山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

山梨県県南部の花散策あちらこちら  令和5年9月16日

2023年09月18日 | 花・花・花
 9月も中旬になったがまだ暑い日が続いている。そろそろスルガジョウロウホトトギスが咲いている頃であろうから訪れてみるが、それ以外にも何ヶ所か花散策してきた。

    まずは美しい滝がいくつも流れ落ちる渓谷を訪れてみる。

    流れ落ちる滝

    目的の花はこの黄色い貴婦人だが、今年は1つしか見つからない。

    別の場所を訪れてみる。こちらも花は1つしか見つからない。

    葉はそれなりにあるのだが花を付けていないようである。

    夏が暑過ぎたか、花を付ける前に枯れ始めてしまったようである。

    ジイソブの花が咲いていた。

    もう花を終えたトンボソウ。数株花を咲かせたものを発見した。

 暑過ぎてしかもヤマヒルが多く、さらに腹痛を起こして頂上まで行かずに撤退する。水分を十分に摂って次の渓谷に行ってみる。

    確認したかったのはこの渓谷の岩壁にぶら下がるホトトギス。

    望遠レンズを持って行ったのにコネクターを忘れて使えなかった。これがズームの限界。

    強トリーミングしてみる。黄色い花はぶら下がっておらず、スルガジョウロウホトトギスでは無さそうである。

    これはオオカモメヅルであろう。

    花は薄緑色をしていて毛がたくさん生えている。

    ムヨウランを期待したのだが・・・

    これは枯れたシャクジョウソウであろう。

    久しぶりに見る赤いバナナ、ツチアケビの実。

 ホトトギスを確認に行ったのだが望遠レンズが使えず不十分な撮影になってしまった。双眼鏡で念入りに見たが黄色い花は付いておらず、おそらく普通のホトトギスであろう。

 先日訪れた身延町のカリガネソウを再訪してみる。

    今度は花が満開。紫色の花がたくさん付いている。

    満開のカリガネソウ。なかなかの迫力である。

    今まで見てきたカリガネソウの中ではいちばん花付きが良い。

    やっと綺麗なカリガネソウに出会えた。

 満開のカリガネソウに出会えて、本日は訪問して良かったと思った。

 さらに次の場所、こちらも先日訪れたミズオオバコである。

    ミズオオバコの花

    さすがにもう終盤でほとんどの花は痛んでしまっていた。

    サンショウモが浮かんでいた。

    裏側には球形の胞子嚢がたくさん付いていた。

 ミズオオバコの観察を終えて時刻は午後4時になった。午後から夕立が来るのではないかと心配していたがなんとか持ってくれた。駆け足で4ヶ所巡ってきたが、それなりに良い花が見られたのではないかと思う。同行してくれた花仲間も満足といった感じだった。


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キツネノカミソリとオオキツネノカミソリ

2022年08月09日 | 花・花・花
 キツネノカミソリとオオキツネノカミソリの花の違いをここで整理しておきたいと思う。

 まずはキツネノカミソリ。



    令和2年8月22日 石空川(いしうとろがわ)渓谷で撮影したキツネノカミソリ
 
 雄しべは花弁より短いか同じくらいの長さで、花弁の中にほぼ収まっている。




    令和4年8月6日 朝霧高原で撮影したキツネノカミソリ

 雄しべは花弁と同じくらいの長さか、やや短く、ほぼ花弁の中に収まっている。この場所に咲いているキツネノカミソリは花自体が小さ目だった。

 次にオオキツネノカミソリ。



    令和2年8月16日 塔岩川(とういわがわ)で撮影したオオキツネノカミソリ

 雄しべは花弁より長く、花弁の外に飛び出している。花はやや大き目でゴージャスに見える。




    令和4年8月5日 兜山の渓谷で撮影したオオキツネノカミソリ

 上と同じく、雄しべは花弁の外に飛び出している。

 そして問題の北杜市で撮影したもの。




    令和4年8月2日 北杜市で撮影

 雄しべがやや短い個体もあるのだが、おおむね花弁よりも雄しべが長く花弁の外に飛び出している。これはオオキツネノカミソリとするべきであろう。

 見比べてみると違いが分かって来るが、判別が難しいものもあるように思う。オオキツネノカミソリはキツネノカミソリの変種とされており、きっちりと分けられないものがあってもおかしくはないのではないかと思う。葉の大きさにも違いがあって、キツネノカミソリの葉は細くてヒガンバナと同じくらいの幅、一方オオキツネノカミソリはスイセンの葉と同じくらいの幅をしている。いずれも春先に葉を出すが花を咲かせる8月ごろには枯れて葉を観察することは出来ない。葉を見るには5月か6月ごろが適しているのではないかと思う。


