禁止になっていたのはこのあたりだと思う。


    この時期にまだ見られるとは思わなかった。


    オオビランジ


    沢沿いで見るイワトラノオは神社近くで見たものよりも華奢に見える。


    ソーラス


    ミヤマウラボシと思うが、この渓谷で見たものは皆一つ葉だった。


    倒木に着生したシダ。ノキシノブとはちょっと違う。


    葉に光沢が無く毛が生えている。


    これはビロードシダ。ちょっと珍しいようだが絶滅危惧種では無かった。


    ミヤマアキノキリンソウ


    シロヨメナ


    大きな葉のショウマ


    イヌショウマ


    赤い岩の滝


    その滝を背景にオクモミジハグマ。残念ながら少し遅かった。


    別の場所のオクモミジハグマ


    細い花弁が上品に美しい花


    目的だった花はこれだが、まだほとんどが蕾だった。


    咲き始めたばかりの新鮮な花があった。


    ジンジソウ。この渓谷のこの季節の名物と言って良いと思う。渓谷だけでなく黒戸尾根の登り始めの尾根筋にもある。


    百合ヶ淵。澄んだグリーンの淵が美しいが、高度感があって覗き込むのが怖い。


    本日の最終目的地、神蛇の滝。

 神蛇の滝に到着したのは午後4時になった。もう誰も居ないだろうと思っていたら、私を追い抜いて行った若者4人組がバーナーを焚いて食事の最中だった。滝を撮ってから先に出発するが、曇り空の空模様で4時半を過ぎると森の中は薄暗くなってきた。その先のトラバース道も三脚を担ぎながらシダを撮りながら下山し、駐車場到着はだいぶ薄暗くなった5時半だった。若者たちはその5分後くらいに駐車場に到着したようである。

 シダの仲間はたくさん写真を撮ったがほとんど分からないものばかりなのである程度調べがついたところで後日報告したいと思う。同じものなのか、それとも別のものなのか?そのあたりから分からないものが多過ぎる。


    この渓谷で圧倒的に多かったのがこのシダ。


    ジュウモンジシダ。クジャクシダに少し似ていてそれなりに美しいシダだと思う。


    ついでにコケシノブの仲間。たぶんこれは普通のコケシノブ。


    葉が細くて少し立ち上がって垂れるコケシノブの仲間。


    たぶんホソバコケシノブだと思う。


    これは全体の形が丸っこい。


    葉の先端がギザギザしている。コウヤコケシノブ。
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クモイコザクラに出会いに黒戸尾根を行く  平成29年6月3日

2017年06月05日 | 南アルプス
 この季節の旬の花、クモイコザクラをどこかの山に見に行こうと算段していた。候補はいくつかあり、簡単に行くならば八ヶ岳の地獄谷か、尾白川の上流、ちょっと歩く気ならば鞍掛山が有名で、数は少ないながら乾徳山にもある(今は絶えているかも知れない)。そんな時、1週間ほど前に黒戸尾根にもクモイコザクラが咲いているという情報を花仲間からいただいた。そして6月2日の午後、決定的な方から電話をいただいた。その方とは、今年から甲斐駒ケ岳7丈小屋の小屋番をしている世界的に有名なクライマーの花谷泰広君だ。途中の岩にたくさん咲いて見ごろを迎えているからいかがですかという連絡だった。その場所までは単純に標高差で1,500mくらいあるロングルートだ。しかしその場所に咲くことは今まで知らなかったし、初めて見る場所なので是非とも見てみたくなった。朝4時半に起床して竹宇駒ケ岳神社を6時ごろに出発する。


    いざ、出陣!本日は花探しと撮影時間を含めて12時間の予定。


    途中の林から見上げる残雪の甲斐駒ケ岳。う~ん、遠い。(山頂まで行くわけではないが・・・)


    笹の平付近の笹薮の道


    古い信仰の道だけあって、随所に石仏や石碑が立っている。


    高度を上げるとやがて苔生したツガの森に変わる。


    この尾根で有名な難所のひとつ、刃渡り。鎖があるので普通に通過できるのだが、滑落事故は強風で体ごと吹き飛ばされて起こるらしい。


    刃渡りのミツバツツジと鳳凰山


    刃渡りの岩の斜面にはコイワカガミがたくさん咲いていた。


    岩場に咲くコイワカガミ。怖いのでさっと撮って撤退。


    刃渡りを過ぎると今度は階段と急なハシゴの急登になる。


    4合目の刃利天狗

 刃利天狗に到着したのが11時10分、ここまではコースタイムより若干遅い程度の私としてはきわめて快調なペースだった。さて、この山の植物が面白いのはこの刃利天狗界隈から黒戸山にかけての苔生した樹林帯の中である。小さな植物が多いだけに、苔の斜面を目を凝らしながらゆっくりと進む。


    タケシマラン。普通にある。


    イチヨウランも葉は見かけるが花が咲いていたのはこの一株しか見つからなかった。


    ニョキニョキと花芽を出しているイチヨウラン。


    バイカオウレン。もうほとんど終わっていた。


    圧巻なのがマイヅルソウ、ではなくてそれに混じって出ている小ぶりな葉。これは全てコイチヨウランの葉。


    コイチヨウランの前年の花帆


    葉の紋様が美しい。標高2,000mを越えるこの高度だと、ヒメミヤマウズラになるのだろう。


    山梨県では初めて見る花。


    葉が2回3出複葉(と言うらしい)なので、セリバオウレンと思われる。下に出ているシダのような葉はオサバグサ。

 12時半、情報をいただいた現地に到着する。岩を覗き込むと点々と咲いている。花数をカウントしてみると40輪くらいある。さらに裏側の岩を覗いてみると、そちらにも20輪くらい咲いている。花を付けていない株も含めると100株は軽くあるだろう。個体数を維持して行くには十分な数である。


    5合目小屋跡


    その脇にはミヤマハタザオがたくさん。


    足元にはヒメイチゲ。


    見上げる甲斐駒ケ岳。右に見える尖ったピークを越えれば七丈小屋はすぐそこ。真ん中あたりまで登って根性を無くして撤退した。


    そして、居ました、クモイコザクラ。この株はもう花が散り始めている。


    こちらは少し痛んでいるがちょうど見頃。


    可愛らしい花。


    上から見下ろすとこんな急な岩壁に張り付くように咲いている。


    まだ蕾の株もちらほら。


    石碑とクモイコザクラ。黒戸尾根らしい風景。


    サルオガゼと蕾のコイワカガミとクモイコザクラ


    見上げる岩場に咲くクモイコザクラ

 もう少し撮りたかったのだが、風が吹き始めて花が激しく首を振り、全く撮れなくなってしまう。さらに続々と登山者がやって来て、登りのハシゴを撮影のために占拠するのは難しい状況となってしまう。昼食を含めて1時間半ほどこの可愛らしい花を楽しませてもらい、午後2時から下山を始める。急ぐと明日以降の行動に支障が出るので、ピッチをあげずにゆっくりと下りる。ちょうど刃渡りを渡っているところで情報を提供していただいた花谷君がトレランスタイルで登って来た。この日は七丈小屋にヘリの荷揚げをやったそうで、下で積む荷物の確認が花谷君の担当で、4回飛ばしたヘリの荷揚げを見届けて午後から登って来たそうだ。慣れれば黒戸尾根も楽だと言っていたが、私にはそんなことは絶対にあり得ない。ヘロヘロになりつつ、午後6時半に竹宇駒ケ岳神社に到着した。予定通りの12時間だった。

 昨年の8月にもこの黒戸尾根を下っているが、上部の高山植物も素晴らしいがそれ以上に黒戸山界隈の森が素晴らしかった。なんといっても圧巻のコイチヨウランの数である。そして今回は見つけることが出来なかったが、ミヤマフタバランという珍しい植物も確認している。夏か秋に再訪できればと思う。次は七丈小屋にお世話になることにしよう。
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夜叉神峠から高谷山新道を周回の予定だったが・・・失敗。  平成28年8月18日

