後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

過疎地域と獣害地域の重なりが深刻な悲劇

2016年06月04日 | 日記・エッセイ・コラム
人々は都会に住んだり静かな農村や漁村に住んだりしていろいろなライフスタイルで日々を過ごしています。
ところが山地が近い農村や山が迫った辺鄙な漁村では過疎化が進み、さらにイノシシやサルやシカによる作物の獣害が重なり深刻な問題になっています。
猪や猿や鹿を駆除しようとすると都会に住んでいる人々が動物が可哀そうだと反対します。過疎地域に住んでいる人々の窮状が理解出来ないのです。
過疎化や獣害に関しては人それぞれ異なった意見を持っています。それも仕方のない事ですが、今日は山梨県を一例として過疎化や獣害について書いてみようと思います。観念的で主観的な文章ですがお許し下さい。
読み流して少しだけこの問題をお考え頂ければ嬉しく思います。そしてご自分がお住まいの県ではどのうようになっているかをお教え頂ければ感謝いたします。
それでは写真に従ってご説明いたします。

この1番目の写真は山梨県の西部にある甲斐駒岳です。写真には写っていませんが右手に八ヶ岳があり、この2つの山の山麓が北杜市になっています。この北杜市の旧武川村などの地域が過疎地域になっています。その上、ここでは猪や猿や鹿が跳梁し獣害が酷い地域です。

上の2番目の写真は甲斐駒岳の山麓にある私の小屋です。手前の小川の傍はイノシシのヌタ場になっています。1974年に建ててから毎月2度ほど通っています。ですから付近の集落の過疎化の進み具合がよく分かるのです。乳牛を飼っていた人が山を下りました。養鶏業の人が亡くなりました。その周囲の家々がいつの間にか廃屋になっています。

上の3番目の写真はこの小屋の周囲の雑木林の写真です。実はこの写真の代わりにイノシシに荒らされヌタ場にされた小川の岸辺の写真を示そうと思ったのですが、写真が暗くて汚過ぎたので雑木林の木漏れ日の写真にしました。
この小屋で遊んでいるとサルの群れがやってきます。早く走れない私に気兼ねなく10mくらいの傍までやって来ます。カメラを持つと一斉に走り去ります。写真を非常に嫌がります。
この小屋の周りはイノシシやサルだけでなく鹿や狐や雉がいます。春セミが鳴いて良い場所ですが永住出来る場所ではありません。
こういう場所を過疎地域と言います。そして過疎地域の多くは獣害が酷い地域なのです。
それでは全国の過疎地域はどのように分布しているのでしょうか?
その答えは「全国市町村過疎地域マップ」、http://www.kaso-net.or.jp/kaso-map.htm にあります。
その中から山梨県の部分のマップを示します。

この4番目のマップは山梨県の過疎地域を示す地図です。緑色の所が過疎市町村でピンクの場所が過疎地域を含む市町村です。白は過疎地域の無い甲府盆地の平地地域です。
私の小屋は北杜市の旧武川村にあるので過疎地域になっています。そして獣害が酷いのです。成程と納得します。

それでは全国の過疎地域はどのようになっているでしょうか?
総務省が指定している過疎地域を示すと下記のようになっています。
(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%8E%E7%96%8E%E5%9C%B0%E5%9F%9F)
平成22年の過疎地域面積は国土の57.3%にあたる216,000平方km、過疎地域人口は8.8%の1120万人となっています。
神奈川県を除く全ての都道府県に、過疎地域に指定された市町村が存在するのです。

東京都は奥多摩地域と伊豆諸島に過疎地域があります。(檜原村、奥多摩町、大島町、新島村、三宅村、青ヶ島村)。
大阪府は長い間、神奈川県とともに過疎地域に指定されている市町村が一つもなかったが、2014年4月1日付で南河内郡千早赤阪村が過疎地域に指定されました。

過疎化の背景として若者の都市部への流出や雇用の場の不足等があり、その結果高齢化が進んでいるのは皆様ご存知の通りです。
この対策として政府は過疎地域自立促進特別措置法の他に「特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律」や「山村振興法」等を制定してきました。しかしそれも焼け石に水のようです。

例えば山梨県では下のように実に多くの市町村が過疎地域になっているのです。
甲府市(旧上九一色村)
山梨市(旧牧丘町、旧三富村)
南アルプス市(旧芦安村)
北杜市(旧須玉町、旧白州町、旧武川村
甲州市(旧大和村)
笛吹市(旧芦川村)
富士川町(旧鰍沢町)
富士河口湖町(旧上九一色村)
以上簡明に書けば富士山、甲斐駒岳、八ヶ岳の周囲は過疎化していて甲府盆地は過疎化していません。
しかも過疎化や山村だけでなく山が迫った辺鄙な漁村でも全く同様なのです。
その詳細は岡 敬三著、「港を回れば日本が見える」2009年、東京新聞出版局に書いてあります。
あまり長くなるので今日はこの辺で失礼いたします。

それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)