    キツネノカミソリ


    オオキツネノカミソリ


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モクレン科モクレン属の花 シデコブシ・モクレン・コブシ・タムシバ

2022年04月07日 | 花・花・花
 春に咲く白くて大きくて目立つモクレンの仲間は、良く目にするもののそれがモクレンなのか、コブシなのかはじっくりと観察したことが無い。庭木に植えられているのがモクレンで山の中に咲いているのがコブシ、くらいにしか見分けていなかったが、実際はどうなのだろうか?甲府駅北口にある山梨県立図書館の周辺道路にシデコブシと思わしき樹木が植えてあるのを見て、しっかりと見分けておきたいと思い、何ヶ所か撮影を行ってきた。

 まずは山梨県立図書館の街路樹のシデコブシである。撮影に出かけた日は仕事が終わった後の夕方でしかも天気は雨。花はもう終わりかけていたが、残った花を撮影してきた。


    山梨県立図書館の街路樹、シデコブシ。雨が降っていて濡れている。4月3日に撮影。


    シデコブシの花。もう終わりかけで痛んでいる。シデコブシは花弁が12~18枚あり、豪勢な花に見えるので判別し易い。


    これはピンク色のシデコブシだが、通常は白い花弁である。


    こちらが白いシデコブシ。


    ゴージャスは花である。

 次にモクレン。花が大きくて上に向いて花を咲かせるというイメージがある。紫色の花は見ればすぐにモクレンと分かるが白いシロモクレンは少し見分けにくい。


    シロモクレン。既に痛んで散り始めている。4月9日 南部町御堂で撮影。


    モクレンは花被片が9枚あり、いずれも大きい。散り始めてもコブシのように花弁はダラリと下向きには垂れ下がらないようである。


    これはあまり見かけない黄色いモクレン。


    大きな花弁(花被片)が9枚で立派な花に見える。

 次に判別が難しいコブシとタムシバである。まずは武田健康の森で見てきたコブシである。


    コブシ。低山から中山の山腹に生えているのは大部分がこれのようである。3月21日 武田健康の森で撮影。


    コブシの花。9個の花被片があるのだが、外側の3個は線状で小さくて目立たず、残りの6個が大きい。実質的に花弁が6枚のように見える。


    特徴的なのは花の下に1枚の葉が付くことである。


    山梨県立図書館北側に植えられていたもの。モクレンだと思っていたが、コブシと思われる。4月3日に撮影。


    モクレンの花被片(花弁)は9枚見えるはずだが、これは6枚しか見えず、コブシであろう。

 そしてコブシに良く似ているタムシバである。これはコブシよりも少し標高の高いところに生育しているらしい。撮影してきたのは黒富士農園である。


    タムシバの木。比較的大きくなる。3月31日 黒富士農園で撮影。


    タムシバ。山の上に咲いているものはまだ確認出来ておらず、今後は気をつけて観察してみたい。


    タムシバの花。コブシと同じく3枚の小さな花被片と6枚の大きな花被片から成り、実質花弁が6枚のように見える。


    コブシとの違いは、花の下に小さな葉が付かないことである。

 春に咲くモクレンの仲間の4種類はこれで区別が可能なのではないかと思う。これから咲くホオノキやタイサンボク、山梨県にあるかどうかは知らないオオヤマレンゲなどがモクレンの仲間であり、今後も観察して行きたいと思っている。

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甲府市北部から昇仙峡界隈をドライブ探索  令和4年3月12日

2022年03月14日 | 花・花・花
 陽気が暖かくなり少しずつ花が咲き始めてきてはいるが、まだ見頃を迎えているのはフクジュソウとセツブンソウ、ミスミソウくらいである。スミレはまだ咲いていない。先日も訪れているのだが、甲府市北部のイヌノフグリがそろそろ咲いているのではないかと思い再訪してみる。


