山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

遠き山、念願の平ヶ岳へ(後編)  平成24年9月15-16日

2012年09月20日 | 日本百名山
 前日カモシカ山行により姫池を目指したが、雷雲が頭上をおおい、夜9時半に登るのをあきらめて登山道上にツエルトを張ってビバークすることとなった。未明3時に起き出すと、空には一面の星空が広がる。3時半からまた星空を撮影しながら山頂目指して歩き始め、姫池の手前、標高2,000mを越えたあたりの池ノ山山頂直下で夜明けを迎えた。


    朝日射すハイマツと平ヶ岳


    姫池と休憩所(テント場として使用可能)。左が平ヶ岳。

 急登を20分ほど登ると池ノ岳山頂に到着し、すぐ先に姫池があった。それまでの樹林帯の光景とは違って展望が大きく開け、別世界にでも入り込んだかのような気分になる。なんと静かで美しいところだろうか。標高2,100mもの高地、しかも山上にこんな澄んだ池があり、広大な湿原が広がっていること自体が不思議でならない。

    姫池池塘越しの平ヶ岳


    広大な高層湿原


    綿毛になったチングルマ

 三脚を担いだままこの素晴らしい景色を楽しみながら、整備された木道の上をゆっくりと山頂に向かって歩く。長い距離を歩いてきた疲れを忘れさせてしまうような美しい景色だ。

    山頂に向かって延びる木道と広大な湿原。


    三角点は手前の木に囲まれたところに立つ。


    山頂の池塘と八海山、中ノ岳、越後駒ケ岳(左から順)


    至仏山と武尊山、さらにその右には・・・


    至仏山、武尊山、そして富士山まで見える。

 景色を楽しみながら山頂で朝食をとっていると、テント泊の人たちがやって来て、「あそこに富士山が見える」と教えてくれた。近眼の私には最初はどこだかわからなかったが、レンズを通してズームをかけると、確かに富士山だ。この時期にこんなに空気が澄んで遠くまで見える日は珍しい。
 「この先通行止め」の標柱の先に行く踏み跡あり、立ち寄らせていただいた。100mほど進んだところで今度は群馬県と新潟県の2本の標柱がありそこにはこの先立ち入りご遠慮くださいと書かれていた。その先は地図上では藤原山、大水上山を経て中ノ岳、越後駒ケ岳に至る尾根だが、通行禁止になっている。

    山頂の突き辺りには「この先通行止め」の標柱が立つ。先に続く踏み跡がありその先まで行ってみると・・・


    「植生復元事業実施中 この先立ち入りご遠慮ください。群馬県」の標柱があり、ここで引き返す。

 昭文社の地図には平ヶ岳周辺はテント禁止のため早立ちして日帰りするように書かれている。しかし、鷹ノ巣登山口から往復21㎞の距離を日帰りするのは容易なことではない。公にはテント禁止ではあるのだが、三角点付近にある看板を見てみると、「指定地以外でテントを張らないでください」と書かれている。その指定地とは、姫池周辺の休憩所、もうひとつがこの看板のところにある板場なのだろう。非公認ではあろうが、長距離の山行に配慮してテントが張れるように配慮してくれているようだ。

    三角点付近に立つ看板。注意の「3.指定地以外でテントを張らないでください。」と書かれている。テントは絶対禁止ではないようだ。


    看板付近にあるテント場(と思わしき場所)。

 朝8時になると、山頂に続々と登山者がやって来た。こんな早い時間にどうやって登って来られるのか不思議だった。途中ですれ違った若者に尋ねると、朝5時半から登り始めたという。2時間半で登頂・・・鷹ノ巣登山口からではあり得ない時間だ。たまご石に向って歩いて行くとそちら側から続々と登山者がやって来る。これはどうやら裏側の林道の詰めから登って来る人たちらしい。一般車は通行止めでツアーの送迎車が入っているとの話は聞いたことがある。休憩中の方に聞いてみると、銀山平の山小屋に宿泊するとバスで1時間かけて林道詰めまで送ってくれるのだそうだ。本日は3台の送迎バスが出たとも言っていた。

    たまご石への分岐。ここから700m、されど700m。


    オヤマリンドウがたくさん生えているが、好天のこの日も花は開いていない。めったに開花しないこの花。


    たまご石近くの大きな池塘


    あの林の先にたまご石がある。


    ようやく到着、たまご石。


    アップで見ると人の顔のようにも見える。山上の天然スフィンクス。


    戻りながら見る平ヶ岳と燧ケ岳

 たまご石はすぐ近くにあるのかと思っていたが、1㎞弱離れており、20分ほどで到着したものの、かなり遠く感じた。9時半に姫池テント場(休憩所)に戻ると、林道側から登って来た人たちがたくさん休憩してごったがえしていた。この頃には足の速い鷹ノ巣側からの登山者も登って来ていた。小休憩後、この素晴らしい景色に別れを告げて長い道のりを下山開始する。

