山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

snow monster発育中,蔵王  平成20年11月21日

2008年11月29日 | 番外編
 平成20年11月21日 天候曇り,上は吹雪

 前日は強風と吹雪に見舞われた那須岳だったが,無事に駐車場まで下山でき,職員旅行のグループとは仙台の新幹線で合流できた.相変わらずの冬型気圧配置で中尊寺では小雪と小雨の混じる天候だった.
 一夜明け,本日は予定ではバスで山形県の山寺に行くはずだったのだが,車で行った私はそちらよりも蔵王に興味があった.相変わらずの気圧配置なのでひと山超えた山形側はおそらく雪.しかし,仙台の朝空は透き通った青空が広がっていた.午後からは天候が崩れるらしいが,午前中はなんとかなりそうだ.朝になってから添乗員さんには申し訳ないが,急遽予定変更,ロープウェイ2本を乗り継いで蔵王山頂駅まで行ってみることにした.

    蔵王ロープウェイ駅.雪がたくさん.


    ロープウェイから見下ろす蔵王の樹氷(下部)

 職員3人を誘い,高速を飛ばしてトンネルを抜けると(というかトンネルの手前から)すっかり雪景色.やはり北国はこうでなければ.秋田に住んでいた頃の冬の景色を思い出す.ロープウェイ駅に着くと,スキーやスノボーを担いでいるお客さんたちがちらほらと目につく.係員の人に聞いてみると,雪が降って昨日からスキー場がオープンしたばかりだそうだ.本日がオープン2日目となる.ロープウェイから下を見ると,下のほうでまだ木の枝に雪がついている程度だが,上に行くほど雪の量が増え,中腹の樹氷高原駅から上はもう立派な樹氷が完成しつつあった.

    蔵王山頂駅付近の雪と樹氷.吹雪で視界は10~20mほど.


    山頂駅の先にある標柱.エビのシッポができていた.

 高度が上がれば上がるほど風と雪が強くなり,山頂駅あたりはもう吹雪の様相を呈していた.それでも物好きに外を歩いてみると,あっという間に頭は雪だらけ,髪の毛は強風で鳥の鶏冠のように突っ立ってしまう.せっかくなので4人で記念撮影したが,吹雪舞う凄い1枚が撮れた.

    snow monster発育中


    吹雪の中で激写!

 山頂駅で12時を過ぎたので,ここで昼食をとってゆったりくつろいで帰路につく.1月・2月の樹氷が完成したころには夜のライトアップをやるらしい.さぞかし美しい樹氷の姿が見られることだろう.機会があったら訪れてみたい.

    樹氷高原駅付近のブナの樹氷.見事!

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秘湯三斗小屋温泉と吹雪の那須岳  平成20年11月19‐20日

2008年11月29日 | 日本百名山
 平成20年11月19‐20日 天候曇りのち雪

 職員旅行で東北の中尊寺や松島へ行く機会があった。バスと新幹線を乗り継いでの旅の予定なのだが、山に登りたい私は一人だけ旅行前日に休みをとり、車で甲府を出発。目指すは那須岳の裏側、那須岳ロープウェイ山頂駅から徒歩約2時間の三斗小屋温泉という秘湯だ。
 この日から冬型の気圧配置となり、強烈な寒気が入り込んでくるため、東北地方の日本海側は大荒れ、大雪の天気になる予報だ。栃木と福島の県境にある那須岳あたりならなんとか大丈夫だろうという甘い考えで中央道、圏央道、一旦一般道路に下りて東北道に乗りなおし、那須岳ロープウェイに到着したのは午後1時半だった。ロープウェイ駐車場で三斗小屋温泉大黒屋に電話すると、もう今年の営業は終了しているが、隣の煙草屋は営業しているという。そちらに電話すると話し中。2度目で電話がつながった。夕食が4時半なので、急いで来て欲しいと言う。さっそく準備にとりかかるが、ロープウェイ出発案内の放送があり、1時48分出発だという。時間が5分しかない。大急ぎでザックに荷物を詰め込んでなんとか間に合ったが、乗ってからザックの違和感に気づく。いつもより軽いのだ。水を1リットルしか持っていないのもあるが、それにしても軽すぎる。ザックを下ろして確認すると、カメラマンの命とも言うべき三脚を入れ忘れてしまった。それとカップラーメンやスパゲッティは持って来たのにバーナーとコッヘルが入っていない。ロープウェイを乗り返して取りに戻ることも考えたが、小屋に到着する時間が遅くなってしまう。空はどんより曇り空、たいした写真は期待できないこと、また三脚必須の星空撮影も今回は無理そうだ。三脚はあきらめて、今回は温泉を楽しむことにした。

