山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

マメダオシとアメリカネナシカズラ  令和4年8月29日

2022年08月31日 | 里に咲く花
 アメリカネナシカズラと思わしき植物の画像をブログにアップしておいたところ、花仲間の女性が別の場所でマメダオシと思わしき花を発見しメールを送ってくれた。送っていただいた画像を見る限りではマメダオシの可能性が高そうだが、この2種は非常に良く似ていて区別するのがとても難しい。詳細な場所を教えていただいたのでさっそく見に行ってみた。


    マメダオシらしきものが生育しているのは民家の裏にある畑の傍らである。


    畑に生えているカヤツリグサの仲間


    これは普通のカヤツリグサであろう。


    この丸っこいカヤツリグサの仲間もあまり珍しいものでは無い。


    たぶんタマガヤツリであろう。


    これがマメダオシと思わしきツル性の植物。


    葉は無く植物の茎にからみ付いて養分を吸収する寄生植物である。


    ツルに小さな突起が見える。この突起を植物の茎に差し込んで養分を吸収する獰猛な植物である。


    豆のような球形のものがツルのところどころに付いている。これが何なのかは知らない。


    さて、この花はマメダオシなのか、それともアメリカネナシカズラなのか?


    花弁が水平に開いているものもあるのだが、若い花はほとんどが花弁が開いていない。花弁は薄くて半透明である。


    おそらくこの花はマメダオシであろう。

 では、北杜市で見たアメリカネナシカズラと思わしき花はどうであろうか?再訪して観察してみる。


    ヒメジオンと思わしき花の茎にぎっしりと巻き付いているアメリカネナシカズラと思わしきツル性植物。


    先ほどのマメダオシと思わしきものに比べて花が密に付いている。


    さて、花の形はどうであろうか?


    雄しべがまだ脱落していない若い花でも花弁は水平ないしは反転して開いている。花弁の先端部は明らかに尖っている。花弁は厚めで透明感が無い。


    花弁が反転するので雄しべが飛び出して長く見える。これはアメリカネナシカズラと見て間違い無いであろう。


    雄しべがほぼ脱落した花。この段階になると区別は難しそうである。


    タヌキマメがちょうど見頃になっていた。


    昨年ほど群生はしていないが、そこそこに咲いてくれている。


    白いほうのタヌキマメは今年はたくさん咲いてくれた。


    感激である。

 まだ自信を持ってマメダオシとアメリカネナシカズラの区別が出来るというレベルではないが、それなりに見分け出来るのではないかと思う。なにせいずれも個体数がそれほどあるわけでは無いので、これからも注意しながら観察して行きたいと思う。

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これはトダイアカバナだろう  令和4年8月28日

2022年08月30日 | 里に咲く花
 8月初旬に訪れた北杜市の河川敷でトダイアカバナと思わしき植物を発見した。その河川の周辺および上流部には石灰岩地があり、トダイアカバナが生育していてもおかしくない立地条件である。発見した時にはまだ花芽が付いていなかったが、3週間以上が過ぎてそろそろ花が咲いている頃ではないかと思う。見に行ってみよう。


    石灰岩の岩の上にはトダイハハコと思われる花が咲いている。


    メハジキの群生


    メハジキの花。このあたりにはたくさん生育している。


    前回見つけたヒオウギは結実していた。


    大きな実を付けるヒオウギ。周辺には他にも数本生育していた。


    河川敷で普通に見かけるこのカヤツリグサの仲間


    たぶんアゼガヤツリだと思う。


    こちらはあまり多くは見かけない。タマガヤツリに似ているがちょっと違う。


    小穂が平べったい円錐形で尖っている。たぶんミズガヤツリであろう。


    もう終わっているだろうと思っていたのだが、しっかりと咲いていたヒナノキンチャク


    むしろ数が増えたように見える。


    さて、問題のアカバナの仲間。小さな葉が密に生えている。


    生育条件が厳しいのか、抜けかけているものもある。


    河原に生育したアカバナの仲間


    米粒のような小さな花が付いている。葉の細かさ、小さな花から見て、トダイアカバナで間違い無さそうである。


    1本立ちしているものもある。


    いずれも背が低くて小型のものばかりである。葉や茎は赤くなっているものが多い。


    トダイアカバナの薄紅色の花。米粒のように小さく撮影が難しい。


    マクロレンズで撮影してトリーミング。花弁には切れ込みがある。


    正面から覗き込むトダイアカバナの花。花弁は4枚のようである。


    葉は対生しまばらに鋸歯がある。茎には屈毛が生えている。

 図鑑やネットの記述を調べてみても、おそらくこの花がトダイアカバナと見て間違いないのではないかと思う。他のアカバナの仲間をもう一度良く見て比較してみる必要があるだろう。

