後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

日本人の先祖はアイヌ人(1)富士山も神もアイヌ語

2018年06月27日 | 日記・エッセイ・コラム
最近、日本人の祖先はアイヌ人だと考える人が増えたようですが、その根拠の幾つかを連載で書いてみたいと思います。今日は富士山も神もアイヌ語だという話です。
いきなりですが私の先祖はアイヌ人だと思っています。
日本列島に人間が沢山住むようになったのは少なくとも4万年前からの旧石器時代からです。当時の日本には南の中国や朝鮮からの渡って来た人々とカムチャッカ、樺太、千島列島から渡ってきた北方民族の両方が住んでいたと考えるのが自然です。
北方民族を後代の日本人はアイヌと呼んでいます。
アイヌ民族の居住範囲は本州の関西地方を南限にして、関東や東北地方はアイヌ人だけが住んでいたと思います。
従って東北地方と北海道南部に花咲いた縄文文化はアイヌ人の文化だったのです。
それが弥生時代になり、中国系の人が増えて、アイヌ人は次第に東北地方へ追いやられたのです。
そして北海道に孤立した縄文人、すなわちアイヌ人はその後、オホーツク文化の影響を色濃く受けて擦文土器文化になり、その後独自のアイヌ文化になったのです。
冒頭に「先祖はアイヌ人だと思っています」と書いたのは私の先祖の出生地が東北地方だからです。
大雑把に言って先祖が関西以北の出身なら縄文文化を作ったアイヌ人が祖先になると考えるのが自然な考え方です。

さて「古事記」に出てくる地名が多くはアイヌ語起源である可能性が高いという仮説があります。「目からウロコの漢字問題」(宝島社文庫)という本に以下のようにあります。
・・・昔は日本の大部分の地域にアイヌ民族がいた。その後北方へ追いやられたが、(現代日本人の八割の人はアイヌ民族の血を引いているという)、このようなわけで、とりわけ北海道や東北の地名には、アイヌ語に漢字を当てたものがごろごろある。
 たとえば、栃木県「日光(にっこう)」は「二荒(ふたら)」が「にこう」と読み違えられ、さらにそれに当て字をして出来上がったという。この「ふたら」はアイヌ語「プタアラ」が語源になっており、これは「美しい高原」のことである。「富士」もアイヌ語の「フチ(火)」が語源だとする説が有力だ。つまり「火の山」だったわけである。」・・・

以上の本は学問的な厳密性を欠いた読み物風の本のようで信用出来ないかも知れません。しかし、このことは明治時代に、東京帝国大学の教授であったバジル・ホール・チェンバレン教授によって明らかにされたのです。彼は英・アイヌ・和語辞書を作った学者です。
とりわけ北海道や東北の地名には、アイヌ語に漢字を当てたものがごろごろあることは確かです。さらに彼は富士山や利根川や能登半島もアイヌ語だとも言うのです。
そして現在、北海道に住んでいる人々は北海道の地名の8割ほどがアイヌ語をカタカナや漢字で表現した地名であると知っています。
しかし北海道以外の日本人は意外にこの事実を知っていません。札幌も稚内も石狩川もすべてアイヌ語の地名を漢字で書いたものなのです。

アイヌ人は縄文時代末期まで、関東地方にも広がって住んでいたのです。その後、大和朝廷に少しずつ北方へ追いやられ、江戸時代には北海道(蝦夷地)にだけになりました。しかしその一方で、多くのアイヌ人は混血して東北地方にも住み着いていました。
ですから本州の関東以北にはアイヌ語の地名をいくつも残っています。
話はいきなり飛びますが、アメリカの内陸部の地名、河の名前がインディアン語のものが多いのです。オハイオもそうですが、オハイオ州の河や地名の多くはインディアン語由来のものです。先住民は消えて行いきます。しかし先住民の残した地名はアメリカに沢山あります。
下に「北海道の地名・駅名」についての資料をご紹介します。
これには北海道のアイヌ語由来の地名をカタカナや漢字で表すときの一般的な規則が分類され出ています。(Wikipediaの「北海道の地名・駅名」より抜粋)
北海道の地名・駅名は、概ね以下のように分類できる。
アイヌ語に由来するもの
アイヌ語に日本語(漢字)表記をあてたもの
アイヌ語をそのまま使用しているもの
内地からの開拓・入植に際して地名が決められたもの
周辺に存在した施設・自然状況、あるいは周辺の風土などから命名
上記によって定められた地名・駅名に、方向や大小などの接頭語・接尾語をつけたもの
@アイヌ語に由来するもの
アイヌ語地名に日本語風の地名・駅名につけるにあたっては、以下の方法が見られた。
アイヌ語に漢字の表記をあてたもの
アイヌ語の音に漢字をあてずカタカナで表記しているもの(日本語を割り当てていない)
@アイヌ語に漢字表記をあてたもの
老者舞(おしゃまっぷ)
音訳 - アイヌ語の「音」を流用し、漢字を当て字(仮借)したもの
意訳 - アイヌ語の「意味」を解釈し、似た意味の日本語を割り当てたもの
音訳したもの
音訳の例としては、「ホッキ貝の多い所」を表す「ポク・オ・イ」からとった母恋や、「川口の汚染された所」を表す「オ・トイネ・プ」からとった音威子府・音稲府(枝幸町)などがある。また、アイヌの地名をそのまま日本語地名としては冗長であったりごろが悪かったりする場合には一部短縮・省略したものもある(オペレケレケプ->帯広、ピウカ->美深))。
これらは音のみに着目した「当て字」である。漢字は表意文字であるが、あてられた漢字の意味にアイヌ語原義との直接的な関連性があるとは限らない。例えば、道内に数多く見られる「内」「別」は、それぞれアイヌ語で川を意味する「ナイ」「ペツ」に当て字されたものであり、「内側」「別れる」の意味は持たない。同じように「幌」は「大きい・広い」を意味する「ポロ」の当て字で、「幌」の字の持つ意味とは関係がない。
========以下省略します。==============

最後に一言余計なことを書かせて下さい。日本人は明治維新以来、アイヌ人を蔑視してきました。その証拠は最近まで存続していました「北海道土民法」です。ですから「日本人の先祖はアイヌ人」という題目に感情的に反発する人がいます。貴方自身はどのようにお感じでしょうか?

今日の挿し絵代わりの写真はアイヌ語が起源と言われている富士山の私が写真です。全て私が撮りました。

それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)