    那須岳ロープウェイ山頂駅


    牛ヶ首から見る那須岳.薄雪を纏う.

 ロープウェイには7~8人の乗客がいたが、登山らしき格好をしているのは私だけ。時間と季節、それと平日ということもあり、登る人は少ないらしい。山頂駅から那須岳山頂を越えるコースと牛ヶ首という山の中腹を巻いてゆくコースがあるが、山頂は明日の朝楽しむことにして牛首コースを行く。ほぼ水平な道を20分ほど歩いて牛ヶ首到着。このあたりは那須岳の噴煙があちらこちらからモクモクと上がっていて、硫黄臭が強い。ここから峰の茶屋跡にやはり水平に巻き道が続いているが、わずかに進んだところで牛首から西に下る「山斗小屋温泉」の道標が立っていた。一旦そちらに下り始めたが、確かこっちの道は少し遠回りだったはず。地図で確認すると、やはり10分か20分くらい余計に時間がかかるので、戻って峰の茶屋跡からのコースを行くことにする。

    噴煙を上げる那須岳.牛ヶ首付近から.


    夕映えの那須岳.三斗小屋温泉避難小屋から見上げる.

 小雪が時折ぱらつくものの、寒さはそれほどでもなく、時折陽が差し込む天候だ。峰の茶屋跡には立派な避難小屋が立っているが、原則ここは宿泊禁止となっている。やや急な下りを下りてゆくと今度は山斗小屋温泉避難小屋が左側に立っている。ここは宿泊禁止とは書かれていなかった。4畳半ほどの部屋が2段式で左右にあり、20人ほどは宿泊できそうな小屋だった。ここから見上げる那須岳は格好が良い。その先は歩きやすい道となり、荷物が軽かったので途中はトレランの真似をして走ったりしながら、3時45分、思ったよりも早く三斗小屋温泉煙草屋旅館に到着した。

    三斗小屋温泉.宿泊した煙草屋と大黒屋の2件の宿がある.車では行けない秘湯.


    煙草屋旅館の露天風呂.


    露天風呂と脱衣所.混浴だが,午後3時~5時は女性専用となる.

 本日の宿泊客は男性3人のみ。旅館はおかみさん1人で切り盛りしており、週末に番頭さんたち数人が登って来るという。本日は3人だが、土曜日は予約で満室という、人気のある旅館だ。普段は午後3時から5時までは露天風呂は女性客専用となるのだが、この日は男性客だけなのでいつ入っても良いと言われ、食事の前にさっそく露天風呂に行く。ちらほらと小雪が舞う中、貸切りの露天風呂につかりながら雪化粧しはじめた山を眺める、う~ん、極楽極楽。4時半食事となり、ゆっくり食べて6時に部屋に戻り、7時には早々に布団にもぐり込んだ。その頃から雪が深々と降り始めていた。

    翌朝の那須岳.雪と風で白く霞む.


