山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

雨天の三ツ峠散策  令和2年6月28日

2020年06月30日 | 山に咲く花
 毎年恒例の三ツ峠清掃登山であるが、今年はコロナウィルス対策のため一般募集はせず、メンバーは自然保護グループとその関係者数名の計8名で行くこととなった。集合時間の8時には雨が降っていて全く乗り気では無かったのだが、三ツ峠山荘での講義を仰せつかっているのでメンバーが登るならば行かないわけにはいかない。カッパを着て傘を差しての入山である。いちばん後方を、まだ探索していない三ツ峠のシダを見ながらの登山である。


    道路脇の壁に生えていたイワデンダ


    オウレンシダ


    結構生えていたこのシダ、キヨタキシダと思われるが、ミヤマシダも混ざっていると思われる。ソーラスはまだ付いていなかった。


    たぶんホソバナライシダ。


    やや大き目の包膜があるソーラスが付着。


    何だか分からなかったのがこのシダ。


    最下羽片の下向き第一小羽片は大き目だが、イタチシダの仲間ほどでは無い。トウゴクシダかと思うが小羽片の切れ込みが細かい。


    小羽片中央に付着するソーラスはベニシダの仲間のように思える。


    鱗片。何だか不明だが、トウゴクシダが最も近そうである。


    たぶんヘビノネゴザ。雨の中を笠を差しながらの撮影で、鱗片やソーラスを撮影する余裕は無かった。


    テンナンショウも見て歩く。葉っぱはユモトマムシグサに似るが、この山ならばミミガタテンナンショウだろう。


    これはちょっと葉っぱの感じが違う。仏炎苞は出ておらず。来年以降確認の必要がありそうだ。


    ひょっとして出会えるかと思っていたのがこのテンナンショウ。葉は5枚で形はユモトマムシグサに似るが、軸が1本のみである。


    軸の途中から葉より低い位置に仏炎苞が付く。おそらくヒロハテンナンショウと思われる。見つかったのは1株のみなので結論はもう少し数を見てからである。

 雨の中で笠を差しながらの撮影でほとんどが手持ち撮影だったため画像はいずれもブレていていまいちである。レンズに水滴が付くのでそれを拭き取りながら撮るのでなおさら時間がかかり、メンバーからだいぶ遅れて三ツ峠山荘に到着した。小休憩してメンバーは山荘ご主人の中村さんの案内で山頂付近の花散策に出かけたが私は一人で屏風岩のほうに下りてみる。今年見ておきたかったクモイコザクラの葉を見てくるのが目的だったが、この季節はダイモンジソウとの葉の区別が難しく、たぶん撮って来た写真はダイモンジソウなのではないかと思う。


    屏風岩に付着していたツルデンダ。レンズが結露して拭き取っても白くなってしまう。


    目的の葉はこれか?しかし葉脈が平らで毛も少ない。これはダイモンジソウなのでは?来年花の時期に再訪してみたい。


    たぶんこれが見たいと思っていたグンナイキンポウゲ。


    根元に近い部分の葉の先端部が円みを帯びていて花茎に毛が多いのが特徴らしい。画像でははっきり分からないが見てきた感じではそうだった。

 三ツ峠山荘に戻って昼食となり、その後パワーポイントを使って講演させていただく。勝手知ったるメンバーなので、今回は花の解説を少なくして今年の春から見てきた画像でうまく撮れた写真80数枚を披露した。さらに、最近取り組んでいるシダの画像、それも滅多に見ることが出来ないような絶滅危惧のシダの写真を披露した。それなりに面白かったのではないかと思う。


    保護柵の中を案内していただく。天候が悪く、今年は清掃は行わなかった。


    クサタチバナが満開


    アツモリソウは少し遅かった。

 午後になったら雨が上がり一瞬富士山が見えたのだがシャッターを切る前に雲に隠れてしまった。午後4時半ごろに下山してきたが、その後甲府に帰る途中でワイパーで吹き払えないほどの土砂降りの雨となった。もう少し下山が遅れていたら大変だったかも知れない。


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花は咲いたか?  湯村山  令和2年6月26日

2020年06月29日 | 山に咲く花
 今年の春にエビネを散策している時に発見したトンボソウの仲間らしき植物はそろそろ咲いているのではないかと見に行ってみた。仕事を終えて夕方出かけた上に天候が悪く空が暗いため森の中は薄暗く花が探しにくい。斜面を登って行くとこの日は暑かったこともあるのだが汗だくになる。ところが・・・ただの暑いだけではなく急斜面の途中で失速、膝がガクガクして力が入らなくなる。低血糖症状を起こしてしまった。ちょっと散策のつもりだったのでおやつも水も何も持って来ておらず食べ物無し。GPSで見ると目的地まであと50mほど、目と鼻の先である。ここは少し休憩して・・・と思ったのだが、、森の中は藪蚊だらけで、目の前を10匹くらいブンブンと藪蚊が飛んでいてとても座って休憩などしていられない。顔と手にヤマヒル退治用のアルコールスプレーを散布して防御しつつ、ピッチを下げてなんとか目的地に到着した。しかし・・・その場所は登山道の中だったため、マークしていた花は踏まれたらしく消滅していた。折り返して藪の中を探しながら歩くとなんとか2株出会うことが出来たが、まだ咲いていなかった。


    暗い森の中、藪蚊に追われながらやっと発見したトンボソウの仲間はまだ蕾だった。


    2株目。これも蕾。


    尻尾(距)が少し伸び始めている。


    全体的な形はオオヤマサギソウに似ているがいちばん下の葉の先端部が尖っている。おそらくこれはオオバノトンボソウ。


    葉の柔らかいハシゴシダ


    葉が硬めのシケシダ

 脇道から本来の登山道に戻った。もう1ヶ所マークしているところをGPSで見てみると、あと200mほど先である。さてどうしようか?症状は少し良くなって来ていて緩斜面をゆっくり歩くならばなんとかなりそうなので行ってみることにする。


    本日一番の大株。この株は知っている人がいるらしく周辺の笹が一部折れて倒れており踏み跡もあった。


    長い距が伸びている。


    咲くのはあと2週間後くらいだろう。

 今度はおやつを持って再訪してみたいと思う。


    帰り際に見かけたイワガネソウの新緑の葉
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復活したカモメラン、しかし食害も・・・  御坂山系の山  令和2年6月25日

2020年06月27日 | 山に咲く花
 カモメラン保護のため保護柵を設置してある山がどうなっているのか気になっていたが、週末毎週のように入っている植物調査のため訪問出来ずにいた。一度は午後に年休をとって登山口に向かったが途中から雨に降られて撤退している。そしてこの日、午後に時間がとれたので再び年休をとって入山する。年20日とれる年休はもう既に半分以上使ってしまった。今後どうなるのか、不安がある。


