先日、長野市のジャズバー「MUSICIAN」(ミュージシャン)に寄ったら、ズート・シムズの「Al And Zoot」(Coral原盤)がかかり、この中でズートがクラリネットを吹いていました。それが気に入っているマスターが、「他にズートのクラリネット演奏が聴けるアルバムを教えて」と僕に訊ねたので、すぐにわからなかったので、ディスコグラフィーで調べてみました。
ZOOT SIMS (ズート・シムズ)
YOU 'N ME (Mercury 1960年録音)
ズート・シムズの楽器の記載にcl(クラリネット)と出てくるセッションは結構あるのですが、基本的には持ち替えのアンサンブル用として若いころに吹いているものが多く、上記のCoral盤以外に目立つものはないように思われました。今回取り上げた「You 'n Me」中の「Angel Eyes」ではズートはクラリネットを吹いていますが、伴奏の域を出ないものでソロはとっていません。
メンバーは、アル・コーン(ts,cl)、ズート・シムズ(ts,cl)、モーズ・アリソン(p)、メジャー・ホリー(b)、オシー・ジョンソン(ds)。アル・コーン&ズート・シムズのチームの作品ですが、聴いていると、この二人は一応区別はつきますが、白熱してくるとわからなくなることもあります。このアルバムのライナーノート(英文)では、テーマがどちらが吹いているか、ソロの先発がどちらかといった親切な解説があって、アルとズートの区別がつくようになっています。
曲は、アル・コーンの自作が「The Note」と「You 'N Me」、ビル・ポッツ作「The Opener」、ジョージ・ハンディ作「Awful Lonely」、スタンダードの「You'de Be So Nice To Come Home To」、「On The Alamo」、「Angel Eyes」、「Love For Sale」、そして、アルとズートの即興「Inprovisation For Unaccompanied Saxophones」。アル・コーンの自作は、このチーム向きの軽快な作品です。「You'd Be So~」や「Love For Sale」という有名曲も選曲されているので、親しみやすい。
ズートとアルがクラリネットを吹いている「Angel Eyes」は、メジャー・ホリー(b)のフューチャーナンバーとなっていて、ベースとスキャットのユニゾンで旋律が奏でられます。マット・デニスやフランク・シナトラの歌で親しんできた僕には、違和感のあるバージョンです。他はスイングしている曲が多く、ズート、アルともに好調で、「A Night at The Half Note」(United Artists)と並ぶこのチームの代表に挙げたい作品。中でもテンポの速い「The Note」や「Love For Sale」は、自然と体が揺れて、思わず立ち上がりたくなるプレイです。地味な印象のモーズ・アリソン(p)ですが、「Love For Sale」ではメリハリの効いたソロをとっています。
【聴いてみたAl and Zootの他のアルバム】
A Night at The Half Note (United Artists)
At Birdland (Marshmallow)