    強風と地吹雪

 翌日は職員旅行のグループと午後1時半、平泉中尊寺で待ち合わせの予定だ。ロープウェイ駐車場は9時ごろに出発しないと危い。雪道を歩くことを考えると、午前5時前に出発しないと山頂を踏んで駐車場まで行くのは難しそうだ。3時起床、カップラーメンを食べて(バーナーを忘れたのでここでしか食べる機会がない)もう一度露天風呂に入り、持って行った冬山装備と軽アイゼンを身に纏って、早朝4時半に旅館を出発した。旅館周辺は10~15cmほどの積雪、このあたりは谷間なのでさほど風は無かったが、上空はゴーゴーと風が吹く音がしている。上はいったいどうなっているのだろう。闇の中を歩きながら若干の不安がよぎる。三斗小屋温泉避難小屋あたりで朝6時となり、明るくなってきた。那須岳を見上げると昨日よりはずいぶんと雪がついている。足元の雪も20cmほどになり、雪の下に埋もれた石にアイゼンがひっかかって歩きにくい。さらに登って行くと、吹き溜まりでは腿から腰のあたりまで雪の積もっている場所もあった。強風が吹き荒れ、稜線直下は地吹雪が吹き荒れる。冬山装備でなかったらひとたまりもない。

    地吹雪吹き荒れる稜線直下


    峰の茶屋跡避難小屋と,遠く霞む那須岳

 6時50分、峰の茶屋跡避難小屋に到着。ここは風の通り道と呼ばれていて、谷からの風と両側の山から巻いてくる風がこの場所を通って流れて行く、強風の名所である。立っているのがやっとくらいの凄い風と地吹雪、山頂までは通常ならば30分ほどだが、遠く白く霞んでいる。とても登る気にはなれない。そのまま真直ぐに下山道を進むが、こっちの道は完全に吹き溜まりになっていて、延々と膝あたりまでのラッセルを強いられる。昨日の小屋で一緒だった2人は大丈夫だろうか?ちょっと心配になる。黙々と歩いて8時、駐車場に到着した。こちらは山の東側で風を受けないため、風も無く穏やかだった。

    那須岳ロープウェイ駅到着.山の東側になるこのあたりは風が吹かず穏やか.

 昨日から冬型の気圧配置になった東北地方、山はもうすっかり冬山だ。少しの雪を踏めればと思っていたが、とんだ吹雪になってしまった。麓の東北自動車道まで下りるとそちらは打って変わって青空の広がる好天。しかし那須岳には真っ白な雲がまとわりついていた。山をなめてはいけません。
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冠雪の谷川岳  平成20年11月2日

2008年11月13日 | 日本百名山
 平成20年11月2日 天候晴れのち曇り

 前日は秋田大学時代の親友の家にお邪魔した。10年ぶりだろうか、当時小学生だった息子さんがもう大学受験を向かえ、猛勉強の最中だった。秋田市郊外の仁別というところに山間の雰囲気を生かしたレストランがあり、昼食をご馳走になった。重箱のような大きな折の中に盛られた十数種類の料理(前菜)は圧巻で、山菜やきのこなど地元の産物を盛り込んだ、一品一品手のこんでいる美味しい料理だった。
 すっかり長居をしてしまって、秋田を出発したのはもう西に日が沈む頃だった。本荘市に向かう日本海が見える海沿いを走る頃にはもう日が沈み、夕焼けがわずかにのこっているだけだった。時折月が見えるものの相変わらずの曇り空だ。バイパスを避けて酒田市や鶴岡市の市内の道を走り、やや時間を費やしたが、新潟県の高速道路手前まで来たところで眠気が強くなり、この日は道の駅で寝る。翌朝日の出の6時ごろに一旦目が覚めたが、眠かったので二度寝入りし、次に起きたのは8時。朝寝坊してしまい、これで今日登れる山があるのか?太平洋側に抜けるだけでここから3時間くらいはかかりそうだ。候補は赤城山、榛名山、そして谷川岳あたり。だが、悪いことにいずれの山も地図を持ち合わせていない。ひとまず榛名山ロープウェイにカーナビをセットして出発する。午後1時ごろに到着できそうだ。関越道をひた走り、関越トンネルの手前から山を見上げると、山の上は雪が積もっている。確か関越トンネルの左側が谷川岳・・・山頂あたりはかなり真っ白だ。確かロープウェイを使って山頂往復4~5時間と記憶していたので、谷川岳に行ってみることに決める。

