575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

魔法瓶 魔法が終はるガラス音   八木博信

2010年11月06日 | Weblog
八木博信さんの句集「弾道」を読みました。
八木さんは1961年生まれ。
8歳の時、アポロ11号が伝える
月の地平線に浮かぶ地球を見て
詩を書き始めたといいます。

1994年の出版された句集の冒頭の句。

  わが日記始まる犬の射殺から

この世界との間にある種の違和感を抱く世代。
私たちの世代には、あまりない感覚です。
きっと、どこかで人間関係の地殻変動が起ったのでしょう。
作者は、俳句をつくることによって、
世界との関係を取り戻そうとしているのかも知れません。

私には、受け付けがたい感覚の句が多いなか、
分かる句も幾つかありました。
魔法瓶の句はそうした一句。

ガチャンとガラスが割れ、魔法瓶が壊れてた音。
魔法から解かれて、なにかが見えたのでしょうか?

  合唱や知らぬ歌なら口合はす

これなら、良く分かる感覚です。

一番気に入った句。

  絵巻物まかれて眠る桐の箱

        遅足
              


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短日や起き抜け頭詰碁打つ     朱露

2010年11月06日 | Weblog

    寝床の横に碁盤があるシチュエーション。
    短日でなくても一年中プロの碁を並べる。
    人間と打つと喧嘩になる恐れがあるので。
    囲碁は別名「手談」で趣の深いものデス。

               



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キイイトラッキョウ                   草女

2010年11月05日 | Weblog
この花を見るため犬山遊園で電車を降り、木曽川沿いに歩く。木曽川の堤防道路は結
構狭いし、交通量も多い。桃太郎神社を越えた辺りに川へ降りる道がある。河川敷の
木には地上3m位の高さに多くのゴミが引っかかっている。可児市を襲った豪雨
の時、此処まで水がきたのだ。現在の水量からは想像できない。
かなりの岩場を越えないとキイイトラッキョウに会えない。若い頃は岩場なぞ平
気であったが、いまは慎重にソロリソロリと進む。ステゴサウルスの背中のような岩
もある。
それでも何とか無事に辿り着いた岩の根元にキイイトラッキョウは生えている。
どうしてこのような場所に生息しているのか聞きたいものだ。増水すれば完全に水中
に没っしてしまうだろうし、根を張る土も僅かしかない。
 キイイトラッキョウのキイは紀伊半島の紀伊で、和歌山、岐阜、愛知のみに分布
し、絶滅危惧Ⅱ類に指定されている。私達が木曽川の川岸に行き着くことができる場
所はここしか知らないが、他の岩場でも生えていると思う。ライン下りの「瀬」である
ここがコンクリートで覆われ、護岸されることはないと思われるのでここ木曽川で絶
滅はしないだろう。
 カレーライスの薬味のラッキョウはヒマラヤ地方原産で平安時代に中国から渡来
し、江戸時代までは薬として利用された。食欲増進、発汗、消炎、制菌などの作用が
ある。
 我が国には、ヤマラッキョウやイトラッキョウなどが自生し、これ等はユリ科ネ
ギ属でどれも秋に美しい花を咲かせる。また山菜として利用されるそうだ。キイイト
ラッキョウも食べることができるだろうけれど、こんな過酷な条件の中で生活してい
るキイイトラッキョを食べてはいけない。

 
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冬来たるコンビニで会うブラジル人    朱露

2010年11月05日 | Weblog

        悲しいかなポルトガル語が全く分からない。
        少し笑ってギクシャクしているだけの関係。
        お前ら来たからには日本語ベンキョウしろ、
        と言いたいが、ポルトガル語でどういうの。


                  

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木の葉髪衿を払って檀に立つ     朱露

2010年11月04日 | Weblog

    初冬木の葉のように落ちる毛髪のこと。
    私の場合白髪なので目立たない筈だが。
    とは言え黒っぽい上着の肩はいけない。
    こんなことに気を使って何を話すんだ。

              



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太陽の塔   麗

2010年11月04日 | Weblog
先日、新聞に紹介されていた芳賀博子さんの俳句。

   太陽の塔の猫背も秋の暮

40年前の大阪万博の時に建設された岡本太郎のモニュメント。
テレビで見たら確かに猫背になっていました。
正面から見るとパワーあふれる太陽の塔ですが後ろ姿はやや淋しげ。

