山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

南アルプス植物観察会および調査  平成27年6月15日

2015年06月28日 | 南アルプス
 山梨県山岳連盟の自然保護グループが南アルプスの植物観察と調査に入るというので特別に参加させていただいた。開山日前の南アルプス林道はまだバスが運行していないため、特別許可車両しか通行することができない。主な調査対象はホテイランであるが、花期が早い今年はおそらく終わってしまっている可能性が高い。


    残雪の北岳と間ノ岳


    主な調査対象はこのホテイラン。予想通り花は終わってしまっている。


    同じ森にあったヒメムヨウラン


    イチヨウラン


 もう1ヶ所生育地を把握しており、そちらに移動する。


    オドリコソウ。鹿の食害か、かなり数を減らしていると聞いた。


    オドリコソウ


    鹿の食害跡が著しい。


    色鮮やかなクリンソウが数本


    水際に咲くコンロンソウ


    クルマバツクバネソウ


    昨年も種になったところを見つけたが、何だかわからない草。


    サカネラン発見。5株ほど。


    精巧な造りのサカネラン


    お目当ての花を発見したが、こちらも終わっている。


    花が散った後のホテイラン


    イチヨウラン


    私としてはこちらを見つけたほうが嬉しかった。タ・カネ・双・葉・ラン。

 南アルプスのホテイランを見るのは初めてであるが、こちらもだいぶ数を減らしているらしい。国立公園内でありこの季節に入山することは困難であることから、盗掘による減少は考えにくく、地球環境の変化と登山者増加による地面の変化によるところが大きいと考える。今後も機会があればこのような観察会・調査会に参加させていただきたいと思う。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

クモキリソウ属の花たち 御坂山系  平成27年6月23日

2015年06月28日 | 御坂・毛無・天子山系
 初めて北海道遠征の時にクモキリソウを見たは凄いものを見つけたと思ったのだが、その後山梨の山でもあちらこちらに分布していて意外と容易に見られる花であることがわかってきた。一方、今回訪れるジ・ガ蜂・草は現在3ヶ所の自生する山を把握してはいるが決して数は多く無い。そして心配しているのは年々数が減っているように見えることだ。昨年観察に行った時はもしや盗掘なのでは?と思ったのだがそれにしてはおかしい。もっと見つけ易い場所があるのにそちらの株は無傷で盗掘された様子は無く、探しにくい場所で数を減らしている。掘られたような穴も無い。これは鹿の食害なのではないだろうか?


    森の中にひっそりと咲いていたジ・ガ・蜂・ソウ。


    別株


    別株


    こんな小さな株にも花をつけている。この一角はこの花にとって快適な場所なのだろう。


    まさに蜂が飛ぶ花。


    登山道脇で踏まれて痛んでしまった株もある。


    まだ蕾のオオヤマサギソウ


    オオヤマサギソウの葉はほとんどが虫に喰われている。


    蕾のイチヤクソウ


    ウメガサソウ。今年は一株しか見つからない。

 昨年大株が咲いていた場所を訪れてみるが、残念ながら今年は見当たらない。周辺にも大きなものが何株かあったはずだが、中型の株を1株見つけただけで、さらにその先を探したが小さな株を数株見つけたのみだった。掘られたような痕跡は見つからない。鹿の保護柵設置の必要があるのかも知れない。


    昨年の大株は消失しており、見つけたのはこの株のみ。


    ジンバイソウ


    穂を出したジンバイソウ。昨年は1本だけだったが、今年は5本出ている。花が咲くのが楽しみ。


    林道脇に生えたクモキリソウ


    こんなところで大丈夫なのか?と思ってしまうが、クモキリソウはこのようなセメントの上が好きなようだ。



 やはり年々減少しているように見えるジ・ガ蜂・草、何らかの保護が必要なのかも知れない。山岳連盟自然保護グループに報告することとしたい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

植生保護と維持への取り組み 三つ峠植物観察会  平成27年6月21日

2015年06月24日 | 御坂・毛無・天子山系
 ラン科植物の多くはラン菌と呼ばれる地中にいる菌との共生によって発芽・成長し花を咲かせることが知られている。ラン科植物の種子は他の植物と違って種子の周辺に発芽するための栄養分を持っておらず、地上に落下した時にラン菌と出会わなければ発芽出来ないため、その確率は極めて低い。アツモリソウにおいては、プロトコームと呼ばれる根の状態で地中で数年ラン菌と共生して成長し、地上に葉を出してから花を咲かせるまでにさらに3年以上かかり、合わせて10年もの歳月をかけて花を咲かせる。ラン菌と出会う確率が低いうえに花を咲かせるにも大変な苦労をしている花なのである。





