安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

トミー・フラナガン ECLYPSO

2016-06-22 21:14:04 | ピアノ・トリオ

早川書房から出ている、クリスティ文庫の<名探偵ポアロ>シリーズの「ブラック・コーヒー」を読みました。推理小説は、和洋を問わず結構読んでいた時もあったのですが、最近はほとんど読まなくなりましので、久しぶりです。この本は、クリスティが創造したエルキュール・ポアロという名探偵のキャラクターが面白く、謎解きばかりでなく、登場人物にも魅力があります。パイプをくわえて、名探偵のような風貌にも見えるポートレートのアルバムを聴いてみました。

TOMMY FLANAGAN (トミー・フラナガン)
ECLYPSO (ENJA 1977年録音)

   

トミー・フラナガンの代表作の一つに挙げたくなるアルバムですが、1957年に「Overseas」(オーヴァーシーズ)を録音して、その際の曲の再演という面もあります。ちょうど20年経った1977年の録音ですが、エルヴィン・ジョーンズ(ds)が健在で、この「Eclypso」でも、プッシュしていて、再演に相応しい録音になっています。

メンバーは、トミー・フランガン(p)、ジョージ・ムラーツ(b)、エルヴィン・ジョーンズ(ds)。エルヴィンはもちろん、このアルバムでトミー・フラナガンと初録音をしたジョージ・ムラーツも躍動感に満ちた活きのいい演奏をしていて、フラナガン中心のトリオですが、三者が一体となっています。

曲は、ジャズ・オリジナルです。ソニー・ロリンズ作「Oleo」、デンジル・ベスト作「Denzil's Best」、タッド・ダメロン作「A Blue Time」、チャーリー・パーカー作「Relaxin' at Camarillo」、トム・マッキントッシュ作「Cup Bearers」、フラナガンの自作「Eclypso」、チャーリー・パーカー作「Confirmation」の7曲。このうち、オーヴァーシーズでも演奏されていたのは、「Relaxin' at Camarillo」と「Eclypso」の2曲。

アルバムの最初から最後まで、どの曲にも魅了されるアルバム。フラナガンのピアノは本来エレガントですが、オーヴァーシーズと同じく、エルヴィン・ジョーンズのドラムスを得て、リズミカルでアグレッシブなところがあって、変化に富んでいます。どれもいいのですが、ムラーツの冒頭のベース・ソロも印象的な「Denzil's Best」、スローテンポで哀愁味のあるテーマ、ソロが聴ける「A Blue Time」、エルヴィンのドラムソロも登場し、フラナガンの熱演が続く「Eclypso」あたりが好きなトラックです。

【アガサ・クリスティ著  ブラック・コーヒー(早川書房)】

   

たまには海外の推理小説も面白いです。