先日の2月22日に「トランプ外交の柱は軍事力とアメリカの強大な経済力」という記事を掲載しました。
この記事の骨子は、トランプ政権には、教養の深い、そして良識的な人材が参加しているので今後の政局運営は従来の路線を尊重した慎重なものになろうという趣旨でした。
教養が深く良識的な人材とは、穏健な実力派のペンス副大統領、テラーソン国務長官、マティス国防長官、マクマスター国家安全保障担当大統領補佐官などのことです。
先般、テラーソン国務長官やマティス国防長官が北太平洋軍事条約機構の主要メンバー国の首脳との会談した時、両氏は従来の同盟関係を尊重し、慎重な態度で外交を進めたのです。大変好感の持てる礼儀正しい態度でEUの国々と交渉をしたのです。
ペンス副大統領もヨーロッパを訪問し、各国の首脳と会談し、礼儀正しくアメリカの要求をゆっくり伝えたのです。
これに加えて、現職の陸軍中将のマクマスター氏が国家安全保障担当大統領補佐官になったのです。
今回の入国制限の大統領令の大改定はトランプ政権の中で慎重に審議されたのです。したがって昨日、発表された入国制限に関する大統領令は大幅に改定され、かなり穏健な内容になっています。
以前に出された大統領令は裁判で執行停止になりましたが、それは大統領上級顧問のスティーブン・バノン氏の個人的な提案でした。
しかし、今回の大統領令は政権内でよく議論されたものです。そこが大きな違いです。
前回の大統領令と今回の主な違いは以下の通りです。
(http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1703/07/news063.html より)
1)懸念地域からイラクが抜け、シリア、イラン、リビア、ソマリア、スーダン、イエメンの6カ国になった。
2)シリアからの難民受け入れを「相当の修正」を加えるまで禁止していたのが、他の地域からの難民同様120日の停止に変更。
3)大統領の署名から執行までに10日間の準備期間を設定。
4)米国永住権証のグリーンカード保有者は対象外。
5)宗教弾圧を理由にした難民申請の検討を優先するという項目の削除。
6)180日ごとの報告についての項目の追加
以上の改訂の結果は、3月16日から執行されることになりました。
もう少し詳しく説明すると以下のようになります。(http://www.bbc.com/japanese/39188856 より)
入国禁止対象は、イラン、リビア、シリア、ソマリア、スーダン、イエメンの計6カ国の市民です。ホワイトハウスによると、前回の大統領令で禁止対象の7カ国に含められていたイラクは、イラク政府が査証(ビザ)審査強化と情報共有に合意したため、新たな大統領令の対象から除外されたそうです。
新しい大統領令によると、国務省がすでに受け入れを認めた難民は入国できます。またすべてのシリア難民を無期限に入国禁止にするという前回大統領令の規定は解除されました。
米国永住権証(グリーンカード)を持つ対象国の国民は、禁止の対象から除外されました。
さらに、前回は対象国の宗教的少数者の受け入れを優先すると規定していましたが、新しい大統領令ではこの条項は削除されました。
前回の大統領令については、イスラム教徒が多数を占める7カ国からの宗教的少数者受け入れ優遇とは、つまりキリスト教徒の難民優遇で、信仰に基づく差別だと批判されていた条項でした。
そしてここが新しいことです。
新しい大統領令は、レックス・ティラーソン国務長官、ジェフ・セッションズ司法長官、ジョン・ケリー国土安全保障長官が6日朝、合同記者会見で発表したのです。
ティラーソン国務長官は、大統領令は「イスラム過激主義のテロリストが、破壊的な目的のために悪用できるし悪用する脆弱性を取り除くため」のものだと説明しました。
難民受け入れ停止の正当性については、セッションズ長官は、テロ関連の疑いで300人以上を捜査中だと述べ、具体的な事案の詳細説明はしませんでした。
司法長官はさらに、対象6カ国のうち3カ国はテロ支援国家だと断定し、さらに他の3カ国は、いわゆる「イスラム国」やアルカイダなどの過激派に国土の一部を失っていると説明し、入国制限の必要性を説明したのです。
これで前回起きたような混乱は起きないと予想されます。