    姫池と平ヶ岳。この美しい景色に別れを告げ、下山開始。

 昼12時を過ぎた頃から3日間の寝不足の疲れが一気に出始める。とにかく眠い、立ち上がるとクラっとする。水分を十分にとりながら休憩をとりつつ歩くが、全くピッチ上がらず、体の疲れよりも眠気との戦いとなる。山頂の水場で水は1500ml(手持ちと合わせて2L)十分に汲んできたが、台倉清水の水場でさらに500ml汲み、クラクラする頭と足元のスリップに十分注意しながら細尾根を下りる。(なお、登りの際に2ケ所の水場は枯れていて使えないと聞いていたが、台倉清水は流れてはいないものの、えぐれて盆状になった岩の中に周辺からしみ出た水がたまっており、そこから汲むことができた。)午後3時40分、ようやく鷹ノ巣の駐車場に到着した。
 車の中で一寝入りしようと思って車の窓を開けたまま横になったところ、あっという間に蚊の大群に襲われ足は虫刺されだらけとなる。とてもここでは寝られず、檜枝岐の小尾瀬公園まで行って1時間ほど寝る。駒の湯という日帰り温泉で汗を流した後、西那須野インターに向かうがやはり眠く道の駅で2時間ほど睡眠。さらに高速に乗り、栃木県佐野サービスエリアで食事後、今度は爆睡、気が付けば朝の6時、もうすっかり夜が明けていた。甲府到着9時30分、その日は自宅でひたすら寝た。

 登山口までのアプローチも、そして山頂までの距離も遠い平ヶ岳。念願の山にようやく登ることができた。確かに日帰りでは大変だが、テント1泊となると夜叉神峠から登る鳳凰山と同程度(あるいはもう少し軽い)山といった感じだった。山上の池塘が広がる景色はこの世のものとは思えぬほど美しく、苦労して登るに十分値する山である。銀山平山小屋泊で送迎バス利用するのも手軽で良いと思うが、聞くところによると相当人気が高く、年内はもう予約がいっぱいだと聞いた。次に行く機会があれば、今度こそ池塘に映る天の川を撮影してみたいものだ。
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遠き山、念願の平ヶ岳へ(前編)  平成24年9月15-16日

2012年09月18日 | 日本百名山
 新潟県と群馬県の県境にある平ヶ岳は、登山口の檜枝岐までのアプローチが遠く、また、山頂まで11㎞という距離は日帰りで行くには果てしなく遠い。いつかは行ってみたいと思いながらもなかなか行けずにいた山である。9月3連休は珍しく何も仕事が入らずに3日間そっくり休みとなった。この機会に平ヶ岳に行ってみることにしたが、連休2日前の当直が尾を引いて連休初日からかなり眠い。さて、どうなることやら・・・。

 9月15日の連休初日は早朝3時に目が覚めた。起き上がってはみるが、前々日の当直疲れが全く抜けず、眠い上に体が強烈にだるい。ひとまず朝風呂に入って目を覚まし、準備して4時半に自宅を出発する。中央道、圏央道、東北道を経て西那須野インターで降り、檜枝岐に向かう。走行距離約400㎞、カーナビで約7時間の行程だ。しかし、それにしても眠すぎる。東北道まで乗ったは良いが眠すぎてサービスエリアでちょっと横になったつもりだったが、気が付けば2時間も眠っていた。そして目的地檜枝岐の先、鷹ノ巣平ヶ岳登山口に到着したのは午後2時になってしまった。午前中に登り始めて姫池のほとりでテント泊と考えていたが、いくらなんでも午後2時では遅すぎる。ちょうど下山してこられた方がいたのでコース状況を聞いてみると、細尾根を過ぎると上は木道が整備されていて迷うところは無いという。(ちなみにこの方はかなり足が速く、山頂まで4時間半だったそうだ。コースタイムでは7時間半くらいかかる。)車内泊するにも中途半端な時間だし、17日の天候も思わしくなさそうだ。意を決して、ここは得意の夜間登山することにして、午後2時半から登り始める。荷物軽量化のためテントではなくツエルトにして、シュラフを持たずシュラフカバーとウォームアップシーツで一夜を凌ぐことにする。

