山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

星のささやく森

2012年04月30日 | 番外編
 平成24年4月30日、スターバックスコーヒー甲府アルプス通り店でスライド上映会を行わせていただきました。集まってくれたのは20人ほど、上映会の常連さんはむしろ少なく、初めて見る顔の方が大半でした。中には私のブログファンの方が数人、しかも昨夕アップしたばかりの茅ヶ岳の記事をもう読んでくれた方もいらっしました。
 今回は店内の天井の壁にスライドを映して、プラネタリウムの­ように星空を眺める気分を味わってもらおうということでやってみました。その天井上映のために編集したのがこのビデオです。もし森に妖精が住んでいたら、きっとこんな星空を眺めているのだろうというイメージで編集してみました。曲は1966カ­ルテットの奏でるビートルズのナンバー、「LET IT BE」です。


星のささやく森



 こちらがフォト・チャンネルです。画像だけ見たい方はこちらをご覧ください。
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スミレ咲く茅ヶ岳  平成24年4月29日

2012年04月30日 | 山梨百名山
 平成24年4月29日

 春らしいポカポカ陽気となった5月連休前半、今年2度目となる茅ヶ岳を訪れた。故村松正文さんという写真家がこの山である花を見つけて感動し、それから植物の写真を撮るようになったという記事を拝見した。そしてその花の咲く場所を花に詳しい知人から情報をいただいた。甲府市武田神社の桜がすっかり散って葉桜になっており、そろそろ山の上の花も咲く頃だろう。
 大明神林道まで車で乗り付けて登山道を短絡し、花の多い防火帯林の尾根道を登る。こちらの道はほとんどの登山者が下山に使い、登る人は少ない。連休だけあって本日の茅ヶ岳はたいへん混み合っているようで、次々に下山してくる人たちとすれ違う。スミレの花が何種類も咲いている。アケボノスミレ、ノジスミレ、タチツボスミレ、ニオイタチツボスミレ、そして偶然見つけた白いスミレ。近付いてみるとそれは・・・この季節にあちらこちらの山を数年間探しまわっても見つけることができなかったヒゴスミレだった。こんなところでお目にかかれるとは、ついている。

    アケボノスミレ 薄い赤紫色の花が鮮やか。たくさん咲いていた。


    ノジスミレ  鮮やかな紫色で、花が大きい。


    ヒゴスミレ  今まで見つけたのは全て近似種のエイザンスミレだった。こんなところでお目にかかれるとは。


    ヒゴスミレ  白花で葉が細いのが特徴。なかなかお目にかかれません。


    フデリンドウ  春を代表するリンドウ。甲府市界隈では結構お目にかかれます。


    中腹のミツバツツジは咲き始めたところ。上部はまだ咲いていない。

 そして教えていただいた場所に立ち寄ってみると・・・あった!私はこの花にお目にかかるのは今回が初めてだ。その花は・・・オキナグサ。八ヶ岳横岳に咲くツクモグサと同じように、綿毛が可愛らしく、おじぎでもしているかのように咲くその姿は愛嬌がある。知る人ぞ知る場所らしく、踏み跡がしっかりとついていた。


    オキナグサ群生


    オキナグサ


    オキナグサ

 30分以上もオキナグサの撮影に費やし、2時間40分もかかって山頂に到着した。時間は午後1時40分。予想通り、山頂は人がたくさん。うれしいことに、Twin Tower標柱の裏側にぶら下げてある新聞記事の切り抜きを熱心に読んでくれていた若い女性が2人おり、思わず記事を指差して「これ、私です!」と言ってしまった。標柱のいきさつや、何故に傷つけられるのかなどを話すと、山頂にいた他の人たちも興味を持ってくれて、なかなか有意義なひとときを過ごすことができた。また、山頂で得た情報だが、女岩の水場で落石が相次ぎ、現在ロープが張られて立ち入り禁止になっているそうだ。女岩では水が汲めない状態になっているので注意されたい。