    アツモリソウ

 花が大きくて鮮やかなアツモリソウは徹底的な盗掘に遭い、さらには鹿の大増殖による食害に遭って今では保護地以外ではほとんど観察することが困難になってしまっている。さらに拍車をかけたのが直接の鹿の食害では無く植生の大きな変化である。鹿に植物を食べ尽くされた草原や森は笹やテンニンソウ、ススキ、バイケイソウなど鹿が食べない植物ばかりがはびこる荒れた場所に変ってしまう。このような環境になってしまうと、アツモリソウの増殖や成長、さらに花を咲かせるために必須であるラン菌の活性が大きく低下してしまう事態を引き起こし、花は咲かなくなってしまうのである。現在は保護柵で囲んで食害から逃れる方法がとられてはいるが、いずれの場所も予算不足、人手不足のために対処が遅れて既に手遅れという感が無きにしも非ずである。

 カモメランもアツモリソウと同じような生活史を歩んでいると考えられる。アツモリソウよりも小型で種子が移動し易いカモメランは、ラン菌の活性が強く快適な場所に移動して株を増やすと考えられ、花を咲かせるにはやはり10年ほどの歳月を要する。今年たくさん花を咲かせた場所は10年以上前に種子が定着して花を咲かせるに至った場所なのかも知れない。ラン菌の活性には土壌内にある程度の空気の層があることが必須である。たとえ株を踏まないで人が歩いたとしても、多くの人が訪れることによって土壌が圧縮されることによって空気の層が減ってしまうと、結果的にラン菌の活性に悪影響を及ぼすこととなり花の数が減ってしまうという事態を引き起こしてしまう可能性がある。せっかく咲いた花なのだから多くの人に見て欲しいという気持ちもあるのだが、それによって悪影響を及ぼしてしまうことがあるわけで、そのような配慮をしつつ決して花の群落に踏み込むこと無く愛情をこめてそっと歩いていただきたいと思う。(としか言いようが無い。)


    カモメラン
    

 三つ峠はこのような鹿の食害や、さらに人の盗掘や踏み荒らしから山を保護するために早くから山に柵を廻らせ、植生の保護と維持に取り組んで成果を上げてきた全国でも数少ない場所である。今回は山梨県山岳連盟主催で行われた三つ峠植物観察会・勉強会および清掃登山に植物指導という立場で参加させていただいた。昨年は20人ほどの人数だったが、最近は植物に関心を持たれている方が増えてきたようで、40数名という大人数が参加された。先日富士北麓の森を一緒に歩いたメンバーはほとんどがこの日も参加しており、一般参加で花見隊メンバーも参加した。


    三つ峠御坂側登山口に集合した参加者たち。


    ??イチゴ。植物指導を仰せつかったのにほとんど花の名前わからず、全く頼りにならず。もっと勉強します。


    あいにくの雨となった三つ峠。植生保護には環境が大切であることを説明される三つ峠山荘ご主人中村さん。


    このあたりは昨年草刈りをしたはずなのだが、1年にしてテンニンソウだらけ。


    テンニンソウや笹の除去を行って植生の維持を行っていることを説明していただいた。

 植生の保護と維持には保護柵で囲むだけでは不十分で、増殖力が強いテンニンソウや笹の除去を行わなければいずれはそれらの植物がはびこる山に変ってしまう。それによってラン菌の生息する環境が大きく変化し、アツモリソウやカモメランをはじめとする多くのラン科植物は花を咲かせるだけの栄養分を得られなくなり、開花できなくなってしまう。そのような状況が続くとやがて花は年老いて絶えてしまうことになる。実際に昨年はラン科植物が咲いていたはずの山を何か所か調査させていただき、葉はあるものの全く花を付けそうもない株を多く見て来た。いずれの山も鹿の食害著しく、山が乾燥化してしまってラン菌が生息する環境が損なわれてしまった場所であった。あれらの花たちをこれから守りつつ、さらに開花に至らせることが出来るのかどうか、今後の大きな課題であり、おそらくは保護柵だけでなく何らかの人の手を加えなければ再生させることは困難なのではないかと考えている。