前回は、有効ビザを持って飛行機に乗っていた大勢が、アメリカ到着時にいきなり入管係官に拘束される理不尽な事態が相次いだのです。
アメリカは自由な法治国家です。 今回の大幅な改定にもかかわらず新しく改訂された大統領に対して執行停止の裁判を起こす人々もいます。アメリカは自由に入国出来る移民の国家だとする考えにもとづく憲法に違反しているという訴えをしようと準備している人々がいます。
この提訴の動きは以下の通りです。
ニューヨーク州のエリック・シュナイダーマン司法長官は6日、新しい大統領令についてトランプ政権を提訴する用意があると声明を発表しました。
「ホワイトハウスは入国禁止を修正したかもしれないが、イスラム教徒差別の意図は明白だ」、「私どものスタッフが新しい大統領令を詳しく精査している。ニューヨークに住む人たちや組織や経済を守るため、再び提訴する用意がある」と州司法長官は表明したのです。
また前回の大統領令についても執行停止を直ちに求めて提訴した米自由人権協会(ACLU)は、新しい大統領令を「ムスリム禁止2.0」と呼び、あらためて提訴すると発表しています。
主要アラブ系市民団体アメリカン・アラブ反差別委員会(ADC)も、ただちに法廷闘争のための資金援助を呼びかけています。
「この禁止令は、外国人恐怖症とイスラム恐怖症の産物だ」とADCは、BBCに文書でコメントしたのです。
以上のように改訂されて大統領令も裁判沙汰になりそうです。
しかし前回と今回の決定的な違いは前回はトランプ氏の個人プレイだったが、今回はレックス・ティラーソン国務長官、ジェフ・セッションズ司法長官、ジョン・ケリー国土安全保障長官などが慎重に議論して発表している点です。
これはトランプ政権の集団合議体制が実質的に動き出したことを意味します。このようになれば良識的で安定した政策が次々と実施される体制が出来たことを示しています。
なにか安堵を感じます。皆様はどのようなご意見をお持ちでしょうか?ご意見を頂けたら嬉しく思います。
今日の挿し絵代わりの写真は先日、神代植物公園の温室で撮ってきたいろいろなランの花の写真です。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈りいたします。後藤和弘(藤山杜人)
この記事の骨子は、トランプ政権には、教養の深い、そして良識的な人材が参加しているので今後の政局運営は従来の路線を尊重した慎重なものになろうという趣旨でした。
教養が深く良識的な人材とは、穏健な実力派のペンス副大統領、テラーソン国務長官、マティス国防長官、マクマスター国家安全保障担当大統領補佐官などのことです。
先般、テラーソン国務長官やマティス国防長官が北太平洋軍事条約機構の主要メンバー国の首脳との会談した時、両氏は従来の同盟関係を尊重し、慎重な態度で外交を進めたのです。大変好感の持てる礼儀正しい態度でEUの国々と交渉をしたのです。
ペンス副大統領もヨーロッパを訪問し、各国の首脳と会談し、礼儀正しくアメリカの要求をゆっくり伝えたのです。
これに加えて、現職の陸軍中将のマクマスター氏が国家安全保障担当大統領補佐官になったのです。
今回の入国制限の大統領令の大改定はトランプ政権の中で慎重に審議されたのです。したがって昨日、発表された入国制限に関する大統領令は大幅に改定され、かなり穏健な内容になっています。
以前に出された大統領令は裁判で執行停止になりましたが、それは大統領上級顧問のスティーブン・バノン氏の個人的な提案でした。
しかし、今回の大統領令は政権内でよく議論されたものです。そこが大きな違いです。
前回の大統領令と今回の主な違いは以下の通りです。
(http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1703/07/news063.html より)
1)懸念地域からイラクが抜け、シリア、イラン、リビア、ソマリア、スーダン、イエメンの6カ国になった。
2)シリアからの難民受け入れを「相当の修正」を加えるまで禁止していたのが、他の地域からの難民同様120日の停止に変更。
3)大統領の署名から執行までに10日間の準備期間を設定。
4)米国永住権証のグリーンカード保有者は対象外。
5)宗教弾圧を理由にした難民申請の検討を優先するという項目の削除。
6)180日ごとの報告についての項目の追加