    賑わう茅ヶ岳山頂

 さて、下山だが、今回は現在廃道になっている尾根道を歩いてみることにした。かつては分岐部に看板があり、その下に通行不能と書かれていたが、現在は分岐部の道標自体が無くなってしまっている。女岩側に下山して右に曲がって下りるところを曲がらずに真直ぐ進むと廃道になっている尾根道に取り付ける。茅ヶ岳の番人、末木さんが好んでこの道を下山しているらしく、通行できることは間違いない。ただし、どこに下山するのやら。おそらくは大明神林道沿いの伐採地に出るはずだ。

    女岩側に下りる分岐点を曲がらずに真直ぐ進む。


    「通行不可」の赤看板。これを無視して進む。(決して真似しないでください。)

    
 以前下見した時はずいぶん籔っぽい道に見えたが、その時の比べると道が明瞭になっているように見えた。そしてその先には・・・「通行不可」の赤看板がついていた。これを無視して先に進むと、隣のピークまでは明瞭な道がついていた。そしてその山頂には祠が立っていた。林道からの道が整備される前はおそらく普通に使われていた道だったのだろう。

    祠の立つ隣のピーク。向こうに見えるのが茅ヶ岳。ここまでの道は明瞭。


    祠のあるピークから先は道が不明瞭。広い尾根を進む。

 その先は広い尾根道になっており、明瞭な道ではなくなる。尾根通しに進んで行くと急斜面のところで道らしきものは無くなってしまうが、女岩側の谷に近い側を進むとところどころにテープやペンキサインがつけられている。15分ほど進んでカラマツの林に入ると、そこには再び明瞭な道が現れる。

    なんとなく道っぽいが明瞭ではない。ペンキサインやテープがところどころに着いている。


    カラマツ林を抜けてヒノキ植林帯に突き当たる。ここからまた道は不明瞭になるが、ここを右に進んだ。

 カラマツ林を抜けると、視界が開けて今度はヒノキの植林帯に出くわす。ここで道は左右に分かれているように見えるが、どちらも道は不明瞭だ。右に曲がって獣道のような細い道をヒノキの植林帯に沿って進むと、やがて明瞭な尾根道が出現する。左手には伐採された斜面が見えるようになり、その下に大明神林道が走っているのが見えてくる。予想通りの場所に下りることができた。山頂から林道までの下山に要した時間は1時間40分ほどだった。

    尾根から見下ろす伐採跡と大明神林道


    伐採跡の右端に抜ける。予定通りの場所に下りることができた。

 ビランジ、ミヤマモジズリに次いでヒゴスミレ、オキナグサという珍しい花に出会うことができ、廃道も迷わずに歩くことができて、収穫の多い茅ヶ岳山行だった。
 
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カイコバイモを探して 日蔭山へ  平成24年4月15日

2012年04月17日 | 山梨無名山
 平成24年4月15日

 甲府市武田通りの桜はもう散り始めていた。前日の雨でだいぶ花が傷んでしまったようだ。御坂界隈の山ではカタクリが咲く季節、かつ、あのカイコバイモもこの季節、カタクリが咲く少し前に咲く。数年前にこの花の情報を提供していただき、2年前に一度訪れているが、その時は既に時期が遅く、カタクリの花が散った後だった。思親山でこの花を見つけ、生育環境がおおよそわかったので、今度こそ見つけられるかもしれない。
 前日の雨は標高の高いところでは雪だったようで、三つ峠ライブカメラの映像を見ると朝の三つ峠は薄く雪化粧し、雲海の上に富士山が浮かんでいた。4月にしては珍しい光景だった。朝は山に行くかどうか迷っていたうえに、前日携帯電話を紛失してしまい、それを探さなければならないこともあって、10時過ぎまで自宅にいた。職場に携帯電話を探しに行き、それから出発て登山口に向かい、着いたのは午後1時になってしまう。

 この道はほとんど歩く人がいないようで、しっかりした道ではあるがあまり歩かれた様子が無い。ここから最も近い山梨百名山は滝戸山だが、地味な山であまり人気が無く、かつ林道を車で行くと登山口から1時間とかからずに山頂に到着してしまう。ほとんどマニアの人しかおそらくは歩かないのだろう。登山道に入って10分ほどでカタクリの花が咲いているのを見つけた。さいさき良いスタートだ。