    前回の保護柵点検時は霧に阻まれて発見できなかったヤシャビシャク。この木には3株着生していた。


    着生植物ヤシャビシャク


    別の木の株。結実して棘の生えた実が成り始めている。


    保護柵に到着。ポールが傷んで傾いているところがある。かつ、柵のつなぎ目が半開き状態になっていた。


    中を見て愕然とする。鹿の食害に遭っている。


    レンゲショウマなどのショウマ類、ユキザサなどが被害に遭っていた。


    カモメランの被害は少ないが踏み荒らされてしまっている。個体数は約40株。


    咲き残っていたカモメラン。


    2つ目の柵。周辺との植生の差が明らかになってきた。


    ここは被害に遭っていない。オクモミジハグマがだいぶ多くなってきた。共生してくれるのかどうか?もうしばらく様子を見ることにする。


    咲いた花数は約20株。


    個体数自体はさほど変わっていないが確実に花数は増えている。


    3つ目の柵。柵の損傷は無く鹿の食害も無し。柵の中は草が青々と茂り、周囲との植生の差が明らかになってきた。


    復活してきたカモメランが昨年以上に咲いてくれている。


    全盛期の頃までは行かないが、3年前の食害に遭う以前の状態くらいまで復活した。


    花数は約80株、個体数は約300株。やっと元に戻って来てくれた感じである。


    踏み跡が付いて減ってしまっていた場所も復活してきてくれたことは嬉しい。

 3ヶ所設置した保護柵のうち1ヶ所は残念ながら柵が破損して食害に遭ってしまった。来年はもう少し高めの柵でしっかりと設置し直す必要がありそうである。他の2ヶ所は順調にカモメランが再生している。他の植物も増殖して生存競争が起こってしまっているかも知れず、今後の経過によっては他の植物を一部取り除かなければいけないのかも知れない。経過を見つつ、花に詳しい方々とも相談しつつ、今後のことを検討したいと思う。

 さて、今回の一番の目的はこのカモメランであるが、もうひとつ見ておきたかったのはこの山域に生育しているユモトマムシグサである。先日見てきた櫛形山のものとどう違うのか、見ておく必要がある。さらにもうひとつ、前回訪問時に見つけたイッポンワラビと思わしきシダ、そろそろソーラスがはっきりと付いている頃だろう。


    黒岳山頂付近で見かけたユモトマムシグサ。茎が長くて背が高い。


    この個体は仏炎苞の高さが葉と同じくらいで櫛形山のものと似ているが、背の高さが全く違う。これがヤマナシテンナンショウとの違いと思われる。


    オシダ(右)とミヤマクマワラビ(左)。並べてみると大きさと葉軸の色が全く違う。


    真ん中から茎の長い葉が出ている。


    その葉が胞子葉。細長いソーラスの痕跡が出ており、これはミヤマシケシダと思われる。


    やや大きめのシダが群生。これが確認したかったイッポンワラビと思わしきシダ。


    茶色いソーラスが小羽片中軸寄りに付着。イッポンワラビで間違い無さそうである。櫛形山で見たハコネシケチシダと思わしきものとは別物。


    もう1種類、確認しておきたかったイノデの仲間。葉のツヤが少ない。


    幅広い鱗片


    葉軸中央から上の部分に付着する鱗片。ソーラスは葉の上のほうに付着する。


    鱗片の拡大。幅広のものもあるのだが大部分は次第に先細りしている。これはイワシロイノデと思われる。

 自信は無いが、おそらくこのイノデは櫛形山で見たものと同じくイワシロイノデなのではないかと思われる。確認に行ってみないと分からないが、高座山近傍の林の中で見かけたものはツヤナシイノデではないかと思っている。では焼山沢で見たものは?八ヶ岳で見たものは?次々と疑問が湧いてくる。やっと見るべきポイントが分かってきたイノデの仲間は一度見ただけではまだ見分けられるだけの実力を持ち合わせていない。何度も見に行っていつか分かるようになってくるのではないかと思っている。


    キンポウゲだが何かちょっと違う気がする。茎や葉に毛が多い、良く見れば根元近くに出ている葉の先端が丸っこい。たぶんグンナイキンポウゲだろう。
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櫛形山で出会ったシダたち  令和2年6月21日

2020年06月27日 | シダの仲間
 植物保護のメンバーたちと一緒だったのでいつものようにシダの鱗片やソーラスまでじっくり撮影している余裕は無かったが、それでもメンバーの足を大きく引っ張りつつ、かなり遅れて歩きながら撮影してきた画像である。中には、何だか分からないシダもあって帰って来てから初見のシダであることが分かったものもある。


    圧倒的に多いのがこのシラネワラビ。あちらこちらで群落を形成しており、一部シカの食害に遭っている。


    柵の中にたくさん茂っているのはおそらくヒメシダ。そのうち葉裏に黒いソーラスが付着して来ると思う。


    元気に胞子葉を出しているヤマドリゼンマイ


    管理歩道脇の岩壁に生えていたフクロシダ。下に生えているのはイワデンダ。


    ミヤマウラボシ


    シラネワラビと並んでこの山では圧倒的に多いオシダ。


    根元の鱗片はイノデと似て密に生えている。


    この山で確認しておきたかったのがこのイノデ。葉の光沢は鈍い。


    幅の広い鱗片が密に付着している。


    注目すべきがこの中軸中央部から上部付近に付着している鱗片。


    トリーミング画像。次第に先細りして行く長三角形状の鱗片。おそらくこのイノデはイワシロイノデだろう。良く似たツヤナシイノデは先端部が急に細くなる。


    そしてこれが何だか分からなかったシダ。当初はイッポンワラビだろうと思っていたが大きさがかなり大きい。


    形はほぼイッポンワラビと同じに見える。


    鱗片は薄め。これだとイッポンワラビとの区別が出来ない。


    違うのはこのソーラス。楕円形、ないしは円形の大きさが不揃いなソーラスが付着している。


    おそらくこれはハコネシケチシダではないかと思う。

 シダの師匠からいただいた山梨県のシダリストにはハコネシケチシダの名前が出て来ない。おそらく山梨県では珍しいシダの中に入るのではないかと思う。師匠に鑑定を依頼しようと思っている。じっくり探せば、他にもいろいろ出てきそうな気がする櫛形山、機会があれば時間の許す限りゆっくりと探索してみたい。
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櫛形山探索  令和2年7月21日

