ジャズファンの間で話題になっている映画「永遠のジャンゴ」が長野市でも上映されたので、観てきました。ジャンゴ・ラインハルト(g、1910年~53年)は、ジプシー出身のギタリストで、ステファン・グラッペリ(ヴァイオリン)と結成したフランス・ホット・クラブ五重奏団での演奏で有名になりますが、「Minor Swing」や「Nuages」(雲)、「Melodie au Crepuscule」(たそがれのメロディ)といった名曲も残しています
ジャンゴ・ラインハルトの作った名曲も流れているのですが、全体のストーリーは、ジプシーを迫害したナチスに対する抵抗を描いた映画といっていい内容です。例えば、架空のジャンゴ・ラインハルトの愛人が出てきますが、彼女はレジスタンス(抵抗)の一員であるという設定の人物として描かれ、ジャンゴ自身も次第にナチスに対する抵抗の気持ちを高めていくように描かれていました。
以下、写真はパンフレットからです。
驚いたのは、ジャンゴ・ラインハルトが、同胞を悼んでレクエイムを作曲していたことです。一部しか楽譜が残されていないので、この映画を制作するに当たり、作曲し直しされ演奏が披露されますが、これは感動的なシーンです。ジャンゴは、一般にはジプシー・スイングの音楽家と言われますが、作った曲を聴くと、ドビュッシーやラヴェルなどからの影響が見受けられるように思います。
ストーリーの展開で、つながりがわからなくなってしまったことが何度かありましたが、それは地理的、歴史的な背景を承知していないので、物語の舞台や時間が飛ぶと、そうなったのだと思います。しかし、脱出の場面などスリリングなところもあり、全体の暗いトーンとあいまって、第二次世界大戦中の出来事だということが痛切に伝わってきました。
戦時中の一断面を描いた映画として、意義深いところがあり、そのへんがベルリン国際映画祭のオープニング上映に結びついたのではないでしょうか。最初から最後まで音楽というよりストーリーを追いかけた映画で、観に行ってよかった映画でした。