平成20年8月17日 天候曇りのち雨
原小屋平から蛭ヶ岳までは地図の上では約2時間かかる。月が富士山頂に来るのは4時ごろ、月没帯食(部分月食)が起こるのは4時半から5時ごろまでだ。未明1時45分に目を覚ましてテントの外に出てみると・・・霧がかかり真っ白な空、月など全く見えない。たぶんこれはダメだろう。そう思いつつも、一瞬の富士山の眺望を期待して準備し、2時15分、ヘッドライト点灯して蛭ヶ岳を目指して出発する。
この先蛭ヶ岳までの道は一本道、踏み跡も看板もしっかりしている。それでも方向に不安があったので途中でコンパスを取り出して方角を確認したが、地図の方向とぴったり一致した。下りから登りになったところで木道が見え始める。これを過ぎると「蛭ヶ岳 400m」、さらにその先にベンチが設置してある休憩所があり、「蛭ヶ岳 300m」の道標が立っていた。あと少し、と気合を入れて登って行くと、最後の300mはかなりの急傾斜、丸太のステップがつけられているのだが、これは両側の土が流れ出てしまっていてむき出しになっており、歩きにくい。暗い道、しかも雨で濡れているため、スリップに十分注意して慎重に登る。4時40分、神奈川県最高峰、蛭ヶ岳山頂に到着。あたりはまだ薄暗く、白い霧に包まれ、視界は50mくらいしか利かない。月も富士も神奈川県の夜景も全く見えない。
霧に巻かれた蛭ヶ岳山頂の朝
蛭ヶ岳山頂。おおっ、これは・・・ほとんど心霊写真。
山頂のベンチに座り、夜が明けてくるのを待つが、景色は全くダメだった。うっすらと夜が明け、足元が見えるようになってきた5時過ぎ、丹沢山に向けて出発。蛭ヶ岳という名前だけあって、あの吸血ウニョウニョ虫がたくさんいるのではと警戒していたが、ここまでは1匹も見かけなかった。足元にはヒルバスターを振りかけてある。丹沢山まではアップダウンを繰り返しながら少しずつ高度を下げ、約2時間で到着した。この間も霧に巻かれて景色はほとんど見えない状態だった。
霧が沸き上がる丹沢山山頂付近
丹沢山山頂。おおっ、これは・・・自己満足の変なおじさん!
7時20分、丹沢山到着。富士山の撮影に良い場所はないかと山頂周辺の草むらを歩いてみると、はいていたカッパのズボン裾から吸血ウニョウニョ虫が6~7匹這い上がってきた。その登って来るスピードの速いこと。準備してきたアルコールスプレーをザックから取り出している間にいちばん速いやつは膝の上まで登ってきていた。アルコール(消毒用を忘れてきたので43%飲用ウィスキー)を噴霧するとあっという間に地面に落ち、もんどり打って悶えている。話に聞いていたとおり、アルコールの効果は抜群だった。念のため靴と靴下の中を確かめたが、こちらはヒルバスターを撒いていたためか全く被害なしだった。宿泊客がたくさんいるかと思いきや、お盆の週末だというのにみやま山荘はひっそりとしていた。軽食をとって一休みし、午前8時、蛭ヶ岳に向って出発。
笹原につけられた階段。道は良く整備されている。
不動ノ峰直下の休憩所。屋根付きの立派な建物。
天候不順だったのでカメラはザックの中にしまってあったが、帰りはいつものように首からぶら下げて歩く。相変わらずの霧で視界は利かないが、天気が良ければ笹原の気持ち良い稜線歩きになりそうだ。休憩所もしっかりとしていて、不動の峰直下の休憩所は屋根付の立派な小屋で、夏場ならばテント無しでも寝られそうだ。不動の峰には見事なマルバタケブキの群落と、大きなブナの木が何本も立っている。その先の笹原の中には、たぶんシロヤシオツツジと思われるツツジの木があちらこちらに林立している。毎年6月の花の季節に訪れようと思いながら来られないでいる花だ。視界は利かないながらも次に訪れた時の景色を想像しながら歩くのもまた楽しい。
不動ノ峰のマルバタケブキ群落
不動ノ峰のブナ大木
枯木に寄生したオオバギボウシ(?)