2020年06月26日 | 花・花・花
 アヤメにはまだ少し早いが自然保護の仲間たちと櫛形山を訪れてみた。復活してきた花が咲いているのをうまくすれば見られるかも知れない。遊歩道から離れた場所で咲いている花を想定して、100㎜マクロレンズの他に200㎜ズームレンズも持って行く。


    池の茶屋の保護柵内でさっそく現れたヒメムヨウラン。満開。


    シラネワラビに混じって生えているこのシダは?後日別記事で掲載する。


    バイケイソウが茂る登山道。その先には設置されて2年目の保護柵。


    保護柵内はシロバナノヘビイチゴがだいぶ増えているが、まだ目立った変化は現れていない。


    櫛形山山頂で小休憩。


    その先にもヒメムヨウランの群生。


    これはユモトマムシグサだと思っていたが・・・後述。


    樹齢300年の天然カラマツ。しかし櫛形山を知る人の話だと50年前から樹齢300年と書かれているとか・・・。


    裸山到着。毎度撮影している定点からの撮影だが、アヤメはまだ咲いていない。


    茂っているシダはヒメシダと思われる。


    裸山山頂付近のアヤメは少しだけ咲き出していた。

 予想はしていたが、裸山のアヤメはまだ早く、一部が少し咲き出しているだけだった。テガタチドリもまだほとんど見当たらない。裸山山頂で小休止してアヤメ平に向かう。


    シラネワラビが群生する斜面。ありふれたシダだがこれはこれで美しい。


    タカネフタバラン群生


    小さな花芽が出ている。


    保護柵の外と中でさらに明らかな違いが出てきた。


    保護柵の中のヤマドリゼンマイ。生き生きしている。


    かつてはキンポウゲがたくさん咲いて黄色い絨毯になっていた場所だが、クガイソウやハンゴンソウに変わっている。熾烈な自然界の覇権争い。


    そんな草地の中に復活してきた花がある。


    遊歩道から見える位置にも復活してきた花。マクロ100㎜で撮影。観察には要双眼鏡、撮影には100㎜以上のレンズが必用である。

 登山規制が解除されてまだあまり日が経っていない山梨の山は、登山者はさほど多くは無かった。その登山者の多くがこの花の復活を聞きつけてやって来た人たちだった。アヤメ平の休憩所では久しぶりに会う花の恩師の先生や、著名な花の写真愛好家の方たちともお会いした。昼食後、尾根道を使ってほこら小屋方面に進み、あまり使われていない管理歩道を歩いて池の茶屋に戻った。


    管理歩道を歩くが、いきなりの倒木。ところどころ歩道が崩れている場所があった。


    クサタチバナのお花畑


    サルオガゼ


    ナツトウダイは結実していた。

 予定時間よりもやや早く、3時半に池の茶屋に到着して解散となった。足が遅いうえに撮影で時間がかかる私が足を引っ張らなければ、あと1時間は早く到着出来たのであろうが、これは止む無し、と思う。

 さて、今回見たかったのは復活した花のこともあるのだが、この山域に生育しているユモトマムシグサを点検したかった。ネットのマムシグサの詳細を載せているサイトを見てみると、ユモトマムシグサの変種でヤマナシテンナンショウというものがあるらしい。これは北岳の大樺沢あたりに生育しているものだと思っていたのだが、そのサイトの記事を見ると撮影地が富士川町と記されていた。ということは、この櫛形山に生育しているのはヤマナシテンナンショウなのでは?他の場所のユモトマムシグサとどこが違うのか?ということになって来る。


    いわゆる普通のマムシグサ


    櫛形山バラボタン平付近で見かけたユモトマムシグサ。背が低くて小ぶりである。


    もっと小型でヤマナシテンナンショウらしいのがこの株。葉と同じ高さか、それより低い位置に仏炎苞が出ている。


    これも仏炎苞の位置が低いがやや大型。そして帰って来てから黒岳で見たものと比べると、根元の茎の長さがこちらのほうが短いか、無いところが違うのが分かった。

 ヤマナシテンナンショウは小型であると書かれているがそのひとつがこの茎の短さにあるのではないかと思う。北岳大樺沢のものを見に行きたいが、残念ながら今年はバスが動かず大樺沢は渡渉する橋が撤去されていて入山できないようである。

 さて、もう1種類見ておきたいものがある。


    年々勢いが無くなって来ているように見えるこの貴重な植物。


    日本では櫛形山だけに生育するホザキツキヌキソウ。もう結実している。

 最初に見た時は10数枚の大きな葉を出していたが今年は8枚で葉の大きさは元気だったころの半分くらいしか無い。周辺の草は昨年刈ってくれたようだがあっという間に伸びてまたこの花が隠れてしまいそうなくらいに茂ってしまっている。ちなみに記録を見ると昨年も8枚で変わっていないようである。この先どうなるのか、心配なこの草である。


    この日期待していた部分日食は雲に阻まれ残念ながら見られなかった。
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南部町の林道沿いに生育する絶滅危惧のシダを訪問  令和2年6月21日

2020年06月23日 | シダの仲間
 珍しいシダを観察して下山してきたが、あまり歩かない場所ならばもう1ヶ所訪問するくらいの時間はありそうである。今年の3月に初めて訪れた林道沿いに絶滅危惧のシダが4~5種類生育している。この季節ならば新緑のみずみずしい葉を出しているのではないだろうか。悪路の林道なのでRV車でないと通過するのが難しいところを、なんとか騙しながら林道の奥まで車で乗り付けてもらう。


    大きく成長していたヘラシダ。これは山梨県絶滅危惧種のシダ。


    小さな葉がたくさん出ている場所もあった。


    2つ目はこのミドリカナワラビ。これも絶滅危惧種。


    新緑の青々とした個体を期待したが3月訪問時とあまり変わっていなかった。


    3つ目はこのバカデカいシダ、オオバノハチジョウシダ。


    見つけたのは2株だけだが、存在感は十分である。


    葉の辺縁の巻き込んだところにソーラスが付いている。


    4つ目はオオカナワラビ。この個体は痛んでいた。


    新緑の青々としたオオカナワラビに出会えた。前回来た時は痛んでいてオニカナワラビだろうと思っていたがオオカナのほうだった。


    そしてこれがオニカナワラビ。頂羽片がなだらかに細くなって行く。新鮮な個体は見つからず。これは絶滅危惧種では無い。


    ソーラスは小羽片の中間あたりに付着するが、これだけ大きくなるとどうなのかは良く分からない。


    最後にクリハラン。これは絶滅危惧種。


    これだけたくさん茂っていると圧巻である。

 短時間で5種類の絶滅危惧のシダを巡って来た。この周辺の林道は南方系の珍しいシダの宝庫である。一方、足にまとわりついてくるヤマヒルの宝庫でもあるので対策無しでは歩けない。

 さらにもう1種類、見たことが無いシダに遭遇した。形はイタチシダだが、オオイタチシダとは違うし鈍い光沢はリョウトウイタチシダかヒメイタチシダかとも思ったが鱗片が違う。これはいったい??