    オオイヌノフグリは普通にあるが、イヌノフグリはきわめて個体数が少ない。


    石垣の間に咲いた小型のヒメオドリコソウ


    葉はギザギザしたハート形で、これは花が咲いていなくてもあまり見間違えることはない。


    花が咲いていれば分かるが、花が咲いていないと葉がイヌノフグリと良く似ているのがこの花。


    ホトケノザ。花が咲く前の小型のものは区別が難しい。


    まだ花を咲かせていないホトケノザ。一見するとイヌノフグリのように見える。


    先日イヌノフグリではないかと思った個体はまだ花が咲いていないが、どうやらホトケノザのようである。


    イヌノフグリと思わしき個体はこの1株だけだった。まだ花が咲いておらず確信は出来ない。

 残念ながらまだイヌノフグリは咲いていなかった。他の場所も探してみたのだが見つからなかった。

 さて、この日は午後から仕事があるので、観察できるのは12時までである。自宅を9時ごろに出発したのでもうあまり時間が無くなってしまった。先日見つけたマツグミが、環境の似ている昇仙峡にもあるのではないかと、道路脇に車を止めながら双眼鏡で渓谷を覗き込んでみる。


    あっさり見つかったマツグミ。


    道路脇からあまり遠く無いアカマツの木に寄生していた。


    対岸の尾根を双眼鏡で覗いてみると、やはりマツグミが寄生している。


    昇仙峡にも普通に生育しているようである。


    開花しているか確認しておきたかったのがこのワサワサした低木。


    まだ固い蕾。咲くのは2週間くらい先になりそうである。


    これはハヤザキヒョウタンボクの花芽。

 アカマツ林の多い昇仙峡周辺の山地帯にもマツグミは普通に生育しているようである。おそらく他のアカマツ林にも生育しているのではないかと思う。他の山域の探索を続けて行きたいと思う。

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キバナウツギとウコンウツギ その違いは?

2022年03月05日 | 花・花・花
 良く似ているウコンウツギとキバナウツギであるが、どうやら区別の仕方をずっと間違えていたようである。ネット上の記述の中に、ウコンウツギには花柄があるがキバナウツギには花柄が無いと記されていたものがあり、信じていたのだが、どうやらこの記述は花柄では無くて葉柄の間違いのようである。図鑑の中には花柄に関してそのような記述が無いものもあり、葉柄だけで区別するのもやや難しそうである。最も分かり易いのは花の形であろう。ウコンウツギは根元からラッパ型に徐々に花筒が広がって行くのに対してキバナウツギでは花筒の途中から急激に広がっているようである。今まで見てきたものは全て花柄があったのでウコンウツギだと思っていたのだが、画像を確認してみるとその中にキバナウツギと思わしきものがあることに最近気付いた。


    令和3年6月 西沢渓谷で見てきたもの。


    これはウコンウツギで良さそうである。


    花の形を見ると、付け根部分から徐々に花筒が太さを増している。これはウコンウツギだ。


    平成27年6月 三ツ峠で撮影したもの。この頃は知識が無くて何だか分からなかった。


    左側にある花を見ると、花筒は徐々に広がっておりウコンウツギと思われる。葉にも柄があるように見える。


    令和3年6月 三ツ峠で撮影したもの。双眼鏡で見て花に柄が付いていたのでウコンウツギだと思っていたのだが・・・


    画像をトリーミングして見ると、花筒は付け根部分が細くて途中から急激に広がっている。これはキバナウツギのようだ。


    同じ日に別の場所で撮影したもの。もう終盤でだいぶ痛んでしまっている。


    トリーミングした画像。花筒は途中から急激に広がっている。キバナウツギで間違い無さそうである。

 なかなか見つからなかったキバナウツギであるが、どうやら区別の仕方を間違えていたようで、おそらくウコンウツギと思って見てきたものの中にキバナウツギが混じっていたようである。咲いている場所は分かっているので、今年はきっちりと撮影し、葉の形や毛の生え方などもきっちりと観察してきたいと思っている。今年の課題のひとつはスイカズラ科の植物の観察である。難題と思われていたイワツクバネウツギの生育場所はほぼ確認出来ており、あとは花が咲くのを待つばかりである。チシマヒョウタンボクとコウグイスカグラ(ミツトウゲヒョウタンボク)の生育場所もほぼ分かっている。今年のうちに見て回れればと思っている。


    結実したコウグイスカグラ(ミツトウゲヒョウタンボク)

