元N響オーボエ奏者で、現指揮者の茂木大輔さんの新しい著書が書店にあり、面白そうだったので購入しました。
(著者略歴)
シュトゥットガルト・ フィルを経て、1990年から2019年までNHK交響楽団首席オーボエ奏者を務めた。室内楽、音楽祭、放送などでも活躍し、CDを多数リリース。1998年から指揮活動に入り、「のだめカンタービレの音楽会」などを全国展開。群響、仙台フィル、東フィル、名フィル、九響など全国の団体を指揮。オーボエを丸山隆三、G・バッシンに、指揮を岩城宏之、外山雄三、広上淳一の各氏に師事。多数の著書がある。
(本書概要)
元N響首席オーボエ奏者にして人気エッセイスト、現役指揮者でもある著者が綴った34名+約110名との思い出。
本の腰巻に記載された「はじめに」の一部。「この本を読んで懐かしさを感じたり」以下の部分がよいです。定期演奏会に行ったことのない人(僕のことです。)にも面白い本です。
(感 想)
N響に客演した世界の著名指揮者の練習の様子や音楽的な評価、さらに私的な交流などを生き生きと描いて、かなり面白い本です。練習時などの抱腹絶倒のエピソードに加えて、指揮者とのお付き合いを通してホロリとさせられるところや、指揮者志望の著者の奮闘ぶりなどが練達の筆致で記されています。
個別に登場する34人の中で、僕が聴いたことのあるのは、広上淳一とパーヴォ・ヤルヴィだけですが、その公演時のイメージが茂木さんの書いた文章とちょっとオーバーラップするような気がしました。最も多くのページを割いたのがホルスト・シュタインで、著者との係わりが深く、多くのN響メンバーが一番に好きな指揮者に挙げる方のようです。
アンドレ・プレヴィンについて、『モーツァルトが本当に絶品だった』とか、『ジャズ・ミュージシャンとしても尊敬していた』と記していて、ジャズファンの僕としても嬉しくなりました。捧腹絶倒の筆頭は、ネルロ・サンティで、オペラの練習では歌いながら指揮をしていて、『アドリア海の見える練習@NHK交響カラオケ』と著者は書いています。
ホルスト・シュタイン。親方指揮者だったとあります。
アンドレ・プレヴィン。気品、優雅といった言葉が思わず浮かぶ写真です。
ネルロ・サンティ。左側が若い頃のサンティ。かっこいい。