2016年08月18日 | 南アルプス
 夜叉神峠から高谷山を経て夜叉神トンネルの脇に出る新道が切り開かれたのはもう5年くらい前になると思う。以前から歩いてみたいと思っていたがなかなか機会が無く、偶然に時間が空いたこの日、歩いてみることになった。

 短時間だが仕事を片付けてから出発したので、夜叉神峠登山口を出発したのは12時半くらいになってしまう。台風が通り過ぎて午前中は青空が広がり、気温はどんどん上昇してその頃の甲府盆地はもう気温が35℃くらいまで上がっていた。夜叉神峠登山口もかなり暑く、バス停横の水場から流れ出る水が熱湯と化していた。


    登山道脇に咲いていたシデシャジン


    キバナアキギリは大部分終わっていた。


    フシグロセンノウ。以前に比べるとずいぶん減ったように思う。


    マルバタケブキで吸蜜するキアゲハ


    イヌトウバナ(シソ科 トウバナ属)だと思う。


    ママコナの大群落。これはあまり鹿が食べないらしい。


    圧巻のママコナ。苞(花柄の根元に付く葉のような部分)に鋸歯があり下唇の2つの班紋が黄色いことから、シコクママコナと思われる。


    コフウロ(フウロソウ科 フウロソウ属)


    コフウロの花


    峠の近くに咲いていたのは良く似ているが葉が3深裂(根元まで裂けない)しているゲンノショウコ(フウロソウ科 フウロソウ属)。


    ノアザミ(だと思う)。


    笹に飲まれそうなタチフウロ


    マツムシソウが1輪


    夜叉神峠。雲が湧いて白根三山は見えず。

 通常ならば1時間少々の行程だが、この日は暑くてバテたうえに体調が悪く、2時間近くかかってようやく夜叉神峠に到着した。空模様が次第に悪くなり、少しずつ雲が迫ってきており、天気予報通りに雨になりそうな気配だ。昼食をとって小休憩して高谷山に進む。


    高谷山のカラマツ林。おそらくこれは植林。


    登山道を隔てた反対側はミズナラを中心とした広葉樹林。こちらが本来の姿だと思う。


    夜叉神峠から見ると尖った急峻な山のように見えるが、こちら側の登山道はさほど傾斜はきつくない。


    高谷山(1,842m)到着。夜叉神峠から30分ほど。


    木の隙間から北岳が見えるのだが、この日は雲の中。

 小休止して桧尾峠に向かう登山道を下りる。こちら側は夜叉神峠側と違ってかなりの急下りである。途中からはロープ場やハシゴ階段のある細尾根になっており、少しばかりスリルが味わえる。途中から左に分かれる新道が出ていると聞いていたのだが、なかなか見つからない。標高差150mほど下りたところの小ピークで尾根が2方向に分かれており、その右側の尾根が夜叉神トンネルに向かって伸びているので、そこが分岐点だろうと思っていたのだがその場所には新道は無かった。その先は桧尾峠だが、そこまで行くと2本の谷を渡らなければ夜叉神トンネルにはたどり着けないはずだ。もしもその先で道が見つからないと・・・リカバーして高谷山に戻るのにかなりの時間を費やすことになる。下調べが不十分過ぎた。ここで撤退して高谷山に戻ることにした。


    高谷山から桧尾峠、桃の木温泉ルートは、急傾斜の上にロープやハシゴ階段や細尾根のあるスリルがあるルート。


    ここにはイワカガミの葉がたくさんある。


    ギザギザした大き目の葉から見て、これはヤマイワカガミ。花の時期には白いイワカガミが咲いているのだと思う。

 午後4時10分に高谷山に戻り着き、夜叉神峠の正規ルートを下山する。ルートの真ん中あたりで雨が降り出したかと思ったら次第に雨脚が強くなり、駐車場まであと10分ほどというところで本降りの雨に変わった。カッパを着て下山するがさらに雨足は強まり、駐車場に到着した頃にはバケツをひっくり返したような豪雨になっていた。帰りの道路は川のように水が流れ、路肩が良く見えなくなってしまっていたが、幸いにして私の車の前をバスが走ってくれていたので助かった。甲府まで戻ると、こちらはさほど酷い雨では無かったようだ。判断を間違ってこの豪雨の中を道迷いしていたら大変なことになっていたかも知れない。

 後にネットで新ルートを調べてみたところ、引き返した地点より先にある桧尾峠でルートが分かれており、夜叉神トンネル近くの護岸工事を行った斜面あたりが一部崩落していて通行が難しくなっているらしい。ヤマイワカガミが咲く頃に再訪できればと思う。


    今回見たかったのがこの花。


    猫招きの草。


    赤紫色の花が可愛らしいが、接写すると猫というよりは牙を持った虎のようだ。


    大きな株があったが、まずいことに鹿に食べられている。稀少な花だけに生き残ってくれれば良いのだが・・・。

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花を探しに南アルプスの沢へ(2日目)  平成28年7月16日‐17日

2016年07月20日 | 南アルプス
 1日目に沢を遡上してカール地形の場所まで登り、マルバタケブキ、ヤマガラシ、タカネコウリンカ、イブキジャコウソウの大群落を見てきた。一見の価値はある大群落ではあるが、それらはみな鹿が食べない花ばかりで、この花園は鹿の食害を受けた成れの果てを見ているのではないだろうか。目的だった2種類のラン科植物は跡形も無く、その花が咲くような環境の場所は残っていなかった。

 北岳が見える場所にテント設営してビバークしたが、期待していた星空は雲が多くて不可、9時半には眠りについた。未明2時過ぎ、テントを打つ雨音で目が覚めた。土砂降りというわけではないが、このまま降り続けると渡渉がまずいなと思いつつ、また寝て起きたのは5時半。雨は止んでいたが空模様はあまり良くない。朝食をとって周辺に咲く花を撮ってテント撤収、午前7時から下山を始める。


    深夜の雨は上がったが空模様はいまひとつ。北岳は雲がかかっている。


    タカネナデシコ。少しだけ朝日が射し込んだ。


    マルバタケブキ。下の平坦地がテント設営した場所。


    雪渓の脇は通りにくいので草むらの上部を通過。しかし今度は沢に下りるのに一苦労。


    渡渉点。あまり増水していなくて幸いだった。前日の失敗を踏まえて今回は片足を犠牲にして渡渉。

 雨が降ったので増水して渡渉を心配したが、(予定通り)片足を濡らしただけで難無く渡渉でき、対岸で足を拭いて靴下を履き変えた。林道に抜け出て長い林道歩きだ。


    花に斑が入っている普通のクルマユリ。


    紫色濃いヤマホタルブクロ。


    谷に流れ落ちる急峻な滝

 バス停に到着したが、次のバスに乗ってもその先の乗り換えで2時間近く待たなければならないので、ここはバスに乗らずに渓谷の景色や花を楽しみながら歩いて乗り換え所まで行くことにした。


    コオニユリがたくましく防護ネットから顔を出して咲いている。


    花はクルマユリに似ているが葉の出方が違う。


    キバナノヤマオダマキ


    シラネニンジンと沢の流れ


    谷を見下ろすクガイソウ


    欲張りなクガイソウ


    ?? ハギ?


