早川書房から出ている、クリスティ文庫の<名探偵ポアロ>シリーズの「ブラック・コーヒー」を読みました。推理小説は、和洋を問わず結構読んでいた時もあったのですが、最近はほとんど読まなくなりましので、久しぶりです。この本は、クリスティが創造したエルキュール・ポアロという名探偵のキャラクターが面白く、謎解きばかりでなく、登場人物にも魅力があります。パイプをくわえて、名探偵のような風貌にも見えるポートレートのアルバムを聴いてみました。
TOMMY FLANAGAN (トミー・フラナガン)
ECLYPSO (ENJA 1977年録音)
トミー・フラナガンの代表作の一つに挙げたくなるアルバムですが、1957年に「Overseas」(オーヴァーシーズ)を録音して、その際の曲の再演という面もあります。ちょうど20年経った1977年の録音ですが、エルヴィン・ジョーンズ(ds)が健在で、この「Eclypso」でも、プッシュしていて、再演に相応しい録音になっています。
メンバーは、トミー・フランガン(p)、ジョージ・ムラーツ(b)、エルヴィン・ジョーンズ(ds)。エルヴィンはもちろん、このアルバムでトミー・フラナガンと初録音をしたジョージ・ムラーツも躍動感に満ちた活きのいい演奏をしていて、フラナガン中心のトリオですが、三者が一体となっています。
曲は、ジャズ・オリジナルです。ソニー・ロリンズ作「Oleo」、デンジル・ベスト作「Denzil's Best」、タッド・ダメロン作「A Blue Time」、チャーリー・パーカー作「Relaxin' at Camarillo」、トム・マッキントッシュ作「Cup Bearers」、フラナガンの自作「Eclypso」、チャーリー・パーカー作「Confirmation」の7曲。このうち、オーヴァーシーズでも演奏されていたのは、「Relaxin' at Camarillo」と「Eclypso」の2曲。
アルバムの最初から最後まで、どの曲にも魅了されるアルバム。フラナガンのピアノは本来エレガントですが、オーヴァーシーズと同じく、エルヴィン・ジョーンズのドラムスを得て、リズミカルでアグレッシブなところがあって、変化に富んでいます。どれもいいのですが、ムラーツの冒頭のベース・ソロも印象的な「Denzil's Best」、スローテンポで哀愁味のあるテーマ、ソロが聴ける「A Blue Time」、エルヴィンのドラムソロも登場し、フラナガンの熱演が続く「Eclypso」あたりが好きなトラックです。
【アガサ・クリスティ著 ブラック・コーヒー(早川書房)】
たまには海外の推理小説も面白いです。