    混雑した谷川岳ロープウェイ


    天神平のリフトと冠雪の谷川岳

 ロープウェイ駅の駐車場には11時を少し回った頃に到着できた。ザックに荷物を詰め込んで出発、念のためダウンジャケットとオーバージャケットを持っていったが、全く不要だった。11時半に切符を買ったものの、連休ということもあって観光客がたくさん来ており、30分ロープウェイを待つことになる。歩き始めは12時ジャスト。一山向うに冠雪の谷川岳が聳えるが、先ほど日本海側から見たよりは雪が少ないように見える。谷川岳方面に歩いて行く人は私だけで、この季節はもう歩く人は少ないのかと思いきや、そうではなくてただ歩き始めが遅いだけだった。

    整備された登山道。ところどころ薄雪が積もっていた。


    中腹から見上げる谷川岳。上部は笹原の山。

 この登山道は中腹の避難小屋までは木道がついた整備された道だ。避難小屋を過ぎたあたりから傾斜がきつくなり、ゴロゴロした石や鎖のついた岩場を登るようになる。このあたりから続々と下山者が現れ、鎖場で譲り合いながら登る。ところどころ雪が見え始めるが、登山道は既に解けていて、むしろ雪解け水が流れ出して道は水浸し状態で歩きにくかった。岩も濡れて滑りやすくなっている。途中には天狗の留まり岩や天神ザンゲ岩という展望の良い岩場があり、岩の上に登って景色を楽しみながら登る。

    谷川岳トマの耳。積雪あるが、アイゼンなしで登れた。


    コルから見上げるオキの耳


    オキの耳から見下げる一の倉沢

 肩の小屋から上は10~20cmほどの積雪あったが、どろどろのシャーベット状態になっていた。トマの耳2時5分到着、約2時間の行程だった。当初はここで折り返して下山の予定だったのだが、隣のオキの耳を見ると、どう見ても向うのほうが数メートル高そうに見える。行かないと後で後悔しそうだったので、時間を気にしながらも行くことにした。ここからの下りは雪のついた斜面で結構滑りやすい。簡易アイゼンは持ってきていたが、20分ほどで行ける距離なのでアイゼン装着せずに歩き、無事オキの耳到着、2時25分だった。山頂でラーメンを食べるつもりで持ってきたのだが、時間的に余裕が無く、三脚を出して山頂の記念撮影とあたりの景色をざっと撮影してさっさと下りることにした。もう3時近かったので、この時間に登って来る人はいないだろうと思っていたら、若いカップル2人とさらに若者1人が登って来た。最終のロープウェイが5時だから、下山1時間半とみて3時半までに下り始めれば大丈夫といえば大丈夫。私はちょっと足が遅いので、オキの耳2時45分、トマの耳を3時に折り返した。滑りそうな岩場に気をつけながらも順調に下山し、途中休憩を1回入れて4時半、天神平ロープウェイ駅に到着した。10分ほど遅れてオキの耳で会ったカップルも到着。帰りのロープウェイも混雑していて、20分ほど待ち時間があった。

    オキの耳から見るトマの耳。ナナカマドは赤い実だけが残っていた。


    谷川岳肩の小屋。向うに見えるのは万太郎岳?