    平ヶ岳登山口。駐車場は25台ほど駐車可能。


    細尾根を登る。既に陽は西に傾いている。


    細尾根。スリップに注意を払う。


    下台倉山の直下はかなりの急傾斜。ロープが何本も設置されている。

 林道を進むと細い橋を渡り、右側の登山道に入ってすぐに細尾根に取り付く。ここから標高差約700mの急登りが続く。7~8人の下山者とすれ違ったが、皆相当疲れた顔をしている。確かに往復21㎞、累積標高差約1600mは容易くは無い。そして約3時間かけて、まだ明るい午後5時20分、下台倉山に到着した。細尾根はなんとか明るいうちに通過したが、まだ歩いた距離は3分の1にも満たない。稜線には着いたがこの先がまだまだ長いのだ。

    下台倉山到着。時間は午後5時20分。


    夕暮れの燧ケ岳。心地良い夕風が吹く穏やかが夕暮れだったのだが・・・

 隣の台倉山の手前で日没となり、台倉山頂上でヘッドライトを装着する。この頃には燧ケ岳山頂あたりに雲がかかってはいたものの、至って穏やかな天候だった。すっかり暗くなった夜7時過ぎ、林の中から空を見上げると、夏の大三角形を貫くきれいな天の川が空を横切っていた。順調に行けば9時ごろには姫池に映る天の川が見られそうだ、と期待が膨らみ、眠気と闘いながらひたすら姫池目指して歩く。ところが、7時半を過ぎた頃から周辺の空に真っ黒な雲がかかりはじめ、雷鳴こそは響かないものの稲光が光り始めた。最後の登り、池ノ山の登りにさしかかった頃、その黒雲は池ノ山の上にもかかり始め、頭上でピカピカと光り始めた。笹の中に一旦身を潜めてやり過ごし、再び登り始めたが、今度は雷鳴を伴ってさらに激しく光り始めた。標高は1900m、目的地姫池まではあと1時間とかからないだろうが、ここであきらめて林の中まで下りてツエルトを張ってビバークすることにする。9時半、木の枝にツエルトの端を紐で吊るし、中に潜り込んで夕食、10時にシュラフカバーに潜り込んだが、意識を失うかのようにあっという間に眠りについてしまう。
 そして目を覚ましたのは未明2時。汗で濡れた下着と服が冷たくて寒く目を覚ました。外を見れば満天の星空が広がっている。しかしまだかなり眠気が強く、下着を着替えてさらに1時間ほど寝て、3時に起床、ツエルト撤収して3時半にまた歩き出す。東の空に昇った金星が眩しいほどに輝いている。その上にはオリオン座と冬の大三角形、それを貫く冬の天の川が見えている。北西の空にはカシオペア座に向かって夏の天の川が立ちあがっている。

    森に昇ったオリオン座と冬の大三角形。木の間の明るい星が金星、中央上の明るい星は木星。


    北西の空に天の川が垂直に立ち上がる。


    オリオン座と冬の大三角形、さらに金星。中央に見える山は燧ケ岳。


    燧ケ岳に昇るオリオン座と冬の大三角形(拡散フィルター使用)


    カシオペア座と北斗七星(わかりますか?右の低空に登って来た北斗七星、天の川の中にいるカシオペア座)


    池ノ岳に立ち上がる薄明の天の川


    薄明の空と金星


    薄明の空に消え行くオリオン座と冬の大三角形

 4時半にはもう星の輝きは消え始めてしまうので、おそらくは姫池に映る天の川は撮影は困難だろうとこの時点で判断し、眺望の得られる池ノ山山頂直下で日の出を迎えることにした。ちょうど燧ヶ岳の真上にオリオン座と冬の大三角形が昇って来ているところだった。やがて空は薄明の深い青色に変わり、東の空がオレンジ色に輝き出す。次第に星の輝きは朝の空に消え、そして日の出を迎える。何度見ても美しい山上の夜明けだ。(後編に続く)


    夜明け前の平ヶ岳


    夜明け前の燧ケ岳


    夜明けの空①


    夜明けの空②


    山上の日の出


    朝日浴びる平ヶ岳

 (後編は朝の姫池、平ヶ岳の美しい景色を掲載します。ご期待ください。)
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夏の花探しと標柱整備 茅ヶ岳  平成24年9月12日