    テンニンソウや笹を除去して山を保護することでこのような瑞々しい元気な葉が茂る環境が維持できる。


    そのような環境があってこそ、この草も元気に花を咲かせることができる。


 富士箱根伊豆国立公園の敷地内にあって草刈りをする作業などやって良いのかという議論が多くあったと聞くが、中村さんを中心とした人たちの尽力によって現在の三つ峠の環境が保持されている。さらに三つ峠ネットワークの方々、日本高山植物保護協会、山梨県山岳連盟をはじめとする多くのボランティアの方たちもこの活動に協力・参加されており、私自身、これからもこのような活動に多く参加して行ければと思っている。

コメント (9)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

元麻布ギャラリー甲府東横イン店写真展

2015年06月23日 | 番外編
 先日の6月20日に開催されましたスライド上映会、たくさんのご来場者にお集まりいただき、ありがとうございました。準備期間が短かったうえに約2年ぶりの上映会でやや緊張しておりましたが、なんとか無事に開催することが出来てホッとしております。

 6月29日(月)午後に会場を撤収する予定ですが、スライド上映会に来れなかった方たちのために会場にテレビを設置させていただき、DVDを上映しております。お時間ありましたらご来場ください。

 さらに、新たに2枚新作の和紙プリントが刷り上がり、6月22日より展示しております。まだ額装されていないそのままの写真を直接壁に貼り付けていますが、和紙プリントの素晴らしさがそのまま表現されたなかなかの作品に仕上がったと自負しております。


    会場風景1


    会場風景2


    新たに設置したテレビ。DVDを上映しています。


    刷り上がってきたばかりの和紙プリント。「樹氷輝く朝」


    同上「雲上の御来光」


    6月20日毎日新聞ローカル版に載せていただいた記事

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ただいま開催中です。

2015年06月14日 | 番外編




 ギャラリーの管理人様の特別なご配慮により、急遽開催が決定しました。準備不足なところが多々ありますが、ただいま開催中です。開場時間は午前11時から午後6時ごろまでですが、もっと遅い時間まで開場していることもあります。(終了時間は私と管理人様の都合により不確定です。)

 今回は西嶋和紙に特殊コーティングして印刷した大全紙の富士山がメインとなります。山梨県商工会連合会が所持しているものをお借りしてきました。銀座松屋や大阪あべのハルカス等で開催された山梨・静岡合同食料品物産展等で展示された作品です。独特の和紙の触感と奥行きを持つ大迫力の富士山をお楽しみください。  平成27年6月14日  ヨッシー

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

富士北麓の森植物観察会と鹿食害調査  平成27年6月7日

2015年06月10日 | 番外編
 林道拡張工事が進行し、環境が激変しつつある富士北麓の森。その森の存在は信頼できる仲間たちにしか知らせていなかったが、この林道工事によって森が消滅してしまう可能性も出てきたため、昨年秋に山梨県山岳連盟の自然保護グループにこの森のことを知らせ、保護に乗り出していただくようにお願いした。今回はその森の現状調査と食害調査のため、山梨県山岳連盟会長様、自然保護グループの方たち、さらに山岳レインジャー隊の方たちとともにこの森を訪れてみることとなった。総勢10数名という大人数で森に入るのはかなり気が引けたし、この森の存在を教えていただいた方にもたいへん申し訳ない気持ちでいっぱいだったが、状況が状況だけに止むを得ないだろう。今回は講師ということで引率させていただいた。


    現在の林道工事最終地点。今回はここまでのようだが、その先の森の中にも調査用の道が延び、さらに上の森は伐採が進んでいる。おそらく何年か後にはさらに延長される可能性が高い。


    森に入るとスズムシソウが咲いていた。林道工事で犠牲になったものもある。


    スズムシソウ


    さらに奥に入るとアオフタバランの葉がいっぱい。


    森の小人も今のところは元気に花を咲かせている。

 別尾根に登って今度はススキ野原の中をガサガサと探す。見たかったのは紫色の花。ここは別の花を探しに行って偶然迷い込んだ場所で、鹿の踏み跡が多数あり存在を危ぶんでいたのだが、どうやら生き残って咲いていてくれたようだ。数は少し減っているように感じる。