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渓谷に咲くマネキグサ  令和4年8月27日

2022年08月29日 | 渓谷
 何度か訪問している北杜市の渓谷を訪れてみる。2年ぶりくらいになるのではないかと思う。この渓谷にはキツネノカミソリが生育しており、さらにマネキグサも生えていた。しかし、2年前に訪問した際にはマネキグサは発見出来なかった。無くなってしまったのか?それとも探せなかっただけなのか?ずっと気になっていた。


    まだ咲き残っていたキツネノカミソリ。涼しい渓谷の中は開花が遅く、この時期でも咲いている。


    花弁よりも雄しべが短く、典型的なキツネノカミソリ


    葉柄に痛い棘がたくさん生えているミヤマイラクサ


    渓谷にかかる橋。その向こうにはかなり急峻なハシゴがかかっている。


    豪快に落ちる滝


    滝の脇に生えるシラヒゲソウ


    渓谷を見下ろすオシャグジデンダ


    都合良く目の良い花仲間と遭遇。あっさりとこの花を探し出してくれた。


    マネキグサ。山梨県での生育地はごく限られている。


    たくさん生えているわけでは無いが、確認は出来た。


    葉の切れ込みはさほど深いわけでは無いが、ひょっとしたらこれはキレハのほうになるのではないかと疑っている。

 マネキグサは2年前の訪問時の時期が悪かったか、あるいは探し方が悪かったかだろうと思う。最初に発見した場所にしっかりと生育してくれていた。キレハマネキグサという葉の切れ込みが深いものがあるらしいのだが、このあたりに生育しているのではないかと疑っている。この場所のものはあまり葉の切れ込みが深いわけでは無いが葉先が尖っているのが気になっている。他の場所に生育しているものも見て回ってから検討してみたいと思う。

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この水草はやはりタヌキモ  令和4年8月27日

2022年08月29日 | 水辺に咲く花
 8月初旬に訪れた際に池のほとりで見慣れない藻を発見した。葉の様子からタヌキモではないかと思っているのだが、ひょっとしたらそろそろ黄色い花を咲かせているかも知れない。花が確認出来ればタヌキモで間違いないはずである。


    池を再訪してみると、誰かが池の中に入ったようである。新しい足跡と池の底をさらったような跡があった。


    ヒメマツカサススキだが、この株の右にあったはずの株が消失している。他の草も無くなっており刈り払われたようである。


    ヒメマツカサススキの花はまだ咲いていないが、だいぶ膨れてきている。


    藻の一部も沼底がさらわれて無くなっているように見える。


    黄色い花を期待していたのだが残念ながら花は咲いていない。


    トリーミング画像。しかし良く見てみると花穂と思わしき穂のようなものが出ている。


    水量が少なく空気にさらされてしまいそうな部分がある。


    トリーミングして良く見てみると、丸い袋のようなものがたくさん付いている。


    一部を抜いて調べてみる。あまり大きな藻ではない。


    先頭部分。葉は細くて枝分かれし、側面に小さな突起がある。水を蓄えた小さな袋がたくさん付いている。


    袋のような部分の拡大。これはタヌキモの特徴である虫を捕える捕虫嚢という袋であることが判明した。


    捕虫嚢の拡大。袋によっては中に何か入っている。


    根の部分だが、土の中には入っていないようである。

 花は確認出来なかったが捕虫嚢が付いていることが分かったので、この水生植物はタヌキモと見て間違い無さそうである。池の周辺を散策してみたが発見できたのはこの1ヶ所のみだった。


