今年の6月から3ケ月にわたって香港では大規模なデモが続き騒然としています。
デモの大規模さを示す写真をご覧下さい。
1番目の写真は6月のデモの様子です。以前の民主化デモの雨傘運動の延長だと主張するために皆が雨傘をかぶっています。
騒乱が3ケ月も続いているのでいよいよ中国本土の軍隊が香港を占領し鎮圧するのではないかと懸念されています。
今日は香港の武力鎮圧は起きるのかという問題を考えてみました。
数週間いろいろ調べたり考えたりしました。
結論を先に書けば次のような種々の理由で武力鎮圧は起きないと考えています。
(1)デモの目的は犯罪容疑者の中国本土への引き渡しを認める「逃亡犯条例」の改正案に反対するためでした。しかし林鄭月娥行政長官は「逃亡犯条例」改正案の正式な撤回を表明した以上、デモの目的は無くなってしまったのです。
(2)デモの参加者はおもに若い学生であり経済活動を中国本土に依存している中年以上の香港人は参加していない。日本にもあった学生の安保反対デモのようにやがて鎮静化すると思われる。
(3)習近平主席は武力鎮圧をすれば第三の天安門事件として国際社会の激しい非難を浴びるので香港の警察力による鎮圧を待つのが賢いと考えていると思われる。
なお第一次天安門事件とは1976年の周恩来の追悼デモを武力鎮圧した事件で第二次天安門事件とは1989年の胡耀邦の追悼デモを武力鎮圧した事件です。
(3)日本や台湾における香港デモへの支援活動は弱小で頼りにならない。
日本では「香港の自由と民主主義を守る緊急行動」という活動があるが昔のベトナム反戦運動のような大規模な運動ではない。
(4)アメリカのトランプ大統領は人権よりも金儲けに興味がある傾向が強いので何もしない。
アメリカの有識者達がトランプ大統領に香港デモ隊への支援を求める公開提言を提出したが反応が無いままです。日本政府はノーコメントの静観です。
(5)香港には人口の10%のカトリックが約37万人います。ローマのフランシスコ教皇が動けば香港情勢に大きな影響があります。しかし中国本土のカトリック教徒も守らなければいけないので動きがとれないのです。
その上、林鄭月娥長官は熱心なカトリック教徒なのでフランシスコ教皇が不用意に動くと林鄭月娥長官を窮地に落とし入れることになります。要するにフランシスコ教皇の立場は微妙で動きがとれないと考えられます。
今日は上記の(3)(4)(5)に関してもう少し説明を加えます。
(A)日本の於ける香港デモ支援の様子
日本では香港からの留学生が中心になって「香港の自由と民主主義を守る緊急行動」という活動をしています。詳しくは、https://kosugihara.exblog.jp/239314385/ をご覧下さい。
2番目の写真は6月13日に行われたデモの様子です。デモは九段下の香港経済貿易代表部前と渋谷ハチ公前で行われました。九段下には300人以上、渋谷には2500人(主催者発表)が集まり、香港や台湾からの留学生による切実なスピーチも含めて盛り上がったそうです。しかしこの運動は中年以上の日本人には広がりませんでした。小さなデモで終わったのです。
(B)アメリカでの香港デモ支援の様子
アメリカでは人権問題の専門家組織が香港デモ隊への支援を求める公開提言をトランプ大統領に提出しました。そして香港政府高官への制裁や香港デモ隊の「5大要求」に対する公式支援などを求めたのです。
しかしトランプ大統領からは反応がありません。
提言は、以下のような書き出しで始まっています。
「我々は、自由と極東におけるアメリカの国益にとって重要な瞬間である今、あなた(トランプ氏)に向けて書いています。あなたもご存じの通り、香港の人々は、香港がイギリスの植民地でなくなった時に中華人民共和国が尊重すると約束したはずの、自由と自治を守るために奮闘しています。我々は、彼ら香港の人々を助ける機会に面しています」
詳しくは、https://the-liberty.com/article.php?item_id=16212 をご覧下さい。
(C)ローマ法王は何故動きがとれないのか?
