後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

今日の甲府の昇仙峡の紅葉をお楽しみ下さい

2014年10月28日 | 写真
昨夜、甲府に一泊して今朝昇仙峡と荒川ダム湖の紅葉の写真を撮ってきました。
昇仙峡も少し紅葉していましたが、その上にある荒川ダム湖周辺は華やかに紅葉していました。写真をお楽しみ頂ければ嬉し思います。












塩と砂糖(6)蜂蜜、メープルシロップ、甘蔦(あまづら)の歴史

2014年10月28日 | 日記・エッセイ・コラム
人類は皆甘いものが好きです。スペインの洞穴の岩に彫った絵画には1万年前の新石器時代の人間が蜂蜜を採集している様子が描かれているそうです。
そして5000年前のエジプトでは蜜蜂を人間が飼育し、蜜を採っていたのです。

上 の写真は蜂蜜の写真です。写真の出典は、http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%9C%82%E8%9C%9C です。
日本の文献上で「蜜蜂」の語が初めて用いられたのは「日本書紀」の皇極2年(643)のくだりに出てくる「百済の太子余豊、蜜蜂の房四枚をもって三輪山に放ち、養う。しかれどもついに蕃息(うまわ)らず」 という記載だそうです。百済人の余豊が奈良の三輪山で養蜂を試みたけれど、失敗に終わったという記録で、これが日本における養蜂のはじめだというのが通説になっています。
詳しい蜂蜜の歴史は、http://www.beekeeping.or.jp/beekeeping/history/japan にありますのでご覧下さい。
蜂蜜は近代養蜂技術が出てくるまでは採取量も少なく貴重な甘味料でした。
その上、蜂蜜の採取は蜂に刺される危険が伴います。素人に簡単に入手出来るものではありません。そこで人々は植物から安全に採れる甘味料を求めました。
北インドで発見されたサトウキビから蔗糖をとる方法が日本へ導入されたのは江戸時代になってからです。
それまでの日本人の甘味料は枕草子に出てくる甘蔦の樹液を煮詰めた「あまづら」だったのです。
同じようにアメリカ北部の原住民はカエデの樹液を煮詰めたメープルシロップを甘味料に使っていたのです。
メープロシロップは現在でもカナダの特産品としてさかんに作られています。
下の写真はカナダ北部のカエデの森で樹液を採取している様子です。

そして下の写真は採取されたカエデの樹液を煮詰めて作ったメープルシロップです。

上の2枚の写真の出典は、http://www.keico-jp.com/maple/maple.html です。 なおこの文献にはメープルシロップの製法が詳しく紹介してあります。ご覧頂くとカナダ産のメープルシロップがお好きになると信じています。
それはさておき日本の「あまづら」は江戸時代にサトウキビからの砂糖が普及すると製造されなくなります。従って製造方法も分からなくなってしまったのです。
しかし1988年に、北九州市で漢方薬店を営む石橋顕氏が、長年の研究の結果ついに復元に成功し、詳細な報告書を下記のように刊行されたのです。
石橋顕著『幻の甘味料 甘葛煎研究(報告その1)』小倉薬草研究会あまづら調査部会発行 1988年11月(非売品)。
そして2011年には奈良女子大学の学生グループが石橋顕さんの指導を受けて「あまづら」の再現に成功したのです。
その詳細は、http://www.nara-wu.ac.jp/grad-GP-life/bunkashi_hp/amadzura/amadzura_hp.html に出ています。そこで以下に簡単にその製法をご紹介いたします。下は奈良女子大学の構内に生えている蔦の写真です。

この蔦を切りそろえると下の写真のようになります。

まず切り取るツタを選びます。大きな葉の先が三つに分かれて秋に紅葉する、普通のツタでよいのです。常緑のキヅタからは「みせん」が取れません。紅葉する頃に甘い樹液が採れるのです。 蔦の丸太の一方から圧搾空気を 送ると他の断面から甘い樹液が出ます。それを集めて煮詰めたのがしたの写真のような「あまづら」です。

味はどうだったのでしょうか?奈良女子大学の学生の報告書を抜粋します。
・・・・各自割り箸1本持って、あまづらを賞味してみました。それぞれ感想を述べましたが、んーなんとも上品。さらりと甘く、後味すっきり雑味なし。砂糖とも違い、ハチミツやメープルシロップとも違い、これが幻の味か…。参加者一同、大満足でした。あまづらは、冷えるにつれて固まってしまいます。湯煎にかければ元に戻ります。「みせん」はあまり日持ちしませんが、煮詰めたあまづらは、夏を越しても大丈夫とのことです。平安時代に遠くから都に献上されたものですから、日持ちしないと困りますね。今回作ったあまづらは、化学的分析などのために、大事に保存することにしました。・・・・
昔は甘いものが大変貴重だった理由が分かります。

それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈りいたしす。後藤和弘(藤山杜人)