575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

桜咲くコックピットのアメリカ兵    朱露

2010年03月21日 | Weblog


       モスグリーンのグラマンが二機突然出現。 
       発狂的な金属音で羽根から火の筋が走る。
       十一才の私は操縦席の黒い姿米兵を見た。
       疎開先の神奈川県真鶴町満開の桜並木だ。

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では政治家の俳句の話を        ぐ

2010年03月21日 | Weblog
志摩芳次郎の「俳句をダメにした俳人たち」という痛快な本がある。
その中に「うそつき俳人・中曽根康弘」がある。
 まずよく知られた俳人政治家の句を紹介している。
   三木武吉涼しく痩せて眉太し  万木(大野)
   鶯や美濃の牧谷紙どころ
   竜飛崎鷹を放ってそばだてり  橙青(大久保)
   寒月の満ちつつ寒のゆるみけり
   火種なき老政治家の古火鉢   鰌児(林)
   蒲団まで日の差込める病臥かな
   ミモザ咲くカルタゴの石拾ひたり 徳馬(宇都宮)
   セルの胸ふくよかなりしをみなかな
   コスモスの揺るる一叢里帰り  貞鳳(今泉)
   あくびして子猫の口も小春かな
 これらはそれなりに立派だと志摩は褒めている。しかし、戦後すぐの社会党内閣の首班、片山哲などはひどいのを詠んでいる。

   十和田湖に爆弾投げて夏涼し

 これは誰が見てもいただけない。

 さきの大久保橙青は初代海上保安庁長官で本名、大久保武雄。ホトトギスのご出身だそうだ。
 もっとも上手いと評価しているのは、タレント議員の一龍斎貞鳳。たしかにコスモスの句などよさそうだ。

 さて、中曽根さんの句である。

  亡き父母を呼びかひ鳴くや蝉時雨  康弘
  炎天へ霊火噴き立ち原爆忌

 「中曽根さまの俳句である。器用だけで、心がこもっていない。そんな感じを受ける。蝉時雨を鳴くというのは拙劣。蝉時雨は蝉が振るに鳴くことをいう。霊火噴き立ちは、おかしい。噴水ではないのだ。首相をしりぞいたこれからの中曽根さまの俳句に注目したい」
 毒舌の志摩芳郎も権力者・中曽根さんには、少し遠慮がち。でも言うことだけは言っている。

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