安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

池波正太郎と七人の作家「蘇る鬼平犯科帳」(文春文庫)を読みました。

2021-02-19 19:26:11 | 読書

先日、書店に立ち寄ったら、文春文庫「蘇る鬼平犯科帳」の企画が面白かったので購入して読みました。

   

表紙。

   

裏表紙にある本書の紹介。

(収録作タイトルと作者は次のとおり)

せせりの瓣介  (逢坂剛)
最後の女 (諸田玲子)
隠し味 (土橋章宏)
前夜 (上田秀人)
浅草・今戸橋 (門井慶喜)
狐桜 ( 風野真知雄)
石灯籠 (梶よう子)
瓶割り小僧 ( 池波正太郎)

初出は、全て「オール讀物」です。池波さんのものが1980年9月号、諸田玲子、梶よう子さんのものが2010年6月号、あとの5編は、2017年5月号と8月号に掲載されたものです。

(感 想)

池波正太郎の歴史小説は、かつて読み漁り、今でも、ファンの一人です。この本では、本人以外の作家が、池波作「鬼平犯科帳」の世界を描いていて、興味をそそられ、一気に読みました。

逢坂剛作「せせりの瓣介」や土橋章宏作「隠し味」は、池波本人が続編を書いたかのようです。これら2編では、池波さんの造語と思われる盗賊用語の「つなぎ」とか「急ぎ働き」といった言葉が使われ、江戸の街の描写も見事で、読者を池波ワールドに連れて行ってくれます。

上田秀人作「前夜」は、長谷川平蔵が火付盗賊改めに就く前段のことを描き、平蔵の実像に迫る一編でした。池波正太郎作「瓶割り小僧」はもちろん、他もそれぞれ読みどころがあり、面白い短編集です。

(著者紹介)