2012年09月13日 | 山梨百名山
 偶然空いた平日の水曜日、前日に山に行くことを決めた。行き先は今年3度目となる茅ヶ岳。秋のハイシーズンを前に標柱を整備しておきたいこと、それともう一つは晩夏に咲いているだろう花を見る目的だ。
 いつも通り大明神林道に車を乗り付けるが、ここで腹痛に見舞われ、一旦深田公園の駐車場まで戻ってトイレを済ませる。駐車している車は全て県外ナンバー5台ほど、さらに「○○山歩きの会」なる看板がついた小型バスが1台止まっている。ここから登っても良いのだが午後からの夕立が怖いので再び林道に入り、10時に出発。前夜に小雨が降った女岩に向かう登山道はしっとりとしていて歩きやすい。いつもながらに、道の両脇に様々な花が咲き、目を楽しませてくれる。

    前夜に雨が降った後で、しっとりとして歩きやすい登山道


    道の脇に様々な花が咲く。ツリフネソウ。


    ミズヒキ


    メタカラコウ

 1時間ほどで女岩に到着。春先に崩落があって現在立ち入り禁止になっているが、崩落状況を確かめたく黄色テープを乗り越えて立ち寄らせていただいた。崩落したのは水場の左側で、確かにずいぶん岩が崩れて積もっている。しかし、平らになった手前側まで石が転がって来た様子は無く、水汲み場はそのままの状態だった。落石に気をつけながら水場に近付き飲んでみると、以前と変わらず冷たくておいしい水が流れていた。ただ、放置されたままの水汲み用のカップは中がすっかり汚れて真っ黒になっていた。

    落石のために立ち入り禁止になっている女岩


    水汲み場の左側がだいぶ崩落しているが、水は以前と変わらず流れていた。

 登山道に戻り際、落ち葉の積もった岩の間に靴が挟まって前のめりに転び、顔面を軽く岩にぶつけるというアクシデントあり。軽い擦り傷程度で出血は無かったが、これは天罰が下ったのか、それとも山の神様のたわむれか・・・。顔をタオルで拭いてまた登り始め、茅ヶ岳の森らしい風景が広がる林の中で休憩する。この森は何度来ても心地良い。

    急斜面を登った先に咲いているメタカラコウ。ここはいつも群生して咲く。


    ミソガワソウ


    トリカブト  こちら側の斜面は白っぽいトリカブトが多い。


    茅ヶ岳の森


    この森は何度来ても心地良い。

 さらに登って尾根に出たところで右側の展望岩に立ち寄る。ここは曲岳から黒富士、さらにその向こうの金峰山の眺望が抜群の場所だが、意外に知らない人が多く、ここに立ち寄っている人をあまり見かけたことが無い。そしてもうひとつ、このあたりにお目当ての花があるはず・・・と探すと、2株発見したが既に時期を過ぎており、もう花は半分以上枯れてしまっていた。
 深田久弥慰霊碑を過ぎてさらに山頂に向かって登って行くと、山頂近くに5~6株お目当ての花が咲いているのを発見した。本日一番見たかった花、ミヤマモジズリだ。この場所で発見するのは初めてで、意外とたくさん咲いていてうれしくなった。そして間もなく山頂到着。時間は午後1時、3時間もかかったことになる。

    展望岩から見る曲岳(中央)、升形山(右中)、黒富士(右)。金峰山山頂は雲の中。


    ミヤマモジズリ  今回一番のお目当てはこの花。少し遅かった。


    ミヤマアキノキリンソウ


    茅ヶ岳山頂。珍しく誰もいない。その後、2人の登山者がやって来た。

 標柱はいつもと変わらず元気に立っていた。心配しているのは朽ちかけている古い標柱のひび割れから水が入ってさらに朽ちてしまうこと、もうひとつは新しい標柱の鋸で切られたつなぎ目からの水の浸入だ。ボンドスプレーで何度も固めてはいるが完全な防水には至らない。今回は適当なボンドスプレーが見つからず、速乾性のクリアーボンド(アロンアルファに似た類のボンド)を持ってきて、これをひび割れた部分に詰め込んだ。さらにその上からニススプレーを噴霧して作業終了だ。標柱の裏側に張り付けてあった山日新聞記事は新しいものに変えられていて、何度も被害にあったこの標柱の歴史がさらに追加されて書かれていた。茅ヶ岳の番人、末木さんが管理してくれているものだろうが、ただただ感謝するばかりだ。この山を愛し、標柱を守ってくれている人たちはたくさんいるのだ。

    朽ちてひび割れた部分にボンドを詰め込んで固める。(少し付け過ぎたようだ。)