大阪万博の時、幼稚園だった私はひたすら一生懸命歩いた記憶だけは残っています。
皆さんもきっと数々の思い出があるはず。。。
太陽の塔は今も皆の思い出を背負っている感じがします。

万博公園は木立も大きくなり立派な公園になっています。
この俳句を読んで久しぶりに秋の暮れに訪れてみたくなりました。
コメント (1)
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全て任せる余命咲き続ける薔薇の気     金子皆子

2010年11月03日 | Weblog
金子皆子さんは、兜太さんの奥さん。
最近、亡くなられた。

句集「花恋」を読みました。

  右腎なく左腎激痛も薔薇なり
  野薔薇野薔薇雨の日の疼痛野薔薇
  齢などなし出遇いありてこそ薔薇なり

病気を経て、ご自身を薔薇と感じ取ったようです。

  寒の薔薇人恋うは生きる証なり

夫の兜太さんも詠まれています。

  夫は遠くにいつも遠くに鱗雲

  春鴉夫は喝々と食する

         

今日のNHKで午後7時半から、金子兜太さんが登場、
妻の残した愛の俳句、という番組が放送されます。

                     (遅足)



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冬座敷碁盤碁石とローランサン     朱露

2010年11月03日 | Weblog

      夫婦二人になってしまって十数年経つ。
      年ごとに行動範囲が狭まり六畳に蟄居。
      新聞碁を並べるかこういう句と四行文。
      マリー・ローランサンは外したいけど。


                 


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露の句を楽しむ⑫   遅足

2010年11月02日 | Weblog
最後は狗子さんの句

  露の径帰りを急ぐ下駄の音

朝なのか?夜なのか?下駄の主は女性なのか?
いったい、どんな事情から急ぐのか?
と、想像をかきたてる句。

露というコトバに鍵があるかな?
束の間の逢瀬のあと、家路を急ぐ・・・
露のように美しくはかない恋・・・かも。

          北は

露というコトバは、とても引力が強く、
この言葉だけで一つの世界が誕生します。

一方、その引力から離れた世界を描くことは難しい。
いくつかの句が挑戦していますが・・・
結果はどうだったでしょうか?

いろいろな露を楽しませていただきました。
ありがとうございます。





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冬麗同じ封書が二通来る     朱露

2010年11月02日 | Weblog

   恩師を偲ぶ会の案内封書が二通来た。
   印刷物だけならそういうこともある。
   封筒から中味まで同人物の肉筆とは。
   しかも優秀な男だが顔が浮かばない。

            
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露の句を楽しむ⑪    遅足

2010年11月01日 | Weblog


  夢の恋結ばれぬ朝露と消え   能登

夢の恋、いったい、どんな夢でしょうか?
叶うことがないから夢の恋。
それだけに恋情は募るばかり・・・

古代の夜は、文字通り闇。さまざまなものたちが活躍する時間。
いまは明るくなって、夜の神秘さはほとんど消えてしまいました。
そんな中で夜に見る夢。
夢だけは、いまだに古代に通ずるフシギな力を持っています。
人間のコントロールのきかない夢にこそ、
夜の魔力が残っているのでしょうか。

         

朝になると露と消える永遠の恋。
王朝の歌を思わせる世界ですね。

                遅足

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冬霧や奈良の山から今朝の世へ     朱露

2010年11月01日 | Weblog

      毎朝北窓の山並みの機嫌を伺う習いだ。
      濃い霧が中腹まで覆い東へ流れて行く。
      麓の二十一世紀の県道は既にラッシュ。
      かく言う私の気分は二十世紀半ば止り。

                

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推敲力にチャレンジ         ぐ

2010年11月01日 | Weblog
 岸本尚毅さんが、句の推敲について富安風生自身の推敲例を挙げて紹介していました。

 私には挙げられた推敲例のどこが必要だったのかよくわからず、自分の推敲力のなさにがっかりしたのです。
 そこで皆さんに推敲力クイズを出したくなりました。

 下は推敲前と後の句が並べてありますが、どちらが推敲後の句でしょう?
 また理由を教えてください。
 

 A 山々や女体のまろさもて枯るる

 B ししむらのまろみもて嶺々枯れわたる


 A 蜻蛉の一微の高き峡の空

 B 一塵の蜻蛉の高し峡の空


 A 八十路ゆく齢よろめく冬籠

 B 八十路ふむ齢よろめく冬籠


 A 鈴虫の甕はむくろもなくうつろ

 B 鈴虫の甕はむくろもなくむなし
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