ヘビのように曲がりくねったツツジの木
鎖のある鬼が岩を振り返る。蛭ヶ岳側から見ると山頂の岩が鬼の角のように見える。
10時50分、蛭ヶ岳到着、小休止し、テントの張ってある原小屋平に戻る。12時10分到着。水を汲み、昼食をとってテント撤収だ。昨夜一緒だった2人組はまだテント張りっぱなしでどこかの沢に入って釣りをしているらしい。午後1時半、下山開始。天気予報ではこの日は晴れのはずだったのだが、完全にはずれたようで、しだいに雲行きが怪しくなってきている。重い荷物を再び背負って姫次を越え、神の川に向って黙々と下山する。袖平山から風巻ノ頭への急下りのあたりでついに雨が降り出した。ここの急斜面は浮石がたくさんで、スリップに十分注意して慎重に下る。そしてロープの登りを通過して風巻ノ頭休憩所で小休止、このあたりで雨足がしだいに強くなってきた。再びカッパを着るが、既に汗で服はびしょ濡れだ。さらに急下りが続く。スリップに注意していつもより時間がかかり、さらに余計な力を使うのでかなり疲れる。川のせせらぎが聞え始め、もうすぐ橋というところでどしゃ降りの雨となる。2度ほど尻餅をついたものの、無事に橋を渡り林道に到着、5時10分、車の停めてある神ノ川トイレ休憩所に到着した。休憩時間やテント撤収時間を除いても本日は10時間以上の行動時間という、久々の(私にとっては)ロングコースだった。
原小屋平で吸蜜していたミヤマカラスアゲハ
天候には恵まれず、狙った風景は全く見られなかった丹沢山行だったが、山歩きの楽しさと充実感を味わえた山行だった。中・低山といって丹沢山系をなめていたわけではないが、アップダウンが多くて大変な山系だということを改めて思い知った。
原小屋平から蛭ヶ岳までは地図の上では約2時間かかる。月が富士山頂に来るのは4時ごろ、月没帯食(部分月食)が起こるのは4時半から5時ごろまでだ。未明1時45分に目を覚ましてテントの外に出てみると・・・霧がかかり真っ白な空、月など全く見えない。たぶんこれはダメだろう。そう思いつつも、一瞬の富士山の眺望を期待して準備し、2時15分、ヘッドライト点灯して蛭ヶ岳を目指して出発する。
この先蛭ヶ岳までの道は一本道、踏み跡も看板もしっかりしている。それでも方向に不安があったので途中でコンパスを取り出して方角を確認したが、地図の方向とぴったり一致した。下りから登りになったところで木道が見え始める。これを過ぎると「蛭ヶ岳 400m」、さらにその先にベンチが設置してある休憩所があり、「蛭ヶ岳 300m」の道標が立っていた。あと少し、と気合を入れて登って行くと、最後の300mはかなりの急傾斜、丸太のステップがつけられているのだが、これは両側の土が流れ出てしまっていてむき出しになっており、歩きにくい。暗い道、しかも雨で濡れているため、スリップに十分注意して慎重に登る。4時40分、神奈川県最高峰、蛭ヶ岳山頂に到着。あたりはまだ薄暗く、白い霧に包まれ、視界は50mくらいしか利かない。月も富士も神奈川県の夜景も全く見えない。
霧に巻かれた蛭ヶ岳山頂の朝
蛭ヶ岳山頂。おおっ、これは・・・ほとんど心霊写真。
山頂のベンチに座り、夜が明けてくるのを待つが、景色は全くダメだった。うっすらと夜が明け、足元が見えるようになってきた5時過ぎ、丹沢山に向けて出発。蛭ヶ岳という名前だけあって、あの吸血ウニョウニョ虫がたくさんいるのではと警戒していたが、ここまでは1匹も見かけなかった。足元にはヒルバスターを振りかけてある。丹沢山まではアップダウンを繰り返しながら少しずつ高度を下げ、約2時間で到着した。この間も霧に巻かれて景色はほとんど見えない状態だった。
霧が沸き上がる丹沢山山頂付近
丹沢山山頂。おおっ、これは・・・自己満足の変なおじさん!