    池の中にポツリと白いものが浮かんでいる。


    葉の見えないヒツジグサ


    こちらは葉が付いている。

 ヒツジグサはまだ葉を十分に展開しておらず、少しだけ咲き始めたところだった。この花がたくさん咲いている頃にタヌキモの花も咲いているのではないだろうか?また訪れてみたいと思う。

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身延町田園地帯を再探索 そして遂に・・・  令和4年8月26日

2022年08月27日 | 水辺に咲く花
 南アルプス市に出張があり、予定していた人数よりも遥かに多い来客者があったがなんとか12時ごろに仕事は終わった。しゃべり過ぎてぐったりである。元気があれば櫛形山にでも行ってみようかとも考えていたがそんな元気は無くなってしまい、しかも本日もかなり暑い。身延町まで足を延ばして先週に続いて田園地帯の探索を行ってみることにした。

 最初に訪問したのはあまり大きく無い用水路が何本か走っている田園地帯である。


    用水路周辺を散策しているとその脇にミソハギが咲いていた。生育の様子から見て植栽のものだろう。


    ミソハギの花。エゾミソハギに比べてやや色が濃いように感じる。


    エゾミソハギの葉。対生して葉は根元が細くなり、葉を抱かないところがエゾミソハギとの違い。


    田んぼの渕に藻が生えていた。


    さて、これは何?


    引き抜いて調べてみる。新しく作成した下敷きを持って来るのを忘れたのは大失敗だった。


    葉にはわずかな突起があるようである。ホッスモか、イトトリゲモか、今の私のレベルでは判断が難しい。ホッスモとしておこう。

 残念ながらこの場所では探し物のミズオオバコには出会えなかった。

 次の場所に移動する。ここにも用水路の脇にミソハギが生えていた。ちょうど良く地主の女性の方が畑の様子を見に来たようで、このミソハギは自然のものなのかどうか尋ねてみたところ、これは植栽のものだそうである。ついでにミズオオバコのことを聞いてみると、「あの葉っぱの薄いやつね」と返事が帰って来た。このあたりの水田にはかつてたくさん生育していたそうである。今でも探せばあるだろうと教えていただいた。どうやら場所はこの辺りで間違いなさそうである。俄然やる気が起きてきた。気合を入れて散策してみると・・・意外とあっさりと見つかった。


    ミソハギと情報をいただいた地元の女性


    田んぼの渕に白い花が咲いている。これって・・・?!


    意外とあっさり見つかったミズオオバコ。今年は下見のつもりだったが2度目の探索で見つかった。


    ミズオオバコの花。柔らかくて傷み易そうな感じの花。


    ミズオオバコの葉は水中に沈んでいる。


    葉の形はまさにオオバコにそっくり。


    別の田んぼにも咲いているのを発見。この場所だけイネが抜かれていて保護されているように見受けられる。


    感激のミズオオバコとの出会い。

 散策していると田んぼの様子を見に来ている男性の方と出会った。撮影したミズオオバコの画像を見せてこんな花を探していると話したところ、「ああ、あの葉っぱが薄いやつね」と、先ほどの女性と同じ返事が帰って来た。たぶんあのあたりならばあるはずだと、場所を教えていただいた。


    こんな花も咲いていた。


    ミゾカクシというキキョウ科の変わった形の花。静岡県では見たことがあるが、山梨県で見るのはおそらく初めてである。


    路傍にはイヌドクサがたくさん茂っている。細めで別物のように見える。


    ヒルムシロがだいぶ増殖している。


    白い花がたくさん咲いている。


    これはセリの花のようである。


    この円い葉のほうは何だろうか?トチカガミを期待したが違う。チドメグサの仲間か?


    アゼナと思われる。普通にあると思うのだがあまり見かけなかった。


    教えていただいた場所で発見したミズオオバコ。まだ葉っぱだけで花は咲いていなかった。周辺に生えているのはシャジクモ。

 地元の方にいただいたありがたいアドバイスのおかげで念願だったミズオオバコに出会うことが出来た。花はまだ咲き始めで見頃は9月に入った頃ではないかと思う。出会えて感激である。しかしまだ藻を中心とした水生植物の観察が不十分である。ホッスモとイトトリゲモ、さらにはひょっとしたら出会えるかも知れないミルフラスコモなど、見分けられるだけの実力を付けられるようにしたいと思っている。

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咲き出したミズアオイ  令和4年8月25日

2022年08月27日 | 水辺に咲く花
 2週間ほど前にも一度見に行っているが、そろそろミズアオイが咲いている頃だと思う。ヒシの花も咲いているのではないだろうか?


