後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

韓国人の宗教に対する篤い信仰

2016年08月07日 | 日記・エッセイ・コラム
韓国と日本の大きな違いは宗教に対する考え方の違いと言えます。
日本では無宗教の人が多く、仏教離れが進行している一方、キリスト教の信者は常に3%以下を推移しています。
しかし驚くことに韓国人の31%はキリスト教を信じているのです。
CIAのザ・ワールド・ファクトブックに記された2010年の調査の数値によると、韓国の宗教は 無宗教;43.3%、キリスト教 ;31.6% 、仏教 ;24.2% 、その他若しは不明;0.9%と報じられています。

韓国の仏教は中国の道教の北斗七星に対する妙見信仰や風水と習合しています。日本の神仏混淆と同じことです。
このように書いてしまえば判ったような気分になりますが、韓国の宗教は調べれば、調べるほど複雑な宗教が入り組んでいてその全貌を掴むのは至難の業です。
例えば日本の青森の恐山には多くの巫女がいて、死者を呼び戻して家族に会わせてくれるという信仰があります。
この恐山の信仰は、シベリア大陸の原住民のシャーマニズムが現在でも残ったものと考えられます。韓国にも巫俗という原始宗教があり、このような精霊が住む世界の信仰は、先史時代にまで遡る韓国人の宗教生活の最古の形でと言われています。
韓国にはいまだに欧米に知られていない原始的な宗教が存在しているとも言われています。
こんなことを最初に書くと読むのを止めてしまう方々がいらっしゃるかも知れません。
そこで分かりやすい写真を用いて韓国の宗教事情の一端を説明したいと思います。

韓国人はキリスト教に熱狂する人が多いようです。

1番目の写真は2014年8月14日からローマ法王のフランシスコ教皇が韓国を訪問した時の韓国人の歓迎ぶりを示す写真です。
韓国のあちこちで大規模な野外ミサが行われたのですが毎回、数十万人規模の信者が集まったと言われています。

2番目の写真は韓国の11の世界文化遺産の一つの海印寺の山門の写真です。
写真の出典:http://www.seoulnavi.com/special/5003998

3番目の写真は韓国の三大祈祷院の普門寺の本堂の内部の写真です。
写真の出典: http://www.hikorea.jp/tour/tour_view.php?topinfo_tcode=TB1320394145

4番目の写真は韓国の墓地の写真です。
写真の出典は、http://seoul2.blog97.fc2.com/blog-date-200908.html です。
韓国ではお墓には生花ではなく造花を捧げるのでいつまでも鮮やかなのです。

5番目の写真は韓国の土葬の写真です。穴を掘って遺体を埋め、その跡に土を盛り上げ、誰の墓であるかが分かるように墓標を建てます。
写真の出典は、http://homepage3.nifty.com/asia-kenbunroku/Bochi.htm です。
韓国では経済的に豊かな人は、墓地となる山を入手して、この山を一族又は家の共有の墓地とするのが昔の風習でした。しかし最近では個人での墓地のための山の入手が次第に困難になってきたため、企業が共同墓地を開発して分譲しています。5番目の写真は共同墓地です。

さて仏教と儒教は韓国の伝統文化なので以下に仏教について簡単に説明します。
仏教は三国時代(4世紀から7世紀)に中国から朝鮮に入ってきました。仏教は新羅(668年-935年)や高麗(918年-1392年)の時代に於いて最も優勢で文化的影響力を持っていたのです。儒教も同様に中国から初期に伝わりましたが儒教は朝鮮李朝樹立までは仏教の下の立場に置かれていたのです。
仏教は韓国の東部、つまり嶺南地方や江原道では、伝統的に強力であり、そこでは現在でも人口の半数以上が仏教徒となっているそうです。
韓国の仏教には禅を含めて様々な「宗派」が存在します。しかし、圧倒的大多数(90%程)の寺は曹渓宗に所属しています。
曹渓宗は禅の伝統と他宗派との習合で出来た宗派です。韓国で最も古く有名な寺、例えば仏国寺や梵魚寺は曹渓宗です。
ソウル中心部の曹渓寺がその総本山です。その他、韓国の仏教に関しては末尾の参考資料に説明があります。

仏教信者は仏教とシャーマニズムの一種の「三聖閣」とを結び付けて信仰しています。この「三聖閣」は仏教の寺院の奥に存在しています。「三聖閣」には「山神」や「七星神」や「独聖」が祀ってあります。
まあ簡単に言えば韓国の山岳信仰ですね。日本の神社とお寺の混淆と同じようなものです。


結論を簡単に書きます。
韓国には驚く程多数のキリスト教信者がいます。その一方、韓国人は仏教や儒教やいろいろな原始宗教を混淆して信じています。
一番分かり難い原始宗教は「三聖閣」という殿閣です。

韓国人は日本人よりも宗教を信じている人々が非常に多いと言っても大きな間違いが無いと思います。
誤解を避ける為に書きますが、宗教を信じている人は善良とは限らないのです。私は無宗教でも立派な人格を持っている方を沢山知っています。今日は韓国の宗教風景をスケッチ風に描いてみました。間違いも多いと存じます。コメントをお送り頂き、間違いをご指摘頂けたら嬉しく思います。

それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)
========参考資料====================
(1)朝鮮の仏教:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E3%81%AE%E4%BB%8F%E6%95%99 
なお、韓国には円仏教などの仏教系新宗教が存在し、立正佼成会、真如苑、創価学会、霊友会の日本の宗教法人の拠点が存在します。

(2)韓国の仏教:http://www.bbweb-arena.com/users/hajimet/bukkyo.htm
韓国の寺院は寺院後方、大雄殿より高いところに「三聖閣」という殿閣を置くことが多い。韓国の山岳信仰と融合したものである。何を主体に祀るかで山神閣、七星閣、独聖閣などと言う場合もある。いずれも仏教以外のとこ ろから韓国仏教に融合したものである。 三聖閣という場合は、「山神」、「七星神」、「独聖」を祀り、建物は正面4本の柱、側が2本の柱で囲まれた建物となる。
山神は韓国土俗の「山神霊」が変化したもので18世紀末から19世紀初めにかけて発生した信仰である。山神は護法転身の結果、人格神の山神、化身の虎とし て現れるという。山神に対しては無病長寿、子孫繁栄を祈願する。山神図は虎と子供を率いて手に長寿などの象徴を載せることが多い。
七星は北斗七星のことで、人間の幸福と寿命を象徴する。北斗七星に対する民間信仰が融合したもの。元々は国の兵乱、天災地変が起きたときや、それを予防す るために祭祀をしていたことに始まる。七星図の本尊は熾盛光如来で、北極星を意味する。手に金輪を持つことが多い。脇侍菩薩は日光菩薩と月光菩薩である。このような七星図は16世紀 末にすでに現れている。
独聖は那般尊者ともいわれ、釈迦が出征する前に天泰山で一人12縁起の真理を悟り、聖人の地位に上ったとされる。または16羅漢の一人、賓頭路頗羅堕を指すともされる。因縁の理致を悟った衆生に福を与えるということで信仰される。 絵は天泰山の中に座り、白く長いまつげで、錫杖、念仏を持っている姿で描かれることが多い。(韓国仏教文化事典、仏教文化研究院編より)