    キリンソウ


    石灰岩質の岩に咲いていて白っぽかったのでトダイハハコかと思ったが・・・


    やはりヤハズハハコだろう。


    久しぶりに見る小ぶりなナデシコ


    シナノナデシコ


    キツリフネが少し


    今日の北岳はずっとご機嫌斜めだった。

 途中で小雨が降り傘を差したがすぐに雨は止んだ。林道を歩きながらバス2台に追い抜かれ、1台は満席だったが後から来たバスはかなり空いていた。本来のバス時刻とは違う時間に走って行ったので、おそらく臨時のバスが出たのだろう。バス乗り換え場所に到着し、痛い足を抑えて乗ったほうが楽だったかとちょっと後悔したが、いろいろな花を見られたことだし、これで良しとしよう。バス時間の20分前に到着したが、ジャンボタクシーが次々に出ているらしく、5分待ちで乗ることが出来た。

 
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花を探しに南アルプスの沢へ(1日目後編)  平成28年7月16日‐17日

2016年07月19日 | 南アルプス
 南アルプスの沢に花探しのために単独で入山した。道の無いバリアンスルートの沢で距離もあるため、ビバークを想定してテント持ちで出かけた。途中の平坦地にテントや食料を置いて身を軽くして登ったが、目的地のカール地形の場所に到着したのは既に午後4時45分、これではとてもではないがテント場のある山小屋までは行けそうもない。この時点でビバーク決定である。

 人の入らない沢の中は、稀少植物こそあまり見つからないものの、ヤマガラシ、タカネコウリンカ、マルバタケブキ、イブキジャコウソウが大群落を形成していた。特にマルバタケブキの群落は規模が広く、これほどの大群落は他の場所ではお目にかかったことが無い。北岳を見るのにはこの沢は抜群の眺望で、一時雲隠れしていた北岳が再び見え隠れするようになってきた。GPSを見ながら、下りは距離が近そうな別の斜面を下る。


    脆い石屑の急斜面に悪戦苦闘したが、なんとか目的地のカールに到着した。時間は4時45分。


    かつて稀少なランの花が咲いていたというのはこのあたりのはずだが、既に草地は消滅しその花が咲くような環境では無くなってしまっていた。


    イブキジャコウソウのお花畑と見え隠れする北岳。


    シコタンソウとカール


    チシマギキョウがちらほら。


    チシマギキョウ


    ホソバトリカブト

 登って来た場所とは別の斜面だが、こちら側にもマルバタケブキの大群落があった。かつてはお花畑が広がっていたと思われる標高2,400m付近のこの斜面はすっかりマルバタケブキに置き換わってしまっているようだ。ヤマガラシの群落はマルバタケブキ大群落の少し下から始まり、その周辺にタカネコウリンカの群落がある。


    マルバタケブキ大群落と北岳


    同上。縦位置でフラッシュ発光。


    ヤマガラシと北岳


    沢の両脇はヤマガラシだらけ。


    圧倒的なヤマガラシ群落。


    ミヤマハナシノブと北岳 フラッシュ発光。


    雲巻く残照の北岳

 北岳の残照が消える頃、午後6時半にビバーク地点に到着した。テントを設営する。

 夕食の前に北岳を見ると月が昇っていた。夕焼けの赤く染まる空を期待したのだが、わずかに染まったのみで日が暮れた。この日は月と土星が接近している日で、近くに火星とさそり座アンタレスが輝いている空の観察には良い日だったが、この場所からだと北岳と月の位置がいまひとつであまり良い構図にはならず、また雲が多くて星の写りもいまいちだった。


    夕暮れの空に月が輝いた。


    北岳の夕焼け空と月。北岳の上に出た雲が焼けてくれると面白かったが、全く焼けずに夕闇に変わった。


    月と土星・アンタレス・火星接近。北岳から月の位置が遠いうえに雲が多くて星の移りがいまいち。

 月が右側の山裾に隠れて天の川が見えないかと期待したが、月が明る過ぎるうえに次第に雲が増えて見えそうもない。夜9時半に就眠する。

 この日に撮った写真の枚数は700枚を超えていた。これだけ撮影するとさすがに歩くのに時間がかかる。しかしそれでもなお撮り足りない気がする。もう少し三脚でしっかり固定して綺麗に撮ってあげたかったカットも多数ある。翌日天候が良ければもう一度登って、日の当たるお花畑を再写しようとも考えたが・・・足が疲れすぎておそらくは無理だろう。


    

  
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花を探しに南アルプスの沢へ(1日目前編)  平成28年7月16日‐17日

2016年07月18日 | 南アルプス
 かつてこの沢の上流に今ではほとんどお目にかかれない稀少なランが咲いていたらしい。また、この沢にはここと北アルプスの某所にしか生息していないセセリチョウの仲間がいたはずなのだが、乱獲が著しく数年前の環境省の調査で絶滅とされているらしい。人がめったに入ることが無い場所ではあるが動物にとっては天国だったらしく、標高3,000m近い稜線まで鹿が出没し、徹底的な食害に遭っていると聞いた。おそらくその花が残っている可能性はきわめて低いのだが、3年後の山梨県レッドデータブック書き換え作業のための調査が行われている真最中で、調査の依頼を受けた。なにせ道の無い沢だけに、私の鈍足で稜線まで登り上げるのは容易ではないだろうと判断し、ビバークを想定してテントを担いで入山した。

 バス停から沢の入り口まで1時間ほど歩き、いよいよ沢に入るのだが、水量が多くて靴を濡らさずに渡るのは容易では無さそうだ。良さそうな場所を選んで岩飛び・・・したが岩のぬめりで滑っていきなり川にドボン。両足が膝まで浸かってしまったが転倒しなかったのが幸いだった。靴下を絞ってまた靴を履いて歩き出す。


    林道から見る南アルプスの深い谷。


    沢に入る。この先の渡渉で失敗、両膝まで水に浸かってしまう。


    濡れた靴下を絞って再出発。天気は良好、目的地はまだ遥か彼方。


    沢沿いの草むらに咲いていたホザキイチヨウラン。


    三兄弟、沢をバックに。


    倒木がゴロゴロ、石もゴロゴロ、歩きにくいが、なんとも素晴らしい沢だ。


    これは実になったシロバナノヘビイチゴの大群落。


    草むらの中にナデシコが咲いている。


    花弁の切れ込みが浅い。このあたりはまだカワラナデシコのようだ。


    紫色鮮やかなタカネグンナイフウロ。


    島状に点在するイブキジャコウソウの花にはウラギンヒョウモンがたくさん吸密に訪れていた。


    雪渓が残る。ここの通過はちょっと怖かった。


    スノーブリッジ。斜面の傾斜がきつく、間違ってスリップすると雪渓の下に滑り落ちてしまう。帰りは上の草地をトラバースした。


    シロバナノヘビイチゴ


    キバナノコマノツメ


    振り返って見る雪渓と北岳。三角錐が格好良い。


    標高を上げるとナデシコの花弁の切れ込みも深くなってくる。タカネナデシコで良いだろう。


    アサマフウロが現れ始める。このあたりから上はタカネグンナイフウロとアサマフウロが混在。


    オトギリソウと沢の流れ

 標高2,100mあたりのところで平坦地に出た。すぐ脇には支脈の沢が流れ込んでおり、水を取るにも都合が良い。北岳も見えるし、ビバークするには良い場所だ。なによりもクモマベニヒカゲという蝶が舞っているのが気に入った。ビバークするならここ、もし早い時間の下山が可能ならば小屋のある場所まで移動してテント泊だ。この場所にテントと食料を置いて荷物を軽くして先に進む。


    マルバタケブキの群落が現れ始めた。


    その中にタカネコウリンカが混在。しかしここはまだ序の口だった。


    今度はヤマガラシの大群落


    沢の中州はハンゴンソウの藪。


    見渡す限りヤマガラシ。


    今度はタカネコウリンカの大群落。


    踏まずに歩くのは困難。


    まだまだ続く、ヤマガラシ群落。


    イブキジャコウソウ群落


    水の流れの脇にはクロクモソウ。


    タカネナデシコ。その向こうに見える黄色いお花畑は?