    新鮮なカタクリの花が咲く。


    道脇にお地蔵さんが立つ。

 さらに登って行き途中休憩したところであたりを見回してみると・・・あった!幻の花、カイコバイモ。今年こそは見つけることができた。思親山のように固まって咲いているわけではないが、あたりにぽつりぽつりと3株、さらに登って行くと並んで2株、登山道のすぐ脇、間違って踏みつけてしまいそうなところに1株、計6株咲いているのを発見した。


    ヒナスミレ


    アズマイチゲ(だと思う)


    ミヤマエンレイソウ


    発見!カイコバイモ


    2株並んで咲いたカイコバイモ




    登山道脇に咲いていたカイコバイモ

 さらに登って尾根に出て尾根沿いに進んで広い峠にたどり着く。途中カタクリの蕾が何株かあったが、何かおかしい。咲いたと思われる株の先に花がついていない株がある。おそらくは鹿に食べられてしまったのだろう。途中の林の中にあったカタクリの群落も以前よりも数が減っており、花が全くついていなかった。


    蕾のカタクリ


    花が無くなってしまっている株があり、葉も食べられたような跡がある。おそらくは鹿の食害。

 時間は午後4時、実に3時間もかかった。日蔭山はすぐそこに見えるが、時間を考えると・・・下山しようと思ったのだが、前回来た時に心残りだったのが日蔭山よりも滝戸山に登る道だ。5時半までにこの峠に戻ってくれば十分に下山できる。日蔭山までは30~40分、反対側に下りて滝戸山の道を探して戻るとおそらく1時間半くらいになるだろう。意を決して行くことにする。


    途中で登山道を左に逸れて尾根に取り付く。


    日蔭山への最後の登り。一応テープが付いている。

 この先の道は不明瞭なところが多い。日蔭山に登る明瞭な道は無いが、登山道を逸れて尾根に撮り付けば登るのは容易だ。一応道らしくなっており、テープが付いている。登り付いた日蔭山山頂は落ち葉の中にぽつんと三角点が立っていた。眺望は無い。テープが一つだけ付いていたが明瞭な道は無い。


    日蔭山山頂の三角点。


    小さな看板が付けられている。

 落ち葉の斜面を登ってきたと反対側に下りて行くとカラマツの広場に出た。ここは前回来た時に雪がうっすらと積もっており、道を見失って滝戸山にたどり着けなかった場所だ。テープも何もないが、うっすらとある踏み跡を滝戸山の見える方向に進むと、その先にテープの着いた明瞭な道があった。その先に滝戸山が見える。時間は4時半、十分に戻れる時間だ。


    カラマツ林。この広場には名前がつけられていたが、忘れた。踏み跡薄く、方向を見失いやすい。


    カラマツ林から振り返って見る日蔭山の斜面。

 カラマツの林からの帰り道はこれまた不明瞭でわかりにくい。以前に一度来ているから帰れるが、初めてだと道に迷うかもしれない。木の枝につけられた小さな赤テープのところを右に入って日蔭山山腹を巻いて進むのだが、真っ直ぐにも行けそうに見えた。ここは色気を出して10分ほど下りてみたのだが、その先には道らしきものは無かった。戻るのに15分かかり、ここで30分ほど時間を消費してしまう。そして峠に到着したのは5時20分、まだ十分に明るい。小休憩した後、足早に下山し、登山口に6時ちょうどに到着した。下山途中で本日7株目のカイコバイモにも遭遇できた。


    真っ直ぐ進んでしまいそうだが、ここの木の枝に付いている小さな赤テープを右に進んで日蔭山山腹を進む。(見えますか?中央右寄り、太めの枝。)

 これで情報をいただいた思親山、日蔭山の2ケ所はこの花があることを確認できた。おそらく、御坂山塊の他の場所も探せばあるのだろう。


    地味な花だが、出会えて良かったカイコバイモ。最後に見つけた一株。

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山と花と星の奏でる上映会 in STARBUCKS COFFEE

2012年04月13日 | 番外編
 スターバックスコーヒー甲府アルプス通り店で、DVD上映会を開催します。おいしいコーヒーを飲みながら、手作りのスピーカーから流れる優しくシャープな音楽を聞き、そして山、花、星、月の映像を見て、くつろぎのひとときを過ごしてみてはいかがですか?