    標柱の裏側には新聞の切り抜き記事が新しく貼りかえられていた。


    ニススプレーを噴霧して修復完了。

 作業を終えて午後2時ごろから尾根道を下山する。登山道脇にはビランジが咲いており、立ち寄ったザレ場にもまだ咲き残っていた。そのうちの1株は今までに見たことが無いほど大きな株だった。そして春に愛嬌ある姿を見せてくれたあの花は・・・これがあの花かと思うような大きな葉をつけて日を浴びていた。

    登山道脇に咲いていたビランジ。今年のは花が大きい。


    ザレ場の咲き残っていたビランジ。今までに見た中で一番大きな株。


    これが5月連休に見たあの花??花の可愛らしさからすると別物のよう。

 3時10分、下山。職場に向かって車を走らせて行くと、途中でバケツで水をひっくり返したような夕立となった。15分ほどで雨は止んだが、もう少し下山が遅くなったらずぶ濡れになっていたかも知れない。9月も半ばになるというのに、まだ残暑は厳しい。
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プチ籔トレーニング 日蔭山から滝戸山へ  平成24年9月9日

2012年09月13日 | 山梨百名山
 鶯宿峠まで林道を車で行くと、標高差約200m、1時間とかからずに到着してしまう滝戸山は、樹木に覆われた山頂で眺望が無く、山梨百名山制覇を目指しているか、キノコ狩りなどの目的でなければこの山頂に登る人はほとんどいないのではないだろうか。6年前に山梨百名山踏破のためにここを訪れたのはまだ本当に登山初心者の頃だった。鶯宿峠からあっけなく到着したこの山頂は何の達成感も無かったように記憶している。今回はめったに人が歩かず、道標も立てられていない右左口峠から日蔭山を経て滝戸山に至る半籔ルートを歩いてみた。
 
 天気予報が週末は雨だったので登山はあきらめていたが、予報が変わって雨ではなくなった。8日の土曜日は夕立ちを恐れていたが結局甲府は雨が降らず、ちょっと損した気がしていた。9日の朝は6時に目を覚ますが、青空が見えるものの低山の山上には雲が巻いている。朝風呂に入って8時過ぎにゆっくり出発、当初の予定は節刀ヶ岳だった。稜線上にマルバタケブキが咲いているはずだ。コンビニで買い物し、精進湖ラインを車で走らせるが、途中で春に歩いた日蔭山を思い出した。そういえば滝戸山への登山道をようやく見つけたもののまだ歩いていなかった。予定変更して右左口林道に入り、右左口峠に向かう。芦川側からだとこの林道に入れるが、甲府側は崩落しているらしく全面通行止めになっている。峠に車を置き、まずは日蔭山目指して10時半に出発。

    右左口(うばぐち)峠まで車で入る。


    登山道入り口。崩落地だが、木にペンキのマークが着いている。

 日蔭山もほとんど登る人がおらず、道はだいぶ荒れており、倒木も目立つ。もともと山頂へは明瞭な登山道が無い山なので、登山道(林業作業道)のいちばん高いあたりから適当に斜面に取り付いて山頂を目指す。峠から1時間とかからずに山頂に到着する。林の中の山頂には三角点と小さな看板が木にくくりつけられている。

    登山道の一番高いあたりから斜面に取り付いて山頂を目指す。


    三角点のある日蔭山山頂。向こうにちいさな看板が付いている。眺望は無い。

 小休止後、反対側のカラマツ林に下りる。林の中は平らになっていて、中央部が広場のようになっている。看板もテープも無く、初めて来るとどちらに行ったらよいか方向が分からなくなるが、今回で3度目なので大丈夫、と思っていたがそれほど甘くはなかった。春に来た時は草も少なく、なんとなく踏み跡らしきものがあったのだが、今回はそれらしきものが全くわからなくなっていた。たぶんこの方角、と進んで行くと、その先に道を発見した。しかし、春に見つけた道とは若干違うような印象を受けた。ひとまずその道を行ってみると、すぐに方向が違うことに気付く。滝戸山方向に向かって行くはずの道が山から遠ざかって甲府盆地側に進んでいる。戻れば良いのだが、この道はどこに続いているのやら??確認のため20分ほど下り、そこで道は崩落していた。回り込んでその先に行くような細い踏み跡があり、その先の尾根に続いていた。どうやら精進湖ラインの登り始めのあたり、甲陽学園あたりに続いているようだ。