    用水路をびっしりと埋め尽くしているヒシの葉


    たくさんあるのだが、花は相変わらずあまり多くは咲いていない。


    ちらほらと咲いているのを見かける程度である。


    一斉に花が咲くわけでは無いようだ。


    小さなヒシの白い花


    中心部に1個だけ花を咲かせる。


    3個花が咲いているのが見える。


    一株の大きさに比べると花は小さい。


    この場所のミズアオイはまだ咲いていない。


    こちらは咲き始めのミズアオイ


    別の場所では咲いている。見ごろになるのは1週間くらい先になりそうである。


    もうすぐ満開のミズアオイ


    清楚な水色のミズアオイの花


    たくさん生えているイネ科の植物


    おそらくケイヌビエという植物だろう。


    ジュズダマというイネ科の植物


    花が咲いているジュズダマ


    タカサブロウというキク科植物であろう。


    水際を好んで咲くタカサブロウ


    花とそう花


    白いイヌタデの群生


    田んぼや用水路で普通に見かけるこの草、おそらくホソバヒメミソハギという外来種の植物であろう。


    葉腋に小さな花が咲き始めている。


    用水路の中に藻が群生している。


    葉の幅がやや広めである。さて、これは何?


    引き抜いて調べてみる。


    葉は細長くて全縁である。たぶんコカナダモ(トチカガミ科)という外来種の藻。


    アメリカミズキンバイ(ヒレタゴボウ)は花期が長い。


    結実したものもあるが、いつも満開のように見える。


    アメリカミズキンバイの花


    これが実。明瞭な稜が4本ある。


    そしてこれが今回いちばん調べたかった黄色い花。


    まだ咲き始めのようだが、観察するに良い位置には咲いていない。


    用水路沿いを歩いてみると既に散って結実し始めているものも多数見かける。しかし状態の良い花はひとつも見つからない。


    既に花が散っている。


    マクロレンズで撮影してトリーミング。花床を見ると毛が生えているのが見える。


    半分花弁が散った花。この花は午前中咲いて午後になると散ってしまうタイプの花ではないかと思う。


    マクロ撮影してトリーミング。雄しべの付け根の部分の花床に毛が生えているようである。

 チョウジタデか、ウスゲチョウジタデか決着をつけるためのこの小さな黄色い花を見に来たのだが、残念ながら良い状態の花には出会えなかった。花弁が散ったものを多数見かけるが花が残っていないところを見ると、どうやら午後になると花が散ってしまうようである。再訪してきっちりと撮影する必要がありそうだが、散った花の花床を調べると雄しべの付け根の部分に明らかに毛が生えている。これはウスゲチョウジタデと見て間違い無さそうである。状態の良いチョウジタデももう一度見に行ってみる必要がある。結論はもう少し待ちたい。

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身延町の田園と用水路を探索  令和4年8月22日

2022年08月25日 | 水辺に咲く花
 生育場所の情報がほとんど無い水草があり、山梨県レッドデータブックの分布図から推察すると身延町から南部町あたりの水田あるいは用水路あたりに生育していると推定される。広大な面積なので見つかる可能性はきわめて低いのだが、あるとすればそろそろ白い花を咲かせている時期ではないかと思う。身延町の田園地帯はどんな感じなのか、何ヶ所か見に行ってみる。