    見渡す限り、マルバタケブキの大大群落。


    これでもかというくらいの圧倒的な数。

 圧巻のマルバタケブキ大群落だが、おそらくかつてこの場所は豊かなお花畑が広がっていた場所なのだろう。徹底的な食害に遭って鹿の食べないマルバタケブキが大繁殖したことが推測される。しかしここまで凄いと・・・これはこれで良いのではないかと思ってしまう。マルバタケブキの群落を避けてその脇の斜面をさらに上に登って行くが、石屑のこの斜面は踏むと容易に崩れてしまいなかなか登らせてくれない。かなり体力を消耗し、時間もかかってしまった。


    石屑の急斜面は踏むと足元が崩れてしまい、悪戦苦闘。


    イブキジャコウソウの大群落。


    イブキジャコウソウの向こうにはマルバタケブキの大群落。


    林の脇に咲いていたクルマユリ、だが、ちょっと違う。


    花に模様が入っていない。これはフナシクルマユリ。初見です。


    一株だけトリカブト。葉の形から、これはホソバトリカブトか?


    今度は黄色と白の花の大群落。


    黄色はミヤママンネングサ、白はミヤマミミナグサ。


    ミヤマアカバナ?


    ようやく目的の場所に到着。

 あまりにも凄い景色が広がっていたので、写真を撮り過ぎた。時間がかかったうえに体力も消耗し、稜線まで抜け出る体力も時間も無い。探していた花は草地が消滅したのとともに全て無くなってしまっているようだ。ここで小休止して撤退するが、テントを置いてきた場所に戻るまでにもまたまたお花畑とその後ろに北岳が見え隠れしていたため、すんなりとは下りられない。(1日目後編に続く。)
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沢を登り詰めて稜線へ・・・しかしまたもや空振りの櫛形山  平成28年7月3日

2016年07月06日 | 南アルプス
 かつてはこの山にも紫色のエビネの仲間の花が生育していたらしい。しかしそれは15年も前の話である。環境の変化と鹿の食害によって著しく植生が変わってしまった櫛形山は、その花が咲き残っている可能性はきわめて低い。しかし、そこはまず人が入ることが無いルートの無い沢の中、ひょっとしたら残っていてくれているかも知れない。わずかな可能性にかけて、またしても櫛形山の沢を詰める。


    沢の雰囲気はかなり良い。これならばひょっとしたら・・・と期待を抱きながら登る。


    やがて沢は枯れて苔とシダの茂る沢に変わる。


    フタバアオイがたくさん。


    元気の良い大きなクジャクシダ。


    コアジサイ


    この付近はハリブキが群生。これは鹿も食べないだろう。


    ハリブキの種


    苔の生した倒木とシダ。こんな雰囲気の林床にそっと咲いているのだと思うが・・・


    太古の森に迷い込んだような雰囲気。


    苔生した岩の間から水が流れ出ていた。


    その周辺はシダの天国。しかし探し物は見つからず。


    見つけたのはこの葉っぱ、カモメラン。数株花帆が出ている。


    こんな感じの森の中のどこかで生き残っていることを願う。

 上部で沢は2~3本に分かれており、その沢を尾根を越えて行ったり来たりして歩いたためかなりの時間を費やしてしまった。稜線まで3時間程度と見ていたのだが4時間半もかかってしまった。時間はもう午後3時。折角なのでアヤメ平と裸山に立ち寄ることにする。


    稜線に近付くとそこはバイケイソウの森。


    このあたりは何も生えていない。新しい熊の糞に4~5個遭遇した。


    稜線に出た。ヘトヘト。


    アヤメ平のキンポウゲお花畑。あふれんばかりに咲いている。


    テガタチドリもたくさん。


    エゾスズランは花芽を付けて頭を持ち上げ始めている。


    あと2~3週間ほどだろうか?


    昨年とは場所を変えて1株だけ発見した。


    女峰・チドリ。

 さらに裸山へ。前述のページに書いたようにアヤメがかなり復活していて驚いた。


    アヤメがかなり増えてきた。


    復活した裸山のアヤメ。


    稜線から垣間見る富士山

 予定では別の沢を下りるはずだったが時間的に無理になってしまい、普通の登山道を下りることにした。午後6時50分、車を止めた林道脇のスペースに到着。櫛形山バリアンスルートはかなり慣れたつもりだったがそれでもヘトヘトに疲れ、汗だくになった。残念ながら探し物には出会えなかったが、原始的な櫛形山の沢の雰囲気は楽しめたように思う。この山のどこかに生き残っていることを願う。木曾のえびね。
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道無き尾根は登れるのか? 白岩岳北東尾根  平成27年9月22日

2015年09月25日 | 南アルプス
 白岩岳は入笠山から釜無山の尾根のいちばん外れ、戸台川と小黒川の間に挟まれたあまり知られていない山である。明瞭な登山ルートは無いのだがネット上の記録を見ると戸台側の林道の途中から白岩谷の北側の尾根に不明瞭なルートがあるらしい。テープが付いているらしいが標高差1,000mの急登を登るバリアンスルートに近い。しかしそちら側から入山するには甲府からだとアクセスにかなりの時間を要してしまう。それならば反対側の釜無川林道からは登れないのだろうか?こちら側の記録は全く無いので完全なバリアンスルートとなるが、標高差約1,200mの直登コースで地図を見る限りでは尾根通しに登れば登り付けそうに見える。

 この白岩岳は山頂からの眺望が素晴らしく、仙丈ケ岳と北岳が並んで見え、また鋸岳の鋭鋒の向こうに甲斐駒ケ岳の三角錐が見える写真撮影にも絶好の場所である。数年前からこの山頂で一夜を過ごし星空を眺めながら寝てみたいと思っているのだが、なにせルートが厳しいだけになかなか実行できずにいる。もし今回調べに入る尾根が使えるのであれば、甲府からのアクセスも1時間少々で済む。山頂までは日帰りでは無理だろうから、急登が終わる標高1,700mあたりまで行ければと思い出かけてみた。


    今回登るのは護岸工事の向こう側に見える尾根。


    護岸工事の脇を登り、適当に尾根に取り付くが、なんとなく道っぽいものがあった。


    尾根に取り付くとその先は急登のカラマツ樹林帯。おそらく植林帯だろう。


    見上げるようなカラマツ樹林帯の急登がひたすら続く。なんとなく作業道らしき踏み跡がところどころに残っている。


    リンドウの葉。フデリンドウか?


    ナギナタコウジュ(シソ科ナギナタコウジュ属)


    イヌトウバナ(シソ科トウバナ属)


    何故か一本だけホタルブクロ(キキョウ科ホタルブクロ属)


    標高1,500m付近で平坦地に出た。林業作業の跡がある。

 標高1,500m付近まで登ったところで平坦地に出た。時間は11時なのでまだ余裕はあるのだが、その先もまだまだカラマツの林が続いており単調な林に飽きてきた。とりあえずは登れそうだということはわかったので、ここで昼食をとって下りることにした。このようなバリアンスルートは登るよりも下りるほうが手強い。

 急傾斜なので下りは速いが転倒したらかなり転げ落ちそうな斜面だ。標高1,300m付近に横方向に走る明らかな道がありそこをたどって進んでみると赤テープが付いていた。本日初めて見る目印だが、登山道では無くて作業用のテープのようだ。そのテープとは別の方向にロープが張られて杭が打たれているのが見えた。明らかに何かの作業の跡なのでそれを辿ってみると大きな護岸工事の真上に出てしまった。かなりの急斜面でとてもではないがここは下りられそうもない。裏側の土の斜面を見ると作業に使ったロープが残されておりこれを使って下りるが、そこはかなりの急斜面だ。しかし、そんな足場の悪いところに限って珍しい花が咲いている。