 2月に山梨病院で行ったスライド上映会と一部映像が重なりますが、今回はパワーポイントではなく、新たにDVD編集しなおした作品です。パワーポイントとは違う味わいがありますので、是非ご覧ください。
 多くの皆様のご来場をお待ちしております。
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今年も咲いてくれるのか?早春の思親山  平成24年4月8日

2012年04月13日 | 御坂・毛無・天子山系
 平成24年4月8日

 甲府市武田通りの桜が満開になった。ちょうどこの頃に咲く花、それが思親山のあの花だ。昨年はこの季節に2度訪れ、ようやく出会うことができた。今年は咲いてくれるのか?
 思親山は登るよりも佐野峠まで車で行くほうが大変だ。林道の道幅が狭く、対向車が来ると交差するのが容易ではない。ここに行くたびに、「対向車来ないでくれ」と祈りながら車を運転している。林道途中2台の軽トラックと遭遇したが、いずれも山作業に来ていた林道を慣れた車だったので、交差できるところで私の車を待っていてくれ、難無く通過できた。佐野峠に12時頃到着。雲が巻いてはいるが富士山が姿を現した。

    佐野峠から見る富士山。左は天子ヶ岳。


    登山道脇に芽を出したバイケイソウを踏まれないように囲いがしてあった。左端がカタクリの葉で、花はまだ咲いていない。


    良く手入れがしてある思親山のヒノキ林。

 佐野峠から思親山山頂までは1時間ほどで到着でき、登山に行くというレベルではない。最初から三脚にカメラをセットして、花を探しながら歩き、途中登山道を逸れて林の中を捜したりしながら進む。カタクリはまだ咲いておらず葉っぱだけ。1株だけ蕾をつけたものを見つけた。ミスミソウは一部だけほころび始めていた。予定通り、1時間ほどで山頂に到着。

    思親山山頂。富士山は再び雲隠れ。 


    山頂の山梨百名山標柱は朽ちかけている。次に行くときはニスを持って行くことにしよう。


    のんびり食事して帰ろうとした頃に再び富士山が現れる。

 さて、あの花は?稀少植物、絶滅危惧種と言っても良いかもしれない花、カイコバイモ。他にも咲く場所の情報はあるが、見つけたのはこの山だけだ。まだ蕾で、1~2週間ほど訪れるのが早かったが、昨年に比べると本数は少ない。誰かが隠そうとしたのか、それとも枝打ちの杉の葉が偶然上に乗ってしまったのか、茎が杉の枝の下に隠れて曲がってしまっていたので、葉をよけて真っ直ぐに立つように直してきた。可哀そうなことに、6本のうちの1本は茎が折れてしまっていた。

    ほころび始めたミスミソウ。


    希少種カイコバイモ。まだ蕾で、少し時期が早かった。


    カイコバイモ  風に揺れてなかなかうまく撮らせてくれない。

 いつまでも咲いて欲しい、可憐な花たち。
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東北被災地巡礼Ⅲ③  平成24年3月30日-4月1日

2012年04月12日 | 南アルプス
 平成24年4月1日(3日目)

 宿泊地の仙台から海沿いを南下して福島県に入り相馬市(できれば南相馬まで)を視察してから甲府に戻る予定で、9時過ぎホテルを出発した。高速道路を走る予定だったが、カーナビの設定を間違え、そのうえ道を間違えて一般道を走ることになってしまう。亘理町に後輩が内科乳腺クリニックを開業しており、日曜日は休みなのを承知で建物だけ見学させていただいた。クリニックは国道沿いにあるが、海からやや離れた高台にあり、津波の被害は無かったという。しかし、仙台にある彼のマンションは水につかり、家具は全て使えなくなったという。震災当日は停電となり、帰宅できずにクリニックの2階で毛布にくるまり、非常用のパンを食べてしのいだと後に手紙をいただいた。



    津波で木の枝にひっかかったゴミと壊れた家。


    相馬市の手前、国道沿いにあった災害廃棄物置場。「仮置場」とは書かれているが、いつになったら片付くのだろうか?