 1ヶ所目は用水路が何本か走っていて近くに川が流れており、豊富な水が供給されている田園である。


    田んぼの中の稲が抜けたところに白い花が群生している。


    葉を見ると先端部が尖っている。これはオモダカであろう。


    ウキクサに混じってサンショウモがあちらこちらに浮かんでいる。


    たぶんこれはヒルムシロの葉であろう。


    良く見てみると藻が生えている。たぶんこれはホッスモではないかと思う。


    ヒルムシロと思わしき葉の沈水葉が見える。柄が付いているようで、ヒルムシロで間違いないであろう。


    用水路脇にはイヌドクサが生えていた。

 次に探索してみたのは公園の中を流れる用水路である。


    用水路脇の東屋


    想定していたよりも水量が少なく、水草はあまり無さそうである。


    この葉はミズバショウか?たぶん植栽のものであろう。

 次は大きな用水路がたくさん流れている水量豊かな田園地帯である。


    大きな用水路が何本も走っている。


    用水路脇に生えていたこの赤紫色鮮やかな花。


    葉は対生して茎を抱かない。これは富士五湖界隈で探していたミソハギであろう。こんなところで出会えるとは思ってもいなかった。


    ホタルイが生えている。


    ここにもサンショウモがあちらこちらで見かけられる。


    球形のカヤツリグサの仲間が生えている。


    たぶんタマガヤツリであろう。


    こちらにもヒルムシロが生えていた。


    先ほどとは違う感じの藻が生えている。


    一部引き抜いて観察してみる。


    葉の形態から見てこれはシャジクモと思われる。環境省の絶滅危惧種ではあるが、結構普通に見られるようである。


    節のところにオレンジ色のものが付いている。小さくて分からないが、これが胞子を含んだ雄花と雌花らしい。

 探し物はミズオオバコという水生植物であるが、山梨県では個体数が少ないようで今回の探索では発見出来なかった。しかし想定外のミソハギやシャジクモに出会うことが出来た。イトトリゲモという珍しい水草も生育しているらしい。稲刈りの季節になると水田の水が無くなってしまうため、時間がとれるようであれば再探索に訪れてみたいと思う。

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渓谷の近傍に咲くアオホオズキ  令和4年8月21日

2022年08月22日 | 渓谷
 渓谷の遊歩道沿いにアオホオズキという珍しい花が生育しているという記事をネットで見たことがあり、何度か探してはいるのだが見つからずにいた。そもそも咲くのは5~6月ごろだと思っていたのでこの季節には歩いたことが無い。ところが、花仲間が渓谷近傍でこの花を探し出してきてくれて情報を提供してくれた。見ごろを少し過ぎているようなので急いで見に行かないと来年に持ち越しになってしまう。午前の仕事を終えて渓谷に移動するが、駐車場に着いて準備をしていると雷が鳴り出してしまう。さらに悪いことに、登山用のズボンを持って来ておらず、止む無くスラックスの裾を膝のあたりまで折り曲げて散策に出かけることとなる。


    ブロック塀に着生したホテイシダ


    橋の欄干に着生したホテイシダ


    アカバナの仲間だが花が白い。


    茎全体に短毛が生えており、これはイワアカバナと思われる。


    渓谷を見下ろすと球形の実をたくさん付けた木がある。


    これはトチノキのようである。


    先端部が切れ込むこの特徴的な葉はコハクウンボクの木。結構たくさん生えていた。


    結実したクモキリソウ。たくさん生えていた。

 途中から雨が降り出してしまい、結局スラックスをカッパに履き変えて散策することになる。教えてもらった場所あたりに到着したがなかなか見つからない。


    ちょっと変わった花が見つかった。


    ナンバンハコベ。絶滅危惧種では無いがあまりお目にかからない花。


    発見、これが探していたアオホオズキ。


    思っていた通りの大きさの花だったが、地味で発見しにくい。


    雨で濡れている。


    アオホオズキの花。薄黄緑色で花弁には細かい毛が密生している。


    別株を発見


    こちらはまだ蕾が付いている。


    たぶんこの大株もそうではないかと思うのだが、花がひとつも付いておらず確信は持てない。

 花が咲いていて確実にアオホオズキを分かるものは2株のみだったが、葉がそっくりで花を咲かせていないそれらしき株は近傍に数株あった。地味な花ではあるがなかなかお目にかかれないアオホオズキをやっと目にすることが出来て感激である。情報を提供してくれた花仲間に感謝したい。

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乙女高原に咲く花たち  令和4年8月19日

2022年08月22日 | 山に咲く花
 山上の草原ではそろそろマツムシソウが見ごろを迎えるシーズンになっている頃だろう。山梨市に出張があったので、仕事を終えた午後から乙女高原を訪れてみる。


