2010年代に河口湖自動車博物館へ何度か行きました
河口湖自動車博物館の隣には河口湖飛行機館も並んであります。この両方の博物館の展示物は原田信雄氏の個人的なコレクションなのです。以前は通年開館していましたが、現在は8月だけオープンしています。
自動車の展示はイギリス、ドイツ、イタリア、フランス、日本など各国の数多くのクラシックカーが展示してあります。
1886年から1950年までの車はHALL-Aに展示してあり、1950年から2000年までの車はHALL-Bに展示してあります。
自動車には作られた国々のいろいろな時代の文化を積んでいます。乗り回した家族の喜びと悲しみが沁みこんでいます。戦前生まれの私にとって、いろいろな時代の車を見ると当時の社会の雰囲気がよみがえって来ます。
自動車はまさしく文化遺産です。展示してある自動車の一台、一台を見ながら過ぎ去りし日々の思い出が蘇って来ました。
(1)イギリスとフランスの戦前の車の写真
1番目の写真は1933年のイギリスのライレー/ケストレルで6気筒1083cc・26馬力のスポーティ・セダンです。イギリスの落着いた伝統的なスタイルをしています。当時のイギリスの中流階級に人気があったそうです。
2番目の写真は1934年のシトロエン7CVで4気筒1303cc・32馬力です。
前輪駆動、フラット床、独立懸架など現在の前輪駆動の乗用車の構造の基礎を作った車です。
1934年から1957年までの23年間で75万台が作られたそうです。
尚、河口湖自動車博物館の別館には河口湖飛行機博物館もありゼロ戦や戦後のジェット戦闘機が展示してあります。
詳しくは、http://www.car-airmuseum.com/ をご覧下さい。
ここに掲載した写真は2013年の8月31日に私が撮影しました。
(2)戦前のイタリアとドイツの乗用車の写真
3番目の写真はよく分かりませんが、色彩が綺麗なのでお送りします。自動車が作られ始めた頃のプジョー・ベベらしいです。この当時はまだ走れば良いという時代ですから、現代の基準を当てはめるならエンジンは非力でした。ようやく冷却のためのラジエーターグリルが誕生したという時代です。
4番目の写真は1938年のイタリアのランチアアプリリア、1352CC,Ⅴ型4気筒、4輪独立懸架。120Kmの巡航速度でした。実用車らしい頑丈な作りになっています。
5番目の写真はアルファロメオ、6気筒、2500CCです。いかにもイタリアらしい華麗なデザインです。
6番目の写真はヒットラーがよく乗っていたベンツと同じ型のメルセデス・ベンツ/540Kです。3500CCのエンジンで2.7トンと重い車体でも時速170Kmで走れました。やがて第二次世界大戦を始めるドイツの武力を連想させるような重厚な作りになっています。
その他の車は,http://auto.ultimative.org/2012/car-airmuseum/ にも掲載されています。
(3)戦前の日産のダットサンの写真
戦前、1936年から1938年の日産のダットサン自動車の写真です。
7番目の写真は日産の2人乗りの幌付きクーペです。エンジンは800CCで16馬力くらいでした。
8番目の写真は幌付きの4人乗りです。エンジンなどは同じ800CCクラスです。
9番目の写真は幌で覆った2人乗りのクーペです。
10番目の写真は日本で初めて量産された日産の乗用車で、4気筒、722cc、でした。戦前、戦後に街でよく見かけてたダットサンです。
11番目の写真は金属製の車体の2人乗りです。
12番目の写真は大田自動車のオオタOD型トラックの写真です。
オオタOD型トラックは1937年製、736CC,16馬力でした。 いずれも私が河口湖自動車博物館で撮った写真です。
以上の昔の車の写真を見ると次のことが判ります。
(1)戦前の日本の自動車産業は西洋に比べて非常に遅れていた。
(2)西洋では舗装した自動車道路があったので車も大きく、また重量も大きかった。
(3)日本製の車は小さくて馬力も小さかった。
要するに工業技術が西洋に比べて非常に遅れていたのです。
こんな状態だった日本が今や世界一の自動車生産を誇っているのです。隔世の感です。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)