    木と金属などのがれきが混じり合った災害廃棄物。処理が相当大変そうだ。中には明らかに故意に捨てた産業廃棄物が混ざっているのは悲しい。


    壊れた学校の建物と案内標柱。


    2階まで津波が達していたと思われる。窓ガラスが粉々。


    学校の前から見る海側の景色。すぐ向こうに海が広がる。


    墓石はほとんどが倒れたままだ。ご家族は生存されているのだろうか?

 カーナビの地図を見ながら、国道を逸れてできるだけ海沿いの道を行くが、相馬市の手前で道が壊れており、国道に戻らざるを得ない場所があった。再び海沿いの道に戻ると、前方に大きな煙突が見えてきた。横を通り過ぎてみると、相馬火力発電所だった。福島原子力発電所があの状態なので、おそらくフル稼働なのだろう。その周辺の住宅街は壊滅的な被害を受けており、名取や仙台空港周辺、石巻などと同じく土台しか残されていなかった。


    相馬火力発電所とその周辺の住宅街。


    壊れた家。


    港近くの道路看板は下の部分が曲がってしまっている。


    相馬市の港近くの住宅街。ここはまだ整地されていない。

 相馬市で時間は午後1時を過ぎてしまい、ここまでで視察を止め帰路につく。福島西インターまで山を越えて1時間少々、さらに東北道をひた走り、渋滞に巻き込まれつつも甲府には9時半に到着した。
 まだまだ復興どころか、後片付けすらできていない東北の被災地。行政の立ち遅れは言われているが、がれきの処理に対する被災地以外の地域の理解も少ないように感じる。もちろん、復興のための予算も無いだろうし、増税は止むを得ないのではないかと、被災地巡礼のたびに思ってしまう。山梨県ももっと積極的に支援して良いのではないだろうか。いつ大震災に見舞われるかわからないし、次に支援を受けるのは山梨県かもしれないのだから。
 
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東北被災地巡礼Ⅲ② 平成24年3月30日-4月1日

2012年04月10日 | 番外編
 平成24年3月31日

 仙台空港、名取市閖上を視察後、高速を使わずに海沿いの道を北上して塩釜、松島を経て石巻に入る。石巻市立病院に行くはずだったが、道を誤って石巻湾に架かる大橋を渡って対岸に行ってしまった。そこには、先日テレビで見たばかりの大きな缶詰めタンクが道の中央分離帯に横たわっていた。



    道路の中央分離帯に横たわっている缶詰めのタンク。撤去か、大津波の記憶を風化させないために保存か、議論されていることがテレビで取り上げられていた。

 大橋を戻らずに川の脇ある住宅街を通って上流の橋を渡ることにしたが、その途中で見る住宅街の景色は悲惨だった。壊れてもう使い物になりそうもない家がたくさん、その向こうはがれき置き場になっていて、山のように積まれたがれき、さらに水はけが悪く、潮の腐った悪臭が漂っていた。1年以上経ってもまだこういうところがたくさんあるのだろう。


    今にも倒れそうな家。その向こうはがれき置き場。


    水(潮)のたまった空き地と壊れた家々


    こちらの水たまりは相当酷い悪臭が漂っていた。


    石巻市立病院。相変わらず周辺は水に浸かっている。


    潮の満ち干で水位が変わるようだ。前回は道も水に浸かっていた。


    石巻市立病院玄関。以前は近くまで行けたが、現在は1階部分にベニヤ板が張られ、立ち入り禁止になっている。


    火災にあった学校周辺はだいぶきれいに片付けられたが、建物はまだそのまま。

 再び海沿いの道を北上して女川に向かう。女川は海が急峻に深くなっており、高い津波に襲われ、かつ強烈な引き波に引かれて甚大な被害を受けた場所だ。牡鹿半島を短絡すると早く到着できるのだが、半島の様子を見てみたかったので大回りして女川に向かった。牡鹿半島の道路は高い位置に通っており、見下ろす海際の集落はほぼ壊滅しているように見えた。1時間ほど牡鹿半島を走り、女川に到着したころ、雨足が強くなってきた。


