先日の山梨日日新聞にヒメスズムシソウの記事が掲載された。記事には若干の誤りがあるのだが、発見されたのは昨年では無くて一昨年である。山岳レインジャーが発見というのは私のことを指すのであろうが最初に発見したのは私ではなく山梨県外に在住されているラン写真の愛好家の方である。その知人の方と偶然に山行で一緒になりこの植物の存在を知ることになった。なにせネットにも図鑑にもほとんど載っていない稀少なものだけにどうやって扱うかいろいろと考えて、翌年植物に詳しいメンバーや保護に携わっているメンバー、さらに目が良くて信頼できるメンバーを総勢10人集めて調査を行った。最初に発見された場所と別の場所で私が偶然にこの植物を発見したため、そちらの周辺にもあるだろうということでの現地調査と個体数調査である。そして生育が確認されたため、今年の夏にこの植物の日本で一番の研究者と山梨県緑自然課の方々を交えて保護に向けての調査が行われた。発見されてから2年以上が経過するわけであるが、私の知るメンバーには保護の方向性が確定するまでは秘密にしていただくことを強く申し入れており、今まで最初の発見者の方以外はほとんどこの花の情報はネット上に公開されていない。そして今回新聞に記事が掲載され、山梨県特定指定種に指定されて法律的な保護がされるのがほぼ確実となり、いよいよ情報公開となったわけである。さらには保護ネットを設置することも現在検討されており、発見当初の私の思惑通りに事が運んでいることになる。
平成29年7月、発見された当初のヒメスズムシソウ
マクロ撮影。ヒメスズムシソウはジガバチソウに良く似ているが唇弁が下向きに反り返るところが異なる。
平成31年7月のヒメスズムシソウ。国内では3ヶ所での生育が確認されていると聞いているが山梨県のものが最も生育環境が良いらしい。
研究者の凄さを思い知った一株。上に見えている円い葉はキバナノコマノツメの葉で、500円玉くらいの大きさである。それよりも小さな株を普通に発見して来る。
平成31年7月に見た株。周辺の草が無くなって個体が露出してしまっている。これはこの花を撮影するために周囲の草をむしった人が居るということだ。
登山道からあまり離れていない場所で発見された個体は、この花の画像を撮るために周辺の草がむしり取られていて、あったはずのまだ花を咲かせない幼弱な葉まで消失していた。こうなってしまうと、この花を保護するにはもはやネットや柵で囲うしか無いのではないかと思ってしまう。多くの人に見せたいとも思うのだがそれを行うためにはまずこの花が確実に保護されるということが大前提である。全国的にも稀少な植物であるので、おそらく山梨県みどり自然課や環境省が保護の方法について検討していることと思う。この花にかかわってきただけに、出来る限り協力して行きたいと思っている。
平成29年7月、発見された当初のヒメスズムシソウ
マクロ撮影。ヒメスズムシソウはジガバチソウに良く似ているが唇弁が下向きに反り返るところが異なる。
平成31年7月のヒメスズムシソウ。国内では3ヶ所での生育が確認されていると聞いているが山梨県のものが最も生育環境が良いらしい。
研究者の凄さを思い知った一株。上に見えている円い葉はキバナノコマノツメの葉で、500円玉くらいの大きさである。それよりも小さな株を普通に発見して来る。
平成31年7月に見た株。周辺の草が無くなって個体が露出してしまっている。これはこの花を撮影するために周囲の草をむしった人が居るということだ。
登山道からあまり離れていない場所で発見された個体は、この花の画像を撮るために周辺の草がむしり取られていて、あったはずのまだ花を咲かせない幼弱な葉まで消失していた。こうなってしまうと、この花を保護するにはもはやネットや柵で囲うしか無いのではないかと思ってしまう。多くの人に見せたいとも思うのだがそれを行うためにはまずこの花が確実に保護されるということが大前提である。全国的にも稀少な植物であるので、おそらく山梨県みどり自然課や環境省が保護の方法について検討していることと思う。この花にかかわってきただけに、出来る限り協力して行きたいと思っている。