香港のキリスト教人口はプロテスタントが約48万人、カトリックが約37万4000人と(2014年の政府統計)、全人口の約10%です。
そして小・中学校の約40%、社会福祉機関の約30%をキリスト教系が占めているなど、社会全体にキリスト教が根づいている社会なのです。
香港の抗議活動でカトリックが担う役割についてはイタリアの宗教学者のイントロヴィーニャ氏が詳細な持論を展開しています。
詳しくは、https://jp.bitterwinter.org/hong-kong-protests-the-catholic-factor/?gclid=EAIaIQobChMIvvnaq8a75AIVi6qWCh18dAVwEAMYASAAEgJvgvD_BwE をご覧下さい。
イントロヴィーニャ氏の主張は、「バチカンは中国共産党と国際社会に対し香港の民主主義を支持していること、そして人権問題を重視してることを早急に表明すべし」というものです。
しかしローマ法王は沈黙を守ります。香港の現地の司教だけが林鄭月娥行政長官へ「逃亡犯条例」改正案を廃案にするように助言してるだけです。
3番目の写真は香港の聖母無原罪司教座堂の天主堂です。
4番目の写真はヨハネ湯漢(トンホン)枢機卿です。
5番目の写真は湯漢司教と陳日君枢機卿と香港教区の聖職者達です。
今日は「香港の武力鎮圧は起きるか?ローマ法王は動くか?」という題目で香港デモに関する日本、アメリカ、ローマ法王の反応を分かり易く書いたつもりです。
皆様からのご批判をお待ちしていうます。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈りいたします。後藤和弘(藤山杜人)
デモの大規模さを示す写真をご覧下さい。
1番目の写真は6月のデモの様子です。以前の民主化デモの雨傘運動の延長だと主張するために皆が雨傘をかぶっています。
騒乱が3ケ月も続いているのでいよいよ中国本土の軍隊が香港を占領し鎮圧するのではないかと懸念されています。
今日は香港の武力鎮圧は起きるのかという問題を考えてみました。
数週間いろいろ調べたり考えたりしました。
結論を先に書けば次のような種々の理由で武力鎮圧は起きないと考えています。
(1)デモの目的は犯罪容疑者の中国本土への引き渡しを認める「逃亡犯条例」の改正案に反対するためでした。しかし林鄭月娥行政長官は「逃亡犯条例」改正案の正式な撤回を表明した以上、デモの目的は無くなってしまったのです。
(2)デモの参加者はおもに若い学生であり経済活動を中国本土に依存している中年以上の香港人は参加していない。日本にもあった学生の安保反対デモのようにやがて鎮静化すると思われる。
(3)習近平主席は武力鎮圧をすれば第三の天安門事件として国際社会の激しい非難を浴びるので香港の警察力による鎮圧を待つのが賢いと考えていると思われる。
なお第一次天安門事件とは1976年の周恩来の追悼デモを武力鎮圧した事件で第二次天安門事件とは1989年の胡耀邦の追悼デモを武力鎮圧した事件です。
(3)日本や台湾における香港デモへの支援活動は弱小で頼りにならない。
日本では「香港の自由と民主主義を守る緊急行動」という活動があるが昔のベトナム反戦運動のような大規模な運動ではない。
(4)アメリカのトランプ大統領は人権よりも金儲けに興味がある傾向が強いので何もしない。
アメリカの有識者達がトランプ大統領に香港デモ隊への支援を求める公開提言を提出したが反応が無いままです。日本政府はノーコメントの静観です。
(5)香港には人口の10%のカトリックが約37万人います。ローマのフランシスコ教皇が動けば香港情勢に大きな影響があります。しかし中国本土のカトリック教徒も守らなければいけないので動きがとれないのです。
その上、林鄭月娥長官は熱心なカトリック教徒なのでフランシスコ教皇が不用意に動くと林鄭月娥長官を窮地に落とし入れることになります。要するにフランシスコ教皇の立場は微妙で動きがとれないと考えられます。
今日は上記の(3)(4)(5)に関してもう少し説明を加えます。
(A)日本の於ける香港デモ支援の様子
日本では香港からの留学生が中心になって「香港の自由と民主主義を守る緊急行動」という活動をしています。詳しくは、https://kosugihara.exblog.jp/239314385/ をご覧下さい。
2番目の写真は6月13日に行われたデモの様子です。デモは九段下の香港経済貿易代表部前と渋谷ハチ公前で行われました。九段下には300人以上、渋谷には2500人(主催者発表)が集まり、香港や台湾からの留学生による切実なスピーチも含めて盛り上がったそうです。しかしこの運動は中年以上の日本人には広がりませんでした。小さなデモで終わったのです。
(B)アメリカでの香港デモ支援の様子
アメリカでは人権問題の専門家組織が香港デモ隊への支援を求める公開提言をトランプ大統領に提出しました。そして香港政府高官への制裁や香港デモ隊の「5大要求」に対する公式支援などを求めたのです。
しかしトランプ大統領からは反応がありません。
提言は、以下のような書き出しで始まっています。
「我々は、自由と極東におけるアメリカの国益にとって重要な瞬間である今、あなた(トランプ氏)に向けて書いています。あなたもご存じの通り、香港の人々は、香港がイギリスの植民地でなくなった時に中華人民共和国が尊重すると約束したはずの、自由と自治を守るために奮闘しています。我々は、彼ら香港の人々を助ける機会に面しています」
詳しくは、https://the-liberty.com/article.php?item_id=16212 をご覧下さい。
(C)ローマ法王は何故動きがとれないのか?
香港のキリスト教人口はプロテスタントが約48万人、カトリックが約37万4000人と(2014年の政府統計)、全人口の約10%です。
そして小・中学校の約40%、社会福祉機関の約30%をキリスト教系が占めているなど、社会全体にキリスト教が根づいている社会なのです。
香港の抗議活動でカトリックが担う役割についてはイタリアの宗教学者のイントロヴィーニャ氏が詳細な持論を展開しています。
詳しくは、https://jp.bitterwinter.org/hong-kong-protests-the-catholic-factor/?gclid=EAIaIQobChMIvvnaq8a75AIVi6qWCh18dAVwEAMYASAAEgJvgvD_BwE をご覧下さい。
イントロヴィーニャ氏の主張は、「バチカンは中国共産党と国際社会に対し香港の民主主義を支持していること、そして人権問題を重視してることを早急に表明すべし」というものです。
しかしローマ法王は沈黙を守ります。香港の現地の司教だけが林鄭月娥行政長官へ「逃亡犯条例」改正案を廃案にするように助言してるだけです。
3番目の写真は香港の聖母無原罪司教座堂の天主堂です。
4番目の写真はヨハネ湯漢(トンホン)枢機卿です。
5番目の写真は湯漢司教と陳日君枢機卿と香港教区の聖職者達です。
今日は「香港の武力鎮圧は起きるか?ローマ法王は動くか?」という題目で香港デモに関する日本、アメリカ、ローマ法王の反応を分かり易く書いたつもりです。
皆様からのご批判をお待ちしていうます。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈りいたします。後藤和弘(藤山杜人)