    作業道らしき道をたどると赤テープがあった。その先にもテープが見えるが、さらにその先はかなりの急斜面になっている。


    テープとは別方向の踏み跡をたどると護岸工事の真上に出てしまった。かなりの急斜面、途中には落石防止ネットが張ってありとてもではないが下りられない。


    向こうに見える鋭鋒は鋸岳。


    裏側の急斜面に作業用ロープが残されており、これを使って下りる。


    こんな足場の悪い急斜面にこんな花が咲く。


    秩父・リン・ドウ


    なかなか咲いている姿を見せてくれない。


    石灰岩の落ち葉混じりの斜面に点々と咲く。


    開花した株は見つからず。

 急斜面をやっと下りたと思ったらその先にまた難関が待っていた。またしても護岸工事の斜面だ。これはいちばん傾斜の緩いところを探して下りると、途中からロープが設置されていた。さらに最後の最後で、道路の法面工事の上に出てしまう。高さは4mほど、どこを見ても下りられる場所は無い。最後の最後で持って行ったザイルを出して壁を滑り降りた。無事林道に到着。


    またしても護岸工事の上。


    運良くロープが設置されていた。


    最後の最後でザイルを出してセメントの法面を滑り降りた。

 ほっと一安心、ザイルを片付けてザックを背負うと、おや、何か足りない。ストックを法面の上に置き忘れてきてしまった。法面のつなぎ目に少しだけ岩が露出しており、なんとか手がかかりそうだ。折角降りたのにその隙間に手をかけてまた壁を登ってストックを回収し、またザイルで下降した。あとは林道を1時間少々テクテクと歩いて車のところに戻った。時間は午後3時を少し過ぎており、1,500m付近で下山して正解だったと思う。


    ブッドレアという外来種の花で吸蜜するスジボソヤマキチョウ

 テープこそ付いてはいないが林業作業道らしきものがある白岩岳北東尾根、GPS頼りになんとか登れそうに見える。体力・気力とも充実した時、いつか釜無林道側のバリアンスルートを登ってみたいと思う。

 

 

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苦労の連続,黒戸尾根を下山 甲斐駒ヶ岳  平成27年8月2日

2015年08月10日 | 南アルプス
 素晴らしい天気と眺望に恵まれた甲斐駒ヶ岳山頂,下山するのがもったいないような景色だ.無事に予定した撮影を終えて休憩していると鋸岳側の登山道を登って来た9人ほどのグループが山頂にやって来た.そういえば数日前に立ち寄った甲府駅前の喫茶店で1泊2日で釜無林道から鋸岳を超えてテント泊し,甲斐駒を超えて黒戸尾根を下山するという学心会という山岳会の山行があると聞いていた.予想では黒戸尾根7合目あたりで抜かれるだろうと思っていたのだが,まさか・・・とメンバーの顔を見に行くと,まさに学心会の人たちだった.前日は鋸岳を超えて中の川乗越でテント泊したそうで,まだ9時前だというのにもう甲斐駒ケ岳まで登りついてきた.足が速いとは聞いていたがまさかここまで速いとは驚いた.山頂での記念撮影を買って出て先に黒戸尾根を下山し始めるが,9合目まで着かないうちにあっという間に追い抜かれた.

 9合目の鉄拳が刺さる岩を入れた景色は黒戸尾根の中でも屈指の撮影場所であるが,残念ながら到着したころには既に雲が湧き富士山は隠れてしまっていた.その先の急傾斜の鎖場は初心者にとってはかなり厳しい場所だろう.そろそろ足に疲れがたまっている頃だろうから,カメラマンの三脚は私が担ぐことにする.念のため10mザイルを携帯してきたが,ザイルを出さずになんとか鎖場を通過して8合目の御來迎場に到着した.雲がかかって見えなくなっていた甲斐駒ケ岳だったが,8合目ではなんとか姿を現してくれた.


    黒戸尾根側の山頂神社.さて,下山開始.


    神社のところに咲いていたシラネヒゴタイ(キク科トウヒレン属).よく似たタカネヒゴタイとの違いは頭花の数が1~2個で総苞が黒いこと.


    ただの岩・・・ではなくて石仏.


    9合目,左に鉄拳の刺さる岩がある.黒戸尾根の中で屈指のビューポイント.残念ながら富士山は雲に巻かれてしまった.


    9合目の急傾斜鎖場.無事に通過できた.


    ミヤマアキノキリンソウ(キク科アキノキリンソウ属)とトリアシショウマ(ユキノシタ科チダケサシ属).


    ミヤマダイモンジソウ.向こうにちらりと甲斐駒ケ岳が見えたが映らず.


    ミヤマダイモンジソウ(ユキノシタ科ユキノシタ属). ダイモンジソウとの違いは葉や花茎に毛が無いこと.


    ミヤマダイコンソウ(バラ科ダイコンソウ属)


    同上


    8合御來迎場.なんとか甲斐駒ケ岳が見えてくれた.


    下に見えるこんもりした山が黒戸山.下山はまだ始まったばかりだ.


    七丈小屋テント場付近に咲いていたミソガワソウ(シソ科イヌハッカ属).花が大きくラショウモンカズラかと思ったが,葉の形,花期とも違う.

 11時半七丈小屋に到着し,昼食となる.持って行ったアルファ米の牛丼を作って食べるが量が足りないのでパンやソイジョイなどを食べて補う.12時過ぎに七丈小屋を出発し,順調に行けばここから6時間あれば下山できるだろうと見ていたが,そうは行かないのが登山である.5合目までは鎖場やハシゴ場が連続する急峻な道が続く.カメラマンの膝を心配していたがガクガクで力が入らないという状況にはなっていないようだ.5合目小屋跡から黒戸山への辛い登りを過ぎ,4合目の刃利天狗という神社を撮影して本日の予定していた撮影場所は全てクリアである.休憩していると,黒戸尾根を日帰りして下山してきた滋賀県からやって来た若者が私たちと合流して一緒に下山してくれることとなった.


    甲斐駒ケ岳は信仰の山で,黒戸尾根はかつての巡礼の道である.随所に石碑や石仏,鉄拳が置かれている.


    鉄拳


    石碑


    5合目にある神社


    石碑とセリバシオガマ(ハマウツボ科シオガマギク属).


    4合目刃利天狗神社.

 若者は足を捻挫したそうで,足の遅い我々に付き合って下山してくれることとなった.刃利天狗の先にある刃渡りの難所は天候に恵まれてスリップする心配はほとんど無く,簡単に通過できた.時間よりも疲れに配慮しつつ,40分~50分に一度のペースで休憩しつつ,ピッチを上げることなく歩くがさすがに初心者のカメラマンは辛そうである.足の裏が痛いというので見てみると豆が出来始めているところだった.絆創膏を貼って応急処置をする.さらに1時間少々歩いたところで今度は反対の足裏と小指が痛いという.見てみると小指のところは豆がつぶれて皮膚が剥げてしまっている.これでは痛くて歩けない.カテリーパッドという大き目の絆創膏を貼りテープで固定する.反対側も予防的に同じ処置を施すが,これだけでは痛みは治まらないだろう.履き慣れていない登山靴がまだ足に馴染んでいなかったようだ.同行してくれた若者がストックを1本貸してくれ,ダブルストックでなんとか騙しながら下山することとなるが,このダブルストックが意外と効果があったようでその先は比較的順調に歩くことが出来た.

 横手との分岐を過ぎたところで時間は6時半を過ぎ,ヘッドライトを装着する.暗闇を歩くのには慣れている私だが,人を連れて歩くことはあまり無い.持参したGPSで位置を確認しつつ,足元に注意を促しつつ黙々と下山し,すっかり暗くなった7時15分,竹宇駒ヶ岳神社に到着した.無事に下山できたことを感謝して神社に手を合わせた.


 下山途中でいくつか珍しい植物に出会うことができた.


    シダにしてはちょっと変わった葉だなと思っていたら花が咲き残っていた.八ヶ岳でしかお目にかかったことが無かったオサバグサ(ケシ科オサバグサ属).


    これほどたくさん咲いているのは初めて見た.コイチヨウラン(ラン科イチヨウラン属).


