大陸間弾道ミサイルの3段ロケット部分をそのまま使い人工衛星を先端に付けて宇宙へ打ち上げるのが今回の北朝鮮の実験です。
当然のことながら次の段階は核弾頭の小型化を行い、同じ重さと形状の人工衛星を作り、打ち上げ実験を繰り返すことになります。
人工衛星打ち上げは日本もインドもフランスも、何処の国でも行っている宇宙の平和利用なので文句のつけようがありません。
北朝鮮の人工衛星打ち上げは悲しいことです。打ち上げに失敗して、日本の領土に落ちたら人命に被害がおきます。それこそ戦災と同じです。
直接の被害が起きなくても北朝鮮の軍事力の証明になりますので日本は劣勢の立場に立たされます。
ですから人工衛星の打ち上げ実験は日本へ対して悪い効果を及ぼすことは明白です。
しかし全ての物事には悪い効果と良い効果があるものです。
私は良い効果もいろいろ考えながら昨今のニュースを見ています。
まず写真を見ましょう。左の人工衛星の破片が万一沖縄に落ちてきたら、右の石垣島に配備した地対空のミサイル(パック3)で破壊しようとしています。
私が考えている今回の北朝鮮の実験が日本へ与える良い効果とは次の3つです。
(1)平和ボケの状態にある日本人に厳しい軍事力競争の実態を理解させる効果がある。
従来はアメリカ軍と自衛隊の専門家しか研究していなかった北朝鮮の軍事力が明明白白になったのです。
今日、明日に発射する人工衛星を世界の記者団へ公開したのです。そしてその大陸弾道ミサイルのロケット部分が沖縄上空を飛ぶのですからこれほど衝撃的なことはありません。これで日本人は自衛隊の役目を正しく認識します。
自衛隊は東日本大災害で感動的な活躍をしました。それは忘れてはいけません。しかし自衛隊の本来の目的と役割を再度確認すことになったのです。
(2)自衛隊は早急に艦船を沖縄近海に配備し、パック3を石垣島へ配備しました。
これで沖縄の人々は軍事力の重要性を再確認した筈です。沖縄の米軍基地は多すぎます。広すぎます。自衛隊がもっと沖縄に駐留し、米軍基地を少なくする方向は沖縄の人々にとっても考えやすい方向です。感情的な反発が静まり、日本政府と沖縄県との間の合理的な解決策の相談を可能にする雰囲気が出てきたようです。もしそうならこれこそ大きな良い効果です。
(3)日本の自衛隊の軍事力の実験が出来ます。自衛隊は税金を無駄に使っていなかったことが証明できます。これは大きな良い効果です。
まず海上自衛隊のイージス艦の急速な配備能力を証明できました。アメリカ軍から入手した地対空ミサイルの取り扱い方も訓練が出来ているようです。その配備の仕方を見ていると、ああ大丈夫だと感じます。
問題はこれからです。パック3の命中精度は日本人は知っていません。是非、実際に人工衛星の破片を沖縄上空で破壊して貰いたいと思います。
しかしアメリカ軍はパック3の命中精度を公開したくないに違いありません。自分達で撃ち落とすから自衛隊は打つなと言ってくるかも知れません。
しかし数年前から大きな予算を使ってミサイル防衛システム(MDシステム)を作って来た自衛隊のやり方について国民はより真剣に考えるようになります。これは大きな良い効果です。
さて今回の北朝鮮の人工衛星打ち上げに関して、皆様は何をお考えでしょうか?
お考えをお聞かせ頂ければ嬉しく思います。
それはそれとして、
今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)