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あの花は今年も咲いただろうか?  令和3年7月15日

2021年07月22日 | 花・花・花
 何ヶ所かで生育を確認している花であるが、なかなか時間がとれないうえに雨が続いていて訪問する機会が訪れなかった。もうそろそろ満開を過ぎている頃であろう。少し早く仕事が終わったので高速道路を使って移動し、花を見に行ってみる。夕立が来そうな空模様で薄暗い森の中にそっと入ってみる。


    もう終わりかけている花が多かった。


    今年も無事に咲いてくれたキンセイラン。


    ちょうど見頃の個体も残っていた。


    昨年に比べると少し花数が少ないように見えなくもない。


    小さな個体も確認。全体的な数は昨年とあまり変わらなそうである。


    大急ぎで場所を移動してもう1ヶ所。


    ほころび始めていたオオヤマサギソウ


    3分から5分咲きといったところだろうか。蕾のものも多い。


    ラン菌の活性が低いのか、花を咲かせずに立ち枯れしている個体が多いのは残念である。

 今回訪問した場所のキンセイランは踏み跡が少なく無事に咲いてくれているが、有名になって昨年多くの訪問者が訪れていた別の場所はどうなっているのだろうか?花はもう終わっている可能性が高いが、機会があれば状況を見に行ってみたいと思う。

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スミレと湿原のスゲを巡る 令和3年4月26日

2021年04月27日 | 花・花・花
 山梨県県営林道の大部分が本日から冬季閉鎖解除となる。例年ならば今ごろ甲府市北部の標高の高い林道周辺に咲くヒナスミレや交雑スミレは見ごろを迎えているはずなのだが、花期が早い今年はもう満開を過ぎているかも知れない。午後からさっそく訪問してみると、途中で花仲間の車とすれ違い、一緒に行くこととなった。


    1ヶ所目の交雑のスミレはもう終わっていた。


    こんな大きな株もあったのだが、花が咲いた様子が無い。


    これは葉の切れ込みが深く、まだ花が咲いたのを見たことが無い交雑スミレ。おそらく、キクバヒナスミレと思われる。


    もう1ヶ所の交雑スミレはまだ咲き残ってはいるものの、少し遅かった。


    今年は個体数が少ないうえに花の付きも悪い。こんな年もあるさ。

 時間はまだ早いので、乙女高原まで足をのばしてみる。湿地の中に生えているスゲの仲間がひょっとしたら穂を出しているかも知れない。


    山梨市指定天然記念物になっている乙女高原尾ヤチボウズ。


    まだ穂は出ていないと思ったのだが・・・。


    日当たりの良い場所では穂を出して花を咲かせていた。


    これはタニガワスゲというスゲらしい。


    別の湿地の中にあるヤチボウズ。枯れた葉の幅が広く別物であろう。まだ穂が出ておらず何だか分からない。


    こちらにもタニガワスゲがあった。


    ミヤマスミレは咲き始めたばかり。


    交雑のスミレもあるはずだが見つからず。踏み荒らすのは避けたいので無理に探さずに撤退する。

 花仲間に案内していただいたおかげで乙女高原のスゲのある場所はおおよそ把握できたが、穂が出たとしても見分けがつけられるほどの実力はまだ持ち合わせていない。高原の春はまだ早く、スミレが咲きスゲが穂を伸ばすのはまだ2~4週間早そうである。知識を付けて再訪してみたいと思う。

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アキノハハコグサはどうなっているだろうか? 御坂山系 令和2年10月11日

2020年10月13日 | 花・花・花
 キク科の植物をまとめていたら、もう何年もアキノハハコグサを見に行っていないことが分かった。同じ山域は訪れているが花の時期からずれているために花を見ていないのである。その後どうなっているのだろうか?発見された年にはたくさん咲いているのを確認したがその後は減少傾向にあるように記憶している。しばらくぶりに見に行ってみることにする。