    カラマツ林の中央部は広場のようになっている。


    道発見。しかし、方向がおかしい。


    途中で崩落していた。その先は甲府盆地の方向に尾根伝いに道が続いている。

 道を登り返して広場に戻るが、ここで1時間近く時間を費やし、汗だくで体力も消耗した。広場で休憩して、今度は日蔭山を背にして先ほどとは90度ほど違う方向に進む。そして見つけた赤テープ、今度こそ間違いなく道は滝戸山方向に続いている。少し下って平らになり、今度は尾根に取り付いて登りになる。登山道は若干窪んでいて道らしくは見えるものの、倒木や木の枝が延びていてかなり荒れている。ほぼ一定な傾斜の尾根を外さないように、赤テープを追いかけてひたすら登ると、やがて尾根が広くなり、山頂部にぽんとたどり着いた。そこにあった古い看板は「千畳敷 1246m」と書かれていた。

    登り返して広場に戻り、別の方向に進む。


    発見!赤テープ。この先に春に見つけた道があった。


    赤テープが付いていて何となく道があるのはわかるが・・・倒木と木の枝の張り出す荒れた道が続く。


    山頂部近くなると尾根が広く平らになってくる。赤テープはしっかり付いている。


    山頂到着。「千畳敷」・・・ここはどこ??

 いったいここはどこなのか?林の中で眺望は悪いものの、あたりをぐるりと廻って見渡してもここより高い山は見当たらない。地図を持ってこなかったので滝戸山がどちらになるのかわからないが、しかし、このピークで方向を直角以上に曲げて、尾根沿いに赤テープが点々と付けられているのが見える。そちらに進んでみることにする。高度を少しずつ下げながら、小コブをいくつか越えて尾根伝いに赤テープを追いかけて行くと、35分ほど歩いたところで左側から来る道と合流し、その合流点に「滝戸山頂上まで 0.14km」と書かれた道標が立っていた。間もなく見覚えのある石柱に到着、そのすぐ先に滝戸山の山梨百名山標柱が立っていた。午後1時50分、滝戸山山頂に到着。ここは標高1,221mで、先ほどの千畳敷よりも25mほど標高が低かった。どうやら滝戸山界隈の最高点は千畳敷のようだ。

    方向を左に変えて赤テープが点々と続いているのが見える。


    左側から来る道と合流し、そこに滝戸山山頂を示す道標が立っていた。


    山頂裏にある石碑。ここは以前に来た時に見覚えがある。


    滝戸山山頂到着。標高差は450mほどしか無いが、想定外に苦労した。


    ここは山梨の森百選に選ばれている。


    ミズナラの巨木が立ち並ぶ森


    山頂で記念撮影。初登頂の時は登山用ズボンを忘れ、どうせ誰もいないからとスパッツだけ穿いて登って来た。3段腹と下半身のモッコリが格好悪くてとても人に見せられず、未掲載になっていた。いつか撮り直そうと思っていた1カット。

 昼食をとって休憩、さらに1度目の登頂以降は山頂の標柱と記念撮影することはめったに無いのだが、前回の写真がとても人に見せられるようなものでは無かっただけに、撮り直す。あとは登って来た道を間違えないようにひたすら下るだけだ。滝戸山から千畳敷までは40分ほどかかり、想定していたよりも遠かったことがわかった。3時40分、カラマツ林、4時5分、右左口に到着した。空はどんよりとした曇り空に変わっていたが、なんとか雨に降られずにすんだ。

    下山時に気付いたが、こちらには「登山道」の看板があり、正規ルートは途中で合流した道がそうらしい。

 簡単に登れるルートもある滝戸山・春日山(いずれも山梨百名山)だが、ルートを選べば魅力的な登山が楽しめる山と言える。しかし、富士山の展望にはあまり恵まれず、どちらかといえばマニアックな山だろう。


    右左口峠ー日蔭山ー滝戸山ルート


    高低差
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ブルームーン・・・ならず、赤城山地蔵岳  平成24年9月2日