    コイチヨウラン


    いちばん驚いたのがこれ.茎が茶色い二葉蘭,ミヤ・マ・フタバ・ラン(ラン科フタバ・ラン属).


    角度を変えて.


    こちらが図鑑に載っている黄色っぽい花の株.


 想定していた以上に大変な山行となってしまった甲斐駒ケ岳だったが,予定していた映像はおそらく撮影に成功したことと思う.私のほうとしても,コフタバ,タカネ,ミヤマと3種類のコフタバラン属に出会えた充実した山行となった.日本に5種類あるコフタバラン属のうち4種類に出会えたこととなり,残りは姫だけになった.山梨県内で姫に出会うのは難しいかも知れないが,隣の県まで足を延ばせばさほど出会うのは難しくないだろう.来年でも会いに行ってみよう.

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いざ甲斐駒ケ岳へ  平成27年8月2日

2015年08月05日 | 南アルプス
 甲斐駒ケ岳に登るのは今回で4度目となる。初めての登頂は北沢峠から双子山ルート、2度目は黒戸尾根、3度目は日向八丁尾根というバリアンスルートを登った。山頂の到着時間が遅い事もあるのだが、甲斐駒ケ岳山頂から見る鳳凰山越しの富士山は霞んだものしか目にした事が無い。今回はYBS関連会社に委託された南アルプスエコパークプロモーションビデオ作成の手伝いである。欲しい映像は甲斐駒ケ岳山頂の様子と山頂から見る富士山、さらに黒戸尾根側の9合目にある鉄拳の刺さった岩や8合御来迎場の石碑と倒壊した石鳥居の様子などである。黒戸尾根を登ることも考えたがルート的にかなり厳しく、機材を担ぎ上げるのは容易では無く、かつ今回同伴するカメラマンは登山経験がほとんど無い初心者である。仙水峠から駒津峰を超えて山頂に登ったほうが楽である。しかし、問題なのは富士山が見えるかどうかだ。時期が時期だけに、雲が湧いて見えない可能性がきわめて高い。勝負は遅くても午前9時までだろう。8時甲斐駒ケ岳山頂を想定して未明2時に起床して2時20分に仙水小屋を出発する。


    仙水峠から見る月光の摩利支天と甲斐駒ケ岳。想定外に天気が良い。これならば富士山が見えるかも知れない。


    東側を望む。町明かりを覆う霞の上にもうオリオン座が昇って来ている。


    駒津峰まであと30分ほどの地点。夜明けが迫り、仙丈ケ岳の上に綺麗なアース・シャドウが出た。


    朝日射す仙丈ケ岳と十六夜の月


    夜明けの仙丈ケ岳


    栗沢山・アサヨ峰と北岳


    夜明けの鳳凰山


    鳳凰山の横には霞の中に富士山が浮かんでいる。


    駒津峰山頂。向こうは鋸岳。

 駒津峰山頂で夜明けを迎えたかったのだが15分ほど遅れてしまった。ここで朝食、仙水小屋で特別に用意していただいたおにぎりを食べて休憩する。この頃にはもう数名の登山者がやって来て先に山頂に登って行った。時間は午前5時を回っている.甲斐駒ヶ岳山頂は予定通り8時ごろになるだろう.想定外に良い天気となったこの日,これならばきっと鳳凰山の上に出る富士山が見られるだろう.


    超広角レンズで捉えた鳳凰山から北岳に至る南アルプスの山並.駒津峰から.


    朝もやに浮かぶ鳳凰山と富士山


    甲斐駒ケ岳から昇る朝日


    六方石から見上げる甲斐駒ヶ岳

 駒津峰から急下りして六方石を過ぎた頃にはだいぶ日が差し始め,日の差す場所は暑く感じるようになってきた.途中にはヨツバシオガマやミヤマアキノキリンソウ,タカネツメクサなどの花が咲いていた.日なたを避けて日陰で休んでいると,突然目の前をライチョウが横切った.しかも親子連れ,雛が2羽に雌が1羽の3羽だ.甲斐駒ケ岳でライチョウに出会うことはきわめて稀で,聞くところによると1つがいしか居ないのではないかと言われている.夢中で追いかけて撮影する.


    タカネツメクサ(ナデシコ科タカネツメクサ属)と北岳


    突然ライチョウが現れた.親1羽に雛が2羽,見えますか?


    南アルプスをバックにポーズをとってくれたライチョウ.焦って撮ったので水平位置が曲がってしまった.


    摩利支天分岐を過ぎて山頂までもう少し.栗沢山・アサヨ峰と北岳の山並.

 本命の撮影は黒戸尾根側なのだが,長野側も撮影しながら山頂を目指し,予定していた午前8時を少し過ぎた頃に甲斐駒ヶ岳山頂に到着した.既にたくさんの登山者が到着していた.雲が出始めていたが,鳳凰山の上に富士山が浮かんでいた.この季節にしては満点をあげでも良いような素晴らしい眺望だ.しばらく高い山に登っていない私に,山が「登って来いよ」と誘っているかのように思えた.


    甲斐駒ヶ岳山頂から見る鳳凰山と富士山


    8時を少し過ぎてしまい、雲が湧き出してしまったがなんとか間に合った。


    アサヨ峰山塊と北岳山塊


    駒津峰,双子山と仙丈ケ岳


    鋸岳とその向こうには御嶽山,乗鞍岳,北アルプスの山並がずらりと並ぶ.夏のこの季節にこれほどの眺望が得られるのはきわめて稀である.


    北岳をバックに記念撮影.

 この季節に富士山を撮影するのは難しいのだが,まずは山頂での撮影はクリアできた.思い残すことなく存分に撮影した後,黒戸尾根を降りる.かなりバテ気味な登山初心者のカメラマンを連れて無事に下山できるのだろうか?本当に大変なのは登らせることよりも下ろすことである.(後篇に続く)


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広河原と北沢峠界隈を散策  平成27年8月1日

2015年08月03日 | 南アルプス
 久しぶりの南アルプス入山となった。今回の目的は花探しでも風景写真撮影でもなく、YBSテレビ関連の取材の手伝いである。本日の宿泊地は仙水小屋なのであまり急いで行く必余は無く、12時半広河原発北沢峠行きのバスで行くことにした。芦安バス停の駐車場に到着すると案の定駐車場は混雑しており、第5駐車場を案内されそちらに止める。親切なことにジャンボタクシーが駐車場まで迎えに来てくれて予定していたバスよりも1時間ほど早く芦安を出発できた。

 広河原で北沢峠行きのバス時刻まで2時間ほど余裕が出来たので、界隈を散策してみた。


    キツリフネ(ツリフネソウ科ツリフネソウ属)。 登山道脇のやや湿った場所に咲いていた。


    同上


    やや痛んでいるがミソガワソウ(シソ科イヌハッカ属)。


    ソバナ(キク目キキョウ科ツリガネニンジン属)。登山道脇を彩る鮮やかな薄紫の花。


    キリンソウ(ユキノシタ目ベンケイソウ科キリンソウ属) 沢沿いのやや湿った岩の上に咲いていた。


    イワアカバナ(フトモモ目アカバナ科アカバナ属) 湿り気のある登山道脇に咲いていた。


    青い実を付けたツバメオモト(ユリ目ユリ科ツバメオモト属)


    レイジンソウが1本(キンポウゲ目キンポウゲ科トリカブト属)


    ジャコウソウ(シソ目シソ科ジャコウソウ属) タニジャコウソウとの違いは花柄が花冠より短いこと。


    クサコアカソ(バラ目イラクサ科カラムシ属)? アカソの葉先は3裂するがこれは裂せず、クサコアカソと思われる。


    枯れて真っ黒になっていたサカネラン(ラン科サカネラン属)。そろそろ別の腐生植物ランが出る頃だろうが、まだ芽を出していない。


    見たかったのがこれ。タカネ・フタバ・ラン(ラン科フタバラン属)。


    タカネ・フタバ・ラン


    ちょうど見頃を迎えていた。

 バス時間の20分前にバス停に戻り、北沢峠に移動する。やまびこ山荘で昼食にラーメンをいただいた後、花を探しながらゆっくりと仙水小屋まで歩く。午後2時半ごろには到着してしまい、一休みした後に仙水峠まで散策してみた。こちらでもコイチヨウランをはじめとする稀少な植物を見ることができた。