    林道脇に生えていたシダ。下向き第一小羽片が大きくイタチシダの仲間だろうというのは分かる。


    薄めの茶色い鱗片はやや幅が広く、リョウトウイタチやオオイタチとは別物である。


    硬い包膜を持ったこのソーラスは初めて見る。帰ってから図鑑をいくつか調べてようやく正体が判明した。


    これはナガバノイタチシダという南方系のイタチシダの仲間だった。山梨県では数が少ないようである。

 富士山麓で見たミヤマイタチシダに続いて今度はナガバノイタチシダに出会うことが出来た。分けが分からなかったイタチシダの仲間もまた一歩前進である。同じ場所でも季節を変えるとまた新しい発見があるところが植物探索の面白いところだと思う。本格的にシダを見るようになって約1年になるが山梨県に生育している約250種類のシダのうちこれで160種類を見たことになる。山梨県絶滅危惧ⅠA・ⅠB・Ⅱ類のシダ59種類のうち46種類を見ており78%達成したことになる。3年間で80%見るという目標まであとわずかであるが、残っているのは難しいシダばかりとなった。今年のうちに達成できるのはほぼ確実である。
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南部町の山上に群生するシダを訪問  令和2年6月20日

2020年06月22日 | シダの仲間
 本日は山梨県東部山域の植物調査の予定だったのだが、本日同行していただくメンバーの2人が数日前に予定する山域を訪問してきてくれた。その時の写真記録で報告書の作成が出来そうなので集合したところで予定を変更させていただき、南部町の山上にあると聞いている珍しいシダを探索に行くことにした。夏緑生のシダであるが5月に入ればもう芽吹いているはず、今頃は青々と新緑の葉を出しているはずである。


    整備された登山道を行くが、ここで思わぬ敵に大量に出会う。このあたりはヤマヒルだらけで、アルコールで撃退しながら歩く。


    バイケイソウが咲く。


    それなりに綺麗な花だが、鹿の食害に遭わずに増殖してきた植物と思うと、どうにも歓迎する気になれない。


    山上にたくさん茂るこのシダは?


    ハリガネワラビではないかと思うのだが・・・


    ソーラスはまだ付いていない。


    しかし、真ん中あたりから長い茎で出ている葉が胞子葉だとすると、シケシダの仲間なのかも知れない。正体分からず。


    似ているが別物。


    鱗片の真ん中にこげ茶色の帯が入っている。これはヘビノネゴザだろう。


    第一羽片(いちばん根元に近い部分の葉)の下向き第一小羽片のみ突出して大きい。ようやくシラネワラビが見ただけで分かるようになってきた。


    ソーラスが出始めている。


    山頂付近の草地に到着。珍しいシダだと思っていたが、こんなにたくさんあるのがお目当てのシダなのか?

 山頂付近の日当たりの良い草地に到着すると、これでもかというくらいにたくさん茂っているシダがあった。近付いて良く見ると、今までに見たことが無い形のシダである。ハンドブックのような図鑑ではあまり掲載されていないシダなので予習が不十分であるが、この形、触った感じの柔らかさ、見たかったのはこのシダで間違い無い。


    ほとんどこのシダで覆い尽くされた斜面。


    流線型の美しいシダ、柔らかい葉質。


    間違い無し、これが今回見たかったホソバショリマである。


    柔らかいだけに鹿の食害に遭っていた。もし減って来るようなら、保護柵設置等の対策を考えないといけない。


    存分に楽しませてもらったホソバショリマ。今度はソーラスが付いているところを見てみたい。

 存分に鑑賞して写真を撮らせてもらい、昼食をとって別ルートを下山した。以前はまともな道だったが植林帯保護のための保護柵が設置されてルートが変わり、だいぶ歩きにくくなっていた。


    こんなところで出会えるとは思わなかった。


    クラマゴケ


    ツヤの少ないイノデの仲間。


    幅の広い鱗片と毛が混在。


    葉軸の中央付近の鱗片は幅広で先端が急に細くなる。これはツヤナシイノデだろう。やっと少し分かってきたイノデの区別。


    ソーラスは葉の上のほうで先端寄りに付着していた。


    川沿いの岩壁に好んで生育しているが、林道脇の土手に生えていたコモチシダ。

 帰り際にそろそろ咲いているであろうラン科の植物を見に立ち寄ってみた。そしてここでもまたヤマヒル、さらには藪蚊の大群に襲撃される。


    竹藪の中に生えていたシダ、オオキジノオ。立派な胞子葉を出しているが胞子はまだ付いていない。


    見たかったのはこのラン。まだほとんどが蕾だった。


    コクラン


    花を接写。黒いが上品な感じがする花。

 なかなか日程がとれずに訪問できなかった山上のホソバショリマは花仲間のおかげで予定外の訪問が叶った。車にも乗せていただき、大感謝である。それにしても素晴らしいホソバショリマの群落で感動した。何度か訪れている山頂であるが、そこに茂るシダが貴重なものであるという認識は全く無かった。今回また改めてこの山の素晴らしさを知った。
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雨の中のシダ探索  令和2年6月14日

2020年06月17日 | シダの仲間
 朝から雨の中を椹池、および近傍の池を巡ってきたが時刻はまだ午後3時である。空模様が悪く夕方のように暗いが、時折部分的に青空が見える不順な天気である。日が長くなったことだし、かねてからシダ探しに行ってみたいと思っていた渓谷に立ち寄ってみることにした。一旦は小降りになった雨だったが渓谷の駐車場に到着した頃から再び雨足が強くなってきた。カッパを着て傘を差して探索に出かける。


    渓谷の流れは濁っているが、土砂降りでは無いので水量はさほど多くは無い。


    キヨタキシダに似た大き目のシダに出会う。


    羽片の根元の柄は短い。これは先日の昇仙峡で見てきたものと同じ、ヤマイヌワラビであろう。


    茶色い鱗片はあまり密では無い。


    小羽片根元近くに付着するフック型のソーラス、やはりヤマイヌワラビ。


    クマワラビの胞子を付ける先端部の葉はもう脱落している。


    ミヤマクマワラビはオクマワラビと似ている。


    小羽片のやや辺縁寄りに付着するソーラス


    黒い鱗片は短めでオクマワラビほど密では無い。


    イノデだが・・・普通のイノデか?