    一見何事も無かったかのように静かな女川の海。海鳥が泳ぐ。


    漁船が停泊し、漁業が再開されているようだが、港の岸壁は壊れてヒビだらけ。


    まだ壊れた車やがれきが散乱しているところがある。 


    港沿いの壊れた建物は現在撤去作業がすすめられている。


    津波で倒れてしまった鉄筋の建物。3棟が倒れて横たわっている。
    

    この建物を保存するか、撤去するか、現在議論されているらしい。

 港の道路脇に「おかせい」という魚屋さん、兼食堂があった。夕食にはまだ早かったが、コンビニのパンやおにぎりばかりだったのでちょっと立ち寄ってみることにした。地元でとれたドンコや黒鯛、毛ガニなどが並んでおり、漁業は再開されていると言っていた。にぎりを注文したが、どれもおいしい魚ばかりで、しかも格安だった。食事を終えたころにお店のおばさんに津波の話を聞くと、やはり相当大変だったようだ。家も店もすべて津波で流されてしまった、しかし、請求書だけは来た。それどころではないと思ったがなんとか支払った。雇っている男性は息子さんとおばあさんが流されてまだ見つかっていない、女川町内だけでまだ320人が行方不明だ。あの倒れているビルを見ると思い出してしまうから早く撤去してほしい。高台に家を移す計画があるが、整地して家が建つまでまだ2~3年はかかる、仮設住宅の生活は厳しい・・・などなど、淡々と話す姿を見て、思わず涙がこぼれてしまった。信玄餅をおみやげにあげた代わりに、毛ガニをごちそうになってしまい、また来ることを約束した。

 もう時間は5時を過ぎてしまい、南三陸町志津川はあきらめて仙台のホテルに戻ることにした。帰りは海沿いではなく、高速道路に沿った国道を走ったが、途中で気が変わり東松島町の仙石線を見て行くことにした。もう日が暮れて暗くなってしまっていたが、5月に視察した野蒜駅周辺は片付いてはいるものの、鉄道の復旧はほぼ困難であろうと感じた。この地区は津波後の復旧活動が大幅に遅れ、孤立していた地域だと聞いている。残った家の電気がちらほらと点いており、修理して住んでいる人もいるようだ。


    仙石線野蒜(のびる)駅。横倒しになっていた電車は撤去されているが、まだ倒れた電柱などが散乱している。


    昨年5月に見たこのあたりの景色はまさに惨劇だった。粉々になった家とがれき、倒れた電車、壊れた線路。死者も多数いたのだろう、花束が手向けられていたのが印象的だった。

 (4月1日に続く)
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東北被災地巡礼Ⅲ① 平成24年3月30日-4月1日

2012年04月10日 | 番外編
 昨年の5月、8月に次いで3度目の被災地視察となる。野次馬のようで申し訳無いという気持ちもあるのだが、現地の状況はやはり実際に行って見てみないとわからないと思う。
 3月30日の午後から出発して宿泊地の仙台に夜9時到着した。宿泊したホテルはスマイルホテル仙台というところで、行ってびっくり、繁華街の国分町ど真ん中だった。ここに2泊して明日は石巻から可能ならば志津川まで、明後日は南下して相馬を見て帰る予定だ。ホテルの近くにあった牛たん屋で食事をしたが、適当に入った店は有名な店だったようで、芸能人のサイン色紙がたくさん飾られていた。味噌焼き牛たんと牛たんのさしみは特においしかった。

 3月30日
 
 朝8時にホテルで朝食をとり、9時ごろから出発、まず仙台空港に向かう。ここは昨年8月に訪れた際にもうだいぶ片付いて整地されていた。

 〈仙台空港周辺〉

    海沿いの住居跡地や松林はすっかりきれいに撤去され、堤防の修復工事が行われていた。


    建物は一部が残されているだけできれいに撤去され、整地も済んでいる。右に見えるのが仙台空港。




    閖上地区に向かう途中の道路脇に打ち上げられている漁船。この場所は昨年5月にも訪れている。その時は壊れた家やがれき、車、船などが散乱し、塩水の腐った臭いがただよっていたが、すっかりきれいになっている。