以上の改訂の結果は、3月16日から執行されることになりました。
もう少し詳しく説明すると以下のようになります。(http://www.bbc.com/japanese/39188856 より)
入国禁止対象は、イラン、リビア、シリア、ソマリア、スーダン、イエメンの計6カ国の市民です。ホワイトハウスによると、前回の大統領令で禁止対象の7カ国に含められていたイラクは、イラク政府が査証(ビザ)審査強化と情報共有に合意したため、新たな大統領令の対象から除外されたそうです。
新しい大統領令によると、国務省がすでに受け入れを認めた難民は入国できます。またすべてのシリア難民を無期限に入国禁止にするという前回大統領令の規定は解除されました。
米国永住権証(グリーンカード)を持つ対象国の国民は、禁止の対象から除外されました。
さらに、前回は対象国の宗教的少数者の受け入れを優先すると規定していましたが、新しい大統領令ではこの条項は削除されました。
前回の大統領令については、イスラム教徒が多数を占める7カ国からの宗教的少数者受け入れ優遇とは、つまりキリスト教徒の難民優遇で、信仰に基づく差別だと批判されていた条項でした。
そしてここが新しいことです。
新しい大統領令は、レックス・ティラーソン国務長官、ジェフ・セッションズ司法長官、ジョン・ケリー国土安全保障長官が6日朝、合同記者会見で発表したのです。
ティラーソン国務長官は、大統領令は「イスラム過激主義のテロリストが、破壊的な目的のために悪用できるし悪用する脆弱性を取り除くため」のものだと説明しました。
難民受け入れ停止の正当性については、セッションズ長官は、テロ関連の疑いで300人以上を捜査中だと述べ、具体的な事案の詳細説明はしませんでした。
司法長官はさらに、対象6カ国のうち3カ国はテロ支援国家だと断定し、さらに他の3カ国は、いわゆる「イスラム国」やアルカイダなどの過激派に国土の一部を失っていると説明し、入国制限の必要性を説明したのです。
これで前回起きたような混乱は起きないと予想されます。
前回は、有効ビザを持って飛行機に乗っていた大勢が、アメリカ到着時にいきなり入管係官に拘束される理不尽な事態が相次いだのです。
アメリカは自由な法治国家です。 今回の大幅な改定にもかかわらず新しく改訂された大統領に対して執行停止の裁判を起こす人々もいます。アメリカは自由に入国出来る移民の国家だとする考えにもとづく憲法に違反しているという訴えをしようと準備している人々がいます。
この提訴の動きは以下の通りです。
ニューヨーク州のエリック・シュナイダーマン司法長官は6日、新しい大統領令についてトランプ政権を提訴する用意があると声明を発表しました。
「ホワイトハウスは入国禁止を修正したかもしれないが、イスラム教徒差別の意図は明白だ」、「私どものスタッフが新しい大統領令を詳しく精査している。ニューヨークに住む人たちや組織や経済を守るため、再び提訴する用意がある」と州司法長官は表明したのです。
また前回の大統領令についても執行停止を直ちに求めて提訴した米自由人権協会(ACLU)は、新しい大統領令を「ムスリム禁止2.0」と呼び、あらためて提訴すると発表しています。
主要アラブ系市民団体アメリカン・アラブ反差別委員会(ADC)も、ただちに法廷闘争のための資金援助を呼びかけています。
「この禁止令は、外国人恐怖症とイスラム恐怖症の産物だ」とADCは、BBCに文書でコメントしたのです。
以上のように改訂されて大統領令も裁判沙汰になりそうです。
しかし前回と今回の決定的な違いは前回はトランプ氏の個人プレイだったが、今回はレックス・ティラーソン国務長官、ジェフ・セッションズ司法長官、ジョン・ケリー国土安全保障長官などが慎重に議論して発表している点です。
これはトランプ政権の集団合議体制が実質的に動き出したことを意味します。このようになれば良識的で安定した政策が次々と実施される体制が出来たことを示しています。
なにか安堵を感じます。皆様はどのようなご意見をお持ちでしょうか?ご意見を頂けたら嬉しく思います。
今日の挿し絵代わりの写真は先日、神代植物公園の温室で撮ってきたいろいろなランの花の写真です。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈りいたします。後藤和弘(藤山杜人)