    山上の草原に青紫色のアクセントを添えている花


    ヒメトラノオ


    葉は対生し、葉柄は無いかあっても短い。ヤマトラノオの変種とされており、葉の幅が狭い。


    シラヤマギク


    シラヤマギクは葉の形が三角形、茎が赤紫色。


    似ているがこちらはゴマナ。葉の形が披針形で茎は緑色。


    咲き始めたばかりのシモツケソウ


    見ごろはこれからだ。


    タチフウロが満開


    コオニユリ


    葉の刺が痛いアザミ


    総苞を触っても粘らない。夏から秋に咲くノハラアザミ。


    こちらも痛いアザミ。葉が密に付いている。


    まだ蕾だが総苞片が反り返っており、ホソエノアザミと思われる。


    こちらは棘が無くて痛く無いアザミ


    タムラソウ。まだ咲き始めたところで見頃はこれから。


    まだ蕾だったセイタカトウヒレン。茎にヒレがある。


    大型のハバヤマボクチ。葉に切れ込みがある。


    ハバヤマボクチの花。まだ開花していないようである。


    コウリンカは草に埋もれるようにちらほらと見かけられる。


    キオンの花。葉は細長い。ハンゴンソウもたくさんあったが撮り忘れた。


    オミナエシもたくさんある。花の白いオトコエシそれなりに咲いている。


    キンミズヒキ群生


    雄しべは6本・・・あるはずだ。


    マルバタケブキは満開


    オオバギボウシ


    結構たくさん見かけたホタルサイコ


    ホタルサイコの花。紫色になっているのは結実しかけた花のようである。


    マツムシソウが見ごろになっている。背丈は1mくらいある。


    マツムシソウの花。中央部の小花はまだ開花していない。


    中央部の小花が開花しているマツムシソウ。


    根元の部分の葉は切れ込みが浅い。


    道路脇に咲いていたヤナギラン。そろそろ終盤である。


    アカバナはほとんどが結実していた。


    草原の中に生えているヤエガワカンバ


    枝の先端に小さな花芽が出ている。


    先端部が雄花、下の葉腋に付いている芽のようなものが雌花ではないかと思う。


    別の場所にちょっと立ち寄ってみる。メタカラコウとマルバタケブキの群落がある。


    見たかったのはこのカラフトミヤマシダ。他の場所では食害で激減しているがここは無事のようである。


    元気にソーラスを付けている。

 季節を変えて様々な花が咲き誇る乙女高原であるが、アザミ類の赤い花やキオン、オミナエシなどの黄色い花が草原を彩るこの季節がいちばん賑やかなのではないかと思う。ヒメトラノオもたくさん咲いていて紫色のアクセントを添えており美しい。

 マツムシソウとタカネマツムシソウの区別がいまひとつ釈然としておらず、典型的な濃い色をしていれば判別は容易であるがそのような花は山梨県ではおそらく咲いていない。八ヶ岳の標高2,000mを越える場所に咲くマツムシソウはタカネマツムシソウとして良いのかどうか、未だに未解決のままである。

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ヒメバラモミ (マツ科 ) Picea maximowiczii Regel ex Carrière

2022年08月21日 | 樹木類
山地帯上部~亜高山帯下部の林中に生育する常緑針葉高木である。幹の高さ25 ~ 35m、径 50 ~ 80㎝になる。樹皮は灰褐色でやや厚く、古くなると不揃いな鱗片状にはげ落ちる。若い枝は黄褐色ないし赤褐色で、葉は線形で長さ10 ~ 13㎜、横断面は菱形をしていて、4面に白い気孔帯がある。球果は 3 ~ 6㎝でトウヒ属の中では最も小さい。良く似たアズサバラモミは球果はが7 ~ 9㎝とやや大きく、葉もやや長いが、個体変異があって両者の分類には難しいものがある。八ケ岳、仙丈ケ岳、奥秩父に生育しているが自生地は限られていて個体数も少ない。北杜市では天然記念物として公開している場所がある。

