ケラマ諸島の美しい景観を作り出している多島海はどうして生まれたのでしょうか?
その秘密はこの写真に有ります。見る人が見れば一見して「ケスタ地形」であることが解ります。
「ケスタ地形」とは、一般に片側の崖が急で反対側の崖が緩い非対称な丘陵地形を言います。
再度見る人が見れば、堆積岩の地層の傾きも見てとれます。
さらによく見れば、この島には琉球石灰岩が分布していません。
ではケラマ諸島を構成している地質はなんでしょう。主として黒色千枚岩(粘板岩・スレート)です。
他に砂岩や緑色片岩も分布しています。火成岩はありません。
化石を産しないので正確な年代は解りませんが、沖縄本島北部に分布する中生代から古第三期の名護層や 嘉陽層に相当すると言われています。そうです付加体の堆積物なんですね。
多少の褶曲構造は有りますが、全体としては南落ちとなっています。これが「ケスタ地形」の成因です。
この通り、付加体の堆積物によく見られる「ブーディン構造」も有ります。
海上の小島にケスタ地形が見られ、琉球石灰岩が分布しない、そうなんです沈降地形だったんです。この付近 は約100万年前までは、沖縄本島と一つながりの大きな島だったんですが、本島の西側が大きく沈降してしまったた め、かっての山の頂上付近だけが海上に顔を出しているのです。ケラマ諸島周辺では、水深60m~80mに琉球石 灰岩が分布しているそうです。
我々北方系民族にとって、モウセンゴケと言えば湿地帯に生えているのをイメージしますが、このコモウセンゴ ケはカラカラに乾燥した岩の表面に生えていました。植物の適応能力ってスゴイですね。高月山にて撮影。