山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

カモメラン保護作戦 保護ネットを展開  令和1年5月26日

2019年05月29日 | 山に咲く花
 4月中旬から5月初旬にかけての気温が低かったために花の開花が遅れているが、数日前から30℃を越える暑さが続く天気となった。初夏の花が一気に咲き出してくるかも知れない。5月中になんとしても行っておかなければならない作業が御坂の某山に設置してある保護柵の保護ネット展開である。冬季の倒木や木の枝の落下によりネットの破損やポールの転倒が起こるため昨年の秋にネットを外してポールだけ設置した状態になっている。登山者がやって来る週末を避けて平日の午後から夜中にかけて作業を行う予定だったが、日程的に難しそうである。この日を逃してしまうと6月に入ってしまい、既に花が咲いてしまっているかも知れず、日曜日であるが作業に行くことにする。滅多に腕章は付けないのだが、今回は自然公園指導員の腕章を着けて入山する。


    登山口近くに咲いていたマムシグサ。まだあまり生えていないところを見ると、おそらくカモメランも咲いていないだろう。


    ユモトマムシグサ。葉っぱが5枚で葉軸が短い。


    いつも固まって咲いている場所だが何かおかしい。


    仏炎苞がちぎれており葉もかじられた痕跡がある。毒草のはずだがこんなものまで食害に遭っているようだ。


    ツクバキンモンソウがたくさん咲き出していた。


    咲き残りのエイザンスミレ


    咲いたばかりのミヤマカタバミ

 カモメランの咲く場所まで登って来た。まずはネットを張っていない場所を覗いてみると、昨年よりもさらに斜面の乾燥化が進んでいるように見える。一応葉は出ているが確認できた葉数は30~50個ほどで、昨年と同じかやや減少している印象である。花芽が確認できたのは1株だけだがこれからもう少し出てくるだろうと予想している。それにしても、ネットの外は危機的な状況が続いている。


    ネットが設置されていないカモメラン生育地。下草がほとんど無く乾燥化が進んでいる。


    葉は確認できたが、昨年と同数かやや減少している。


    本日の荷揚げ。ポール10本とネットを2枚。資材は昨年ネットを解除した際に置いたままになっているので足りなくなった場合に備えて持って来た。


    ネットを大部分解除してあった保護柵だが、ネットが残っていた部分に枯れ枝が落下して一部倒れていた。修復してポールで補強し、ネットを展開する。


    完成。


    保護柵内のカモメランの状況を確認する。ざっと数えて70~100株くらいある。小葉がたくさん出ており明らかに復活している。


    花芽も10株以上出ていた。

 1時間もあれば終わるだろうと思っていたのだがネットをポールに固定するワイヤーの巻き付けが思った以上に手間がかかり、2時間以上かかってやっと1ヶ所目の展開が終わった。

 展望台に行って休憩である。地元の3人組のお嬢様たちが休憩中で手作りのおやきや海苔巻き寿司をご馳走になった。この周辺の土地の事情について詳しく、ネットを設置している場所の地主さんや管理人さんの情報を教えていただいた。


    期待していた展望台のミツバツツジはまだ蕾だった。

 さて、2ヶ所目の作業に移るが、こちらも2時間以上時間を費やし、作業時間だけで5時間ほどかかってしまった。平日の午後からだとやり切れなかった公算が高く、午前から登って来て正解だった。


    2ヶ所目のネット展開後の保護柵。


    ユキザサやショウマ類など、多種多様な植物がこの保護柵内で生育している。


    保護柵内に咲いていたツルシロカネソウ。


    カモメランも昨年同様に元気である。


    もう1ヶ所の保護柵内も元気な葉が出ている。


    花芽は昨年よりも多いような気がするが、咲いてみないとまだ分からない。

 2~3時間の作業を予定して水はあまり持って行かなかったが予定以上に時間がかかったうえに暑かったので水が無くなってしまった。しかし、日没前にはなんとか作業を終えることが出来た。夕陽を見ながら下山だが折角なので双眼鏡を取り出して以前に見つけられなかった着生植物を探しながら下山する。


    大きなブナの木に居ました。着生植物。


    トリーミング。これはヤシャビシャク。以前に偶然一度見かけて以来見つけられなかった植物。3ヶ所で確認できた。


    夕暮れの春の森

 この場所を含めて現在4ヶ所で保護作戦を展開している。他にもやっておきたい場所は何ヶ所もあるのだが、メインテナンスに手が回らずこの4ヶ所で手いっぱいの状況である。手伝いを申し出てくれる方たちが多数居るのであるが設置許可の申請手続きが繁雑で間に合わない状態である。いつか大手を振って協力を得ながら作業が行えるようにしたいと思っている。さあ、今年はどのくらい咲いてくれるのか、楽しみである。





コメント
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