今朝の新聞によるとトランプ氏は3月1日の11州の選挙で7州で一位になり、また躍進しました。この勢いですと、彼は共和党を代表して大統領の候補者に決定することが現実味を帯びてきました。
一方、民主党の候補者がもしクリントン氏と決まれば、トランプ氏との決勝戦になるのです。
しかしこの11月の最終選挙でどちらが勝つかは予断が許されません。
もし差別主義者のトランプ氏が勝って、2017年から4年間、アメリカ大統領になった場合に日本の防衛、経済、社会文化は甚大な影響を受けると考えられます。
そして大統領がクリントン氏になった場合でも、この約一年間にわたって吹き荒れた「トランプ旋風」の日本への大きな影響はまぬかれないと考えられます。
それではこの日本への影響を3つの分野について概観してみようと思います。
(1)政治では安倍総理の軍備強化路線を助け、自主防衛政策を促進
トランプ氏は日米安保が不公平であり、アメリカは日本の防衛の支援を限定的にとどめるような意味の発言をしています。そして在日米軍基地は撤収はしない。しかしそれはアメリカが再び偉大になるためであり日本はもっと努力すべしという考えのようです。
彼は「偉大なアメリカ」と、全ての外国とを差別しようとする差別主義者なのでに日米安保に疑問を感じているのです。
もし彼が2017年からアメリカ大統領に就任したら、安倍総理は日本の軍備強化策をとらざるを得ません。平和憲法も早急に改正する方向に走るでしょう。
この方向は安倍総理が以前から主張していた「戦後レジームからの脱却」の方向に一致しているのです。
しかしその一方で在日米軍基地の早急な再配置も要求されるでしょうから、普天間基地の辺野古への移転も急がざるを得なくなります。
軍事的には中国と北朝鮮との対立が一層緊張する方向に変化するでしょう。
このような情勢では平和憲法の改正も容易になります。
これこそ安倍総理の主張している「戦後レジームからの脱却」になるのです。
安倍総理はトランプ氏が大統領になることを内心、ひそかに待ち望んでいるとしても不自然ではありません。
(2)日米貿易で日本が不利になる条件の要求
トランプ氏は中国も日本も経済活動を通じて、巧妙にアメリカの富を奪っていると差別的な発言をしています。この点ではクリントン氏も同じです
具体的には知的財産の盗用と為替レートと貿易関税の問題です。
分かりやすい問題の貿易関税だけを取り上げてみます。
トランプ氏はオバマ政権の進めて来たTPPにあからさまに反対しています。脱退するという方向です。そして日米貿易ではアメリカの小麦や牛肉の日本の関税を撤廃し、自由に輸出出来るようにすべしと公言しています。
これは一つの例に過ぎません。あらゆる日米貿易の分野でアメリカに富をかき集めるような政策をアメリカ側は要求してくるでしょう。
戦後70年、アメリカは日本経済の復興と高度成長を助けて来たのです。今度はアメリカが再び偉大な国になるために日本は借りを返すべきと考えているのでしょうか?
その真意は別にして日米間の経済活動は日本がやりにくくなることが予想されます。
この動きは中國経済の減速とあいまって安倍政権を苦しめることになるでしょう。
(3)日本が排他的で差別的な社会になる
戦後70年、アメリカは黒人差別を無くし、全ての差別的な考えの払拭に努力して来ました。差別用語の撤廃やヘイトスピーチの禁止などはアメリカ社会が世界に先駆けて推進して来ました。
それはアメリカの輝かしい理想主義でした。アメリカ社会は完全なる平等世界として多数の同盟国の尊敬を集めていたのです。
日本もこの理想主義の影響を強く受け、徹底的な差別用語の禁止をしています。それは日本の社会や文化の変質を意味していたのです。
ところがトランプ氏はメキシコなどの外国を差別し、さらにイスラム教徒は入国禁止などと公言しています。メキシコ経由で不法入国した人々を侮蔑するヘイトスピーチを誰はばかることなく叫んでいます。
アメリカのワシントンポストのような有名な新聞がトランプ氏は大統領としてふさわしくなと猛烈が攻撃をしていますが、ますますトランプ氏の得票が増える一方です。
このアメリカ社会の180度の差別主義への変更は驚異的なものです。この動向は日本の差別主義者を勇気づけています。
日本にはかつて学歴差別が強くありました。官尊民卑などという差別もありました。男女差別も強かったのです。
差別は人間の心に潜む悪魔の心なのです。それを押さえるという文化から押さえなくても良いという文化へ変化しているのいが「トランプ旋風」の社会現象なのです。
すでにその影響はあるのでしょうが、もし彼がアメリカ大統領になったらその影響は甚大なものになるでしょう。
以上はトランプ旋風の日本への影響を3つの分野について概観した結果です。
考察は荒いものですので部分的には間違っているところはあると存じます。しかし大筋においては正しいのではないでしょうか。皆様からコメントを頂けたら幸いです。
今日の挿絵代わりの写真は昨日撮って来た伊豆半島の河津桜の写真です。すでに季節が移ろい葉桜になっていました。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈りいたします。後藤和弘(藤山杜人)