    サンショウバラが斜面を彩る。


    探していたのはこれ。甲斐・ジン・ドウ。


    初めて見た時は「変わったヒイラギソウだな?」と思った。


    カイ・ジン・ドウ。


    ススキ野原の中にはアヤメもちらほら。

 さらに場所を変えてサカネランを探しに行く。雑木林が伐採されていて森が明るくなり、乾燥化が始まっている。果たしてこの状況で咲いていてくれるのかどうか?切り倒された木の枝の下になんとか咲いてくれたようだ。しかし、来年からは危ない環境にあると思う。


    切り倒された雑木林。すっかり明るくなって日が射し込むようになってしまった。これでは森が乾燥してしまう。


    もう終盤だが、サカネラン。


    サカネラン


    帰る途中で見つけたクモキリソウ。踏んだのは人では無くて鹿。しかたない??


 登山家が多い山岳連盟主催の観察会であったが、今回は完全に私のペースで歩いていただいた。しかし、参加者にはそれなりに喜んでいただけたようだし、自然保護の大切さについても十分に理解していただけたと思う。参加者皆が思ったことは、この林道拡張工事は本当に必要なものなのかどうかということだった。聞くところによると林道最終地点あたりが公園になって、大規模災害時の避難施設も建築されるらしい。さらにこの先も新たな工事が進むことは間違いなく、なんとか森を守って行くか、共存して行く方法を考えなければならないだろう。

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

深山に舞うカモメたち 南アルプス  平成27年6月6日

2015年06月08日 | 南アルプス
 例年よりも10日ほど開花が早い今年は、そろそろこの場所のカモメたちが騒いでいる頃だろう。午前の仕事を片付けて入山口に到着したのは午後1時近くになってしまう。さすがに山頂まで長いこのルート、この時間から登って行く人はいない。

 今回の目的はカモメなので、登るのは標高差で500mほどになる。しばらくぶりに訪れると林道が途中まで延びていたが、一般車の乗り入れは出来ない。せっせと登って行くと、地下足袋を履いた下山者が1人、どこまで行くのかと尋ねられたので顔を見ると小屋の管理人さんだった。なんどかお世話になっているので顔を覚えていてくれたようで、向こうも「おっ」と言って気付いたようだ。本日の目的を告げると開花場所や状況など丁寧に教えてくれた。また、山の情報などをいただき、昨日ブログにアップしたばかりだと言っていた。お礼を言って別れ、さらに上を目指す。


    しばらく訪れていない間に立派な林道が出来ていた。車は小屋の管理人さんのもの。


    標高1,500mあたりからカモメが現れ始めた。教えていただいた通り、下のほうは花期を少し過ぎている。


    そこから先は登山道の両脇に次々とカモメが舞い始める。


    カモメ・ラン


    群生


    新鮮なカモメが舞う。


    マイヅルソウ。細長い葉はツバメオモト。


    何故かササバギンランが一株。


    そんなところに咲いて大丈夫か、鷗君。ここは登山道の中。


    カモメ・鷗


    カモメ・乱・舞


    5羽並んで乱舞


    森の中にひっそりと・・・どころではない。思った以上にたくさん咲いていた。

 標高1,700mを越えたあたりで森は広葉樹林からツガの森に変わり、植生も変わって来る。ここから先はカモメの領域が終わりイチヨウ・ランに変わるらしい。


    イチヨウ・ラン


    ツガの森の中に咲くイチヨウ・ラン。

 時間は午後4時になった。軽食をとって下山だ。


    存分に楽しませていただきました、カモメ・乱舞。また来年たくさん咲いてください。


 この山域は山岳レインジャーの観察区域に入っており、この季節もどこかの山岳会が調査に入っているはずだ。私の所属山岳会もおそらく7月に調査に入るであろうが、昨年は日程が合わず参加していない。たいへん興味ある花をいくつも発見しているルートなので、今年はもう一度、もう少し上のほうまで歩いてみたいと思っている。

 興味ある方はこちらのページをご参照ください。

http://blog.houougoya.jp/?page=2&month=201506



コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

山中湖界隈のスズムシソウ、そしてあの花は今?  平成27年6月4日

2015年06月08日 | 番外編
 山岳レインジャー活動の一環で山梨県山岳連盟から某山の花の調査依頼が入った。指定日にはまだ早いのだが、調査を受けた花はおそらく開花することは無いだろう。周辺環境の変化が著しく、鹿の食害でテンニンソウが生い茂り、温暖化に伴って山が乾燥し始めている。葉が出ているかどうかすら危く、おそらくはこのままだと絶えてしまう可能性が高い。本来ならば複数で調査に行くことになっているのだが、うーさんからの報告も受けていることだし、今回は単独で調査に行く。

