後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

是枝嗣人著、扶桑社 「日本一笑顔になれるお葬式」の書評

2021年08月30日 | 日記・エッセイ・コラム
とにかく非常に面白い本です。面白いだけでなく人間の死を深く考えさせる内容のある本です。「人間の幸福はみな同じようだが不幸は一人一人みな違う」という言葉の意味がしみじみと分かる本です。旅立ってしまった家族、残された遺族。悲しみだけが残ります。その悲しみは一人一人みな違います。お葬式はその悲しみを和らげます。葬儀社の人が遺族の心に寄り添って故人の一生にふさわしいお葬式を作ります。大規模なお葬式でも小さな家族葬でも是枝嗣人さんは故人と遺族に心を寄せて、静かにお葬式の様式を提案します。
そしてこの本は家族の死に直面した遺族のする仕事を具体的に教えています。医師が書く死亡証明書や役所への届け出の手順が明快に説明してあります。棺に遺体と共に入れて良い物いけない物が説明してあります。葬式に関する実用書でもあるのです。一家の1冊備えるべき実用書でもあるのです。
私が感動したことを3つだけ書きます。

(1)是枝嗣人さんが母から貰った心の金時計
高校一年生の時祖父が亡くなりお葬式をしました。その時母が言ったのです。「あんた気が利くから、葬儀屋さんいいんじゃない? みんな金時計しているわ」
その当時は高度成長期で葬儀屋さんも儲けが大きく葬儀屋の人はみな金時計を持っていたのでしょう。金時計はある時代の富の象徴だったのです。
この母の言葉は是枝嗣人さんの一生を決めたのです。葬儀社でアルバイトをし立正大学仏教学部を卒業します。そして小金井祭典株式会社という葬儀屋を作ったのです。ですから私は是枝嗣人さんが母から貰った心の金時計に従って現在でも葬儀屋をしていると思います。

(2)千利休に憧れ茶道の心を葬式にこめる
彼は大学の茶道部に入って長い年月茶道を嗜んでいます。茶道のもてなしの精神をお葬式に籠めるのです。一例を示します。祖父の実家でのお葬式には600人の関係者が弔問に来ました。その人々をもてなすために千利休にならって庭掃除をします。すっかり綺麗になった庭の芝生の上に山茶花(サザンカ)の花びらを一面に敷いたのです。友人に手伝ってもらって庭のサザンカの木を揺さぶってもらい花びらをま撒いたのです。
それを見た弔問に来た人々は美しい庭の光景に心が和みます。そして故人が山茶花の咲く浄土に行ったと感じたのでしょう。

(3)是枝嗣人さん関わるお葬式から釈迦の慈悲の心が感じられる
この本には仏教や宗教のことは一切書いてありません。宗教には言及していません。しかし何故か是枝嗣人さんがかかわるお葬式から釈迦の慈悲の心が感じられるのです。
この本には仏教のことは書いてないが、例外が一か所あります。
お寺にある先祖代々の墓に故人の遺骨を入れようとしたらそのお寺の住職さんをよんでお経をあげてもらいなさいと忠告している部分だけです。そうしないと納骨の時住職さんとトラブルになる恐れがあるのです。なるほど、成程と納得します。
釈迦の慈悲の心が感じられるのは何故でしょうか。その理由は故人を大切にして浄土に見送る姿勢でお葬式をしているからです。

以上は私の個人的な感想です。以下にこの本の内容をご紹介しておきます。

・・・お葬式って、実はこんなに“自由”でいい! 真っ赤なバラで祭壇を飾ったり、棺の中にお酒をなみなみと注いだり、バイクのエンジン音で出棺したり…etc。誰もが思い描く「お葬式の常識」とはちょっと違う、オリジナリティ溢れるお葬式をプロデュースする「街の葬儀屋さん」があります。葬儀社「小金井祭典」です。
こだわりのお葬式を手がける同社には、お葬式を控えた遺族だけでなく、なぜか元気な人までお葬式の相談にやってきます。「僕が死んだら、こんなお葬式をしてくれませんか?」「旦那が亡くなったらこんなお葬式をしてあげたくて」そんなリクエストに応えるべく、「葬儀業界の異端児」が作り上げる、おもいっきり泣いた後に“笑顔になれる”お葬式とは?
・・・みんな意外と知らない「お葬式の本当のハナシ」本書では、実はみんな知らない「お葬式の本当のハナシ」をわかりやすく解説しています。
ネットの格安葬儀の「落とし穴」とは?・お葬式で「泣ける人」と「泣けない人」との違い
・葬儀社の新しい仕事「グリーフサポート」・循環型社会への取り組み。
広がる紙製の棺「エコ葬儀」・「いいおみおくり」は在宅での「いい看取り」から始まる。現在はスマホ一つで葬儀社を選ぶ時代。お葬式の本質が失われつつあります。どうしてお葬式をあげるのか? そこから考え直してみませんか。そうすれば、大切な人が亡くなったあとに、どうやって“心の隙間”と向き合えばいいのか……わかってくるかもしれません。お葬式を通して、「悲しみとの正しい向き合い方」を教えてくれる一冊です。

是枝嗣人著、「日本一笑顔になれるお葬式 大切な人が亡くなる前に知っておきたい葬儀の本当のハナシ」、扶桑社 の新刊、全223ページ。1540円です。https://www.amazon.co.jp/ などインターネットで購入出来ます。


今日は是枝嗣人著、扶桑社 「日本一笑顔になれるお葬式、、、」の書評をお送りいたしました。そして花の写真を挿絵代わりに添付します。

それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈りいたします。後藤和弘(藤山杜人) 
===参考資料===========================
著者、是枝嗣人の紹介
1979年、東京都出身。立正大学仏教学部仏教学科卒業。学生時代から葬祭業に携わり始め、2007年に「小金井祭典株式会社」を設立。以来、当事者の気持ちに寄り添いながら数々の「唯一無二のお葬式」をコーディネートして東京都内にとどまらず他県からの依頼にも応えてきた。また、葬儀社を営みながら東京大学の市民後見人講座に通い、グリーフケア・サポートの専門家としても活動を開始。2010年には世田谷区に家族葬専門葬儀社「株式会社クローバー」、2019年にはおひとりさまや福祉葬儀に対応する「株式会社葬送支援」と「クローバーグループ」を創る。2011年からは小金井市に「ちょっと訊ける場所 めぐる」というサロンを設立。地域住民にとって、お葬式のみならずグリーフサポートや街のお困りごとなどなんでも相談できるライフサポートの場になっている。伝統的な葬儀の良さを踏襲しつつ、大切な人を亡くした方の哀しみを癒す作業(グリーフワーク)を実践する場としての“おみおくり"を提案し続けている。



「ドライブを楽しみながら昨日撮ってきた花の写真をお送りいたします」

2021年08月30日 | 写真
昨日の午後に2時間ほどのドライブを楽しみながら、三鷹市の花と緑の広場へ写真を撮りに行ってきました。
キバナコスモスや秋の花々が綺麗に咲いていました。家内が写真を撮りました。