    幅広の茶色い鱗片が密に付着


    小羽片真ん中あたりに付くソーラス。普通のイノデだと思う。


    最初はシラネワラビだと思って通り過ぎたがちょっと違う。第一羽片の下向き最下小羽片が大きいが第2羽片のものも大きい。


    大き目のソーラスが付着。これはホソバナライシダだろう。


    探していたのはこのシダである。


    羽片の付け根付近が融合していて特徴的な形のシダ。


    エビラシダ。本日いちばん感動した出合い。


    意外とあっさりと見つかった。


    裏側を拝見。


    このソーラスも独特である。

 以前から見たいと思っていたエビラシダは、もっと標高の高いところにあるのではないかと思っていたのだが以外にも渓谷沿いに生育していた。探すのに苦労するのではないかと思っていたのだが、シダの師匠に場所を聞いていたことがあり、またひとつ絶滅危惧のシダを見ることが出来た。感謝である。

 日が長くなったのでもう1ヶ所立ち寄ってみるが、雨が降り止まずいよいよレンズが結露してしまい、いくら拭き取ってもすぐに結露して撮影がままならない。


    最後に立ち寄ったのがこのシダ。4月に訪問した時はまだ何も出ていなかった。


    まだ新鮮で青々としたシダ、キンモウワラビ。


    根元に付着したこのフサフサとした毛のような鱗片が特徴。茎の鱗片は意外と薄い。


    ソーラスも付いていたがレンズが結露して撮影がままならず。

 一旦車に戻って別のカメラとレンズで撮り直すことも考えたが、天候が天候だけに思うような撮影は出来ないだろう。空も暗くなってきたことだし、本日は念願のエビラシダにも出会えた。この場所はまた天候が良い日に再訪することとしよう。当初の予定とはだいぶ違う1日となったが、これはこれで良かったのだろう。本日はこれまでで撤退。

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甘利山近傍の高層池を訪れる  令和2年6月14日

2020年06月17日 | 番外編
 甘利山周辺には椹池の他にクリンソウがたくさん咲く大笹池や標高900mくらいのところにもいくつかの池がある。おおよその場所は地図とグーグルで確認してあり、椹池の探索が予定よりも早く終わったので立ち寄ってみることにする。相変わらず雨は降り続いているが少し小降りになってきた。傘を差して散策に行く。


    目的の池のほとりに到着。少し水が淀んでいる池。


    池の周辺には天然のものはあまり見かけない植物が生えていた。


    これはホオズキだろう。


    かつてここには集落があったようで、民家の跡らしき石積があった。


    これはキジカクシの仲間だが、民家で栽培されていたアスパラガスのほうか?


    池の周辺の湿地帯、というよりは泥沼といったほうが良いかも知れない。


    クモキリソウ


    池のほとりの木の枝に付いていた白い泡のようなもの。モリアオガエルの卵。


    池の底には藻のようなものが生えている。


    これから水面に葉を出すようになるのかどうか?枯れた葉のようなものが水中に見える。


    こちらには水草の葉が浮いている。


    紡錘形の葉でヒルムシロと思われる。

 椹池で何度か探したがどうしても見つからないのがヒツジグサである。かつては椹池に生育していたらしいのだがもう無くなってしまったらしい。こちらの池にあるのではないかと見に来たのだが残念ながら発見できなかった。まだ少し時期が早いのかも知れない。

 池はこれだけではなく近傍にあと2つある。次の池に行ってみる。


    霧が湧き真っ白になった2つ目の池。枯れた木が池の中に立っているところを見ると、これは人工池なのか?


    ぐるりと池を回ったところでやっと霧が晴れてきた。池の周りは泥沼である。


    池の底には藻らしき緑色のものが沈んでいる。


    この茂っている草の中に、ひょっとしたら探しているが見つかっていないマツカサススキなどが混じっているかも知れない。


    お目当ての水草は見当たらなかった。

 3つ目の池はこの池のさらに奥にあるらしいのだが、足元にまとわりついてくるヤマヒルを気にして歩いているうちに通り過ぎてしまった。天候が悪く沼の周辺がぬかるんでいて歩きにくく、本日は3つ目の池はあきらめる。時期を変えて訪問してみるとまた違う姿が見られるであろうから、再訪してみたいと思う。


    途中の伐採地に茂っていたこのシダは何?


    ヒメシダか何かかと思ったが形が違うし、こちらのほうが頑丈そうに見える。ソーラスはまだ付いていない。


    やや幅広の鱗片がまばらに付着しておりオシダとも違う。これはメニッコウシダか?ソーラスを確認しないと分からないが、確認しても分からないかも知れない。

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甘利山椹池周辺の植物たち  令和2年6月14日

2020年06月15日 | 山に咲く花
 当初の予定では椹池から出発して大笹池を経由して甘利山周回してくるはずだったのだが、集合した朝7時半から既に小雨が降り出しておりこれから午後にかけてさらに雨足が強くなって来る予報である。雨の中を甘利山まで歩く気にはとてもなれず、行けるところまで行って引き返して椹池周辺を散策することに変更する。


    椹池の白鳳荘は、この日、白鳳会の人たちによる小屋と駐車場の整備が行われていた。小雨の中をカッパを着て出発する。


    途中の沢まで行ったがこのあたりでさらに雲行きが怪しくなり引き返す。この場所は昨年の台風でだいぶ削られてしまったようである。


    雨の中を椹池周辺を散策する。カンガレイは山梨県絶滅危惧種。


    カンガレイ。まだ花は成熟しておらず小さい。


    真ん中あたりに茂っている草がサギスゲだが、まだ白い綿毛にはなっていない。


    望遠レンズで覗いてみると満開を過ぎて綿毛になりはじめているところだった。


    さらに雨足が強くなりもうお手上げ状態。レンズの結露が強くなって画像が真っ白。探していたアギナシはまだ咲いていないようだ。


    ナガエミクリもまだ葉っぱだけ。

 白鳳荘に立ち寄らせていただき、少し小降りになるまで休憩させていただく。今度は傘を差してもう少し花を巡って来る。


    アオフタバラン。この場所で見るのは初めてである。


    花芽が出ているが咲くのは1ヶ月くらい先になりそうだ。


    クモキリソウはあと1∼2週間で咲きそうである。


    ヒトツボクロもまだ蕾。


    薄暗くて風に揺れるため撮影には一苦労。


    ジンバイソウの葉。花芽が小さく出ているがこちらが咲くのは1ヶ月以上先になりそうだ。


    デカいシダの葉。


    真ん中に昨年の胞子葉が残っていた。これはイヌガンソクだ。

 雨の中の散策でレンズが結露して撮影もままならず、しかしこれも植物調査の一環なので止む無し。一昨年周回して既におおよその花は見てきているルートだったが、まだシダの観察が全くなされておらず、今回は期待していたのだが残念ながら雨に阻まれて十分な調査は出来なかった。気になっていたヤマブキソウが全く見つからず、草地がだいぶ無くなってしまっていて台風の被害で流されてしまったのではないかと心配である。またいつか訪問してみたい。