    苔の生えた木の上を着生植物が居ないか覗き込むと、赤い実を付けたタケシマランが付着していた。(ユリ科タケシマラン属)


    花の切れ込みが深く、これはタカネナデシコ(ナデシコ科ナデシコ属)。


    オオビランジ(ナデシコ科マンテマ属) 毛の有無は見ていないが、場所的にオオビランジ。(我らハゲ頭の仲間がオオビランジ。)


    ヤナギラン(アカバナ科ヤナギラン属) ランの名がつくがラン科植物では無い。鹿の大好物。


    仙水小屋の前に咲いていたミヤマオダマキ。南アルプス林道が開通する前の北沢峠はお花畑になっていたそうで、ブルドーザーで削られてしまう前に数株移植したものがここまで増えたそうだ。


    ミヤマタニタデ(アカバナ科ミズタマソウ属) 沢沿いの湿った登山道脇に生えていた。


    コバノイチヤクソウ(ツツジ科イチヤクソウ属) 


    針葉樹林帯の森で見つけたシャクジョウソウ(ツツジ科シャクジョウソウ属)。


    キソチドリ(ラン科ツレサギソウ属)


    ゴゼンタチバナ(ミズキ科サンシュ属)


    結構な数があったコイチヨウラン(ラン科コイチヨウラン属)


    コイチヨウラン。同じコイチヨウラン属のハコネランは唇弁にギザギザがあり、ブナの森の林床に生える。 


    こんな苔の生えた環境ならばきっとあるはず。見つけましたコフタバラン(ラン科フタバラン属)。 タカネに次いで2種類目のフタバラン属。日本には5種類のフタバラン属の花がある。

 5時に仙水小屋に戻るともう夕食が始まっていた。この小屋の食事には定評があり、この日もホタテやマグロの刺身の他に天ぷらやサラダなど料亭のような食事が振舞われた。大満足の夕食である。翌朝は未明2時起きで出発の予定なので、7時前にはさっさと布団をかぶって眠りに就く。天候に恵まれて良い映像が撮れれば良いのだが・・・。
    
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植生の再生著しい櫛形山 山梨県山岳連盟植物観察会  平成27年7月12日

2015年07月14日 | 南アルプス
 富士北麓の森、三つ峠に続いて今季3度目となる山梨県山岳連盟植物保護グループ主催の観察会に急遽参加させていただいた。

 今回歩くのは何本もある櫛形山登山ルートの中でかなり長いルートとなる丸山登山道コースだ。2週間ほど風邪症状が続いて体調がいまいちだったので、付いていて行けるかどうか、それよりも登れるかどうかにかなりの不安があった。案の定ピッチの遅い私が足を引っ張ることになってしまったが、なんとか目的地まで登ることができた。今回も三つ峠に続いて講師を仰せつかったが、全く役に立たず、登り始めからいきなりわからない花ばかりだ。


    登山口の脇に咲いていた白い花、これは何じゃ?? たぶんシロバナイナモリソウ(アカネ科イナモリソウ属)。


    カラマツ樹林帯の中にシャクジョウソウが一本。(イチヤクソウ科シャクジョウソウ属)


    未だに正体がわからない花。葉の分岐あたりから花が咲いている。


    別株を見るとツルのように地面を這っており、ツル性の植物ではないかと思うのだが、正体不明。


    サワギク(キク科 キオン属)


    丸山山頂。あまり訪れる人が居ない静かな山頂。


    こちら側のルートも他のルートと同様に徹底的に鹿の食害に遭ったようだ。バイケイソウばかりが残る荒れた森と化している。


    唐松岳山頂。

 3時間半ほどかかってようやくアヤメ平に到着した。すっかり汗だくであるが、アヤメ平まで登って来るとさほど暑いといった感じでは無く快適な温度だった。昼食をとってアヤメ平の中を散策する。保護柵が設置されて今年で5年目になるだろうか、昨年にも増して植生の再生は著しく、驚くほどのキンポウゲのお花畑や、テガタチドリ、キソチドリなどのラン科植物が再生しており、さらに昨年はお目にかかれなかった絶滅危惧種の植物にも何種類かお目にかかることができた。


    黄色い絨毯と化した櫛形山アヤメ平のキンポウゲお花畑。


    元気の良いテガタチドリがたくさん咲く。


    アオスズラン(エゾスズラン)は確実に数を増やしているが、柵の外で昨年見つけた株は今年は見つけられなかった。(ラン科カキラン属)


    一方、保護柵設置前から囲われていた場所はハンゴンソウだらけの荒れた草地に変わってしまっている。やはり手入れしないで囲っておくだけでは植生の維持ができないことを思わせる。

 アヤメ平1周し、裸山に向かう。こちらは新たに裸山全体を覆う柵が設置されていた。昨年訪れた時は一面がピンク色に染まるほどのテガタチドリ大群落だったが、今年はそれに加えてアヤメがだいぶ復活してきた。ちょうど南アルプス市の植物調査隊が見回りしていたので、種を蒔いて増やしたのかどうか尋ねてみたところ、そうではなくて自然に出て来たものだそうだ。鹿の食害で激減してしまったアヤメだが、根は残っていたようで予想していたよりも早く復活しそうな様相を呈している。


    裸山のお花畑。テガタチドリに加えてアヤメがかなり数を増やしている。


    テガタチドリとアヤメの群落


    こちらはアヤメが主体の群落


    うーさんの手にとまって逃げようとしないコヒョウモンモドキ。クガイソウを食草とするこの蝶はかなり数を増やしており、植生復活の証拠でもある。


 昨年よりもさらに復活した櫛形山を存分に堪能した植物観察会であった。毎年姿を変えて行く櫛形山のお花畑、これからが楽しみである。

 下山は車をデポしてあった平成峡に下りた。午後4時、下山。
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南アルプス植物観察会および調査  平成27年6月15日

2015年06月28日 | 南アルプス
 山梨県山岳連盟の自然保護グループが南アルプスの植物観察と調査に入るというので特別に参加させていただいた。開山日前の南アルプス林道はまだバスが運行していないため、特別許可車両しか通行することができない。主な調査対象はホテイランであるが、花期が早い今年はおそらく終わってしまっている可能性が高い。


    残雪の北岳と間ノ岳


    主な調査対象はこのホテイラン。予想通り花は終わってしまっている。


    同じ森にあったヒメムヨウラン


    イチヨウラン


 もう1ヶ所生育地を把握しており、そちらに移動する。


    オドリコソウ。鹿の食害か、かなり数を減らしていると聞いた。


    オドリコソウ


    鹿の食害跡が著しい。


    色鮮やかなクリンソウが数本


    水際に咲くコンロンソウ


    クルマバツクバネソウ


    昨年も種になったところを見つけたが、何だかわからない草。


    サカネラン発見。5株ほど。


    精巧な造りのサカネラン


    お目当ての花を発見したが、こちらも終わっている。


    花が散った後のホテイラン


    イチヨウラン


    私としてはこちらを見つけたほうが嬉しかった。タ・カネ・双・葉・ラン。

 南アルプスのホテイランを見るのは初めてであるが、こちらもだいぶ数を減らしているらしい。国立公園内でありこの季節に入山することは困難であることから、盗掘による減少は考えにくく、地球環境の変化と登山者増加による地面の変化によるところが大きいと考える。今後も機会があればこのような観察会・調査会に参加させていただきたいと思う。

