後藤和弘のブログ

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株価急騰、経済好調で原発のことを忘れてしまったマスコミ

2013年05月11日 | 日記・エッセイ・コラム

マスコミというものは新しい事件や新しい経済の変化には敏感で、その報道だけを大きく取り上げるものです。

その反面、非常に重要な、しかし古い問題はすっかり忘れたように報道しなくなります。

それがマスコミの宿命です。利潤追求を第一にすべき民間会社である以上仕方のないことです。

しかしマスコミと毎日付き合っている私どもはこのマスコミの宿病を忘れがちです。ですからこそ、時々思い出して自分自身でマスコミの偏向癖を修正して考えることが重要になります。

顕著な例は最近の株価急騰と円安効果による日本経済の好調ぶりの大々的な報道の様子です。どの新聞を見てもそのニュースばかりです。

もう日本の不況は終わったと浮かれているのです。勿論、株価急騰と円安は嬉しいニュースです。私も嬉しいです。

しかし汚染水漏れで苦闘している福島原発は現在どうなっているのでしょうか?

毎日、何トンの汚染水が地下に沁み込んでいるのでしょうか?

何故、汚染水を浄化して、炉心冷却に再利用出来ないのでしょうか?

何故、原発反対運動家たちが静かになってしまったのでしょうか?

原発が停まっているのに何故株価が上昇し、経済が好調になるのでしょうか?

日本経済にとって原発は不必要だったのでしょうか?

そして、田中俊一委員長が「原発新規制基準」を取り纏めましたが、それは本当に実行されるのでしょうか?

などなど重要な問題をマスコミは報道しなくなりました。

私は上に並べたような問題をマスコミ報道の中で丁寧に探しましたが、一切ありません。残念です。

マスコミは原発爆発で被害をこうむった人々のニュースは掲載していますが、肝心の廃炉工程にある原発の現場の情報を全く掲載しません。

その一方で安倍総理はアラブ首長国連邦とトルコを訪問し、日本から原発を輸出するための協定をつくりましたという大きな報道があります。

そもそも「原発技術」はアメリカのウエスチングハウス社などアメリカの会社が保有しています。東芝や日立はそのアメリカの原発技術を使って海外での原発建設をするのです。

当然、利潤の一部はアメリカへも流れるのです。マスコミはこの事情を報道し、何割が日本の利潤になるか報道すべきと思います。

それもさることながら、非常に厳しい内容の「原発新規制基準」のその後の修正はどうなっているのでしょうか?

この新しい基準は驚くほど厳しい内容です。

各電力会社の苦悩が一段と深くなり、建設後30年以上の17ケ所の原発は廃炉を考えざるを得ません。

原子力村で権力を持っていた田中俊一さんが委員長の委員会が作る案なので、電力会社に迎合した安全基準案になるだろうと考えていました。

しかしその案の厳しすぎる内容に唖然としたのです。

しかし私は経済産業省や電力業界、そして日本の大会社の経営陣がら原子力規制委員会にいろいろな圧力がかかり、切り崩されると予想していました。

ところが4月10日に開催された原子力規制委員会の定例会合で原発の最終的な「規制基準」が決定したのです。

しかもその最終基準は、1月31日に纏めた安全基準案よりも一掃厳しくなり、猶予期間も認めにくい内容になっているのです。

それぞれの原発は何時再稼働出来るのでしょうか?

このような重要な問題をマスコミが一切報道しません。インターネットをいろいろ検索して調べましたが関連の情報が無いのです。

皆様は原発への関心は無くなったのでしょうか?

どうも最近、マスコミは一般の人々の意見も掲載していません。稼働賛成派も反対派ももっともっと田中俊一委員長のまとめた新しい原子力規制基準について議論を深めるべきと思います。

原子力発電のことを忘れてしまったのかと危惧している今日、この頃です。

以上がマスコミの宿命と言うべき報道姿勢なのです。

皆様のご意見をお聞かせ頂ければ嬉しく思います。

それはそれとして、

今日も皆様のご健康と平和をお祈りいたします。後藤和弘(藤山杜人)

===参考資料:最終的な「規制基準」の説明============

経済産業省は四国電力の伊方原発3号炉が再稼働の一番手、続いて九州電力の川内原発の1号炉と2号炉を二番手とみています。これら3つの原発の審査は9月から始まり約3ケ月以内で審査が終了します。ですから全てが順調に行けば2013年末には3つの原発が再稼働すrのです。これは日本人に再び原発の要不要を考えさせるキッカケになるのです。

一方、現在稼働中の大飯原発の2つは9月に定期検査になり停止します。ですから9月から12月までの間は日本の全ての原発の稼働が止まることになります。

この期間に電力不足が起きなければ「やっぱり原発は不要だ」という実験が再び出来るのです。

以上のような状況で現在存在している50基の原発は順次再稼働体制に入って行くのです。しかしそれには3、4年を要すると予想されます。そして5年後くらいには半数位の原発が再稼働するでしょう。

その詳細は2013年4月11日の読売新聞に出ています。下には読売新聞掲載の各原子力発電所の安全対策の状況の一覧表です。

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尚、以下の記事もご参照ください。

私のブログの2月4日には、原子力安全規制委員会の安全基準(案)を高く評価する(1)要求されている改造工事の内容という記事を掲載しました。

そして2月5日には続いて、原子力安全規制委員会の安全基準(案)を高く評価する(2)新基準から見たそれぞれの原発の安全性 という続編を掲載しました。

この二つの記事で、私は1月31日にまとめられた安全基準案は厳しすぎるという感想も書きました。

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