 目的地の近くにはスズムシソウが咲く斜面があるのだが、昨年は数が減っており、それにも増して今年は全く見つからない。盗掘されたようには見えないが、鹿の足跡と食害の跡が多数あり、さらに笹がだいぶ生い茂って来たように見受けられる。この場所はもはや危いのかもしれない。


    スズムシソウの葉。下部では咲いている花は見つけられず、数株の葉を見たのみ。


    鹿の食害跡。鹿の踏み跡も多数。


    上部で見つけたスズムシソウ。少ししおれかけている。


    スズムシソウ。手前にはまだ蕾の株がある。


    スズムシソウ。


    もう既に花が散ってしまったヤマウツボ。


    ヤマウツボ。確認できたのは5本。


    ハンショウヅル。

 目的地に到着して花を探すが見つからない。うーさんの報告では今年は葉が出ていないようだと言っていたが、本当に絶えてしまったのだろうか?念入りにあたりを良く見直してみると、昨年よりもさらに細くなった華奢な葉が出ていた。可哀そうに葉の一部は虫に食われてしまっている。今年も花芽は無く花が咲くことは無い。なんとか葉だけは出してくれたものの、今後はどうなってしまうのだろうか?この花と相性の良いオオバギボウシの葉は少し離れたところに数枚出ているのみで、ほとんどがテンニンソウに覆われてしまっている。反則かもしれないが、周辺のテンニンソウを引っこ抜いて清掃してきた。


    鹿の食害著しく、ほとんどテンニンソウの森と化している。よほど食べ物が無いのか、テンニンソウの一部も食べられていた。


    なかなか発見できなかったが、目を凝らして良く見るとあった。


    昨年よりもさらに細くなったように見えるこの草。今後花を咲かせることはあるのだろうか?


    食害から逃れたキンポウゲが少しだけ咲き残っていた。


    ベニバナウツギ。もう夕暮れが迫る。

 
 激減したスズムシソウの今後も心配であるが、自生株がほとんど見られなくなってしまったもうひとつの草の今後はきわめて心配である。これで3年続けて咲かず、しかも年々衰えてきている。このまま見守るしかないのか、それとも何か手はあるのか。これからこの花に詳しい人たちと会って相談の上、対策を考えたいと思っている。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

芦川からの鬼ヶ岳裏ルートを登る  平成27年5月31日

2015年06月01日 | 御坂・毛無・天子山系
 御坂山系のカモメランは山中湖側に偏った山に咲くものだと思っていたのだが、昨年十二ヶ岳にも咲くことがわかった。ならば、同じような環境にあり、現在廃道扱いになっているこちらのルートにもあるのではないか?とずっと思っていたのだが、なかなか訪れる機会が無かった。もしあるとすればそろそろ咲いている頃だろう。本日攻めるのは芦川キャンプ場の奥、水沢山から鬼ヶ岳の西側のピークに至る尾根だ。かつては登山道になっていたはずなのだが今ではほとんど歩く人がおらず、通行不能になっている。

 午前9時、ほぼ完成している水ノ沢山をぐるりと取り巻く林道の橋を渡り、入り口の沢筋を眺めてみると、倒木が多くて突破するには苦労しそうだ。そこで林道工事のために付けられたと思われる右手の尾根に登る踏み跡があったので、これを使って尾根に取り付き、そのまま登ると水ノ沢山山頂に登り付いた。


    数年前に訪れた時はまだ道は出来ておらず橋しか無かったが、ずいぶんと様相が変わった。


    ここが取り付き口のはずだが倒木が多く荒れている。右手の斜面に林道工事のための踏み跡があり、これを登る。


    藪尾根を進むと水ノ沢山山頂に着いた。看板も三角点も何も無い小ピーク。


    ここから先の尾根には道があった。沢筋から登って来るルートも分かれていた。


    大きなダケカンバの木がお出迎え。


    植林帯の脇の急登を登る。道はあるのだが倒木が多い。


    斜面に咲いていたササバギンラン。この界隈には結構な数があった。


    ササバギンラン。


    さらに急登。ここを登り切ると傾斜が緩くなる。

 標高1,500mあたりのところまで登ると森の様子が変わり、ツガの森が広がるようになる。おそらくカモメランがあるとすれば森の雰囲気からしても、標高からしてもこのあたりだろう。しかし、テンニンソウが生い茂っていてこのあたりはかなりの食害に遭っていることが伺える。右の林左の藪と探しながら歩くが、残念ながらお目当てのカモメランは見当たらない。