 ちなみに天候が影響したこともあるのだが、私を含めて今回参加したメンバー4人全員にヤマヒルが付いていた。血を吸われた人は一人だけだったが、靴に付いたりスパッツの裏側に入っていたりザックに付いていたりと、一人当たり3~5匹くらいヤマヒルが付いていた。この周辺を歩く時は対策をとって入山されることをおすすめする。


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昇仙峡の渓谷に生育するシダたち 令和2年6月7日

2020年06月12日 | シダの仲間
 4月下旬に訪問した時はまだ芽吹いたばかりで葉を十分に展開していなかったシダの仲間たちはこの季節になるともうすっかり成長して新緑の若葉を展開している。中にはもうしっかりとソーラスを成長させて今にも胞子を放出させそうになっているものもあれば、ヤシャゼンマイなどはもう胞子を放出した後で胞子葉は枯れ始めている。2ヶ月違うとだいぶ違う姿を見せてくれる。たかがシダ、されどシダ、花は無いが季節によって違う姿を見せてくれる。


    4月に訪問時はやっと葉を展開したばかりだったオクマワラビはもう立派に成長している。左はヤブソテツ。


    ソーラスが成熟していて今にも胞子を放出しそうである。


    すっかり大きくなったオクマワラビ。


    このシダは先端部のソーラスを付ける葉が急に小さくなる特徴がある。


    こちらももう立派なソーラスを付けている。


    シノブ。これはまだソーラスは付いていなかった。


    根茎と鱗片。


    渓谷を見下ろすように生えていたシノブ。


    背が高くて立ち上がって生えているこのトラノオシダは別物のように見える。


    包膜が破れてもう胞子が放出されているようである。


    左上はオオイタチシダ、右下はトウゴクシダのようである。


    第一羽片の下向き最下小羽片が大き目で切れ込みが深い。トウゴクシダで間違い無さそうだ。


    まだ若いソーラスが付着しており、ベニシダに似ている。


    鱗片はやや広め。


    昨年秋から何度か観察に来ているトウゴクシダはすっかり新しい葉に置き換わっていた。新緑鮮やかである。


    似ているがこちらはリョウトウイタチシダ。第一羽片の下向き最下小羽片が大きく張り出しており、イタチシダの仲間である。


    やや幅の広い黒い鱗片が特徴である。


    ソーラスはまだ痕跡程度、葉軸にも黒い鱗片が付いている。


    春にも撮影したヤシャゼンマイはすっかり成長している。


    青々とした葉を展開しているヤシャゼンマイ


    胞子葉はもう黒っぽくなって枯れている。


    4月には芽吹いたばかりで一部だけ葉を展開していたこのシダ。


    しっかりとソーラスを付けている。正体は予想通りキヨタキシダだった。


    その近くに、同じものだと思っていたが別のシダが生えていた。


    全体的な形はキヨタキシダに似ているが小羽片の形がこちらのほうが細い。


    小羽片の付け根部分には短い柄があって翼が無い。


    円形に近い茶色いソーラス。どうやらこれはイッポンワラビのようである。


    もう1種類、キヨタキシダに似た大き目のシダが生えていた。


    良く見れば、羽片先端部が流れるように細くなっている、かつ、キヨタキシダと違って羽片付け根の部分の柄が短い。


    ソーラスの形が全く違う。これはヤマイヌワラビであろう。


    鱗片の形も幅が広くてキヨタキシダとは違う。


    普通に見かけるが何だか良く分からないシダ。


    うっすらとソーラスが付いていた。拡大して見ると包膜に覆われていてまだ成熟していなかった。


    鱗片。おそらくこれはハリガネワラビの仲間、イワハリガネワラビだと思う。ソーラスが成熟して葉軸が緑色のままならば間違いないだろう。

 昇仙峡の渓谷沿いの遊歩道はシダの宝庫である。特にリョウトウイタチシダ、オオイタチシダ、トウゴクシダの3種類を見ることが出来て、さらには場所によってゼンマイ、ヤシャゼンマイ、オオバヤシャゼンマイの3種類が見られる場所はあまり無いだろう。花を見るのは咲いている時期に行くのが一番であるがシダの場合は季節によって姿が変わり、ここが良いということは一概には言えない。この場所も時期を変えて訪問するとまた別の姿を見ることが出来て、そのうち確定できるようになるだろう。
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渓谷の岩壁に咲くセッコク  令和2年6月7日

2020年06月12日 | 渓谷
 前日の乾徳山登山で少しばかり足が張って膝が痛い。別の場所のクモイコザクラ観察を考えてはいたが元気に登れる気がしなかったので渓谷道の散策に出かける。昨年見たセッコクがそろそろ咲いているだろうし、新緑のシダもそろそろ大きくなっている頃だろう。駐車場に到着すると、10数台止まっていた車はほとんどが県外ナンバーだった。それでも、新緑の渓谷散策には良い時期なのに客足は激減である。山梨の観光産業も他所にもれず大打撃を受けていることだろう。


    新緑の覚円峰


    渓谷沿いに茂るヤシャゼンマイ


    青々と茂っているヤシャゼンマイ。胞子穂はもう枯れている。


    見上げる渓谷の岩壁


    こんな急峻な岩壁の隙間にセッコクが咲いている。


    570㎜望遠


    1,140㎜望遠。風で揺れるのと気温が上がって空気のよどみが出て鮮明には撮れない。

 1カ所目のセッコクは距離が遠いうえに風と空気のよどみでうまく撮れない。他の花やシダを見ながら別の場所を探してみる。


    岩の上に生えていたキリンソウ


    ヤマキケマン。昨年見つけた場所には今年は生えておらず、別の場所で発見。


    薄黄色の花と曲がりくねった剣のような鞘


    シノブとその向こうに・・・


    セッコク


    もう終わりかけている。


    岩壁の溝に生えていたセッコク


    さらに望遠


    大株もある。


    大株が並んでいる。風が吹いていて花が揺れてしまっている。


    ウツギ咲く渓谷


    渓谷の流れを見下ろす。


    ここにもセッコクが生えていた。


    新緑の滝

 渓谷に咲くセッコクは昨年以上に多くの花を見ることが出来たが、光が入りにくい渓谷の岩壁に加えて風が強くて花が揺れてしまい、満足できる撮影にはならなかった。もう花の見ごろの時期は過ぎてしまっており、また来年撮影に挑戦してみたいと思う。たくさん見たシダは別に掲載する。