7時20分、丹沢山到着。富士山の撮影に良い場所はないかと山頂周辺の草むらを歩いてみると、はいていたカッパのズボン裾から吸血ウニョウニョ虫が6~7匹這い上がってきた。その登って来るスピードの速いこと。準備してきたアルコールスプレーをザックから取り出している間にいちばん速いやつは膝の上まで登ってきていた。アルコール(消毒用を忘れてきたので43%飲用ウィスキー)を噴霧するとあっという間に地面に落ち、もんどり打って悶えている。話に聞いていたとおり、アルコールの効果は抜群だった。念のため靴と靴下の中を確かめたが、こちらはヒルバスターを撒いていたためか全く被害なしだった。宿泊客がたくさんいるかと思いきや、お盆の週末だというのにみやま山荘はひっそりとしていた。軽食をとって一休みし、午前8時、蛭ヶ岳に向って出発。
笹原につけられた階段。道は良く整備されている。
不動ノ峰直下の休憩所。屋根付きの立派な建物。
天候不順だったのでカメラはザックの中にしまってあったが、帰りはいつものように首からぶら下げて歩く。相変わらずの霧で視界は利かないが、天気が良ければ笹原の気持ち良い稜線歩きになりそうだ。休憩所もしっかりとしていて、不動の峰直下の休憩所は屋根付の立派な小屋で、夏場ならばテント無しでも寝られそうだ。不動の峰には見事なマルバタケブキの群落と、大きなブナの木が何本も立っている。その先の笹原の中には、たぶんシロヤシオツツジと思われるツツジの木があちらこちらに林立している。毎年6月の花の季節に訪れようと思いながら来られないでいる花だ。視界は利かないながらも次に訪れた時の景色を想像しながら歩くのもまた楽しい。
不動ノ峰のマルバタケブキ群落
不動ノ峰のブナ大木
枯木に寄生したオオバギボウシ(?)
ヘビのように曲がりくねったツツジの木
鎖のある鬼が岩を振り返る。蛭ヶ岳側から見ると山頂の岩が鬼の角のように見える。
10時50分、蛭ヶ岳到着、小休止し、テントの張ってある原小屋平に戻る。12時10分到着。水を汲み、昼食をとってテント撤収だ。昨夜一緒だった2人組はまだテント張りっぱなしでどこかの沢に入って釣りをしているらしい。午後1時半、下山開始。天気予報ではこの日は晴れのはずだったのだが、完全にはずれたようで、しだいに雲行きが怪しくなってきている。重い荷物を再び背負って姫次を越え、神の川に向って黙々と下山する。袖平山から風巻ノ頭への急下りのあたりでついに雨が降り出した。ここの急斜面は浮石がたくさんで、スリップに十分注意して慎重に下る。そしてロープの登りを通過して風巻ノ頭休憩所で小休止、このあたりで雨足がしだいに強くなってきた。再びカッパを着るが、既に汗で服はびしょ濡れだ。さらに急下りが続く。スリップに注意していつもより時間がかかり、さらに余計な力を使うのでかなり疲れる。川のせせらぎが聞え始め、もうすぐ橋というところでどしゃ降りの雨となる。2度ほど尻餅をついたものの、無事に橋を渡り林道に到着、5時10分、車の停めてある神ノ川トイレ休憩所に到着した。休憩時間やテント撤収時間を除いても本日は10時間以上の行動時間という、久々の(私にとっては)ロングコースだった。
原小屋平で吸蜜していたミヤマカラスアゲハ
天候には恵まれず、狙った風景は全く見られなかった丹沢山行だったが、山歩きの楽しさと充実感を味わえた山行だった。中・低山といって丹沢山系をなめていたわけではないが、アップダウンが多くて大変な山系だということを改めて思い知った。