前日暴風雨の中で遭難し、ビバークしていたところを山岳救助隊(北岳山荘に勤務する人たち)に救助され、北岳山荘に戻った同行者と私であったが、北岳山荘ではこんな我々に神対応してくれた。冷え切った体をストーブで温め、濡れた服を乾かし、さらには美味しい食事まで提供していただき、おかげでぐっすりと眠ることが出来た。低体温症をおこした同行者もすっかり元気を取り戻した。小屋での着替えを想定して同行者のザックから着替えの服を私のザックに移しておいたことも幸いした。しかし、高級なカメラが入っていた同行者のザックは突風に煽られて谷まで吹き飛ばされてしまった。雨に濡れた私のカメラも故障してしまい、電源が入らなくなってしまった。そのため、今回の画像は全てスマホで撮影したもので、ピンボケ画像多発である。
お世話になった北岳山荘の避難小屋。北岳山荘での神対応にはいくら感謝しても足りない。
日の出の頃に起きて外に出てみると雨が上がり富士山が見えてきていた。まだ風は強いが歩くには問題無い天候である。同行者もすっかり体調を回復して普通に歩けそうである。昨日ザックが風で飛ばされてしまったことが不幸中の幸いで、本日は持って行く荷物が服と水以外にほとんど無くなり、身を軽くして歩くことが出来る。朝7時にお世話になった北岳山荘を出発して北岳山頂を目指す。
北岳山荘と富士山
目指す北岳。さほど遠くは見えないのだが、昨日はたどり着けなかった。
前日暴風雨の中で見たタカネマンテマを再写する。
ハハコヨモギと仙丈ケ岳
振り返って見る間ノ岳と北岳山荘
ウラジロキンバイの群落
ミドリハクサンイチゲ
たくさん花を咲かせていたムカゴユキノシタ
こんなに群生しているものもあった。
イワツメクサとキタダケキンポウゲ。もう少し遠い位置に10本くらい固まって咲いていたのだがスマホでは撮影出来なかった。
ミヤマイチゴツナギだと思うが、キタダケイチゴツナギかも知れない。
ミヤマアシボソスゲは普通に生えている。
ミヤマアシボソスゲと富士山
結構たくさん生育していることが分かったコモチミヤマイチゴツナギ。
小穂の先端からムカゴを出して賑やかな感じがするコモチミヤマイチゴツナギ。
たぶんこれはクロボスゲ。ミヤマアシボソスゲに似ているが鱗片の幅が広く芒が無く、雄小穂が分かれていない。小さいほうはクモマスズメノヒエ。
北岳山頂まで登り着いた。私も同行者もあまり疲れは無い。
ミヤマシオガマが咲く斜面
タカネマンテマはまだ蕾だった。
改装中の北岳肩の小屋。工事とコロナの影響で今年は宿泊人数が制限されている。
4時間ほどかけて北岳肩の小屋に到着した。ここで大休憩し、食事にカップラーメンを食べる。ついでに前日宿泊出来なかったキャンセル料も清算して行く。お世話になった北岳山荘にも無事肩の小屋に到着したことを連絡した。あとはひたすら下るだけだが、ルートは長く気を抜くことは出来ない。低体温症を起こした同行者はしっかりと歩いているが、あまり食欲は出ないようである。重い荷物を背負った自分自身の足と体力も心配である。
肩の小屋の前に生えていたリシリカニツリ
岩の間に生えていたキタダケカニツリ(だと思う)。
茎に毛が生えていないのを確認したが、スマホ撮影ではピントが合わない。
クモマスズメノヒエはたくさん生えている。
タテヤマキンバイの花が咲いていた。
タテヤマキンバイの花
コスギラン
コスギランと仙丈ケ岳だが、フォーカスが手前のコスギランに合わず。
ハクサンチドリの群生
サンカヨウの葉。花は結実していた。
草すべり分岐で休憩する同行者2人。手前に生えているのはミヤマハルガヤ。
草地の中に生えていたタカネアオチドリ。見つかったのはこの1株のみ。
白根御池に到着した。
池のほとりや草むらに生えていたヒメカワズスゲは昨年よりだいぶ減っていて、ミノボロスゲに置き換わっていた。
結実したヒメカワズスゲ
なんとか白根御池に到着した。私はかなりヘロヘロで、水をたっぷりと飲んで御池小屋でコーヒーをいただいて大休憩する。大樺沢のルートは今年は通行止めとなっており、橋が架かっていないので通ることは出来ない。尾根を下りるコースを使うのだが、私はすっかり足が疲れてしまい、ピッチが全く上がらなくなる。テント泊の荷物を背負って長距離を歩くには体力と脚力が足りないようである。
キタノミヤマシダと思われる。ミヤマシダよりも羽片の切れ込みが深く、裂片の先端が尖る。
ウサギシダ。全体的に正三角形に近い形をしている。
疲れ切ってやっと広河原に到着した。白根御池小屋でお会いした山岳救助隊のメンバーが心配して私たちの下山を待っていてくれた。何から何までお世話になりっぱなしである。大きなトラブルがあったが、なんとか3人とも無事に下山することが出来た。山岳救助隊や北岳山荘の皆さんのおかげである。山岳救助隊の凄さとありがたさをつくづく思い知った山行となった。