    渓谷沿いに見える滝は自然のものでは無くて砂防工事によるものだった。


    こちらの滝も同様。石積で出来たあまりお目にかかれないこの砂防工事はかなり古いものなのだろう。


    現地に到着。しかしこれは・・・


    草刈りされていておそらく一部は刈られてしまっているだろう。


    草刈りされた上に残っているアキノハハコグサ


    同じく草刈りの上の斜面に咲いていたもの。斜面の一部が崩落している。


    さらにその上に咲いていたもの。

 全部で20個体あるかどうかというところだろうか。発見された当初はもっと数が多くてもっと大きな個体があったはずだが、あまり元気が無く数も少ない。


    アキノハハコグサの花


    コガネムシが吸蜜に来ている。


    訪問時期が少し遅くもう枯れかけている。茎の中央部で数本に枝分かれしてその先に花を咲かせる特徴がある。


    なかなか開いてくれないアキノハハコグサの花

 草刈りは止む無しとしても、貴重な花だけにこの花だけは刈らずに残すような方法は出来ないものかと思うのだが、なかなか難しいことだろうと思う。引き続き今後の経過を見て行きたい。

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高層池のヒツジグサを再訪する  令和2年9月6日

2020年09月11日 | 花・花・花
 もう未の刻は過ぎているが、8月に訪問した際には4時半ごろまでヒツジグサの花は咲いていた。椹池では土砂降りの雨だったが高度を下げると雨が上がり青空が少し見えてきた。池に到着した頃には日差しが射し込むくらいに天候が回復してくれた。池の水面を見ると水草の葉がずいぶん増えている。そして双眼鏡で覗き込んでみると、8月の訪問時よりも花数が増えていた。ヒツジグサの花は7月から9月ごろまで長い期間に咲くらしいが、どうやらこの池は9月のほうが花数が多いようである。


    雨上がりで池には靄が立っている。8月訪問時よりも浮かんでいる水草の葉が増えている。


    ヒツジグサの花もだいぶ増えた。ざっと数えて10数輪咲いている。


    未の刻は過ぎたがまだ咲いていたヒツジグサの花


    お見事。雨が降った後で雫が付いている。


    遠い場所に咲いていた花


    近くに咲いていた花


    午後4時半を過ぎるとしぼみかけてきた花


    午後5時、日が当たらなくなると花は閉じて行く。


    ぬかるんだ場所にワサワサと咲いていた花


    椹池でも見かけたが正体不明だった花、イヌノヒゲという変わった名前が付いた水草であることが分かった。

 水生昆虫の保護活動をされている方にお会いし、今年のヒツジグサはかなり咲いたほうだと教えていただいた。池の水量が半分ほどに干上がってしまった年もあって一時は危機的な状況の時もあったらしい。さらには、近傍の別の池にも昔はあったらしいが今では消滅しているそうである。水生動物のゲンゴロウが絶滅の危機にあり、タガメはもう絶滅だそうである。植物だけでなく昆虫も大変なことになっているようである。


    この花も見たかったのだがほとんどが蕾だった。


    アケボノソウ。この界隈は比較的個体数が多い。

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甘利山椹池のアギナシ  令和2年9月6日

2020年09月10日 | 花・花・花
 椹池で一昨年の秋に花を確認したが、昨年は見つからなかったアギナシという水草がある。山梨県では絶滅危惧Ⅱ類のオモダカ科の花であるがあまり目にする花では無い。今年こそはもう一度花を見てみたいと、そろそろ咲いているだろうと思われる9月初旬に訪問してみる。


    椹池。まだサワギキョウが咲き残っている。


    サワギキョウ


    アブラガヤ。マツカサススキないしはその仲間を探しているが見つからない。


    池の中にある島にそれらしき葉が見える。


    矢じり型の葉、たぶんこれだろうが、葉の幅が広くてこれはオモダカに見える。


    別の場所を探してみる。今度は細い矢じり型の葉が見つかった。


    間違い無し、今度こそアギナシの葉だ。


    しかし、いくら探しても花は見つからず、花穂が出ていないように見える。

 水面に出ている島の大きさが小さくなったように見え、アギナシの数はだいぶ減ってしまったように見える。今年も咲いてくれないのではないだろうか。


    平成30年8月下旬に撮影した同じ場所のアギナシ


    個体数は多く無いが花穂はしっかりと出ている。


    アギナシの花


    2年前はこんな元気な花を咲かせていたのに今年は残念。

 大雨の増水などで痛んでしまった可能性が高い。今後咲いてくれるのかどうか、先行き心配である。

 撮影しているうちにポツポツと雨が降り出したかと思ったらあっという間に土砂降りの雨になった。雷鳴も轟き、もはや撮影どころでは無くなり急いで撤収して車に戻った。まだ時刻は午後3時である。おそらくは通り雨であろうから、そのうち上がるだろう。もう1ヶ所、池に立ち寄ってみる。