ロープウェイを使うと容易に登れてしまう谷川岳だが、ロープウェイ駅の通路にはたくさんの山や花の写真が飾られていて、目を和ませてくれる。ここは鹿の食害は大丈夫なのだろうか?南アルプス仙丈ケ岳のように高山植物が激減してしまうような事態にならないことを願うばかりだ。
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道の駅天王「くらら」  平成20年11月30日

2008年11月13日 | 番外編
 平成20年11月30日 天候くもり

 前日は道の駅象潟で車内泊し、鳥海山をぐるり約1/2周して秋田市の学会場に到着した。夕方7時半から懇親会があり、それに出席した後、再び車に乗って道の駅天王に移動した。ここには「タワー」と呼ばれる高い塔が立っているのは知っていたが、実際に立ち寄るのは初めてだ。その横には入浴施設「くらら」という大きな施設があり、朝9時から入浴できる。夜11時過ぎの到着だったので既に入浴時間は過ぎておりこの日はシュラフに潜りこんで2泊目の車内泊となる。

    道の駅天王の入浴施設「くらら」とタワー

 早朝まだ薄暗いうちに雨が降ったが、すぐに止んだ。朝7時ごろには一時青空が広がっていたが、8時過ぎにはもう空一面の曇り空になってしまう。天気予報では午後から雨が降るらしい。前日の寝不足と車内泊にだいぶ慣れたこともあり、ぐっすりと眠れ、すっきりした朝を迎えることができた。9時、「くらら」に行って朝風呂に入る。大きな入浴施設だが、平日の9時だというのにもうたくさんの人がお風呂に入っていた。新しくてきれいな施設で、露天風呂もあって快適な施設だ。道の駅象潟も同様だが、秋田県の道の駅は整備が行き届いている施設が多い。

    昔の住居を再生した建物


    スサノオの館


    スサノオとヤマタノオロチの像

 また、道の駅天王の周辺は公園になっていて、ここは八郎潟の水が海に注ぎ込む水門になっている。1時間ほど公園内を散策したが、このあたりにはスサノオとヤマタノオロチの伝説がある場所で、再生した昔の住居やスサノオの銅像など、いろいろな建造物が目を楽しませてくれる。ただ、歩く人が少ないのはもったいない気がする。池の端に鯉の餌が売っていたので、持ち合わせの小銭200円分を買って池に餌を撒くと、凄い数の鯉があっという間に寄ってきた。200円分ではとても足りない。

   八郎潟水門の貯水池(残存湖)


    池の鯉


    貯水池側から見るタワーとくらら

 さて、この日は昼ごろに学会場に行き、そのまま夕方まで会場で過ごし、夜は会場となっている秋田ビューホテルに飛び込みで宿泊した。学会最終日で帰る人が多く、部屋は簡単にとることができた。予定してはいなかったのだが、医局で学会の打ち上げをホテル内でやるというので、そちらにも参加させていただき、夕食をご馳走になってしまった。寄付金もう少しだすべきだったか?とちょっと反省。明日は秋田大学時代の同級生と会い、午後から日本海側は天候回復する気配ないので、太平洋側に抜け、谷川岳あたりに登る予定だ。
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秋田紀行、鳥海山(駐車場まで)  平成20年10月30日

2008年11月07日 | 番外編
 平成20年10月30日 天候曇り

 母校、秋田大学で学会が開催されるため、10月29日(水)から11月3日(月)までの中期休暇をとって秋田に出かける。今回はテント、シュラフ等の装備を車に積み込み、道の駅を点々とし、学会メイン日の31日以外は車内泊、またはテント泊りで行く予定だ。可能ならば鳥海山や月山に登りたいのだが、休み期間中は日本海側はずっと天気が悪そうだ。そういえば秋田に住んでいた18年間を思い出し、この季節になると日本海独特のどんよりとした雲におおわれるようになり、突然雪が降り出したり雷が鳴ったり、変わりやすい天気となり、それが春まで続く。日本で最も年間の日照時間が少ない場所なのだ。
 さて、子供たちを学校に送り届けて8時半ごろ甲府を出発。塩山まで行ったところで持ち物を確認すると、学術集会参加票とプログラムの入った袋を病院に置き忘れてきたことに気付く。あの紙切れ1枚で1万5千円もとられるのだ。母校が主管だから無くても大丈夫なのだが、一応病院まで取りに戻る。これで1時間以上時間をロスし、結局10時過ぎの出発となる。圏央道がいちばん速そうだが、今回は雁坂トンネルから秩父を抜けて鶴ヶ島(だと思ったが?)インターから関越自動車道に乗り、日本海側に抜けて海岸沿いに秋田まで北上する。太平洋側はやや雲が広がるものの青空の見える天候だったが、関越トンネルの手前あたりから空一面暗い雲が広がり出し、ポツポツと雨が降り出した。そして関越トンネルを抜けた途端に土砂降り状態となる。天気予報どおり、日本海側は天候が悪い。その後も雨が降ったり止んだりの天候が続き、山形に入ったあたりで日が暮れる。鶴岡インターで山形自動車道に乗ったまでは良かったものの、カーナビの画面を見ると南方向(秋田とは反対の方向)に向っている。どうやら逆方向に入ってしまったらしい。サービスエリアに入って地図とカーナビで確認すると、やはり進行方向は山形。さらに良く地図を見ると月山のロープウェイまで次のインターで下りてすぐに行けそうだ。そこで、携帯の iモードでロープウェイの状況を調べると、10月26日で営業終了しているではないか。月山は止めて予定通り秋田に向う。
 次のインターで乗りなおして再び北上、日中ならば眺めの良い海岸線の道も夜はただ真っ暗なだけ。時折白い波と沖合いの船の明かりが見えるだけだ。そして鳥海ブルーラインの吹浦側入り口に到着。どうするか迷ったが、とりあえず鉾立の駐車場まで行ってみることにした。ブルーラインを登り始めてすぐのところに看板があり、「夜間通行止め」と書かれているように見えた。戻って確認すると、こちらも夜間凍結の恐れがあるため、10月27日から規制があり、夕方5時から朝8時まではゲートが閉鎖されている。時間は夜8時半、ここでも数日の差で登山口までは行けない。さて、どうするか?学会は金曜日に参加の予定なので明日1日は時間がとれる。しかし、天候が天候なので、明日鳥海山の山頂まで行くのはほとんど期待できない。しかし、わずかな望みを抱きつつ、本日は象潟の道の駅で寝ることにした。
 秋田県内の道の駅は驚くほど整備されていて、この象潟は大きな駐車場と展望風呂のある大きな建物、さらに道の向いにはコンビニエンスストアとファミリーレストランが立つ絶好の休憩場所だ。トラックだけでなく、一般の車でも私と同じように道の駅泊りの人たちがちらほらと見かけられる。お風呂は営業時間に間に合わず、終了直後だったが、朝は9時からやっている。天候悪ければ、明日はゆっくり風呂に入って秋田の学会場に向うことにして、ファミリーレストランで食事して寝る。

    鳥海ブルーライン鉾立駐車場から見る日本海。どんより暗い雲が広がる。

 夜中の11時ごろ、一時星空が広がったのでちょっと期待したのだが、あっという間に星は雲の中に隠れてしまう。翌朝6時半に起床、雨は降っていないものの空は曇り空、鳥海山は上部がすっぽりと暗い雲におおわれている。昨日の冷たい雨でおそらく上は雪。しかもガスの巻く視界の悪い状態だろう。一応鉾立駐車場までは行ってみることにして、8時半、象潟道の駅を出発した。予想通りのどんより暗い雲が頭上を覆い、駐車場のすぐ上から鳥海山は雲の中に隠れてしまっている。登山者らしき姿は全くなし、観光バス1台と数台の車が止まっているのみだ。気温は5℃くらい、風が冷たい。

    鉾立駐車場。駐車場のすぐ上から雲が巻く。


    鉾立の展望台。雪が少し積り、ガスに巻かれて展望が利かない。

 サンダルを履いたままカメラだけ持って展望台まで登ってみると、谷側は完全にガスに巻かれて滝の音が響くのみだった。雪も少し積もっている。先に進むと木道が見え始めるが、もちろんトレースなどない。この状況で登っても何も見えないだろうし、新雪で道に迷う可能性もあり本日の登山はあきらめることにした。

    御浜小屋に向かう登山道。もちろんトレースなし。


    TDK小屋。小屋仕舞いの真最中だった。

 鉾立山荘も次の連休で閉鎖となり、TDK小屋は布団を積み出して小屋を閉鎖している最中だった。登れなかったので、代わりに鉾立山荘で絵葉書を買い、向いのビジターセンターで写真展をやっていたのでそちらを見学する。素晴らしい写真の数々、そしてチョウカイフスマ、チョウカイアザミをはじめとする豊かな植生、登らずともこの山がいかに素晴らしい山であるかは十分に感じ取ることができる。思えば30年前、大学の1年生の時に学生課の募集で鳥海山登山に参加したことがあった。その頃は登山など全く興味が無かったのだが、同級生に誘われて試しに登ってみようということになった。7月20日ごろだったと思うが、夏休みに入ってすぐに観光バス2台に分乗して大学キャンパスを出発。その時の天候は、鳥海山の駐車場に着き夕食のカレーを食べた後から土砂降りの雨となり、さらに耳をつんざくような雷。テント泊りの予定が急遽避難小屋に寝ることとなった。どこの小屋かは覚えていないし、駐車場も今のように立派なアスファルトではなく、土の駐車場だったような記憶がある。60人もの学生がとても入り切れるような広さはなく、ワンダーフォーゲル部は雨の中でテント泊り、我々一般学生は足と頭を交互にしてギューギュー詰めで横になり、寝返りも打てない状況で夜を明かす。翌朝の天気も雨だったが、ワンダーフォーゲル部の人に誘われて7~8人の有志で途中まで登ってみることにした。雨で滑りやすくなっている土の斜面を15分ほど登って展望台らしきところに到着したが、ガスで何も見えなかった。恐らくその場所が今回行った展望台ではないだろうか。今ではセメントの階段がつけられていて、サンダル履きでも登れるようになってしまっている。もしあの時、天候が良くて鳥海山の絶景や高山植物が見られたなら、私はもっと早く登山に目覚めていたかもしれない。私は48歳にもなってまだ登山歴3年の初心者である。

    仁賀保高原の休憩施設。鳥海山の絶好の展望地。


    仁賀保高原の風力発電風車と鳥海山。1日中鳥海山は姿を現さなかった。

 ずいぶんと長い記事になってしまったが、秋田に18年間も住んでいたが登ったことがなかった鳥海山。山梨に住んでいても何故か地元の山のような愛着がある。鳥海ブルーラインを象潟側に下りて途中で右折し、今度は仁賀保高原に向う。買った絵葉書の写真を見て、池の点在する仁賀保高原の風景を見てみたくなったからだ。カーナビに従って移動し、モダンな休憩施設と風力発電の風車が立ち並ぶ仁賀保高原に到着。晩秋の高原は平日ということもあり、ほとんど人はおらずひっそりとしていた。整備されたキャンプ場もあり、大きな炊事場の水も使用できる状態だった。南側に大きく聳える鳥海山、残念ながら雲におおわれて山頂は姿を見せてくれなかった。さらに鳥海山を湖面に映す大谷地池を見学し、鳥海山に別れを告げる。

    大谷地池と鳥海山。このあたりには鳥海山を映す美しい池が点在する。

 大仙市大曲に後輩が最近開業したのでそちらを訪問し、学会会場に午後5時ごろ到着した。医局員はすっかり世代交代し、一緒に仕事した仲間はもう教授くらいしかいなくなってしまった。秘書さんたちは当時の人たちが変わらず勤めていたので、最近の秋田の情勢を収集する。7時半からの懇親会で夕食を済ませ、医局の後輩たちに安いホテルを紹介してもらったのだが、北海道から来られて1ヶ月間も道の駅を転々としていたtarumae-yamaさんご夫妻の山行姿にあこがれて、再び車に乗り今度は秋田市の北側にある天王道の駅に移動して車内泊2泊目となる。ここも大きなお風呂のついた凄い道の駅だった。(天王道の駅編に続く)
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