2012年09月06日 | 日本百名山
 8月31日と9月2日の夜は2日間続けて満月になるブルームーンと呼ばれる月が昇る夜だった。赤城山は関東平野のいちばん北側に位置する山で、ここからは前橋市の夜景をはじめ、天気が良ければ関東平野を一望でき、富士山まで見ることができると聞いた。テント規制が無いとはいえ、山上テント泊は決して好ましいこととは言えないが、ブルームーンが照らす特別な夜だけに、今宵は山上で夜景を見ながら寝ることにした。
 小沼に移動して最短距離(約30分)のコースで地蔵岳を目指す。2人用と1人用テント1張りずつを張る予定だったが、2人用テントポールを忘れ、止む無く1人用2張りとビバークツエルト1人用を張ることになる。6時過ぎから登り始めたので、山頂に到着したのは日没過ぎ。平らな場所を探してヘッドライト点灯してテントを張ることになる。途中で月が昇り始めたのが見え、さらに霧の切れ間から町明かりが見えた。今宵の夜景と月を期待しながら夕食をとるが、7時半を過ぎた頃から霧が深くなり、うっすらと霧を通して見えていた月は見えなくなってしまった。さらに夜景も全く見えない状態になる。霧が晴れることを期待して8時半にツエルトに潜り込んで寝る。
 目が覚めたのは未明1時半。外を見ると相変わらずの深い霧で何も見えない。さらに2時半にもう一度外を見るが状況は変わらない。外が明るくなりはじめた4時半に起床して外に出る。電波塔の立ち並ぶ山頂周辺を散策するが視界が悪くて下界の様子は全く見えない。期待していたブルームーンと夜景は不発に終わってしまった。

    霧の巻く地蔵岳電波塔


    薄明の地蔵岳山頂


    山頂の看板と鉄塔


    眼下に夜景が広がるはずだったのだが・・・


    地蔵岳だけに地蔵が立ち並ぶ。


    山頂のケルンと三角点

 5時半、他のメンバーを起こして朝食にする。天候が悪いのであまり登って来る人はいないだろうが、早々にテント撤収して6時半には下山開始する。といっても20分とかからずに小沼駐車場に到着してしまうのだが、いろいろ花が咲いていたので私だけ三脚を担いで撮影しながらゆっくりと下山した。7時20分、駐車場に到着。


    キオン


    アキノキリンソウ


    ツリガネニンジン


    ワレモコウ  これを見ると秋を感じる。


    マツムシソウ


    ウメバチソウ  けっこうたくさん咲いてました。こんなところに・・・と言ったら赤城山に失礼。

 時間が時間だけに入浴施設もまだ開いていないだろうが、ひとまずは温泉をカーナビで探して行ってみることにする。赤城温泉の某宿に行って交渉すると、日帰り入浴は10時半からだそうだが、コンサートが午後2時からあって待っていられない事情を話すと、時間制限付きで入浴させてくれた。さっぱりしたところで、今度は蕎麦屋を探して行ってみるが、午前10時ではまだ始まっておらず、11時のところを10時半に店開きしてくれるとは言われたものの、あきらめて高速道路のサービスエリアで食事することにした。
 12時半、コンサート会場の川越市市民会館に到着、まだ開場まで2時間もあり、川越の町を散策する。古い城下町で昔を偲ばせる建物や商店街が残されている。川越高校の学園祭が盛大に開催されており、そちらにも立ち寄ったが人が多すぎて校舎内に入れず、山岳部の催し物会場まで行くことができなかった。
 
 今回のヴァイオリンコンサートの川井郁子さんは日本でも有数のストラディバリウス奏者だ。演奏も素晴らしいが容姿も淡麗だ。お気に入りの「水百景」や「ジュピター」、さらに最新曲の「ブルーバード」(11月公開、吉永小百合主演映画のテーマ曲)など10数曲をすっかり酔いしれて聞かせていただいた。サイン会では丁寧に一人一人挨拶して握手されており、人柄の良さも伺えた。


    川井郁子さんのCD「Appassionato」ジャケットと自筆のサイン


 さて、次回の群馬界隈の山は10月連休、これも1966カルテットコンサートとセットの予定。りゅう座流星群が来ている日なので天気が良いことを祈りたい。
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盛夏 赤城山  平成24年9月1日