 2018年山梨県カテゴリー:絶滅危惧ⅠB 類(EN)  2005年山梨県カテゴリー:絶滅危惧ⅠB 類(EN)  2017年環境省カテゴリー:絶滅危惧Ⅱ類(VU)

    旧大泉村の天然木難物として公開されているヒメバラモミ

    右がヒメバラモミ、左はハリギリ。2022年3月に撮影。

    ヒメバラモミ。上部に固まって葉枝が付いている。

    下から見上げるヒメバラモミ。枝は真直ぐに横に伸びる。

    樹皮は灰褐色で不揃いな鱗片が付着し、剥げ落ちる。

    ヒメバラモミの枝

    葉枕はあまり高くならない。葉はやや湾曲して付く。葉の4面に気孔帯が付く。

    先端部の葉は先が先が尖り、触ると痛い。

    ヒメバラモミの球果。トウヒ属の中では最も小さい。

    10円玉よりも少し大きいくらいの大きさ。





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ヤツガタケトウヒ (マツ科 ) Picea koyamae Shiras.

2022年08月21日 | 樹木類
 亜高山帯の針葉樹林に生育する常緑針葉高木である。幹の高さ20m、径30~50㎝ぐらいになる。樹皮は灰褐色で鱗片状に薄くはがれ落ちる。葉は線形長さ6 ~ 12㎜で、断面は四角形、葉枕が良く発達する。球果はずんぐり形からやや長形の円筒形で先端部がやや尖る。雌雄同株で、花期は 5 ~ 6月、下向きに球果を付ける。八ヶ岳周辺に生育しており個体数は少ない。

 2018年山梨県カテゴリー:絶滅危惧ⅠA 類(CR)  2005年山梨県カテゴリー:絶滅危惧ⅠA 類(CR)  2017:環境省カテゴリー:絶滅危惧ⅠB 類(EN)


    ヤツガタケトウヒ 2022年4月 八ヶ岳で撮影  葉枝は上部に固まり円錐形になる。


    枝は下向き弓なりに出る。


    若い枝は褐色または赤みのある褐色。


    葉枝の境目の部分。幹は灰褐色で鱗片が剥げ落ちる。


    幹の太い部分。灰褐色で鱗片が剥げ落ちる。


    枝先の部分。葉枕が発達し、葉は垂直に出る。葉には縦方向に線状に気孔帯が並ぶ。


    球果は細長く、先端部がやや尖る。


    10円玉との大きさの比較

 ⇒山梨県絶滅危惧の樹木類一覧

 ⇒山梨県の絶滅危惧の植物 ~科別分類~

 ⇒山梨県2018年版レッドリストの植物


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フユザンショウ (ミカン科) Zanthoxylum armatum DC. var. subtrifoliatum (Franch.) Kitam.

2022年08月19日 | 樹木類
 関東以西の暖地山林や岩場に生育する常緑低木である。樹高は 1.5 ~ 3mになる。雌雄異株だが日本では雄株は見られない。葉柄の基部の茎に対生または単生する刺がある。葉は特有の香りがあり、互生し奇数羽状複葉で、葉軸には翼があるのが特徴である。小葉は被針形から被針状長楕円形。花は小さく黄緑色、円錐状につく。果実は 2 ~ 3 個に分かれ、楕円状球形、紅熟する。樹皮にはいぼ状あるいは棘状の突起がある。花期は 5 月。生育個体数はあまり多く無い。

 2018年山梨県カテゴリー: 絶滅危惧Ⅱ類(VU)  2005年山梨県カテゴリー:絶滅危惧Ⅱ類(VU)  2017年環境省カテゴリー:なし


    フユザンショウの木 2022年5月 市川三郷町で撮影。 フユザンショウの中ではこれは大きな木。


    枝と花


    枝には対生または単生の刺がある。葉は互生する。


    葉は奇数羽状複葉で、葉軸には翼がある。雌雄異株であるが日本では雄株は見られない。咲いているのは雌花である。


    木の幹にはいぼ状あるいは棘状の突起がある。


山梨県の絶滅危惧の植物 ~科別分類~

 ⇒山梨県2018年版レッドリストの植物


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カラスザンショウ (ミカン科) Zanthoxylum ailanthoides Siebold et Zucc. var. ailanthoides

