日本人が欧米に観光旅行に行く場合に、先方の社会習慣や祝日の意味を知っていると旅がより楽しくなります。
欧米人と一緒に仕事をしたり、商取引をする場合もキリスト教の祝日とその意味を知っていると万事順調に進むと思います。
キリスト教については大体知っている方々が多いと思います。しかし復活祭の前のカーニバル(謝肉祭)と四旬節、そして十字架の道行き、今日の枝の主日、受難の主日、そして来週の日曜日の復活祭の意味も理解しておくのも大切だと思います。
この一連の祭りや祝日の意味を判り易く書きます。
イエス様はもともとユダヤ教徒でした。しかし「愛」を重視し、それを中心にした新しい宗教を創造しました。後の人々がキリスト教と呼び、ユダヤ教とは違う宗教だと考えているものです。
このイエス様の新しい教えは多くの人々に歓迎されました。
人々がナツメヤシの枝を振りながら、イエス様がロバに跨りエルサレムへ入るのを大歓迎します。その人々の歓迎を記念した日が、今日の「枝の主日」なのです。
そして12人の弟子達と最後の晩餐をするのです。自分が明日処刑されるのを予想したイエス様がパンをさき一人一人に与えて、これを私の記念として食べなさいと言います。ブドウ酒も与えて同じようなことを言います。
そしてその夜遅く、逮捕されてしまうのです。
次の日にイエス様はユダヤ教の保守的な大祭司や権力者達に、ローマ総督ピラトのもとへ送られます。死刑の判決はローマ総督にしか出せないのです。
ローマ総督のピラトはユダヤ教の中の権力争いに興味がありません。本心ではイエス様を釈放したかったのです。しかしユダヤ教の大祭司達や群衆がイエス様を死刑にしろと大騒ぎをします。ピラトはしぶしぶ死刑の判決を下すのです。
そして、判決の後、十字架を背負ったイエス様が刑場へ歩きます。これが「十字架の道行き」です。
刑場に着いたイエス様は十字架上で数時間後に絶命します。
信者が十字架からイエス様を下ろし、新しい墓に葬ります。
このピラトの裁判と十字架上の死までの一日が「受難の主日」という記念日なのです。
ですから「枝の主日」の1日後が「受難の主日」なのです。
しかし今日はその両方のミサを一緒に行います。教会の外の広場で皆がシュロやフェニックスの枝を持って、それを振りながらイエス様を歓迎する様子を再現します。
その後で教会へ入り、ピラトの裁判を再現し、イエス様が十字架上で絶命するまでの物語を読み合います。したがって今日のミサは受難の主日のミサでした。
さて墓に葬られたイエス様はしばらくするとムックリ起き上がって、歩いて、何処かへ行ってしまうのです。それがイエス様の復活なのです。その生き返ったことを祝うお祭りが復活祭なのです。来週の日曜日が復活祭です。
生き返ったイエス様は、その後、弟子達の前に現れていろいろな話をします。
その後で天上に上がって、神の右の座につくのです。
このような経過を信じるのがキリスト教徒なのです。この一連の出来事で一番重要な事は一度死んだイエス様が生き返った事実です。ですから復活祭はキリスト教で一番重要な祭日なのです。復活祭はクリスマスより重要と私は思っています。
その復活祭の前に禁欲的な生活をする40日(四旬節)があります。そして禁欲生活に入る前のバカ騒ぎがカーニバル(謝肉祭)なのです。
復活祭(イースター)の日は毎年変わります。ですから欧米に観光旅行に行った場合はその年の復活祭(イースター)が何時ですかと先方の人に聞くと良いのです。それを気に掛けてくれていると喜んでくれる場合もあります。
観光のスケジュールは復活祭とその前の四旬節を考慮に入れて、現地の人の意見に従って決めたほうが良いと思います。枝の主日や受難の日の前後には各地で受難劇やそれを主題にした音楽会などがあります。また復活祭は大きな教会で見学する事も出来ます。それらを組み込んだ観光スケジュールにするとより味わい深い観光旅行なると思います。
欧米の観光旅行がより一層楽しいものになることをお祈りしながら、この記事の終りと致します。(終り)