    行きにコーヒーをいただき帰りに山菜ソバをいただいた樹光庵。手打ちのソバもおいしいが、昇仙峡の美味しい水から作ったコーヒーがおいしい。
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乾徳山界隈のシダ  令和2年6月6日

2020年06月11日 | シダの仲間
 シダの宝庫である西沢渓谷に近いこの乾徳山界隈ならば変わったシダが見られるのではないかと期待していたのだがさほど珍しいものには出会えなかった。本格的にシダ植物を観察するようになってからそろそろ1年となり、だいぶ力が付いてきたと思っていたのだが、場所が変わるとまた分からないものばかりが生えているといった感じである。


    沢沿いに生えていたクサソテツ。民家がある周辺の畑にはこれがたくさん茂っていた。


    林道脇の岩に生えていたイワデンダ


    この山は全体的にシダが少ない。このような登山道脇の斜面には普通シダが茂っているものだがほとんど無い。


    銀唱水の水場にもあまり生えていない。


    錦唱水の下の湿地にも目立って大きなシダが無い。普通ならばオシダやイノデ、クマワラビなどの大きなシダが生えているものだが無い。


    錦唱水の水場。


    その周辺にあったのがこのシダ。櫛形山でも普通に見かけるシダだろう。


    シケシダの仲間だろうと思っているのだが・・・


    鱗片は薄い。これを見ても何だか分からない。秋ごろにソーラスを確認したとしても正体がわかるかどうか?


    国師ヶ原の周辺に圧倒的に多いのがこのシダである。


    ヒメシダ。まだソーラスは付いていないが、そのうち葉裏に真っ黒なソーラスを付けるようになるだろう。


    黒っぽい幅広の鱗片がまばらに付着。


    核心部付近の樹林と岩場


    岩の間に生えているのがこのシダ。


    細長い鱗片は根元近くで密に生えており、真ん中に茶色い帯が入っている。これはヘビノネゴザなのか、それとも良く似たイワイタチシダなのか?


    薄く鱗片が付き始めている。小羽片付け根近くの上側に付いており、イワイタチシダのように見えるがこれからまだ増えてくるかも知れない。


    形に特徴があるミヤマワラビ。数はさほど多くは無い。


    山頂付近にも似たようなシダが生えている。


    成長したものがこれだと思う。これはヘビノネゴザだろう。


    鱗片は途中の岩壁に生えていたものとほとんど同じに見える。細めの鱗片で真ん中にこげ茶色の帯が入っている。


    ソーラスはまだ付いていないが、おそらくこれはヘビノネゴザで間違い無いと思う。


    帰り際に道満尾根上部で見たもの。羽片の先端部が細長くなっており、これもヘビノネゴザと思われる。


    鱗片は同じく茶色い帯が入っている。

 近くの西沢渓谷ではヘビノネゴザとイワイタチシダが同じ場所に生えているらしい。成熟した典型的なものは図鑑で見る限りでは区別が出来そうであるが若いものでは私の実力ではどうにも区別が付け難い。おそらくこの山にも両方が生育している可能性が高い。もう少し経過を追って数をこなして見歩かないと見分けられるようになるのは難しそうである。まだまだ修行が足りない。


    焦らずともそのうち正体が分かるようになるだろう。
    
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奥秩父のクモイコザクラ 乾徳山  令和2年6月6日

2020年06月08日 | 山に咲く花
 今年のテーマのひとつがコイワザクラとクモイコザクラの違いを見てくることだった。おそらくこの2種類は同じもので、標高や環境で形態の違いがあるだけなのではないかと考えている。しかし、今年はコロナウィルス感染拡大防止のため緊急事態宣言が発動され、いちばん良い時期に入山できず三ツ峠のクモイコザクラですら登山口まで行ったが入山するのは止めた。6月1日からやっと登れるようになったが、もはや咲いているところは限られてしまう。南アルプスは黒戸尾根のものを見てきたし八ヶ岳も見てきた。残るのが奥秩父である。山岳レインジャー調査の報告書に添付されている鶏冠山のクモイコザクラを拝見させてもらったところ、葉が小さめで毛が生えており先端部分は少し下向きに曲がっていて葉脈の窪みが目立つ。葉の形はコイワザクラに近いよう見受けられる。しかし、鶏冠山に単独で入山するほどの勇気と体力は無く、こちらにもあるはずの乾徳山を選んだ。とはいっても、徳和の駐車場から登ると標高差1,000mを越えるややハードなコースとなり、決して楽な登山では無い。しかし、大平牧場から尾根を登るよりは沢沿いを登ったほうが花やシダに出会える可能性は高い。山頂まで5~6時間を想定して7時半に徳和駐車場を出発する。


    さほど遠く無いイメージがあった登山口だが、林道歩き30分近くかかった。


    道は整備されていて歩き易い。途中には開墾地らしき石積がいくつもある。


    フタリシズカだらけの斜面


    新緑のモレーン帯


    錦唱水の水場。冷たくておいしい水が流れ出している。


    途中で見た岩に生えたウツギ


    ヤマキケマン。あまり見かける花では無い。


    薄黄色の花


    特徴的なのがこの剣が曲がりくねったような鞘。


    国師ヶ原にある湿地帯。珍しい植物がありそうに見えるのだが目ぼしいものは見つからなかった。


    あるのはヒメシダばかり。湿地なのにオシダやイノデが無いのは不思議である。


    国師ヶ原の高原ヒュッテ(避難小屋)

 3時間少々かかって国師ヶ原の高原ヒュッテに到着した。このルートを登るのは3回目だと思うが、もっと楽に登ったような記憶しか無い。思っていたよりも長いコースだった。早めの食事をとって大休憩してその上にあるカヤト野原を登る。


