安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

エリック・アレキサンダー NEW YORK CALLING

2018-01-14 10:03:54 | テナー・サックス

北陸新幹線の車内では、JR西日本のPR誌「西Navi北陸」も配布されています。2018年1月号の特集は「加賀の鴨」で、鴨料理なども出てきますが、加賀で行われている鴨猟「坂網猟」について書いてあり、すごい技を使っているので驚嘆しました。坂網猟は、日没後に餌を求めて飛び立つ鴨を投げた網で捕えるという方法で行われており、300年の伝統があるそうです。伝統を感じさせる演奏を。

ERIC ALEXANDER (エリック・アレキサンダー)
NEW YORK CALLING (Criss Cross 1992年録音)

   

エリック・アレキサンダー(ts、1968年生まれ)は、来日公演もたびたび行う現代の人気テナーサックス奏者で、僕も東京TUCでライブを聴きました。このアルバムは、25年ほど前に録音されたCriss Crossレーベルへの第一作ですが、既に成熟した表現を聴くことができます。プレイには様々な人からの影響があるようですが、初期の伝統を踏まえた演奏は親しみやすく寛げます。

メンバーは、エリック・アレキサンダー(ts)、ジョン・スワナ(tp)、リチャード・ワイアンズ(p)、ピーター・ワシントン(b)、ケニー・ワシントン(ds)。スワナ(tp)は、Criss CrossからたくさんのCDを出しているハードバップ志向の奏者で、アレキサンダーとの組み合わせも期待できそうです。ワイアンズがピアノに座っているというのも嬉しい。

曲目は、エリック・アレキサンダーの自作が「One for M」と「The Moving Blues」の2曲。スタンダードの「Here's That Rainy Day」、「Then I'll Be Tired of You」、「Swedish Schnapps」、「Wives and Lovers」、「Skylark」、「In the Still of the Night」の6曲で、全8曲。親しみやすい曲が選択されているとともに、アレキサンダーのオリジナルにはファンキーな香りもあります。

エリック・アレキサンダー(ts)のフレッシュな演奏が収められています。とりわけバラードが素晴らしく、デクスター・ゴードン張りのゆったりとした乗りを示していて、そんな特徴は、「Here's That Rainy Day」、「Then I'll Be Tired of You」や「Sylark」に顕著で、深い抒情が漂います。さらに、「Here's That Rainy Day」などで音域を広く使いスケールや早いパッセージを吹くなどバラードでも変化をつけています。早めのテンポでは、ソニー・ロリンズに通じる豪快さがあり「Swedish Schnapps」やラテンリズムも使った「Wives and Lovers」は快演。

【JR西日本 西ナビ2018年1月号】

   

表紙

   

加賀市の片野鴨池

   

網を投げあげて、時速70kmで飛ぶ鴨を捕えるという方法です。まさに名人技です。

   

希少な坂網鴨を供する料理屋さんは、加賀市内で2軒だけだそうです。