80歳になっても夫婦関係はつくづく難しいと思います。何時もは円満な関係の日々が流れていきますが、時々小さな言い争いになります。争いの原因はいろいろありますが、少し社会性のある原因の一つだけを取り出してご説明したいと思います。
それは言葉の発音と使い方です。家内は美しい日本語を大切にしています。
美しい日本語とは発音が美しく、なお且つ文章が美しくなければならないと言うのです。
そこでこの二つを区別して書いてみます。
(1)美しい発音とは何でしょう?
小生は仙台生まれの仙台育ちなので仙台弁が抜けません。一般に東北弁と言っても津軽弁は軽やかで音楽的な響きがします。仙台弁の私が聞いても美しいと思います。
しかるに仙台弁は重々しく、粘っこく、濁音が多くて自分が聞いてもなるほど美しくない方言だなと思います。例えば「雨にも負けず」は「あめっごぬも まげず」と発音します。
一方、家内は鎌倉生まれ東京育ちなので軽やかな東京弁を話ます。
東京弁は濁音が少なく粘っこくないのです。「あめにも まけず」と明瞭に発音します。
その上、イントネーションが東北弁と違います。
私は橋も箸も端も全く同じに発音しますが家内は違うと言って手本を示します。いくら手本の通り発音しても違うと言います。終いには方言には優劣が絶対に無いのだから家内が私の発音を真似るべきだと私が声を上げます。これで争いになるのです。
いきなり話は飛びますがフランス語とドイツ語の響きを比較してみましょう。意味は判りませんが、残念ながらフランス語のほうが格段に美しいと思います。少し勉強して馴染みのあるドイツ語の響きは美しくありません。ドイツ語は馬の話す言葉などと酷いことを言う人がいます。
しかしフランス語とドイツ語の間に優劣はありません。ですからこそ東京弁と仙台弁には優劣は絶対にないのです。しかし話している意味が通じない事が結婚55年経ってもまだあるのです。 家内が反省することを祈っています。
(2)日本語の文章の曖昧さが争いの原因
日本語は実に曖昧です。昔の話で恐縮ですが私は科学論文を沢山書いていた時期がありました。その折つくづく苦労したことは日本語の曖昧さです。同じ論文を英語で書くと実に明快な良い論文になるのです。
その日本語の曖昧さが夫婦の争いを起こすのです。
家内は何十年と源氏物語の勉強会を続けています。ですから話す言葉が曖昧になります。これではたまりません。意味不明なのです。
例を上げます。日本語では主語や目的語を省略します。前後の文章から誰が主語かを理解すべきなのです。主語抜きの会話が続き、意味が分からなくなって、いろいらするのは私です。大きな声で「主語をはっきり言いなさい」といいます。すると家内は主語をはっきり言わなくても分かって下さいと言います。
主語だけのことではありません。美意識は主観の相違ですが、とにかく古来の日本語を大切にしようとする姿勢には困ったものです。
私が誰が、何時、何処で何をしたかを明快に言いなさいといいます。
最近、日本語が乱れて汚い言葉や文章を使う人が増えてきました。私は敬語や丁寧語を使うのが良いと主張します。すると英語には敬語や丁寧語が無いのですから敬語や丁寧語は無くしたほうが良いと言う人がいます。これは大変な間違いです。成程、英語には敬語や丁寧語はありません。しかし相手を尊敬しているということを間接的に表現する言い方や丁寧語の相当する丁寧な言い回し方があるのです。それをあまり教えない日本の英語教育にはいささかの危惧を感じます。
英語の敬語や丁寧語に相当する言い回しについては長くなるので今日はこれくらいにして止めます。
今日の挿し絵代わりの写真は家内に敬意を表して最近、青梅市の吹上しょうぶ公園で彼女が撮った花々の写真を使いました。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)
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それは言葉の発音と使い方です。家内は美しい日本語を大切にしています。
美しい日本語とは発音が美しく、なお且つ文章が美しくなければならないと言うのです。
そこでこの二つを区別して書いてみます。
(1)美しい発音とは何でしょう?
小生は仙台生まれの仙台育ちなので仙台弁が抜けません。一般に東北弁と言っても津軽弁は軽やかで音楽的な響きがします。仙台弁の私が聞いても美しいと思います。
しかるに仙台弁は重々しく、粘っこく、濁音が多くて自分が聞いてもなるほど美しくない方言だなと思います。例えば「雨にも負けず」は「あめっごぬも まげず」と発音します。
一方、家内は鎌倉生まれ東京育ちなので軽やかな東京弁を話ます。
東京弁は濁音が少なく粘っこくないのです。「あめにも まけず」と明瞭に発音します。
その上、イントネーションが東北弁と違います。
私は橋も箸も端も全く同じに発音しますが家内は違うと言って手本を示します。いくら手本の通り発音しても違うと言います。終いには方言には優劣が絶対に無いのだから家内が私の発音を真似るべきだと私が声を上げます。これで争いになるのです。
いきなり話は飛びますがフランス語とドイツ語の響きを比較してみましょう。意味は判りませんが、残念ながらフランス語のほうが格段に美しいと思います。少し勉強して馴染みのあるドイツ語の響きは美しくありません。ドイツ語は馬の話す言葉などと酷いことを言う人がいます。
しかしフランス語とドイツ語の間に優劣はありません。ですからこそ東京弁と仙台弁には優劣は絶対にないのです。しかし話している意味が通じない事が結婚55年経ってもまだあるのです。 家内が反省することを祈っています。
(2)日本語の文章の曖昧さが争いの原因
日本語は実に曖昧です。昔の話で恐縮ですが私は科学論文を沢山書いていた時期がありました。その折つくづく苦労したことは日本語の曖昧さです。同じ論文を英語で書くと実に明快な良い論文になるのです。
その日本語の曖昧さが夫婦の争いを起こすのです。
家内は何十年と源氏物語の勉強会を続けています。ですから話す言葉が曖昧になります。これではたまりません。意味不明なのです。
例を上げます。日本語では主語や目的語を省略します。前後の文章から誰が主語かを理解すべきなのです。主語抜きの会話が続き、意味が分からなくなって、いろいらするのは私です。大きな声で「主語をはっきり言いなさい」といいます。すると家内は主語をはっきり言わなくても分かって下さいと言います。
主語だけのことではありません。美意識は主観の相違ですが、とにかく古来の日本語を大切にしようとする姿勢には困ったものです。
私が誰が、何時、何処で何をしたかを明快に言いなさいといいます。
最近、日本語が乱れて汚い言葉や文章を使う人が増えてきました。私は敬語や丁寧語を使うのが良いと主張します。すると英語には敬語や丁寧語が無いのですから敬語や丁寧語は無くしたほうが良いと言う人がいます。これは大変な間違いです。成程、英語には敬語や丁寧語はありません。しかし相手を尊敬しているということを間接的に表現する言い方や丁寧語の相当する丁寧な言い回し方があるのです。それをあまり教えない日本の英語教育にはいささかの危惧を感じます。
英語の敬語や丁寧語に相当する言い回しについては長くなるので今日はこれくらいにして止めます。
今日の挿し絵代わりの写真は家内に敬意を表して最近、青梅市の吹上しょうぶ公園で彼女が撮った花々の写真を使いました。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)
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