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今度こそ・・・未の刻の高層池に咲く白い花  令和2年8月10日

2020年08月15日 | 花・花・花
 先日も訪れたばかりの高層池であるが、探していた花の蕾と思わしきものが池の中に顔を出しているのを発見した。200㎜望遠レンズでは全く撮影できないような遠い位置に咲いている。そしてこの花は咲く時刻がおおよそ決まっていて、未(ひつじ)の刻、つまり午後の2時から3時ごろに咲く。甘利山椹池での散策に予定していた以上に時間がかかってしまい、もう午後3時近くになってしまった。咲いてくれているだろうか?双眼鏡を片手にザックの中には570㎜望遠レンズと2倍エクステンダーを詰め込んで見に行ってみる。


    今年3度目の訪問となる高層の池。今度こそは・・・。


    葉と一緒に白い花らしきものが浮かんでいる。


    570㎜望遠レンズを取り出す。間違い無さそうだ。


    やっと見る事が出来た。探していたヒツジグサ。


    さらに1,140㎜望遠。純白の花。


    こちらはまだ蕾である。


    半分近くが水の中に浸かっている花。


    別株


    トリーミング


    岸に一番近い位置で咲いていた花


    トリーミング

 3年ほど前から情報を収集して探していたが、椹池は何度探しても見つからなかった。こちらの池が怪しいとは思ってはいたが探しに来たのは今年になってからである。やっと念願だったヒツジグサに出会うことが出来た。

 もう1種類、地味な花が咲いていた。


    細長い葉が浮いている。


    何やら棒のようなものが突き出ている。


    どうやら花のようだ。


    おそらくヒルムシロの花と思われるが、オヒルムシロ、フトヒルムシロと見分けるには水中の葉を見なければならないらしい。


    トリーミング。地味な花である。

 4時ごろまで撮影に熱中していたが、その時間まで花は咲いていてくれた。満足して撤退である。


    奇跡的にギンヤンマが写り込んでくれた。

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椹池(韮崎市)の水辺に咲く花たちとその周辺に咲く花たち  令和2年8月10日

2020年08月14日 | 花・花・花
 本日も暑い。出かけるのを止めて自宅で涼んでいようかとも思ったのだが折角の休みにどこにも行かないのはもったいない。出発時間がだいぶ遅くなってしまったが、そろそろ咲いているであろう椹池のサワギキョウを見に行ってみる。それと、昨年見つけたナガエミクリはイガグリ状の実しか見ていないので、どんな花が咲くのか見てみたい。望遠レンズをザックに入れ、双眼鏡を片手に昼の12時ごろから探索を始める。


    青空を映す椹池


     サワギキョウが咲いている。


    ちらほらと訪問者がやって来る。


    サワギキョウは7部咲きといったところだろうか。


    個体数はそれなりにあるが、なかなか一斉にパッとは咲いてくれない。


    サワギキョウとナガエミクリ


    サワギキョウ


    ナガエミクリ


    イガグリ状の実を付けている。


    別の場所。ここではカンガレイが一緒に生えている。


    満開のカンガレイ


    ナガエミクリの花が咲いている。


    超望遠レンズで撮影。白い線香花火のような花。


    別株。なかなか綺麗な花である。


    こちらでは2本の花と実が並んでいた。


    超望遠レンズで拡大撮影。

 椹池は池の中だけでなく周辺の山の中にもいろいろな貴重な植物が生育している。ぐるりと巡ってみる。


    イヌガンソクの大きな葉。


    秋に出る胞子葉が出始めていた。


    アオフタバラン


    周辺を散策してみると群生していた。


    ミヤマウズラはもうすぐ咲きそうである。


    期待していたジンバイソウはまだ蕾だった。


    数はそこそこにあるのだが、根元の部分の葉が小さい。良く見ると食害に遭っているようである。

 いちばんの目的だったナガエミクリの花はやや遅かったもののなんとか見ることが出来た。風があまり吹かず揺れなかったおかげで1,140㎜超望遠レンズでの撮影が可能となった。数年前に見たアギナシを探しているのだが昨年は見つからず、今年も確認出来なかった。少し遅い時期に咲くので、時間がとれるようならば9月に再訪できればと思う。

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オオバナオオヤマサギソウとオオヤマサギソウ  令和2年7月23日

