10月に放映されたNHK教育テレビのN響アワーで、インタビューされたアンドレ・プレヴィン(指揮者・ピアニスト)が、ジャズをやる予定はありませんかと尋ねられて、いや、シリアス・ミュージックだけ(クラシックだけ)と答えていました。ちょっと残念です。録画を見たのですが、今晩はプレヴィンの寛ぎ盤です。
ANDRE PREVIN (アンドレ・プレヴィン)
LET'S GET AWAY FROM IT ALL (Decca 1955年録音)
ジャケットのスポーツ・カー(英国 オースチーン・ヒーリー)とタイトルの組み合わせが可笑しい。アルバム名は、トム・アデア詞、マット・デニス曲による、煩わしいことから逃れて、旅行でも行こうという内容の歌の題名です。もちろん、収録曲は、タイトル曲以外はすべて地名入りの曲ばかり11曲も集められています。
プレヴィン(p)、アル・へンドリックス(g)、レッド・ミッチェル(b)、アーヴ・コットラー(ds)というメンバーですが、プレヴィンが全面にでています。ブルージーさは少ないものの、よくスイングし、フレーズを長めにとって次から次へソロを続けています。バラードでは、ロマンチックな演奏ぶりですが、磨かれたピアノの音が好ましい。
快活なものでは、「Let's Get Away From It All」や「Honolulu」が、スローなものでは「How Are Things in Glocca Morra」がよくて、みずみずしい音をきくだけでも価値があります。「Moonlight in Vermont」も繊細です。他には「London in July」、「Serenade to Sweden」という珍しい曲も聴けます。
クラシックもというわけで、メンデルスゾーン「真夏の夜の夢」を、プレヴィン指揮ウィーン・フィルハーモニーで聴いてみました。1985年の録音で、Deccaの上記盤から30年後です。作曲家の池辺晋一郎さんが、プレヴィンを好きな、いい指揮者の一人にあげていますが、若いころのハリウッドでの活躍といい、オペラの作曲までてがけるクラシック界での活躍といい、まさに天才なんだと思います。