 次に名取市閖上地区に向かう。震災前は住宅街だったこの地区は津波により壊滅的な打撃を受け、住居はほとんど何も残らず、多くの犠牲者が出た地区だ。確かに平らな場所で、逃げる高台は無く、遥か数キロメートル西の仙台東部道路くらいしか無い。

 〈閖上地区〉


    日和山神社は多くの人が訪れるので、横を整地して駐車場が設けられていた。


    献花台の花が尽きることは無い。5月に来た時は一帯にがれきが散乱し、戦争の後のようだった住居地も、すっかり片付いている。


    閖上小・中学校で植えた閖上桜。昨年は緑色の葉がついていたが、枯れてしまっているようだ。


    近くにある閖上中学校を訪れる。中は見学できるようになっていた。


    時計の針は2時46分で止まったままだ。


    壊れた1階の教室。校庭にはまだ船が3隻打ち上げられたままになっている。


    校舎前の献花台。





    献花台の机に書かれたメッセージ。中学生の素直な気持ちが伝わってきて、胸を打たれる。

(続く)
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やまなしの夜富士

2012年04月09日 | 南アルプス
 今までにアップロードした動画を見てみると、圧倒的に北岳が多いことに気付きました。山梨県を代表する山と言ったら、やっぱり富士山でしょう。昼の富士山と夜の富士山、続けてお楽しみください。同じ場所から撮影した映像もあります。

やまなしの富士



やまなしの夜富士


 平成24年4月30日(月)、連休の2日目ですが、スターバックスアルプス通り店で上映会を開催することがほぼ決定しました。夜7時から2時間くらいの予定です。本来ならばトライアングルKの3人組と一緒に音楽会&上映会をやりたかったのですが、3人の都合がどうしてもつかず、今回は音楽付きの上映会となります。今回アップロードした映像も上映する予定です。音楽担当の花形先生はこの上映会に向けてまた新たにスピーカーの作製を始めたようです。ご期待ください。
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金星・木星・月接近 平沢峠から見る八ヶ岳  平成24年3月27日

2012年04月07日 | 番外編
 平成24年3月27日

 前日の山中湖に次いで、八ヶ岳に沈む月・金星・木星を撮影に出かけた。時間が許せば飯盛山に登って山頂から撮影したかったが、仕事を終えて甲府を出発したのは午後5時過ぎ。平沢峠に到着したのは6時を過ぎ、日はもう沈んでしまっていた。月と金星が西の空高く輝いているのが見える。

    平沢峠から見る夕暮れの八ヶ岳


    月と金星輝く八ヶ岳

 何度も来ている平沢峠と飯盛山だが、いつも邪魔になるのがスキー場の明かり。明るすぎて空の星も、八ヶ岳の輪郭も消えてしまう。消えていることを期待したのだが、やはりそうは行かず、夜が更けるにつれてナイターの照明が眩しいほどに輝く。ハーフNDフィルターで減光してみたが、ほとんど効果無し。

    八ヶ岳に輝く月と金星  明るすぎるスキー場のナイター照明。それとこの奇妙なフレア。照明がそのまま空に浮いている。




    月・金・木星とオリオン座






    オリオン座と冬の大三角形



 車のすぐ近くに三脚を立てて撮影していたので、足はサンダル履きだったらつま先が痛いほどに冷え込んだ。8時半まで粘り、木星が八ヶ岳に沈んだところで撮影終了、帰路につく。

    八ヶ岳に輝く月と金星
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八ヶ岳に咲く稀少植物たち

2012年04月05日 | 八ヶ岳・秩父山系
八ヶ岳に咲く稀少植物たち


 甲府市武田通りの桜がちらほらと咲き始めました。もうすぐ山も花のシーズンを迎えます。昨年は山梨県山岳連盟のレインジャー活動に参加させていただき、八ヶ岳の花調査を行いカモメラン、ムシトリスミレ、イチヨウランなどの稀少植物を見てきました。今年は、ホテイランと天候が許せばツクモグサを久しぶりに見に行きたいと思っています。
 私のブログでホテイランを見ている方が多くいらっしゃるようですが、花期が合えば美濃戸から入って南沢沿いで意外と出会うことができる花です。当たり年になると良いですね。
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名峰北岳.mp4

