後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

米朝会談と韓国、北朝鮮の人々の歓喜とその幸福

2018年06月13日 | 日記・エッセイ・コラム
昨日のシンガポールでの米朝会談の反響はいろいろありました。
今日、私は次の2つの感想を書きたいと思います。

(1)韓国、北朝鮮の人々の歓喜と今後の幸福について。
街頭で歓喜の表情を見せる多数の韓国人の姿を見ると、今回の会談は全ての朝鮮民族にとって大歓迎されたのです。在日朝鮮民族も歓喜の声を上げていました。

(2)北朝鮮の完全な非核化は非常に困難です。ほとんど不可能です。
近代工業技術というものは一旦手に入れたら、その詳細な設計図が残る限り完全に消滅させることは不可能なものです。核兵兵器製造工場の設計図が残る限り、再び核兵器の製造工場の建設は実に容易なのです。近代工業技術というものは、そういうものなのです。

1番目の写真は昨日の米朝会談で初めて会ったトランプ大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の写真です。

さて以下では今日の2つの問題についてもう少し分かり易い説明をしたいと思います。
(1)米朝会談は朝鮮民族の歓喜だということ。
皆様はベトナムのホーチーミン軍がアメリカ軍に勝って北ベトナムと南ベトナムを統一し、それが現在のベトナムの繁栄に繋がったことをご存知でしょう。勿論、これにはベトナムの市場経済政策のドイモイ政策があったことが必要でした。
またベルリンの壁崩壊後の東西ドイツの統一もありました。
貧しい東ドイツを背負った西ドイツは一時経済的に低迷しました。そしてその後、この経済低迷を克服して今や統一ドイツはEU の最も繁栄している代表的な国家になったのです。

ですから北朝鮮と韓国が経済交流を促進すれば南北朝鮮の国民の生活レベルは各段に上がることは確かなことです。南北朝鮮民族は必ずや現在よりも幸福になるのです。
しかし朝鮮民族の統一という悲願は達成されないでしょう。北と南の政治組織があまりにも違うからです。南北が統一国家になることは不可能です。
しかし今回の米朝会談は朝鮮民族に統一国家になる夢を与えました。明る明るい希望を与えました。
これこそ今回の米朝会談の最大の功績だと思います。文化人類学を趣味にしている私の偏った感想かも知れませんが、隣国の朝鮮民族が歓喜している姿に心打たれました。私も嬉しいのです。

(2)北朝鮮の完全な非核化は非常に困難です。ほとんど不可能です。
北朝鮮の泰川には原子力発電所とウラン濃縮工場があります。豊渓里には核実験場があります。新浦には軽水炉があります。
嚀辺には原子炉、ウラン濃縮工場、再処理工場などがあります。博川にはウラン製錬坑儒があります。順川にはウラン鉱山があります。
平壌の大学には小型原子炉があります。そして平山にはウラン精錬工場があります。
この他に原爆や核兵器製造工場が数カ所に存在しているのです。
これら全ての施設を査察し、廃棄させるというのが今回の共同声明の北朝鮮の非核化の意味なのです。
素人が考えても何年もかかることは容易の理解出来ます。

しかし今日の私の主張は、これら核関連工場の設計図が残る限り、核兵器の製造は簡単だということです。
アメリカの言う「不逆的な非核化」とは全ての設計図をアメリカへ渡せという意味なのです。
下に米朝共同声明全文を示しましたが、「不逆的な非核化」という表現が無いのはアメリ側が妥協したのでしょう。

それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。 後藤和弘(藤山杜人)

===米朝共同声明全文====================
アメリカのトランプ大統領と北朝鮮のキム・ジョンウン朝鮮労働党委員長のシンガポールでのサミットにおける共同声明
トランプ大統領とキム委員長は、2018年6月12日に、シンガポールで、史上初めてとなる歴史的なサミットを開催した。トランプ大統領とキム委員長は、新たな米朝関係や、朝鮮半島における永続的で安定した平和の体制を構築するため、包括的で深く誠実に協議を行った。トランプ大統領は北朝鮮に体制の保証を提供する約束をし、キム委員長は朝鮮半島の完全な非核化について断固として揺るがない決意を確認した。

新たな米朝関係の構築が朝鮮半島のみならず、世界の平和と繁栄に貢献することを信じ、また、両国の信頼関係の構築によって、朝鮮半島の非核化を進めることができることを認識し、トランプ大統領とキム委員長は以下の通り、宣言する。

1・アメリカと北朝鮮は、平和と繁栄に向けた両国国民の願いに基づいて、新しい関係を樹立するために取り組んでいくことを約束する。

2・アメリカと北朝鮮は、朝鮮半島に、永続的で安定した平和の体制を構築するため、共に努力する。

3・2018年4月27日のパンムンジョム宣言を再確認し、北朝鮮は朝鮮半島の完全な非核化に向けて取り組むことを約束する。

4・アメリカと北朝鮮は、朝鮮戦争中の捕虜や・行方不明の兵士の遺骨の回収に取り組むとともに、すでに身元が判明したものについては、返還することを約束する。

史上初となる、アメリカと北朝鮮の首脳会談が、この数十年にわたった緊張と敵対関係を乗り越え、新しい未来を切り開く大きな転換点であることを確認し、トランプ大統領と金委員長は、この共同声明での内容を、完全かつ迅速に実行に移すことを約束する。

アメリカと北朝鮮は、首脳会談の成果を実行に移すため、可能な限りすみやかに、アメリカのポンペイオ国務長官と北朝鮮の高官による交渉を行うことを約束した。アメリカのトランプ大統領と北朝鮮のキム・ジョンウン朝鮮労働党委員長は、新たな米朝関係の発展と、朝鮮半島と世界の平和や繁栄、そして安全のために、協力していくことを約束する。

ドナルド・トランプ米大統領(署名)
 金正恩・北朝鮮国務委員長(署名)
 2018年6月12日
 セントーサ島
 シンガポール