    ベニバナツクバネウツギ


    同上


    カヤト野原に咲いていたスミレ。これと一緒にサクラスミレが咲いていた。


    カヤト野原を登り切るとこの大岩、雷岩がある。


    扇平のキンポウゲ。思っていたよりもたくさん咲いていた。鹿の群れが近くに居たので追っ払った。


    草むらの中に咲いていたサクラスミレ。もう終わりかけである。


    カヤト野原を抜けて林の中に入ると、いよいよ乾徳山の核心部である。


    樹林の中の登り。テープが付いているので普通に登れる。


    鎖場その1


    ミヤマハンショウヅル


    タケシマラン


    イワインチンの葉


    ハコネコメツツジ


    山頂直下から見下ろす新緑の谷。岩の際に生えているのがハコネコメツツジの群落。


    鎖場その2。下降してくる人が居るので巻き道のハシゴを通って山頂に登り付く。


    乾徳山山頂。たぶん4度目の山頂。

 あちらこちらに立ち寄ったり岩の間を覗き込んでシダを探したりと、いつもの如く探索しながらの登山だったので、山頂到着は1時45分になってしまった。6時間半くらいかかったことになる。期待していた岩の隙間に生えているかもしれないシダは見当たらなかった。奥秩父山塊なのでヒメスギランやヒモカズラ、ひょっとしたらイナデンダのようなシダがあるのではないかと期待していたが残念ながら見つからず。しかし一番の目的のクモイコザクラは数は少ないながらもなんとか見ることが出来た。


    たくさん葉が出ているが花はあまり咲いていない。小ぶりの葉でまだ若いようだ。


    咲いていたクモイコザクラは少し痛み始めている。


    確認したかったのがこの葉である。毛が生えていて辺縁が裏側に少し垂れ下がっており葉脈の窪みが目立つ。


    花の咲いた別株もほぼ同様である。

 思っていた通り、ここに咲くクモイコザクラは葉の大きさが小さめで毛が多く、葉の辺縁の巻き込みや葉脈の窪みが目立つことなど、十二ヶ岳で見たコイワザクラに良く似ている。このあたりは標高が約2,000mである。標高によって葉の形態が変わるのではないかとも思うのだが、しかし八ヶ岳地獄谷に咲くクモイコザクラはここよりももっと標高が低いのに葉は辺縁の巻き込みが少なくて毛も少ない。甲斐駒ケ岳黒戸尾根のものは少し毛が多くて葉先は少し巻き込みがあるものが多い。では瑞牆山はどうなのか?三ツ峠は?まだ見ていないところが多過ぎて結論は出せない、というよりはクモイコザクラとコイワザクラを線引きするような明瞭な区別は無いのではないかと思っている。葉の切れ込みの深さで分けているようであるが、同じ場所のものでも個体によってバラつきが多くこれで見分けるのは難しいように思う。今年はコロナウィルスの影響で予定していた場所はほとんど見歩くことが出来なかったので、来年以降、引き続き探索してみたいと思う。

 下山は山頂の先にある水ノタル側から下りたが、こちらはほとんど登山道が無いような悪路で苦労した。さらに道満尾根もルートが長く、駐車場到着は午後6時になってしまった。少し時間がかかりすぎたが、クモイコザクラは見てきたのでそれなりの収穫はあった。(乾徳山のシダ編を追記しますが、ほとんど何だか分からないものばかりでした。)
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春の高座山  令和2年6月3日

2020年06月08日 | 山に咲く花
 当初予定していたのは新緑に西沢渓谷だったが、6月1日から規制解除になっていると思っていたのだが山梨市のホームページを見てみると落石箇所があってまだ途中の三重の滝までしか入れないようである。行き先変更して本日は立ち入り日になっている梨ヶ原の草原に行ってみる。ところが、こちらは何かの手違いがあったらしく草地に入る直前の道路で自衛隊隊員に本日訓練が行われているので入らないようにと引き留められる。そこで向かったのがこの高座山である。花仲間からフナバラソウが咲き出しているとの情報をいただいていることと、梨ヶ原のどこかにあるらしいコケリンドウという花が同じような条件のこちらの草原にもあるかも知れない。本日はいつもの鳥居地峠側林道からではなく、忍野浅間神社からバリアンス尾根を登って高座山の草地に入ってみるが、以前に一度歩いたことがあり途中からは普通の尾根道に合流できる。


    忍野浅間神社の裏側から入山する。


    クマガイソウはもう終わっていた。


    マムシグサの仲間。


    黒緑色の仏炎苞は少し光沢があり付属体は黒い。サトヤママムシグサだと思う。


    ここにもキヨタキシダ。


    三日月状のソーラスが付着している。


    ヤマイヌワラビかと思ったが・・・


    ソーラス


    鱗片。どうやら普通のイヌワラビらしい。


    ニシキシダ


    林道のような道は途中で消失し、道無き斜面を尾根に向かって登る。


    ササバギンラン


    葉先が円くてギンランのように見えるがこれもササバギンラン。


    これもササバギンラン。背の低いササバギンランは細長い葉が出ず根元のほうの幅が広い葉だけが出るようである。


    これはトンボソウの葉か?花芽は出ていない。


    草地に抜け出る。4月の野焼きの後は真っ黒な斜面だったが2ヶ月もたたないうちにこんなに青々と茂る草原に変わる。


    アマドコロがたくさん。


    この草原に咲くチゴユリはいつも見ているものより倍くらい大きい。


    大きなチゴユリ。


    見ておきたかった花のひとつがこれ。ヒメイズイ。


    群生しているが発見したのは1ヶ所だけだった。


    カイジンドウ


    大株のカイジンドウ

 草むらの中を覗き込みながら草原を歩いているとやっとそれらしき草が草地の中に立っているのが見えた。近付いてみるとフナバラソウだった。何年か前にも探したことがあったが見つけられなかった花で、この草原で出会うのは初めてである。少し早かったことと風に揺れてなかなか写真を撮らせてくれない。


    やっと出会えたフナバラソウ。少し早かった。


    こちらは咲き始めたばかり。風に揺れてなかなか撮らせてくれず、再三シャッターを切る。


    花には蟻がたくさん付いている。どうやらポリネーターは蟻らしい。

 時刻は5時半になってしまった。日が延びたのでまだ十分に明るいがそろそろ撤退である。帰り道も樹林の中のバリアンスルートを歩くが、踏み跡らしきものを辿って行ったら草地の中の低いところに抜け出てしまい失敗。再度樹林の中に入って別の道があったのでそれを歩くと、今度は下にあるアスファルトの道に抜け出ることが出来た。日没近い少し薄暗くなった頃に忍野浅間神社駐車場に到着した。探していたコケリンドウは全く手ごたえ無し、フデリンドウも見つからなかった。


    草原の中で出会った腰の高さほどあるバカデカいシダ。


    オシダに似ているがちょっと違う。おそらくこれがイヌガンソクだろう。
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