2012年09月05日 | 日本百名山
 7月に訪れた群馬の山、武尊山は前日埼玉県入間市で催された1966カルテットのコンサートとセットだった。そして今回は翌日の9月2日に埼玉県川越市で催される川井郁子ヴァイオリンコンサートとセットだ。甲府を早い時間に出発できれば日光白根山あたりを考えていたが、業務を済ませてからでないと出発できず、さらに起床予定時間を30分も寝過ごすというおまけがついた。さらに、天気予報では空気の状態が不安定で午後には雷雨になってもおかしくない状況だった。空模様を見ながら中央道、関越道を走り、赤城山に行き先を変更する。ここならば天気が急変しても下山が容易だ。植田さんと高山君を数日前に半ば強引に誘って3人で出かけた。
 赤城山の大沼に12時到着。まずは沼を1周して北側のテントサイトを確認するが、黒檜山登山口までやや遠い。さらに、おかしなことに駐車場のど真ん中にテントを設営している人を見かけ、こんな反則技がここではまかり通るのかと不思議に思っていた。地図上では南側もバンガローやテントサイトになっているように見受けられたので、駒ケ岳経由黒檜山登山口に近い大沼南側湖畔の駐車場に車を止める。周辺を探すが、テントは一張りも無く、お土産物屋さんのおばさんに尋ねるとバンガローならあると教えてくれた。沼のボートをやっている人が同じ経営者と聞き、そちらに行って交渉すると、本日はバンガローはやっていないそうで、テントも不可だった。さらに、先ほど見て来たテントサイトは料金がかからないと聞いてびっくり。
 とりあえずは車をその場所に置いて、黒檜山の駒ケ岳コース周回してくることにして出発した。午後1時、歩き出すとすぐに小雨が降り出し、雲が空をおおい出す。本降りと雷にならないことを祈りつつ、登山道へ進む。


    大沼の南側駐車場。広い駐車場で、しかも駐車料金はかからない。赤城山は全て駐車料金がかからないらしい。


    笹原の中をジグザグにつけられた登山道を進む。


    駒ケ岳稜線の直下は急斜面。階段が何本かつけられていて、ルートは良く整備されている。


    もうすぐ稜線に出るところだが、山には霧が巻きつく。

 1時間ほどで駒ケ岳稜線に到着。晴れていれば前橋から関東平野一円の眺望が得られるのだろうが、雲で何も見えない。雨はほぼ止み、雷鳴は聞こえてこない。予定通りその先の駒ケ岳を越えて赤城山最高峰の黒檜山に向かう。


    気持ちの良い笹原が広がる。


    良く整備された快適な稜線歩き。眺望が得られないのが残念だが、その代わりに日が遮られて涼しい。


    駒ケ岳山頂


    マルバタケブキ  この花が咲いているのを見ると、ここも鹿の食害かと思ってしまう。


    生えている木が山梨の山と全く違う。これは何の木?

 駒ケ岳のコルから黒檜山への登りは木の階段がつけられた急登が続く。登りきったところで花見ヶ原からの道と合流し、間もなく黒檜山神社に到着する。ここが山頂かと思ったらそうではなく、山頂はさらにその先、大沼への登山道と合流して10分くらいのところに広い平らな山頂があった。三角点はその中央に設置されていた。午後3時5分、山頂に到着。


    黒檜山神社


    黒檜山山頂(赤城山最高点)

 山頂で休んでいると地元の方と思わしき、この山域にかなり詳しい方が登って来た。いろいろと情報を教えていただき、赤城山は国有地になっていて土地の個人的持ち主がおらず、駐車場もテントも料金をとっていないのだそうだ。さらに、テントサイトはあるものの、実際には他の場所にテントを張ってもあまり文句は言われないそうで、どこにテントを張ってもおそらくは大丈夫だろうという話だった。駐車場のど真ん中にテント設営している人がいるのも納得できる。展望台がさらに5分ほど先にあると聞いていたのでそちらに行ってみたが、ここも霧で何も見えない。昼食をとって下山する。


    黒檜山展望台。沼田から高崎側の眺望が開けるらしいが、何も見えず。

 下山は急傾斜の大沼北東側登山道を下りる。こちらは駒ケ岳経由の登山道とは大違いで、岩がゴロゴロした急斜面の悪路、しかも小雨の後で岩が滑って歩きにくい。中腹で高山君がスリップ転倒するといアクシデントがあったが、全く怪我無く済んだ。下部では大沼の眺望が開け、眼下に赤城山神社と橋を望むことができる。この頃には青空が見えてきたが、山上には若干雲が巻きついていた。午後4時50分、湖畔の道路に下り立つ。登りよりも下りのほうが辛かった。


    下山道は急傾斜、岩ゴツゴツの悪路。


    登山道下部から望む大沼と赤城山神社


    湖畔の道路に到着。下山はスリップと浮き石に気を使い、昇りよりも疲れた。


    赤城山神社に立ち寄る。

 赤城山神社に立ち寄りながら湖畔の道路を歩き、駐車場に到着した。駒ケ岳・黒檜山周回して約4時間20分の行程だった。
 
 さて、昨夜と今宵はブルームーンと言って、2日間続けて満月が昇る日だ。(実際には14夜後半と15夜の月。)おとなしくテントサイトで月を眺めながら寝るか、それともどこか夜景の見えるところで寝るか・・・。(赤城山続編に続く)

コメント
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