2020年07月27日 | 花・花・花
 4連休初日であるがこの日も天候が悪く、連休中もずっと晴れる日は無さそうな予報である。山の上の花を見に行く元気は出ず、車で移動して少し歩く程度の場所を散策する。今年どうしても見たかった花のひとつがオオバナオオヤマサギソウである。良く似たオオヤマサギソウは芦川の保護柵で囲った周辺にたくさん咲いてくれており、オオバナのほうとどこがどう違うのか、今年こそは確認してみたいと思っていた。1ヶ所は偶然出会った方から場所を教えていただき1株だけ確認している。個体数の多い場所があるらしいのだがどこだか全く分からなかったのだが、情報を持っている花仲間に教えていただくことが出来た。雨が降ったり止んだりの不順な天候であるが、この4連休を逃すといつ行けるか分からず花期を逃してしまう可能性が高い。傘を持ちながら散策に出かける。


    フジイバラは満開を過ぎて散り始めている。


    以前に教えていただいた株はまだ早くて蕾だった。


    場所を移動して別のところを散策。なかなか見つからなかったがやっと咲いている株に出会えた。


    小雨が降る薄暗い森の中に咲いていた花


    オオバナオオヤマサギソウ。咲いている花は初めて見るが、咲いている花も生育環境もオオヤマサギソウにきわめて良く似ている。


    オオバナオオヤマサギソウ


    側面から見る花

 雨脚が強くなり、もう少し散策したかったが車に戻ることにする。そして今度はそろそろ満開になっているだろうオオヤマサギソウを見に行ってみる。


    咲いている。


    見ごろを迎えていた芦川のオオヤマサギソウ。立ち枯れしていた個体も多かった。


    オオヤマサギソウ


    オオヤマサギソウの花

 いずれの花も良く似ていてちょっと見た感じでは同じもののように見えてしまう。ではどこがどう違うのか?並べて見てみると別物であることが分かって来る。


    オオバナオオヤマサギソウの花


    オオヤマサギソウの花


    オオバナオオヤマサギソウの花の拡大。側萼片は腕を広げるように横向きに広がる。


    オオヤマサギソウの花の拡大。側萼片はバンザイするように上を向く。


    オオバナオオヤマサギソウの距は真直ぐかやや下向きに湾曲する。


    オオヤマサギソウの距はやや上向きに湾曲する。

 この側萼片の開き方と距の曲がり方を見極めればいずれの花であるかは区別できるであろうが、いずれにしても開花している時でないと判別は難しい。もうひとつ、山梨県では分布域が分かれており、富士山山麓のものはオオバナオオヤマサギソウ、御坂山塊のものはオオヤマサギソウと住み分けているようである。その他の山域はまだ見ていないので何とも言えないが、櫛形山に咲いていたものがオオヤマサギソウだったところを見ると、おそらく富士山麓以外はオオヤマサギソウなのではないかと思っている。
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黄色のエビネ三昧  令和2年7月5日

2020年07月07日 | 花・花・花
 山梨県レッドデータブック2018年版では調査期間内にこの花が発見できなかったようで、絶滅危惧ⅠA類からDD類(情報不足)に変更されてしまった。一昨年生育が確認され昨年開花を確認して山梨県には報告済みで、レッドデータ調査に携わる人たちも訪問しているはずである。まだ知る人はあまり居ないだろうと思っていたのだが、既に情報は広く拡散されており、訪問してみると1ヶ所は明瞭な踏み跡が出来てしまっており私が居る間にも次々に訪問者がやって来た。踏まれて痛んでいる小さな株もあれば何株か盗掘に遭ったとも聞く。この先どうなってしまうのか、先行きが心配である。


    この森で最も目立つのがこの2株。訪問者が多いため周辺は踏み固められてしまっていた。


    昨年は花を咲かせていなかった小さな2株。


    少し傾いている株


    美しい花を接写


    別の場所。ここは個体数が少ない。見つからないように木の枝を被せてあったが撤去されて露出していた。


    マクロレンズ撮影


    花を接写


    さらにマクロ撮影。透明感のある上品な花。


    ここは1株しか確認出来なかったが本日最も大きな株。


    3本の花柄を伸ばしていた。

 さて、もう1ヶ所は昨年私の花仲間が偶然発見してきてくれて教えてもらった場所であるが、まだ開花したところは確認していない。そろそろ咲いているのではないかと、そっと森に入ってみる。