2012年04月04日 | 南アルプス
名峰北岳.mp4



 大好きな山、日本第2の高峰北岳を周辺の山々から見た映像で綴ってみました。曲は若手女性演奏家グループ、1966カルテットです。平成24年4月1日に放送されたはずの「題名のない音楽会」に出演したはずなのですが、確かテレビ東京で放映されると思っていたので、レグザメニューでその日のテレビ東京そっくり全部録画しておきましたが、チャンネルを間違ったのか、録画されておらず、大変がっかりしています。
 メンバーの松浦りささんは高嶋ちさ子と12人バイオリニストのメンバーでもあり、山梨県韮崎市でコンサートがあった際に少しだけお話させていただきました。1966カルテットのコンサートはもうやらないのかと聞いたら、「呼んでください」と言われました。いったいどうやって呼べば良いのでしょうか?六本木STBでやったコンサートに行かなかったのを後悔しています。
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金星・木星・月接近 鉄砲木の頭  平成24年3月26日

2012年04月04日 | 番外編
 平成24年3月26日

 夕暮れの西の空で金星・月・木星がほぼ一直線に並ぶこの日は、鉄砲木の頭から富士山の裾野に沈んで行くところを撮影しようと以前から決めていた。あとは天候のみだが、この日は雲が多くて日中は富士山には雲が巻いていた。しかし、雲画像と天気図を見る限りでは回復してきそうな様子が伺える。ひとまずは山中湖まで行ってみることにする。
 御坂峠を越えて河口湖に行くと、富士山は山頂部分が雲におおわれている。途中道を誤って高速道路に乗ってしまい、ついでだから須走インターまで行って篭坂峠を通って山中湖に入った。こちら側も雲が巻いていて富士山は見えない。しかし、西の空は青空が広がり始めており、期待はできそうだ。午後4持20分、パノラマ台の駐車場に到着。夕暮れの富士山を狙っているのか、それとも私と同じく月・金・木星を狙っているのか、数台のカメラマンらしき車が止まっていた。日没にはまだ早いので、ここで早めの夕食をとって夕暮れを待つ。

    もうすぐ夕暮れ。パノラマ台駐車場を出発。


    富士山の裾に夕陽が沈む。


    鉄砲木の頭にある神社。この奥の道標には何故か明神山頂と書かれている。

 そして5時、パノラマ台駐車場を出発。普通に歩くと40分ほどで鉄砲木の頭に到着できるが、ここは三脚を担いで夕暮れを眺めながらゆっくりと歩き、6時に山頂到着した。月が見えているが思ったよりも位置が高い。待っていると、金星が輝き出し、さらに木星も見え始める。富士山もしだいに山頂が見えるようになってきた。

    月と金星が輝き出す。


    夕暮れの山中湖と月  10mm超広角レンズで撮影。


    金星・月・木星接近  その上にはプレアデス星団(スバル)が輝いている。


    金星・月・木星と山中湖の灯り


    同上  富士山は春霞で霞んで見える。

 思ったよりも寒く、おそらくは-3℃から-5℃くらいの気温だったのだろう。(下山してからの車の温度計は-3℃だった。)にもかかわらず、春霞がかかっていたのか、富士山はあまり鮮明ではなかった。しだいに富士山の裾野に沈んで行く月・金星・木星を、寒さを堪えながら眺め、8時まで山頂で過ごした。まだ月は沈んでいなかったのだが、富士山の写りがいまひとつ、かつ、頻回に飛行機が飛び交うために8時であきらめた。

    パノラマ台から見るオリオン座と冬の大三角形。空は霞んでしまっている。

 20分ほどでパノラマ台駐車場に到着。もう撮影している人はいなかったが、まだ車は2~3台駐車していた。明日の朝までやる気なのだろうか?
 折角の面白い天体現象だったのに、空模様がいまひとつで、満足な写真にはならず。星空の撮影が難しいシーズンになってしまった。
コメント
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