2022年08月19日 | 樹木類
北海道を除く各地に分布し、日当たりの良い低地の二次林に生育する落葉高木である。樹高は6~8mだが、15mほどになるものもある。葉は互生して枝の上部に集まってつき、独特な笠状の樹幹をつくる。葉には臭気があり、葉身は奇数羽状複葉、小葉は 9 ~ 15 対で広被針形、鈍細鋸歯があり、鋭頭、裏面は粉白色。花は小さく黄緑色、大形の集散状につける。幹や茎には短い刺があるが、古くなると棘が無くなりいぼ状の突起となる。雌雄異株。果実は 3 個に分かれ、径 5㎜の扁球形。花期は 7 ~ 8 月。山梨県では身延町以南に生育しており、個体数はそこそこにある。

 2018年山梨県カテゴリー: 絶滅危惧Ⅱ類(VU)  2005年山梨県カテゴリー:絶滅危惧Ⅱ類(VU)  2017:環境省カテゴリー:なし

    カラスザンショウ 2021年8月 南部町で撮影

    カラスザンショウの花。これは雌花。

    木の枝には短い棘がある。

    古くなると棘が脱落していぼ状の突起となる。

    2021年9月 南部町で撮影。葉はじょうぶに集まって付き、笠状の形を呈する。

    結実しているがまだ実は弾けていない。




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山梨県絶滅危惧の樹木類一覧

2022年08月18日 | 樹木類
2018年版山梨県レッドデータブックに登録されている絶滅危惧の樹木類はおおむね以下の通りである。

絶滅危惧ⅠA類(CR)


 ヤチダモ(モクセイ科)


絶滅危惧ⅠB類(EN)
  







 ヘビノボラズ(メギ科)




 ムベ(アケビ科)
 

絶滅危惧Ⅱ類(VU)


 スダジイ(ブナ科)










 ヒコサンヒメシャラ(ツバキ科)







 ゴマキ(レンプクソウ科)


準絶滅危惧種(NT)





 樹木になるツツジ科やバラ科の植物などもあるのだが、それらは各科の項目をご参照いただきたい。




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シライヤナギ (ヤナギ科) Salix shiraii Seemen var. shiraii

2022年08月18日 | 樹木類
 山地帯の岩場やガレ場を好んで生育する落葉低木である。名前は明治時代に日光でこの樹を発見した白井光太郎教授の名にちなんで名付けられた。高さ20㎝~1mくらいだが、2mになるものもある。枝は横に這う形が多いが株立ちするものもある。新枝は細くて密集し黄褐色で先端部はやや垂れ下がる。古い枝は少し赤味がある。葉は対生し、卵状披針形で表面には光沢があり、裏面は粉状に白っぽい。葉の基部は浅い心形ないしはハート形。枝の基部に付く葉の裏側には軟毛が生えている。雌雄異株で4~5月ごろに葉の展開と同時に開花する。山梨県が分布の南限となり、奥秩父山系や御坂山系に生育している。

 2018年山梨県カテゴリー: 絶滅危惧Ⅱ類(VU)  2005年山梨県カテゴリー:絶滅危惧Ⅱ類(VU)  2017:環境省カテゴリー:なし


    シライヤナギ 2022年4月 茅ヶ岳で撮影


    この場所では崖のような岩場を好んで生育している。


    シライヤナギの雌株。葉はコマイワヤナギに比べて幅が広いと言われているがこの個体ではむしろ狭く見える。


    雌雄異株でこれは雄花


    雄花の拡大


    こちらが雌花


    2022年5月 十二ヶ岳で撮影したシライヤナギと思わしきもの。


    葉はまだ十分に展開していない。


    同じく十二ヶ岳で撮影したもの。


    葉に光沢があり幅が広い。シライヤナギと思われる。

 コマイワヤナギとシライヤナギの区別は難しいのだが、さらにもう1種類チチブイワヤナギという種があることが分かってきた。茅ヶ岳や御坂山系ではこのチチブイワヤナギも混在しており、混乱している。さらに詳しく調査が必要であろうと思う。


 ⇒山梨県の絶滅危惧の植物 ~科別分類~

 ⇒山梨県2018年版レッドリストの植物


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