    ちょうど咲き始めである。


    この場所は小さなものが多い。


    並んで咲いている黄色いラン


    この場所の個体数は多く、奥のほうにも咲いている。

 情報は拡散するのが早く、既に踏み荒らしや盗掘が始まってしまっている。県条例による保護は最低限必要と考えており、山梨県みどり自然課に提言しようと思っている。(7月中旬に報告書を作成して提出済みである。)複数の場所で生育が確認されたことはただちに絶滅の危険は無いであろうが、行政のほうで保護に動いてくれないようであれば自発的に保護に乗り出すことも検討中である。


コメント (7)
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今年見た花たち ~三ツ峠山荘講演から抜粋~  令和2年6月28日

2020年07月01日 | 花・花・花
 毎年恒例となっている山梨県山岳連盟主催の三ツ峠清掃登山だが、今年はコロナウィルス感染対策のために一般募集せず自然保護グループとその仲間たち、計8人で三ツ峠に出かけた。小人数ではあったが恒例となるパワーポイントを使った講演をやらせていただいた。いつもならば山梨県の絶滅危惧種と保護の現状についての話をするのだが、今回は自然保護にたずさわる勝手知ったる仲間たちなので、今年見た花の画像とこれから咲くであろう花を上映した。


    早川町のフクジュソウ


    萼片の長さを見てくることが昨年見落とした今年の課題だった。


    この場所のフクジュソウは萼片が花弁の長さと同じくらい長い。


    こちらが今年初めて見たミチノクフクジュソウ(北杜市)


    萼片の長さは花弁の半分から3分の2くらいでフクジュソウに比べて短い。


    かつ、花の色もフクジュソウに比べて薄く、黄色ないしクリーム色。


    アズマイチゲが一緒に咲く良い場所だったが、訪問時間が悪く花が開いているところは見ることが出来なかった。


    沢沿いに咲いたコシノコバイモ(甲府市)


    行きの中に顔を出すコシノコバイモ(甲府市)


    春の雪とコシノコバイモ(甲府市)


    今年はたくさん咲いてくれたカイコバイモ(身延町)


    カイコバイモ(身延町)


    カイコバイモ最大の自生地は今年は少なかった。(篠井山)


    レインジャー調査で訪問したカイコバイモ(篠井山)


    ハナネコノメソウが咲く渓谷(黒富士農園)


    昨年の台風の影響を心配したが今年もたくさん咲いてくれた。(黒富士農園)


    絶滅危惧種に入ってくるであろう山梨県のキバナノハナネコノメソウ


    渓谷沿いの比較的広い範囲に生育していることが分かってきた。


    毎年の恒例となっているカザグルマ(甲府市)


    今年は花数が少なかった。


    保護柵内のキンラン(甲府市)


    キンラン。保護柵の外ではほんの数株しか見られなかった。危機的な状況である。


    柵内のもう1株は虫に食べられていて咲かず。全く増えてくる気配が無いキンラン。どうやって保護すれば良いのか?


    新たに見つかったトウダイグサの仲間


    センダイタイゲキ。山梨県で発見されたのは初めてである。


    センダイタイゲキ


    ちなみにこちらが良く見かけるナツトウダイ。


    マントの部分の形がこちらは三角形である。


    アマドコロ。これは茎の片側に花が偏る。(高座山)


    真直ぐに立って花が偏らない。


    ヒメイズイ(高座山)


    綺麗な花とは言えないが稀少な花、フナバラソウ。


    フナバラソウ(高座山)。アリがたくさん寄ってきており、アリによって受粉するようだ。


    カモメランの保護柵(御坂山系)


    復活してきた植生とカモメラン


    年々花数が増えてきているカモメラン。3年前の食害からやっとここまで戻ってくれた。


    しかし別の保護柵内では柵の破損とシカの食害が確認されている。来年は囲い直す必要あり。


    保護柵内で復活した黄色い花


    垣間見た赤紫色の花


    どんな花が咲くのか?たぶんオオバノトンボソウ(甲府市)


    どんな花が咲くのか?新たに見つかった自生地。

 今年6月までに見てきた花を三ツ峠山荘での勉強会で紹介した。本当の花の時期はこれからである。時間と天候の許す限り、里山から高山まで見て歩きたいと思っている。
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