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深山に舞うカモメたち 南アルプス  平成27年6月6日

2015年06月08日 | 南アルプス
 例年よりも10日ほど開花が早い今年は、そろそろこの場所のカモメたちが騒いでいる頃だろう。午前の仕事を片付けて入山口に到着したのは午後1時近くになってしまう。さすがに山頂まで長いこのルート、この時間から登って行く人はいない。

 今回の目的はカモメなので、登るのは標高差で500mほどになる。しばらくぶりに訪れると林道が途中まで延びていたが、一般車の乗り入れは出来ない。せっせと登って行くと、地下足袋を履いた下山者が1人、どこまで行くのかと尋ねられたので顔を見ると小屋の管理人さんだった。なんどかお世話になっているので顔を覚えていてくれたようで、向こうも「おっ」と言って気付いたようだ。本日の目的を告げると開花場所や状況など丁寧に教えてくれた。また、山の情報などをいただき、昨日ブログにアップしたばかりだと言っていた。お礼を言って別れ、さらに上を目指す。


    しばらく訪れていない間に立派な林道が出来ていた。車は小屋の管理人さんのもの。


    標高1,500mあたりからカモメが現れ始めた。教えていただいた通り、下のほうは花期を少し過ぎている。


    そこから先は登山道の両脇に次々とカモメが舞い始める。


    カモメ・ラン


    群生


    新鮮なカモメが舞う。


    マイヅルソウ。細長い葉はツバメオモト。


    何故かササバギンランが一株。


    そんなところに咲いて大丈夫か、鷗君。ここは登山道の中。


    カモメ・鷗


    カモメ・乱・舞


    5羽並んで乱舞


    森の中にひっそりと・・・どころではない。思った以上にたくさん咲いていた。

 標高1,700mを越えたあたりで森は広葉樹林からツガの森に変わり、植生も変わって来る。ここから先はカモメの領域が終わりイチヨウ・ランに変わるらしい。


    イチヨウ・ラン


    ツガの森の中に咲くイチヨウ・ラン。

 時間は午後4時になった。軽食をとって下山だ。


    存分に楽しませていただきました、カモメ・乱舞。また来年たくさん咲いてください。


 この山域は山岳レインジャーの観察区域に入っており、この季節もどこかの山岳会が調査に入っているはずだ。私の所属山岳会もおそらく7月に調査に入るであろうが、昨年は日程が合わず参加していない。たいへん興味ある花をいくつも発見しているルートなので、今年はもう一度、もう少し上のほうまで歩いてみたいと思っている。

 興味ある方はこちらのページをご参照ください。

http://blog.houougoya.jp/?page=2&month=201506



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尾白川渓谷滝巡り  平成27年5月17日

2015年05月22日 | 南アルプス
 そろそろ各地で見頃を迎えているであろうクモイコザクラを見るため、こちらでは無くて奥秩父山塊の山を予定していたのだが・・・またしても寝過ごし、朝起きれば時計の針は6時を回っている。予定した場所は距離が長く下山で道迷いの可能性があるために中止して尾白川の上流を目指すことにした。甲斐駒ケ岳黒戸尾根の入り口、駒ケ岳神社から尾白川遊歩道を歩いて錦滝の先の林道を詰めれば、その先の沢沿いが目的地となり、普通に歩けば午後2時には沢に到着できるはずである。これはあくまでも普通に歩けば、の話である。

 午前8時半に駒ケ岳神社を出発。この尾白川遊歩道を歩くのは8年ぶりくらいになるだろうか。午後から出発して神蛇の滝をピストンして日没間近に駐車場に戻った記憶がある。足場の悪い谷のトラバースを鎖につかまって通過したような記憶があるが、今はどうなっているのだろう?


    竹宇駒ケ岳神社


    神社の入り口に咲いていたヒメレンゲとタガソデソウ。


    尾白川千ヶ淵。最初に現れる緑色の淵。


    三ノ滝


    勢い良くしぶきが飛び散る三ノ滝上部。


    花は終わってしまっているが、おそらくコチャルメルソウ。


    遊歩道沿いの岩壁にはイワタバコがたくさん生えている。


    エメラルドグリーンの淵の脇には満開のフジの花。


    旭滝。朝日が射し込むと虹が現れ、滝はコバルト色に輝くと言われている。滝壺を見ようとしたが岩が滑って登れなかった。


    遊歩道と書かれているが、アップダウンのある登山道と言ったほうが良い。


    ヤマツツジ咲く渓谷道。


    大きなハート形の葉っぱ。


    根元を見れば花がついている。ウスバサイシン。


    ミツバツチグリ(?)


    神蛇の滝に到着。


    神蛇の滝。下にもう1段あるのだが、木に隠れて写らない。

 10時半、神蛇の滝に到着。決してゆっくり歩いていたわけではないが、三脚を出して滝や花を撮影しているとどうしても時間がかかってしまう。しかし、スローシャッターで滝や沢の流れを表現するには三脚が必須。どうしても出さずにはいられない。神蛇の滝でゆっくり休んだ後、不動の滝に向かう。不動の滝から先は現在通行禁止になっているので、あまり人がいないだろうと思っていたのだが、甘かったようでかなりの人が入っていた。しかも若者が多い。


    不動の滝に向かう。


    崩落地をロープにつかまって通過するが、全く通過に問題無し。歩き易い渓谷道が続く。


    見えて来た吊り橋と不動の滝。


    新緑と不動の滝(吊り橋から75mmズームで撮影)


    滝の下、このロープを登れば滝壺まで行ける。


    豪快に流れ落ちる不動の滝。水しぶきが凄く、滝の落下で風が吹く。


    不動の滝の水しぶきと水煙。


    スローシャッターで不動滝全景。

 不動滝付近にもクモイコザクラが咲くということを耳にしたことがあったのだが、ズームレンズで覗き込む限りでは花は発見できなかった。代わりに見つけたのはユキワリソウ。足元に一株だけ咲いていた。


    支脈の沢沿いで見つけたユキワリソウ。かなり濃い紫色の花だった。


    ユキワリソウ。錦滝ではこれほど近付くのは難しい。標高1,200~1,300ほどのこの界隈はユキワリソウの陣地なのかも知れない。


    林道に向かって登る。朽ちかけてはいるが、通行に問題になるような場所は見当たらなかった。


    クワガタソウ


    まだまだ登る。


    林道に出た。

 林道に到着したところで時間は午後1時45分になってしまった。予定では1時前に到着するはずだったのだが、滝撮りに時間をかけすぎてしまった。特に不動の滝の景観は素晴らしく、1時間以上も時間を費やしてしまった。これから林道を歩いて尾白川上流に入るには1時間以上の時間を要し、帰り道の時間を考えると遡上するにはとても時間が足りない。本日はあきらめて、錦滝のユキワリソウを見て帰ることにする。


    尾白川錦滝


    滝の流れの裏側に咲くユキワリソウ。


    ユキワリソウ。まだ満開。


    岩場の下のほうに咲いていたユキワリソウ。


    ヤマツツジ咲く林道を戻る。


    見頃のヤマツツジ。


    この林道沿いには結構咲いているタガソデソウ。今年は数が多い。


 錦滝の手前で昼食をとり、滝に着いたのは午後2時過ぎ。日向山に登る時間は十分にあったがその気にはなれず、林道をテクテクと歩いて矢立石から尾白川渓谷駐車場に戻った。午後4時、駐車場に到着。花の収穫といえば雪割草くらいだったが、その他にも花は咲いていなかったが興味ある葉をいくつか見つけた。


 その他見つけた葉だけ載せておきます。正体はまだ不明です。さて、何でしょうか?


    葉に光沢がある2枚葉の群生。これはおそらくジン・バイ・草。


    双葉のランだが、青双葉よりも筋が薄く葉が黄緑色。おそらくこれは高嶺の双葉・ランだと思う。


 ということで、花が咲くのが楽しみな葉を何種類か見つけて来た。今後が楽しみ。

    
コメント (6)
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