    標高1,500m付近のツガの林。境界見出標と木に番号が付けられている。


    テンニンソウが生い茂る。鹿の食害に遭った山は鹿が食べないテンニンソウが生い茂る。


    ユキザサ


    花は散ってしまっているがこれはヤマシャクヤク。


    森の中に草地があった。その周辺には花が多かった。


    ミツバツチグリ(だと思う。)


    ツルシロカネソウがたくさん咲いていた。


    ツルシロカネソウ


    コチャルメルソウの実。


    シコクスミレの葉。その他にナガバノスミレサイシンと思われる葉が多数あった。


    ルイヨウボタンがちらほらと咲いていた。レンゲショウマと思われる葉も多数あった。


    ルイヨウボタン


    この斜面ならありそうなものだが・・・残念ながら探し物はこの尾根には無さそうだ。


    鬼ヶ岳から鍵掛に至る正規ルートに抜ける。あったのはこの看板「通行不能」。下りは迷うかもしれないが登りで使うのは全く問題無し。


    鬼ヶ岳に到着。


    登って来た尾根を振り返る。

 鬼ヶ岳山頂に到着したのは午後1時過ぎ、標高差800mほどを登るのに4時間以上もかかったことになる。まあ、毎度のことだが・・・。山頂のミツバツツジはもう散り始めていたが、ドウダンツツジは満開だった。ここで昼食をとり大休憩する。


    ミツバツツジはもう散り始めていた。向こうに見えるのは雪頭ヶ岳。富士山は雲隠れ。


    ドウダンツツジは満開。


    ??ウツギ?

 できれば十二ヶ岳のほうにも足を延ばしてみたかったのだが、本日降りるのは道があるかどうかもわからないバリアンスルート。念のためザイルを持ってきたので谷筋までは下降できるであろうが、沢の中がおそらく大荒れの状態になっていることが予想され、時間がかかると思われる。まだ時間は2時前だが、本日は寄り道せずに下りることにする。


    金山に至るルートの途中の少コブから派生する尾根を下りる。以前に途中まで下りており、ルートらしきものがあるのは確認している。


    ツガの林の広い尾根。ひたすら尾根を外さないように下りるが、毎度のことだが途中で道らしきものは消失。


    ひたすら尾根を真直ぐに下りて行くと、山腹をトラバースするような古い道(?)に出くわした。これを進むと右側に派生する尾根に乗り換えて下りることができた。が・・・。


    炭焼き釜の跡地のところで道が消失。


    かなりの急下りだが下に沢が見える。木の幹や根っこにつかまりながら沢まで下降する。


    沢にはテープが付いていたものの、道らしきものは無い。


    倒木だらけ。予想していた通りだった。倒木の上を超えたり下をくぐったり、何度も渡渉を繰り返しながら沢を下りる。


    休憩しながら小滝が流れ落ちる沢の景色を楽しむ。足がかなり疲れて来た。


    幸いにして右岸に道らしきものがあり、それを下りる。


    ヒメレンゲ


    沢沿いに咲いていたツルシロカネソウ。


    それもつかの間、またしても倒木に行く手を遮られる。渡渉でスリップして左足は膝まで水の中にドボン!


    こんな看板があるがまともなルートでは無い。


    林道に無事到着。午後4時。

 沢の下りは苦労することを予想はしていたものの、予想したよりも大変だった。しかし時間は2時間少々で抜け出たので、まずまずといったところだろう。

 残念ながら今回のカモメラン探しは失敗に終わったが、かつて節刀ヶ岳の尾根にたくさんあったツルシロカネソウ群落は減少の一途をたどっており、同じような環境の森がこちらにも残っていることがわかった。これからも生き続けて欲しいと思う。探索は失敗に終わったものの、このような探索をしなければ新しい出会いにはなかなか巡り合えないだろうと考えており、空振り覚悟で今後も冒険を含めた探索を行って行きたいと考えている。




    今回探索したルート。 沿面距離6.4㎞、累積標高差810m。 登りも下りもバリアンスルート。

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする