山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

御坂山塊に咲くツレサギソウ属の花  平成26年7月28日

2014年07月30日 | 御坂・毛無・天子山系
 もう時期的に遅いかもしれないが、今季最後の紫の蝶舞う花を見に行こうと思っていたところ、山花仲間からメールが入った。御坂山塊の某所に変わった花が咲いているという。中腹はもう終わっているが山頂近くは満開らしい。ならばそちらへ、ということで急遽目的地変更して御坂の山に向かう。

 レンゲショウマを見ながら登って行くと、もう咲いているものもあった。しかし、昨年よりも途中の森の中がなにか草が減ってスカスカになったような違和感を感じる。登山道脇を良く見てみれば、ショウマ類の葉と思われる草に鹿の食害の跡が多数見られた。これからだという時にだいぶ鹿の被害に遭っているようだ。


    レンゲショウマはほとんどが蕾。


    もう咲いているものも少数見かけられた。


    こちらは咲き始めたシュロソウ


    草が減ったような違和感を感じていたが、鹿の食害跡が多数あった。


    ハクサンフウロも少ない。

 山頂近くの草地の中を探すと、白くて目立つその花は容易に見つけることができた。昨年のこの季節に、この近くの山でもう少し小さな株の花を数株みつけたが、その時もとうとうこの花の正体はわからずじまいだった。


    白いサギかトンボが飛ぶようなこの花、やや背が高くて目立つ。


    果たしてこの花の正体は??


    まだ開花していない別の株。


    長く真直ぐ伸びた距(尾の部分)はキソチドリとは違う。

 ツレサギソウかヤマサギソウのいずれかと思われ、図鑑を調べてみると、ツレサギソウの葉は狭長楕円形で鋭頭なのにに対し、ヤマサギソウは線状長楕円形と書かれている。さらに、ツレサギソウは唇弁の基部の両側に突起があり、ツレサギソウ属の中では異色であるとも書かれている。そこで、葉の形態と接写した花の形を良く見てみると、葉の先端は尖っておらず、唇弁の基部には突起が無い。おそらくこれはヤマサギソウであろうと思われる。


    花の接写写真。唇弁(舌のように下に垂れ下がっている部分)の基部に突起は無い。この花の正体はおそらくヤマサギソウ。

 花を正面から見るとクリオネに似ており、「草原のクリオネ」とも呼ばれているそうである。同定が間違っているかも知れないので、詳しい方がいたら教えていただきたい。


 さて、広場で休憩して下山だ。別ルートを下りてみると、そちら側はレンゲショウマがたくさんあり、ちらほらと咲き始めていた。8月中旬、おそらくは見頃を迎えて楽しませてくれることだろう。


    ?


    クガイソウ


    フシグロセンノウはまだこれから。


    レンゲショウマの蕾。こちら側のルートのほうが多い。


    咲き始めたレンゲショウマ


    同上。
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富士山麓樹海の森偵察 平成26年7月27日

2014年07月30日 | 番外編
 折角購入したGPSだが、まともに稼働したのは1回のみでザックの中に眠ったまま。まだ使い方もよくわからない。今回行くのは一歩間違えば森の中を彷徨い続け脱出できなくなるかもしれない樹海の中。というのは大げさで、林道が縦横無尽に走る富士山はよほど変な場所に入り込まなければ、おそらくはどこかの林道に脱出できると思っている。しかし、安全に歩くためにはGPSを持っていたほうが安心・確実であることは間違いない。昨年は花見隊で精進湖登山道を3合目あたりまで歩いたが、今回はもう少し奥の方を少しだけ探索してみたいと思う。


    昨年見つけたクモキリソウ。もう花は終わっている。


    ミヤマウズラはまだ葉っぱだけ。


    おそらくこれは散ってしまったウメガサソウ。


    林道の途中から見る夏富士。


    富士山に咲いているが、おそらくこれはフジイバラでは無くてノイバラ。

 林道を進んで道路脇のスペースに車を止めて森の中に入ってみると、そこは苔の生した森が広がる。足元には苔の間から綺麗な縞模様の入った葉がたくさん出ている。標高は1,700mを超えているので、ここに咲くのはヒメミヤマウズラだろう。


    ヒメミヤマウズラの葉。


    苔の間からたくさん葉を出している。


    咲き残っていたイチヤクソウ

 GPS片手にいよいよ樹海の中に入り込んでみる。目指すのは夏の終わり頃に寅キチ乱舞することで一部のマニアに知られている場所だ。一部踏み跡らしきものがあるが、おそらくは獣道だろう。苔の生えた倒木が多数横たわる森の中は、登るにはさほど難しく無いが下りは方向を見失いそうだ。GPSで方向を確かめながら、歩き易そうな場所を探して目的地に進む。


    樹海の中に入る。苔の生した倒木がたくさん。


    方向を見失いそうな森の中。


    食ったら死にそー。


    これは食べられそう。調べてみると、フジウスタケというキノコで、しっかり加熱すれば食べられるらしいが、食べないほうが無難なようだ。


    クロハツ?と思ったが違うようで、コゲイロハツタケというものだと思う。キノコ探しに来たわけではないが、見つけるのはキノコばかり。


    花芽を出しているヒメミヤマウズラ。


    たくさん生えているので、踏まないように足元を気をつけながら進む。


    立ち枯れの山頂。


    ヒヨドリバナがたくさん咲く。


    立ち枯れの空


    ?

 山頂で軽食をとって休憩し、周辺の森を散策してみる。噴火口様の窪地があり、その周りを歩いていると、休憩した山頂にまた戻ってしまう。窪地の中に下りてみると立ち枯れの倒木がたくさんあり、炭火の跡があってどうやらここで炭焼きが行われていたようだ。


    フジアザミの生える土の斜面


    窪地の中は倒木だらけ。


    倒木の下に咲いていた花


    ? 櫛形山でも発見した。


    山頂付近の森の中はもうすぐ咲きそうなヒメミヤマウズラ。


    ヒメミヤマウズラ

 GPS確認しながら、真直ぐに車を止めた場所に下りる。機能はまだ全く使いこなせていないが、地図の見方だけは慣れてきた。歩行時間は3時間ほど、この程度ならば問題無さそうだ。


    林道脇の斜面にはトリアシショウマがたくさん咲いていた。


    こちらはキリンソウ(ホソバノキリンソウ)。

 次は8月下旬か9月初旬にこのあたりを訪れてみたいと思っている。今年見たい花No.2のものだけに、出会えると良いのだが・・・。
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今年のレンゲショウマはいかに? 清八峠側から三つ峠へ  平成26年7月16日

2014年07月29日 | 山梨百名山
 計画的に休みとなった平日、予定ではここでは無くもう少し高いところに咲く変わったイチヨウラン探しのはずだったのだが、案の定起きられず(起きたが眠すぎてあきらめた)近場に行くことにした。青空が広がり、富士山も見えそうだ。ただ、かなり暑い。

 清八山林道から途中で旧登山道に入り、林の中を進むと、何やら食べられそうなキノコが・・・。匂いがマイタケに似ており、白いマイタケかと思ったが、ハナビラタケというものらしい。食用だそうだ。


    さっそくクモキリソウ発見。


    ?


    ?


    林の中で見つけたハナビラタケ。


    伐採地の中を鉄塔めがけて登る。きちんとした道がある。


    クガイソウが風に揺れていた。


    ヒヨドリバナ。アサギマダラの好物だが、見当たらず。

 本日のいちばんの目的はこの先の森の中にあるレンゲショウマの状況だ。もうひとつの探し物は見つかるかどうか??鉄塔の下でたっぷり休んで樹林帯の中に入る。


    さっそくレンゲショウマの蕾。その先にも多数。今年は多いように見受けられる。


    ウスユキソウ


    キヌタソウ


    イワカガミの葉が多数。(ベニバナヒメイワカガミと思われる。)


    途中から見上げる三つ峠


    まだ蕾のシュロソウ


    奇怪なブナの木


    こんなピークがあったのか。茶臼山。


    ちょっと岩登り。


    ヤグルマソウとモミジガサの群落。


    トリアシショウマ


    サラシナショウマはもうすぐ咲きそう。


    レンゲショウマはまだ固い蕾。花芽がかなり出ている。


    レンゲショウマ群生


    ミヤマカラマツ


    雲・切り・草属の葉


    だが、探し物はこれではない。

 もうひとつの探し物は小さなイチヨウランに似た花だったが、全く発見できなかった。4時間近くかかってようやく山頂に到着した。


    御巣鷹山のお花畑には元気の良いオオバギボウシがたくさん咲く。


    囲いの中にも外にもたくさん。


    三つ峠山頂と富士山


    トリアシショウマも元気良い。


    矢車草はもう終わり。


    シモツケ。もうすぐ満開。


    山頂のシモツケと富士山


    ヤハズハハコ


    アヤメとテガタチドリ


    テガタチドリ


    こちらはもうすぐ種。

 山頂は日が照りつけて暑いので、日陰に入って昼食と大休憩。午後になっても雲が湧かず、まだ富士山が良く見えている。こんな日も珍しい。

 さて、次なる探し物はおそらく満開か、それを少し過ぎた頃であろう紫の蝶だ。この山で保護されているのは知っているが、情報が少なく場所がわからない。岩壁のどこかにひっそり咲いているだろうと思い、今日は200mmズームレンズと双眼鏡を持って来た。岩壁の見える場所まで行って探してみるが・・・全く見つからず空振りに終わる。


    こんな感じのところに咲いていると思うのだが・・・


    200mmズームで岩壁を覗いてみる。


    しかし・・・見つからない。


    こっちの岩の下も探したがやはり見つからない。

 三つ峠山荘に立ち寄って場所を聞こうと思い、小屋の中を覗き込んだが、誰もいる様子が無い。裏側で工事の最中のようで、そちらに行っているのかもしれない。時間は4時半になっていたので、本日は下山することにする。下山道途中で林の中にテープが見えたのでそちらに行ってみると、樹林帯の中にもきちんとした登山道があった。こちらは普通の山道、どこに出るのかと思いきや、駐車場のすぐ上に出た。しばしば訪れている三つ峠だが、こんな道もあるのかと初めて知った。


    アヤメ


    下山ルートの脇にオダマキがたくさん咲いていた。

 後に紫の蝶の花が咲く場所を教えてもらったが、かなり近い場所まで行っていたようだが少し方向が違ったようだ。来年は場所を間違えないように見に行きたいと思う。
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櫛形山の稀少植物たち

2014年07月25日 | 番外編
 山岳レインジャー調査で訪れた櫛形山、見てきたのは保護柵内の植生変化だけでは無い。櫛形山の植生にかなり詳しい方が同行してくれたおかげで効率良く稀少植物を探すことができた。


    山全体が乾燥してもはや絶えてしまったと思っていたヒメムヨウラン。1株だけ発見。


    ヒメムヨウラン


    まだ蕾のタカネフタバラン。かつてはアヤメ平周辺の森にあったらしいが、発見したのは別の場所。


    タカネフタバラン


    同上


    同上


    同上。8月中旬に開花しそうだ。


    花が咲いた様子は無いが、これはカモメランの葉。かつてはたくさん咲いていたらしいが、今ではほとんど見られない。数枚、葉だけ見つけた。


    カキランの蕾。


    同上。初めて見る花。柿色の花が咲くらしいが、咲いているところを見てみたい。


    あと2週間くらいで咲きそう。(だが、この場所は保護ロープの中。登山道脇でも見られる。)


    目を疑ったのがこの葉っぱ。茎と葉に毛が生えたこの葉は黄色いあっち盛草。


    草むらの中に隠れるように葉が出ている。


    元気そうなあっち盛草の葉。このまま草地が元気回復してくれれば、必ず咲くだろう。

 全く想定していなかった草花に出会うことができて、あまり期待していなかった櫛形山はお宝復活の山に変わった。黄色いあっち盛草は別の場所でも確認したが、そちらはまだ草地の再生が悪く、あまり元気の無い小さな葉しか発見できなかった。日程がとれるならば、8月、タカネフタバランとカキランを見に行ってみたいと思う。

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植生の再生はいかに? 櫛形山山岳レインジャー調査  平成26年7月21日

2014年07月23日 | 山梨百名山
 鹿の保護柵でこの山が囲われて3年ほどになるだろうか。今年の大雪で柵がだいぶ破損し、修理が大変だったという話を耳にした。昨年は6月下旬にこの山を訪れ、キンポウゲがだいぶ咲いているのを見たが、まだ植生の再生というには程遠い状態だった。今回は山岳レインジャー調査のためにこの山を訪れることとなり、しかもリーダーという大任を仰せつかった。昨年の状況から想像するに、おそらくはあまり見るべきものは無いだろうと全く期待はしていなかった。しかし・・・!

 今回のコースは昨年新しく出来上がった池の茶屋からアヤメ平に至る新ルートをどんなものなのか歩いてみることにした。参加メンバーは5人だったが、池の茶屋の駐車場に到着するとそのすぐ後ろから櫛形山登頂回数がもうすぐ300回という同じ山岳会所属の秋山さんが友人を連れてやって来た。今回の山行には都合で行けないはずだったのだが、予定が変わってたまたまこちらのコースにやって来たら我らレインジャーメンバーとばったり出くわしたのだ。櫛形山を知り尽くしたこの方がいれば鬼に金棒、この山に咲く花についても知り尽くしており、50年もこの山に登っていて、山の変化も花の咲いていた場所も知り尽くしている。あとはこの方の後ろに付いて行くだけだ。


    コース入り口に立つ案内板。赤い新ルートを行く。


    南アルプス展望台までは車椅子でも行けるように設計されている。


    植生保護ネットが張られた斜面。いずれは青々とした草が茂ることだろう。


    道脇の林の中にあったセンジュガンピ。


    北岳展望台に到着。


    この日はあいにくの天気。北岳は見えない。


    小さな花、タニギキョウ。


    ヨツバムグラ?


    ゆっくり歩いて1時間ほどで休憩所に到着。


 1時間ほどで休憩所に到着した。高度計は1,950mあたりを指していたが、この先のモミジ谷まではぐっと高度差200m以上の下りになる。モミジ谷からまた200mほど登り返して、高度1,900mほどのアヤメ平に至るが、道は大変良く整備されておりさほどの急登も無い。休憩所から2時間ほど歩いてアヤメ平に到着した。案内板のコースタイムでは2時間半だが、そこを3時間かけて歩いたことになる。


    休憩所下に咲いていた赤みがかったイチヤクソウ。


    モミジ谷まではぐっと標高差200m以上下る。


    たくさん生えていた、なんだかわからない葉っぱ。


    ミヤマカラマツ


    アヤメ平直下はサルオガゼの森。


    この山では消滅したと思っていたヒメムヨウランに出会えた。


    種になりかけているヒメムヨウラン。


    保護柵の張られたアヤメ平に到着。柵の中と外の植生の違いに注目。


    保護柵の外。徹底的に鹿に食べつくされている。


    保護柵の中。ミヤマキンポウゲやタカネグンナイフウロなどの花がたくさん咲く。

 保護柵で囲まれたアヤメ平の草地を歩いて驚いた。昨年とはかなり違った風景が広がっている。キンポウゲがたくさん咲いているがそれに混じってタカネグンナイフウロ、ミヤマオダマキがたくさん、そしてテガタチドリとキソチドリが驚くほどたくさん咲いていた。ラン科の植物が増えてきたということは草地が元気を取り戻して保湿が保たれてきたということだ。レインジャー調査の特権でロープの中の草地に入らせてもらい、中を調査してみると、もう枯れて絶えただろうと思っていたあの草の葉も見つけることができた。


    復活、ミヤマキンポウゲ。9年前の初めてこの山を訪れた時の景色に近くなってきた。


    テガタチドリはあちらこちらにたくさん咲いている。


    キソチドリ。草地が元気を取り戻した証拠。


    最初はトンボソウかと思ったが、茎に葉がついており、やはりキソチドリ。トンボソウの葉は根元に2枚葉が出る。


    キンポウゲの中にテガタチドリが混ざる。


    完全に鹿が排除できたわけでは無いようで、ヤナギランはことごとく食べられていた。


    ノコギリソウ


    もうすぐ咲きそうなコウリンカ


    キバナノヤマオダマキ大群落


    大株のギンリョウソウ


    茎と葉に毛が生えているこの葉はきっとあの草。あと数年で咲いてくれそうだ。

 アヤメ平の避難小屋前で昼食をとり、他に数か所の調査を行って裸山に向かう。途中の登山道周辺の草地は花の無い草地と化していたが、保護柵が設置されている裸山の柵の中をのぞき込んでまたまたビックリ。昨年とは全く違う光景が広がっていた。アヤメが増えてはいるが、それ以上に驚いたのはびっしりと生えたテガタチドリの多さだ。これほどたくさんのテガタチドリが生えた草地は見たことが無い。柵の無い反対側の斜面とは全く違う景色で、明らかに植生が回復している。保護柵の効果がいかに絶大なものか、そしてかつての櫛形山がいかに植生豊かな山だったかをうかがい知ることができる。


    裸山。左側の斜面はアヤメ平よりも先に保護柵が設置された場所。


    保護柵の中はアヤメも再生しつつあるが、驚くほどのテガタチドリが咲く。


    テガタチドリ、アヤメ、グンナイフウロ、キバナノヤマオダマキ、ヤマハハコなどが咲きほこる裸山の柵の中。


    柵に囲われていない反対側の斜面とは対照的。保護柵の効果は絶大だ。


    アヤメも少しずつ増えているように見受けられる。


    明らかに再生されつつある櫛形山。これからが楽しみになってきた。

 思いもよらなかったお花畑に感激した後、山頂を目指す。この先は大きなカラマツが林立する原生林が広がる。青々とした苔がだいぶ減退したように見えるが、それでもここの原生林は太古の自然の景色をそのまま伝えているようで凄い。


    推定樹齢300年のカラマツ。秋山さん曰く、「50年前から樹齢300年の看板がついている」


    櫛形山原生林


    苔の生す森


    櫛形山山頂で記念撮影。

 櫛形山山頂から池の茶屋の駐車場までは約45分の行程だ。ずっと下りと思っていたが隣のピークに登り返しがあり、その上には櫛形山の三角点が立っていた。初めて歩いたこのコース、標柱点と三角点が別にあることを初めて知った。


    池の茶屋側の登山道斜面を振り返る。かつてはこの草地も高山植物が咲き誇る凄いお花畑が広がっていたそうだ。


    途中に富士山の展望地がある。


    ハリブキと赤い実


    池の茶屋付近の保護柵の中に咲いていたセンジュガンピ。


    池の茶屋の小屋に到着。向こうが駐車場。

 コースタイムでは1周5時間のところを7時間かけて歩き、3時半に池の茶屋駐車場に到着した。

 私の中ではもはや死んだ山と思っていた櫛形山だったが、それは間違いで、保護柵の効果が現れて確実に山の植生が再生されていることを知った。おそらく数年後にはあの黄色い稀少種が咲いてくれることだろう。またひとつ、毎年通うことになりそうな楽しみな山が増えた。
    
    
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雲海に浮かぶ夏富士 新道峠から黒岳へ  平成26年7月20日

2014年07月22日 | 山梨百名山
 梅雨前線の影響で3連休前半は天候が不順だが、この日の午前中はなんとか天気が持ちそうだ。珍しく早朝4時に目が覚め、ネットで三つ峠の富士山ライブカメラをチェックしてみると富士山が見えていた。これならば雲海の上の富士山にひょっとしたらお目にかかれるかもしれない。行くならば御坂山塊だ。しかし、登山口までの移動時間と登頂時間を考えると、山に登っている間に雲が湧いてしまう可能性が高い。ならば最短で富士山の眺望を得られる場所、新道峠ならば駐車場から歩いて10分ほどで展望台に到着できる。

 6時に新道峠駐車場に到着すると、先客の車が3台ほど止まっている。シンボルツリーのある第一展望台に行ってみると、三脚を立てたカメラマンが2人、撮影を終えて下山していった人に1人会った。予想通りの雲海上の富士山に出会うことはできたが、やはり季節が季節だけに空気が霞んでいる。


    登山道沿いのもうすぐほころびそうなレンゲショウマ


    木漏れ日の森


    新道峠から見る雲海に浮かぶ富士山。季節が季節だけに霞んでいる。


    雲海に浮かぶ夏富士  PLフィルターとパソコンで画像調整を行ってようやくこの程度。

 2人のカメラマンはまだまだ粘りそうな雰囲気だったが、私は10カットほど撮影して黒岳山頂に向かう。今回の目的は8月に入ると咲くであろうレンゲショウマの状況と以前に訪れた時に気になっていた葉っぱにどんな花が咲くのか確認しておきたい。草むらの中を覗き込みながら、珍しい花や葉が出ていないかどうか探しながら歩く。


    キヌタソウの群落


    クガイソウ


    ウスユキソウ。朝露が付いて鮮やか。


    シモツケ


    森の中で一株だけ発見したクモキリソウ。あたりはイノシシの仕業か、土が掘り起こされていた。

 今年はレンゲショウマが当たり年のようで、登山道脇のあちらこちらに蕾のついた茎が出ていた。黒岳の北側斜面(芦川の谷に面した斜面)にはレンゲショウマやサラシナショウマの葉がたくさんあるのだが、花が咲いてくれるわけではない。しかし、今年は花をつけた茎がたくさん出ているように感じる。


    レンゲショウマの群生と蕾。


    もうすぐ咲きそうなモミジガサの花。


    テンニンソウとトリカブトばかりになった森の草地。この山もかなりの食害に遭っていることが予想される。


    森の中に入ってみると、予想通り鹿の食害の跡。

 8時ごろ山頂に到着し、山頂近くにあったはずの気になる葉を探しに行ってみるがなかなか見つからない。確か立派な葉があったと思ったのだが・・・見つけたのは小さな葉っぱで、花が咲いていた。その花はクモキリソウだった。大きな葉はどこへ行ったのだろうか?目を凝らして探してみると、登山者に踏まれたか、誤って引き抜かれたか、大きめの葉がついた株がしおれかけて草地の中に落ちていた。既に土の中から根が抜けてしまっており、このままでは枯れてしまう。人に踏まれなそうな場所に穴を掘って植え直し、水をかけてきたが、果たして復活するものかどうか?なんとか復活して欲しいものだ。


    山頂近くにあった気になる葉はクモキリソウ。小さな株。


    右が花芽のない幼弱な葉、左のしおれているのが抜けていた葉で、土に戻して植え直したところ。


    富士山展望台で軽食。三脚を立てて待っていると、一瞬だけ富士山が現れる。


    展望台に咲いていた大株のヤハズハハコ。

 さて、下山。だが、破風山の手前で芦川側の斜面に入ってみると、ペンキサインの付けられた木を発見した。その先の尾根は雑木が伐採されていて、テープと境界見出標の杭が打ってあった。そういえば、古い登山道は現在の新道峠の手前の尾根に付いていたと聞いたことがある。おそらくはこれがその尾根道なのではないだろうか?テープに従ってそちらのルート(道は無いが)を下りてみると、林道のすぐ近くまで雑木が伐採されていて、道こそ無いものの歩くには全く問題無く、林道に降り立った。林道の向こう側にも道らしきものが続いていた。15分ほど林道を歩いて新道峠駐車場に到着した。昼寝していた蛇に出会ったくらいで目ぼしい花は見当たらなかった。


    破風山の芦川側斜面にあったモミジガサ群落。


    林の中でペンキサインと境界見出の杭を発見。その先にもテープが見える。


    尾根は雑木が伐採され、ツガの木の幹に鹿避け保護ネットが取り付けられていた。


    このマークは何?


    林道に降り立つ。


    林道脇にはタマアジサイがいっぱい。


    タマアジサイ

 下山後、上九の湯に立ち寄るとうーさんとばったり。本日は奥様と買い物の帰りだそうだが、昨日は毛無山に咲いているという希少な植物を探して登って来たそうだ。お目当ての花は空振りだったようだが、昨年沢を登ってようやく出会えた草・ノ・王・葉・野菊の葉を見つけてきたそうだ。今年は昨年よりは楽にその花に出会えるかもしれない。明日は山岳会レインジャー活動で行く櫛形山の花調査に同行する予定である。

 今年の御坂山塊のレンゲショウマ、まだ蕾ではあるが、当たり年だと思う。8月中旬ごろに見ごろを迎えそうだ。
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森にひっそり咲く小さな蘭 小金沢山系の山  平成26年7月13日

2014年07月15日 | 大菩薩・小金沢山系
 広大な草原が広がるこの山は、かつてハクサンフウロやキンポウゲ、オオバギボウシなどが咲き誇る豊かなお花畑が広がっていたが、ここ数年の鹿の食害は酷く、すっかりイネ科の雑草が生い茂る草地になってしまった。鹿保護柵が設置されたのはおそらく昨年であろうと思われるが、もはや既に時遅しといった感もある。人から山を保護するために私が登山を始めたばかりの8年前には既にロープが張られていたが、草地に入り込むのは人間だけでは無い。残念ながら、このロープだけでは山は守れなかったということになるだろう。


    かつては草原を彩る様々な花が見られたお花畑だったが、今ではイネ科の雑草ばかりが目立つ。


    設置された保護柵は雪の影響で一部壊れていたが、添え木がつけられてすっかり修理されていた。


    ひっそりとノコギリソウ。まだ咲いていない。


    これから咲くヤマハハコ。


    まだ蕾のシモツケ


    キバナノヤマオダマキがちらほら。


    かつてはこのキンポウゲがたくさん咲いていた記憶があるが、今ではまばら。

 今回はこの草原の様子を見に来たことがひとつ。数年前に来た時は確かクルマユリやハクサンフウロが咲いていたように思ったが、まだ時期が早いのかもしれないが全く見かけない。ササバギンランも見かけなくなってしまっていた。もう一つの目的は樹林帯の中に咲いているであろう、地味で小さなランだ。目を凝らして林の中を覗きながら歩くと、本当に小さなノッポの花を見つけることができた。写真を撮っていると後ろからご夫婦の方が登って来て、このような珍しいものが咲いていると教えてあげると、その先の林の中で次々に見つけてくれて、在り処を教えてくれた。おかげでこちらは探す手間がかなり省けた。


    目を凝らして探さないと森に同化して見つけられないような、緑色の小さなラン。


    初めて見る花 ハコネラン。


    花も小さいが葉も小さく、これでは花が咲いていないと葉を探すのは至難の業。


    2株並んで咲く。


    ハコネラン


    こちらも2株。


    コイチヨウランに似るが、こちらは下唇の横にギザギザがある。

 展望地まで行き、軽食をとって下山する。空模様が悪く、下山途中で雨が降り出してしまい、カッパを着て下山することとなってしまった。


    以前に設置された保護柵の中は黄色いニガナの花が増えているように見える。果たしてこの山、再生できるのだろうか?


    下山途中で見つけた株。


 樹林帯の中のお目当ての花は見つけることができたが、この草原はこの後いったいどうなってしまうのか?アヤメが咲かなくなってしまった櫛形山に良く似ているように思う。いちはやく保護に乗り出し、成功している三つ峠の取り組みはやはり素晴らしいと思う。

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ようやく出会えた紫の蝶舞う花 御坂山塊  平成26年7月12日

2014年07月13日 | 山梨無名山
 今年の花探しの筆頭に挙げていたこの花、危ない岩場をザイル下降して探しに行くのを覚悟していたが、以外にもホームグラウンドの御坂山塊にもあることがわかった。相棒のうーさんはこの花を探しに三度この山を訪れ、三度目の正直でようやく開花しているのを確認したと連絡を受けた。おそらくは見頃を迎えていることだろう。台風の影響で傷んでいなければ良いのだが・・・。

 午前の業務を片付けて登山口に到着したのは11時を過ぎていた。蒸し暑い天気、大汗をかきそうなので水は2.5リットル持って行く。樹林帯の尾根を登り、ロープの張られたスリップしそうな急斜面を登り、3時間ほど歩いて大きな岩壁に突き当たる。登山道は岩の裾を巻くようにつけられているが、この岩壁の周辺を念入りに探すと、清楚な薄紫色の花が目に着いた。これだ。以前は御坂山塊にも普通にあったらしいが、盗掘にあって今では自生のものにお目にかかれる機会はほとんど無くなってしまっている。


    笹の生えた樹林帯を登る。笹の中や斜面を覗き込みながら歩くが、目ぼしいものは見つからず。


    ロープのついた急斜面。スリップに要注意。


    日当たりの良い岩壁に突き当たる。この場所は花たちの天国のようだ。


    イワキンバイ


    フジイバラ


    ヤハズハハコ


    ウスユキソウ


    シモツケ

 お目当ての花は昨日山梨県東部の山で見たニョホウチドリに似ているが、こちらの花のほうがか弱そうで色は薄紫色だ。下唇の切れ込みがあちらのチドリよりも深い。


    岩の隙間から生えている花


    初見参、紫の蝶が舞う花 ウチョウラン。


    背丈より高い場所に咲いていた株


    さらに高い位置にも数株


    岩壁によじ登ってその上を覗いてみると、かなり高い位置にも咲いていた。

 全部で10株ほど咲いているのを確認することができた。

 大満足。このまま下山でも良かったのだが、山頂にも立ち寄ってみることにする。もう時間は午後3時半を過ぎているので誰もいないだろうと思っていたのだが、この時間に一人登山者がやって来た。途中でルートを見失い、1時間半ほど時間をロスしてようやく到着したらしい。この山の裏側ルートは歩く人が少なく案内板も無く、ところどころわかりにくい場所がある。私はここで遅い昼食をとってゆっくり休憩し、一足遅れて下山した。


    山頂にはシモツケがたくさん咲く。


    ヒメウツギ


    下山しながらもう一度この清楚で美しい花を眺める。また来年会いましょう。


 今年見たい花の中で最も難しいだろうと思っていたこの花は御坂山塊という意外と近場に咲いていた。先日この界隈を訪れた際に麓に住まれている方とお話しする機会があり、かつてはたくさんあったそうだが盗掘で今では見られなくなってしまったと言っていた。アツモリソウもかつては咲いていたそうだが、完全に絶滅してしまっている。残念なことだ。

 さて、課題をひとつクリアし、次なる課題は寅狩りだ。8月の下旬ごろだろう。

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台風去りて 山梨県東部の山再び  平成26年7月11日

2014年07月13日 | 山梨無名山
 先日はお目当ての花を発見できなかったが、同じ日にその界隈を花見隊メンバーが歩いており、見頃を迎えた花を10株ほど見つけたと連絡を受けた。ブログを拝見して見事な花に感激した。日程がとれればすぐにでも・・・と思っていたが、あいにくの雨とさらに台風接近となってしまった。ところがこの台風8号は遥か南の海上を通過してくれたおかげで、山梨県は雨も風もさほどのことはなかった。台風去って青空が広がり始めたこの日、午後から訪れてみることにした。

 沢を横切り笹の森を抜けて歩くこと3時間弱、笹と草の入り混じる草原に到着し、斜面を念入りに探しながら歩いて行くと・・・あった!しかし、雨の降った後で花弁が痛み始めている。


    沢を渡る。台風の後だが、あまり増水していない。


    笹の繁る森を抜ける。


    苔の生した森の中を横切る。


    そして到着した笹と草の入り混じる草原で、お目当ての花を発見。


    ニョ・ホウ・チ・ド・リ。


    満開だが、雨風のためか花弁が少し痛んでいる。


    こちらの花はもう終わりかけ。


    笹に隠れるように、10株近く咲いていた。


    ガレ場を登って別の場所を探してみると、2~3株発見。


    笹原から懸命に顔を出しているといった感じ。


    赤紫色鮮やかで愛らしい花。

 目的の花を見ることが出来て、十分満足だったが、先日発見できなかったあちら側の斜面も気になる。さらに、台風が過ぎた後で空気が澄み、この季節にしては珍しく夕暮れの富士山が見られそうな空模様だ。富士山の眺望も良い山なので、花を探しながら日没の6時半ごろまで展望地で待ってみることにする。2時間近く歩くが、なんとか間に合いそうだ。

 この日は平日だけあって、こんな夕暮れ近い時間に山の上を歩いている人は誰もいない。完全に独占状態だ。双眼鏡片手に斜面を覗き込みながら登って行くと、意外と登山道から近い場所で2株咲いているのを発見した。しかし、だいぶ花が痛んでしまっている。さらにその近くにもう1株。


    先日発見できなかった場所で見つけた花。上部はまだ蕾だが、開花した花弁は既に痛んでいる。


    同上、接写。


    その近くでもう1株。


    夕暮れ間近な富士山


    残照で赤くなるのを期待したが・・・染まらず。

 富士山の残照が消えたところでヘッドライト装着して下山開始する。もう1ヶ所、咲いている場所を聞いていたが、夕暮れで探せないだろうと思っていたところ、以外にも登山道のすぐ脇に咲いていた。手持ちで撮影できる明るさでは無いので三脚でカメラ固定して、本日最後の花を撮影する。ふと見上げれば、西の空が真っ赤な夕焼けに染まっていた。そして、夕焼けの東の空の雲の上に満月が昇って来た。


    登山道脇に咲いていたニョ・ホウ・チ・ド・リ。


    満開、見頃のはずだが、これも若干痛んでいる。


    東の空の雲の上、満月が昇る。

 樹林帯のまで下りたところでヘッドライト点灯し、あとは黙々と下る。林道近くまで下ったところで、林の中でゴソゴソと動いているものがいる。ライトを照らしてみれば鹿の群れ。5~6頭で笹籔の中を移動中だった。さらに下るとまた数頭。この山はかなり鹿が多いようで、稜線上の広大な草地は甚大な被害を被っていることだろう。

 食害や他の雑草・笹に負けず、これからもずっと咲いて欲しい。女・峰・千・鳥。

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蜂の舞う草EXTRA 御坂山塊

2014年07月11日 | 山梨無名山
 御坂山塊の別の場所にもあの蜂の舞う草があるとの情報をいただいた。今シーズンはこの機会を逃すと見頃を過ぎてしまうので、午後遅い時間になってしまうが訪れてみることにした。訪れた森は鹿の食害もあるのだろうが、木々に適度に光が遮られて山肌は湿度が保たれており、草地が広がっている。道を外れて森の中に入ってみると、クモキリソウ属の小さな葉が数株、花は付いていない若い葉だ。足元に注意しながらあたりを探すと、さらに数株発見できた。こちらは咲いている株もあるが、やや遅い。


    花芽のついていない小さな葉を発見。


    ようやく出会えた蜂の舞う花。


    別株とその向こうに咲き終えた株がひとつ。若干遅かった。

 これとは別の場所にもあると聞いていたのでそちらに行ってみるがどうしても見つからない。情報をいただいた方に電話してさらに詳細に場所を聞き、再三探してようやく探し当ことができた。


    森の中にひっそりと・・・ではなくて大きな株がどっしりと生えている感じ。


    ようやく咲いているところに出会えたジガバチソウ。


    別株


    まさしく蜂が舞っているような花。


    これから咲くであろうこちらの草も楽しみ。おそらく斑点鮫が舞う草だと思う。


 先日訪れた山では消失していて、かなりのショックを覚えたが、まだ咲いている場所があって一安心である。盗掘と食害から逃れて咲き続けて欲しい。
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見つからなかったあの花 山梨県東部の山  平成26年7月6日

2014年07月10日 | 山梨無名山
 三つ峠の植生保護活動に続いて、この日は山梨県山岳連盟自然保護グループが主観となって山梨県東部の山に花を観察に行く計画があった。前回の三つ峠はメンバーの歩くピッチが速く、三脚を出して撮影しているとあっという間に見えなくなるほど遠くまで行ってしまっているため、今回は先に入山して存分に撮影して、途中で他のメンバーを待つという作戦に出た。山岳連盟の報告書を見ても、他の人のブログを見てもおそらくは探すにはあまり苦労はいらないだろうと予想していたのだが・・・、そううまくは行かなかった。

 1時間早く登り始める換算で、8時に登り始める。途中でルートを少し外れて樹林帯の中を歩いたりもしてみたが、目ぼしいものは見つからない。樹林帯を抜けて草地に入ったあたりから、双眼鏡を片手に草地の中を再三覗き込むがそれらしい花は見つからない。


    笹の多く繁る登山道脇。


    森の中に入ってみるが目ぼしいものは見つからず。


    草地の中を双眼鏡を使って再三覗き込むが、それらしき花は見当たらない。


    2時間ほどで稜線の岩場に抜ける。霧が深く視界が悪い。

 稜線の岩のところにザックを置いて、三脚とカメラと双眼鏡を持って再度草地に下ってもう一度探してみるが・・・やはり見つからない。しばらくうろついていたが、そろそろ到着するはずの山岳連盟グループが待てど暮らせどやって来ない。メンバーに連絡しても電話がつながらない。これは逆ルートで登って来るのか?と思って先に進むが、そちら側にも姿が見えない。時間が12時近くになったので、途中の広場で食事しているとメンバーから電話が来た。私と同じルートを登って来たが、見つけたのは蕾の一株だけだったそうだ。私はもはやあきらめていたので、先に下山することを告げてその先は一気に下りた。途中で再度電話があり、別の場所で4株見つけたそうだが、既に行程の半分ほど下りたところだったので、本日はあきらめる。


    レンゲツツジはもう終わっている。


    ベニサラサドウダン


    ここの草地はカヤツリグサ科の草ばかりになってしまっている。改めて見直せば、ここも相当の食害に遭っている山なのだろう。


 午後1時下山。駐車場をプラプラと歩いていると、見慣れた車が停まっていた。後部座席は寝られるように改造してある。この車ってひょっとして・・・電話してみるが通じず、メールを送ったところ、しばらくしてから電話がかかって来た。別の場所で本日お目当てだった花を10株ほど見つけたそうだ。さすが! 

 今回見つからなかった花はこちらのブログでご覧ください。

 山梨のとある山で(2014.7/6)レポ
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失われた蜂の舞う草  御坂山系

2014年07月07日 | 番外編
 昨年花見隊隊員が発見した御坂山系のジガバチソウは、今年のブログでも開花した花が掲載されている。私も昨年探しに出かけたが、既に花が終わった後で、葉だけ確認してきた。そろそろ満開の頃だろう。どんな花が咲いてくれるのか楽しみにしていた。

 盛岡帰りのこの日、夜のうちに自宅に到着しているはずだったのだが、未明1時過ぎ、あまりの眠さに中央道藤野サービスエリアで仮眠をとったが、眠さがとれず車の運転に支障がありそうだったので、結局朝7時ごろまで車内でウトウトしながら夜を明かしてしまう。運転を再開すると、雲が晴れて青空が広がり出した。これならばきっと・・・富士山も姿を現すだろう。あの花と一緒に富士山を眺めて・・・という目論見で、眠い体をたたき起こして御坂山塊に車を走らせる。晴れた日曜日だけあって、この日は登山者が多そうだ。


    アヤメが咲く。


    トンボソウかキソチドリだと思うのだが、昨年開花したところを見ても花の名前はわからずじまい。


    登山道を少し外れて林の中に踏み込むと、イチヤクソウの葉がいっぱい。

 目立たないように林の中をこっそりと歩いて昨年葉を見つけた場所に行ってみると、一株も見つけられない。場所を間違えたのか?ひとまずは富士山の見える場所まで行って引き返して再び探すが・・・場所が間違っているとは思えない。しかし、少なくとも7~8株はあったはずの蜂の舞う草は全く見つからない。ようやく見つけた1株はまだ蕾で、これ以外には見つけることができなかった。


    青空に富士山が姿を現した。梅雨のこの季節にしては良く見えるほうだろう。


    昨年見つけた場所を念入りに探すが、発見したのは小さなこの株1株のみ。


    まだ蕾。


    盗掘の跡か?穴が掘られたように見えなくも無い。


    こちらの花は健在。

 自宅に帰って花見隊のブログを見ると、この前日に花が咲いているのを確認したばかりだった。どうやら別の場所のようだ。私が発見したこの場所は登山道から少し離れており、人目に付きにくい場所にある。盗掘らしき痕跡はは既に葉でおおわれており、もしやられているとしたらかなり以前に盗まれたものだろう。鹿の食害にしてはその周辺には食害の痕跡が少なく。盗掘の可能性が高いだろうと思っている。

 いつかはこういう目に会ってしまうのではないかとブログを書きながら恐れていたのだが、遂に起こってしまったという気がして残念でならない。山名は伏せて、花の名前も検索でひっかからないように工夫をしなければならないのではないかと痛切に感じさせられた。いつ絶えるやも知れない稀少な花だけに、咲いているうちにできるだけ多くの人に見てもらいたいという思いとは裏腹に、盗掘という卑劣な行為に怯えて窮屈な記事を書かなければならないのは悲しい。
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梅雨に咲く白い小桜、ヒナザクラ 栗駒山  平成26年6月28日

2014年07月07日 | 圏外編
 盛岡2泊目の朝もまたまた早起きできず、起床したのは7時。天気予報の通り、曇り空が広がり、いつ降り出してもおかしくないような空だ。高速道路を南下して一ノ関で下りた頃にはザッと雨が降り出した。間もなく止んだが、果たしてこの天気で登れるものかどうか? 午後にはもっと天気が悪くなる予報だ。行くか、このまま甲府まで帰るかどうか、迷ったがひとまずは登山口の栗駒山荘まで行ってみることにした。時折雨が混じる中を、須川温泉に到着したのは10時半を過ぎていた。

 相変わらずのどんよりとした空、山の上は雲が巻いていて、どこが山頂なのかわからない。登って行く人たちの姿も見えるし、さほど難しい山でも無いので登ってみることにした。今回の目的は山頂では無くて途中に咲いているであろうヒナザクラという白いサクラソウ属の花だ。前日早池峰山で会えなかったヒメコザクラはこの花の蛇紋岩土の変性種と思われる。東北の山ではヒナザクラはさほど珍しいものでは無いようだが、ヤマケイの高山植物図鑑に載っている朝日岳の群落が素晴らしく、是非見てみたいと思っていた花である。

 11時、出発。素直に他の人たちが登って行く登山道を行けば良いものを、人の少なそうなコースを選んだところ、ルートを間違えたようで途中で道が無くなってしまっていた。取水管ホースが通っているところをみると、これはどうやら取水口に行く道らしい。途中で向こう側の禿げ山の上に人がいるのが見えたのでおそらくそちらが正規の登山道だろう。途中から道無き斜面を適当に登ってそちらに行ってみると、登山道を示す棒が立っていた。


    須川温泉。ここは岩手県と秋田県の県境。


    小川を渡ってその先までは道があったが、途中から道は消失。中央に見える禿げた山の上に人の姿が見えた。


    咲き残ったミズバショウの咲く湿原が脇にあった。向こう側にある土の露出した場所にも行ってみたが道は見つからず。


    イワイチョウとハクサンチドリが咲く草地で道が消失。左下に見えた沢を登らないとこの先には進めない。


    戻ってウラジロヨウラクの咲く斜面を登って禿げた山の上に出る。


    禿げた山の上。(おそらくは硫黄山)


    その先には登山道を示す棒が立ち、案内標もある。

 樹林帯の中を抜けると硫黄の臭いがする広場に出た。そのあたりにはイワカガミがたくさん咲いていた。さらに進むと広大な湿原に至り、木道が整備されていた。


    道脇に咲くイワカガミ


    ミネズオウ


    賽ノ河原。硫黄の臭いがする。


    イワカガミと賽ノ河原


    木道が整備された湿原。


    イワカガミがたくさん


    ワタスゲ


    イワイチョウとウラジロヨウラクツツジ


    広大な湿原 名残ヶ原

 この道間違えで1時間ほど時間を消費してしまう。下山してくる人たちと続々とすれ違うが、この時間から登って行く人の姿はあまり見かけない。空模様もますます悪くなってきた。


    地獄谷付近。さらに硫黄の臭いが強い。


    地獄谷を見下ろす。


    人の休憩している向こう側が昭和湖。


    青白い神秘的な水を貯える昭和湖。

 昭和湖のほとりで休憩し、昼食をとる。時間は午後1時20分、山頂までは十分に行ける時間だが、天候が心配だ。やがて小雨が降り出し、この先でカッパを着用する。木の階段道を登って行くと、いよいよ本降りの雨となってきて、風も強まって来た。お目当てのヒナザクラは昭文社の地図では向こう側の秣岳(まぐさだけ)側に記されているが、とても行けそうに無い。雨の中、山頂まで行くかどうするか?迷いながら歩いていると右側の土の斜面の白い花が目についた。近付いてみると・・・これは会いたかったヒナザクラではないか。三脚を出して撮影を試みるが、雨でレンズが濡れるうえに結露がおこり、さらに風で揺れてなかなか撮影できない。なんとか撮って先に進むと、その先の登山道脇にもたくさん咲いていてくれた。小降りになったところで存分に撮影させてもらって山頂に向かう。


    登山道脇の斜面に咲いていたヒナザクラ。今回の一番の目的の花。


    ヒナザクラ群生。しかし、雨でいまいち撮影できず。


    その先にもたくさん咲いていた。


    ヒナザクラ群生


    可愛らしい花、ヒナザクラ。

 再び雨足が強くなった中を登って行くと、稜線に抜けた天狗平というところで強烈な風と横殴りの雨に見舞われる。山頂まであと20分だが、さすがにこうなると登る気も失せる。お目当てのヒナザクラには出会えたことだし、ここは山頂はあきらめて引き返すことにした。


    強烈な風と横殴りの雨に見舞われた天狗平。ここで引き返す。

 名残ヶ原まで下りると雨は小降りになり風も止んでいた。振り返って見る栗駒山山頂方面は真っ黒な雲におおわれていた。おそらく上はまだ強烈な雨と風が吹いているのだろう。湿原の景色を楽しみながらゆっくりと下山した。

 もっと凄いお花畑が広がる山を想像していた栗駒山は、想定とは違って火山の山だった。硫黄の臭いがする砂礫の近くに湿原が広がる光景は少し奇異に感じる。標高差は500mほどのコース整備が行き届いた歩き易い山なので、今回は山頂を踏めなかったがまた立ち寄る機会があるだろう。

 (栗駒山荘のお風呂に入って雨で冷えた体を温め、汗を流して長い帰路についた。順調に行けば深夜2時頃に自宅到着のはずだったが、あまりに眠く、中央道藤野サービスエリアまで来てひと眠りして、結局はそこで夜を明かすことになってしまった。雨に打たれた Canon Eos7D は故障して電源が入らなくなってしまった。)

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固有種咲く早池峰山(後編)  平成26年6月27日

2014年07月07日 | 日本百名山
 12時少し過ぎた頃に早池峰山山頂に到着すると、10人ほどの登山者が食事休憩中だった。途中でかなりの人に追い抜かれたので、多くの人たちは既に下山して行ったと思われる。裏側(北側)に行くと、そこには大岩のゴロゴロした間にお花畑が広がっていた。そちら側は休憩している人は一人だけ、登りながら途中で花談義して一緒だった人だった。盛岡在住の方で、この地域の山や花情報に詳しく、岩手山のコマクサが素晴らしいこと、秋田駒ケ岳の黄色いスミレがたくさん咲くことなど、いろいろ情報をいただいた。


    早池峰山山頂と避難小屋(中央の赤い屋根の建物)。



    山頂裏側。露出した岩の間にお花畑が広がる。


    山頂のお花畑①


    山頂のお花畑②

 1時近くまでゆっくり休憩して小田越への尾根道を下ることにする。時折青空が見えるが、ほとんどが雲の巻く曇り空だが、おかげであまり暑く無く過ごし易い。まずは木道の整備された稜線を下降点まで進む。


    木道の整備された尾根道。雪が残る。


    木道脇のコバイケイソウの葉とショウジョウバカマ


    お花畑

 下りの尾根道は沢沿いの道に比べると傾斜は緩いが、岩がゴロゴロ、しかも蛇紋岩でできた滑り易い岩なのでスリップに要注意だ。有名な長い2段ハシゴ場があるが、さほど難しい場所では無い。こちらは広大なハイマツの斜面が広がり、登山道脇にはミヤマシオガマやハヤチネウスユキソウ、ミヤマオダマキなどの入り混じって咲くお花畑が広がっている。そして、振り返れば蛇紋岩の圧倒的な岩肌。早く下山しようなどという気にはとうていなれない。


    見下ろす小田越尾根道。下に小さく白く見えるのが小田越小屋。


    蛇紋岩の岩壁。凄い迫力。


    有名な2段ハシゴ場


    山頂方向を見上げる。


    広大なハイマツの斜面が広がる。


    ハヤチネウスユキソウ。こちら側にもたくさんある。


    岩の間にミヤマオダマキの群落


    ミヤマオダマキ大株


    岩の間のお花畑


    見下ろす蛇紋岩の岩山


    振り返って見る蛇紋岩の岩山


    樹林帯に入る直前で見たマルバシモツケ。昨年の北海道遠征以来に出会う花。


    樹林帯の中でツバメオモト


    大きな葉のマイヅルソウ群落


    小田越小屋到着。

 午後2時45分ごろ小田越小屋に到着する。小屋の前に山岳パトロール隊の連絡係の方がトランシーバを持ってパトロール隊と連絡をとっていた。こちらの山も盗掘と鹿対策のために気が抜けないようで、その後続々とパトロール隊員たちが下山してきた。10人ほどいたのではないだろうか。私も山梨県のレインジャー隊として少しだけ同じような業務に携わっているだけに、苦労がわかる。

 休憩してアスファルトの林道を歩いて河原の坊駐車場に戻る。山頂でお会いしたパトロール隊の方に、林道脇にも花が咲いていると聞いていたので、花を楽しみながら、写真を撮りながら楽しみつつ歩く。


    道のかたわらにハクサンチドリが普通に生えている。


    こちらはノビネチドリ。


    ズダヤクシュ


    ハクサンチドリ群生


    ベニバナイチヤクソウ


    一瞬目を疑った。こんなのが道の傍らに・・・ 


    コ*ケ*イ*ラ*ン


    午後4時、河原の坊駐車場に到着。

 固有種満載の早池峰山を存分に楽しんだ1日だった。他にも稀少な固有種が多々あるらしいが、一度歩いただけでそう簡単にお目に出来るものではなさそうだ。いつかは今回出会えなかったヒメコザクラ、そしてこれからたくさん咲くであろうナンブトウウチソウにも出会ってみたい。しかし、遠いこの山、きっと定年後でなければ来る機会は無いだろう。
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固有種咲く早池峰山(前編)  平成26年6月27日

2014年07月07日 | 日本百名山
 至仏山や谷川岳と同様に蛇紋岩というアルカリ性の高い特殊な岩が露出している早池峰山は、この山固有の花が咲くことで知られている。特にハヤチネウスユキソウは有名で、この花を見るために多くの登山者が訪れる。そろそろ咲いている頃だろうが、今回私が見たいのはそちらではなくて、ヒメコザクラというサクラソウの仲間の白い花だ。若干時期が遅いかもしれないが、運が良ければ出会えるかもしれない。

 早朝4時起きで出発のはずだったが、前夜の夜遊びがたたって起きたのは5時。車を飛ばして7時に早池峰山駐車場に到着した。平日はマイカーで登山口まで行けるが、土日・祝日はマイカー規制でバス利用でなければ入山できなくなる。既に10台近い車が止まっている。今回は沢ルートを登って尾根ルートを下る一般的な周回コースを歩く。登り3時間半ほどのコースだが、花を探しながら5時間で登る予定だ。


    沢ルートを登る。


    さっそくノビネチドリを発見。


    タチカメバソウがルート沿いに沢山咲く。


    標高の低い場所からミヤマオダマキが出現。


    沢から見上げる早池峰山。岩ゴツゴツの山。


    沢が枯れたあたりから早くもハヤチネウスユキソウ出現。


    花はまだだが、この葉っぱはおそらく固有種ナンブトウウチソウの葉。


    蛇紋岩でできた早池峰山岩峰が迫る。急騰の枯れた沢を登る。

 沢の中にも蛇紋岩が散らばってはいるが、枯れた沢を上部まで登って尾根に取り付いたあたりからいよいよ固有種を含めた花が咲き出す。初めて見る花が多いだけに、なんとなく名前はわかるが確信が持てない。下山後に図鑑を見て確認ということになる。沢沿いを歩いている時に山岳パトロールの方と運良くお会いし、ヒメコザクラのことを尋ねたところ、かなり詳細に場所を教えてくれたが、おそらく終わっているだろうとの事だった。


    ミヤマシオガマ。向こうに白い花はチングルマ、手前の黄色いスミレはキバナノコマノツメ。


    ハヤチネウスユキソウがあちらこちらに咲いてはいるが、至仏山のホソバヒナウスユキソウのように一面咲いているというわけではない。


    蛇紋岩とお花畑。


    固有種ナンブイヌナズナ。


    ナンブトラノオ


    ホソバツメクサ(?)


    ヨツバシオガマ


    ハヤチネウスユキソウ


    ミヤマハンショウヅル


    ミヤマアズマギク。至仏山のジョウシュウアズマギクに似て、やや華奢な気がする。


    ミヤマキンバイ


    アオノツガザクラ


    山頂付近のナンブイヌナズナ群落

 登山道を真直ぐ登らずに右の岩場左の斜面と探しながらジグザグに登り、再三ヒメコザクラを探したがとうとう見つからなかった。ほぼ予定通りの4時間40分かけて山頂に到着した。


    早池峰山山頂

山頂裏側の人が少ないところでお花畑を眺めながら食事していると別のパトロール隊3人組がパトロールと水場調査のためにやって来た。その中の女性のパトロール員は花についてかなり詳しく、いろいろと教えていただいた。やはりヒメコザクラはもう終わっているとの事。そしてこの山でも盗掘事件があって、稀少な植物が失われてしまい、今年はパトロールを強化しているそうだ。さらに、全国どこの山も同じように、鹿の食害に悩まされているそうで、山の裾野や沢沿いはかなりの被害が出ているらしい。この山も、いずれは保護柵で覆わざるを得なくなってしまうのかもしれない。(後編に続く)

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