日曜日には簡単な宗教にまつわる話を書くことにしています。
今日は長崎にある」26聖人像と作者の船越保武のことです。
1番目の写真は26聖人像の全景です。
カトリック教会における「日本二十六聖人殉教者」の祝日は2月5日です。
26人のうち、日本人は20名、スペイン人が4名、メキシコ人、ポルトガル人がそれぞれ1名でした。すべて男性です。
その26人は二十六聖人記念碑の右側から順に列挙すると以下のようになります。
フランシスコ吉(きち)、日本人大工。フランシスコ会員の世話をするため、一行に付き添い、道中で捕縛された。
コスメ竹屋、日本人、38歳。大坂で捕縛される。
ペトロ助四郎(またはペドロ助四郎)、日本人、イエズス会員の世話をするため一行に付き添い、道中で捕縛された。
ミカエル小崎(またはミゲル小崎)、日本人、46歳。京都で捕縛。トマス小崎の父。
ディエゴ喜斎(時に、ヤコボ喜斎、市川喜佐衛門、備前屋喜左衛門とも称す)、日本人、64歳。大坂で捕縛。行商者として上阪し商家に奉公した後、イエズス会員として祭壇係および門衛(接待係)に就く。備前国岡山藩津高郡馬屋郷芳賀村(現在の岡山県岡山市北区芳賀)出身。
パウロ三木、日本人、33歳。大坂で捕縛。イエズス会員。
パウロ茨木、日本人、54歳。京都で捕縛。レオ烏丸の兄。
五島のヨハネ草庵(スペイン語版)(またはヨハネ五島)、日本人、19歳。大坂で捕縛、イエズス会員。
ルドビコ茨木、日本人、12歳で最年少。京都で捕縛。パウロ茨木、レオ烏丸の甥。
長崎のアントニオ、日本人、13歳。京都で捕縛。父は中国人、母は日本人。
ペトロ・バウチスタ(またはペドロ・バプチスタ、ペドロ・バウティスタ)、スペイン人、48歳。京都で捕縛。フランシスコ会司祭。
マルチノ・デ・ラ・アセンシオン、スペイン人、30歳。大坂で捕縛。フランシスコ会司祭。
フェリペ・デ・ヘスス(またはフィリッポ・デ・ヘスス、本名・フェリペ・デ・ラス・カサス)、メキシコ人、24歳。京都で捕縛。フランシスコ会修道士。
ゴンザロ・ガルシア、ポルトガル人、40歳。京都で捕縛。フランシスコ会修道士。
フランシスコ・ブランコ、スペイン人、28歳。京都で捕縛。フランシスコ会司祭。
フランシスコ・デ・サン・ミゲル、スペイン人、53歳。京都で捕縛。フランシスコ会修道士。
マチアス、日本人、京都で捕縛。本来逮捕者のリストになかったが、洗礼名が同じというだけで捕縛。
レオ烏丸、日本人、48歳。京都で捕縛。パウロ茨木の弟。ルドビコ茨木のおじ。
ボナベントゥラ、日本人、京都で捕縛。
トマス小崎、日本人、14歳。大坂で捕縛。ミカエル小崎の子。
ヨアキム榊原(またはホアキン榊原)、日本人、40歳。大坂で捕縛。
医者のフランシスコ(またはフランシスコ医師)、日本人、46歳。京都で捕縛。
トマス談義者、日本人、36歳。京都で捕縛。
絹屋のヨハネ、日本人、28歳。京都で捕縛。
ガブリエル、日本人、19歳。京都で捕縛。
パウロ鈴木、日本人、49歳。京都で捕縛。
この26聖人像は大きなブロンズ像です。有名な彫刻家の舟越保武氏が4年半の歳月をかけて、昭和37年に完成したものです。
この26聖人像について長崎在住のイラストレーターの江島 達也さんがとても良い説明を次のようにしています。
以下は、http://hayabusa-3.dreamlog.jp/archives/51207384.html からの抜粋です。
・・・26聖人の像は、遠目で見ると、横長の十字架のデザインとなっています。
24体は手を合わせ、天に視線を向けていますが、2体(パウロ三木とペドロ・パプチスタ)だけは手を広げ、視線を落としています。
この2体は、舟越さんの説明によると、「下から見る人と視線が合うようになっており、その人の心を引き上げてくれる役割をする。いわば像の中の目にあたる部分」ということなのだだそうです。
舟越さんは、この26聖人像をつくる4年半の間、アトリエに寝泊まりし、制作に心血を注いだそうです。
制作記に「貧苦に耐えて制作した」とあります・・・
そして、こどもの頃から、この像を見るたびに気になっていたのは、特別に小さい2体、12歳のルドビコ茨木像と、13歳のアントニオの像です。
最年少のルドビコは混血児であり、差別とも闘いながら信仰を守り抜いた少年でした。
純粋な瞳でいたいけな少年の殉教の姿は、多くの見物者の涙をさそったそうです。
平成14年2月5日に舟越さんは亡くならていますが、ちょうどこの日というのは、405年前に26聖人が殉教した日にあたります。・・・何かしら運命的なものを感じますね。・・・
2番目から4番目の写真は26聖人像の部分を大写しした写真です。
舟越保武氏の主な彫刻作品は以下の通りです。
1962年 「長崎26殉教者記念像」で高村光太郎賞。
1972年 島原の乱に着想を得た「原の城」で中原悌二郎賞
1973年 「原の城」でパウロ6世より大聖グレゴリオ騎士団長勲章受章。
1975年 「病醜のダミアン」(ダミアン神父をモデルにした作品。)
1977年 「道東の四季-春-」(釧路市の幣舞橋)で長谷川仁記念賞。
ほかにも「聖クララ」、「聖セシリア」、「聖マリア・マグダレナ」、「たつ子像」(田沢湖畔に設置)、「ペトロ岐部神父の立像」などがある。
5番目の写真は田沢湖にある「たつ子象」です。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。 後藤和弘(藤山杜人)