安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

フランス映画「テノール! 人生はハーモニー」を観ました。(8月19日 長野相生座・ロキシー)

2023-08-21 19:30:00 | 映画・DVD・テレビ

上映を楽しみにしていた映画「テノール 人生はハーモニー」を観てきました。

   

パンフレットの表紙。

(あらすじ)

パリ・オペラ座に、寿司屋の出前できた青年アントワーヌが、エリートレッスン生に見下された仕返しに歌ったオペラの歌真似がプロも驚くまさかの超美声。彼の才能にほれ込んだオペラ教師マリーにスカウトされ、自分とは住む世界が違うと考えながらも秘密のレッスンを始めた彼は次第にオペラに熱中していくが・・・。

(主な出演者

音楽オーディション番組「THE VOICE」で注目されたビートボクサーのMB14が主演を務め、自らオペラ歌唱にも挑戦。「100歳の少年と12通の手紙」のミシェル・ラロックがオペラ教師マリーを演じ、世界的テノール歌手ロベルト・アラーニャが本人役で出演。監督は、クロード・ジディ・ジュニア。詳しくは下記を参照。

(感想など)

貧しい階層出身の青年が、その歌の才能を生かし、オーディションまで辿りつくというサクセスストーリーが主な筋で、それ自体は応援したくなる内容でした。全編に流れるオペラの旋律や歌声、そしてパリ・オペラ座の美しい内部など映像も素晴らしい。

家族や地域の結びつきが強く、そこから躊躇しつつも解放されていく、青年(アントワーヌ)の生き方は、フランスでは多くの共感を得たに違いないと思って見ていました。フランスは、大きな格差社会であることを如実に感じさせる内容でもあります。

重苦しくならないように、コメディタッチの部分もあり、主人公アントワーヌの兄役のディディエ(演じたのはギヨーム・デュエム)の演技には笑いました。オペラ教師役のミシェル・ラロックは、軽妙なところも見せ、いい役者さんが揃っている映画で、観に行って良かった。

【映画「テノール」公式サイト】

映画『テノール!人生はハーモニー』公式サイト (gaga.ne.jp)

【長野相生座・ロキシー ホームページ】

長野相生座・ロキシー (naganoaioiza.com)

 

以下、参考です。

(主な出演者、監督)

 

ロベルト・アラーニャ本人が出ていました。歌も歌っており、豪華な配役に驚きました。

 

(パリ・オペラ座)

パリ・オペラ座は、ナポレオン三世の指示で建設された劇場です。設計は、建築家シャルル・ガルニエによるもので、そのため、オペラ・ガルニエやガルニエ宮とも呼ばれています。1874年12月に完成し、1875年1月5日に落成式が行われました。

主人公のアントワーヌが初めてオペラ座に足を踏み入れた際に圧倒された観客席に続く大階段。

バルコニー

舞台から観客席の眺め。天井には、マルク・シャガールによって描かれた天井画「夢の花束」。

 

(映画中に登場するオペラの名曲)

 

映画を観たら、登場したオペラアリアなどを聴きたくなりました。

【ペテル・ドヴォルスキー・オペラアリア集】

伝説の指揮者、カルロス・クライバーの信任が厚く、1981年と1988年のミラノ・スカラ座日本公演にも一緒にきているチェコ出身のペテル・ドヴォルスキーの歌を楽しみました。僕の愛聴盤です。

   

 

(ボローニャ歌劇場日本公演のチケットをとりました)

2023年11月7日に行われるイタリアのボローニャ歌劇場高崎公演のチケットを確保しました。演目がプッチーニの「トスカ」で、久しぶりのオペラ観劇なので、今から楽しみです。

   


ディジー・リース「STAR BRIGHT」、上田市「香吃大食堂」で冷やし中華のランチ。

2023-08-20 19:30:00 | トランペット・トロンボーン

長野県内は猛烈な暑さが続き、ランチに外へ出かけるのも躊躇してしまいます。こういう時は、冷やし中華を食べたいと、香吃大食堂でいただいてきました。さっぱりとして美味しかったです。あっさりめな演奏を。

DIZZY REECE (ディジー・リース)
STAR BRIGHT (BLUE NOTE 1959年録音)

   

ディジー・リース(tp, 1931年生)は、ブルーノートレーベルに3枚のアルバムを残しています。ジャマイカ出身で、ロンドンで活躍し、1959年にニューヨークへ。後年は、目立った活躍がありませんが、この3枚のアルバムはどれもハードバップの佳品というもので、好きなトランペッターの一人です。

メンバーは、ディジー・リース(tp)、ハンク・モブレー(ts)、ウィントン・ケリー(p)、ポール・チェンバース(b)、アート・テイラー(ds)。ディジー・リース以外は、よく知られたミュージシャンばかりで、豪華な顔ぶれです。

曲目は次のとおり。

1  The Rake (Dizzy Reece)
2  I'll Close My Eyes (Billie Reid)
3  Groovesville (Dizzy Reece)
4  The Rebound (Dizzy Reece)
5  I Wished On The Moon (Ralph Rainger)
6  A Variation on Monk (Dizzy Reece)
ディジー・リースのオリジナルが4曲に、スタンダードが2曲。「I'll CLose My Eyes」(瞳を閉じて)が収録されているのが嬉しいところ。リースの自作もメロディアスなものです。

ディジー・リース(tp)が、落ち着きのある品の良いプレイをしているのに加え、サイドメンも好演をしています。「I'll Close My Eyes」では、メロディをストレートに歌っていて、歌い出しも絶妙です。この曲は、ブルー・ミッチェルの演奏(「Blue's Mood」収録、1960年録音)で有名で、ピアニストが同じウィントン・ケリーであり、聴き比べをしたくなります。「The Rake」におけるポール・チェンバース(b)の力強いベースや、「Groovesville」などにおけるハンク・モブレー(ts)のグルーヴィーなプレイなど聴きどころ満載。

(参考)本作から、「I'll Close My Eyes」が聴けます。

I'll Close My Eyes - Dizzy Reece - YouTube

(安曇野市宅で聴いているところ)

飾ってあるレコードは、右から、ディジー・リースとテッド・カーソン「Blowin' Away」(Interplay 1978年録音)、本作、ディジー・リース「Blues in Trinity」(Blue Note)、ディジー・リース「Soundin' Off」(Blue Note)。Interplay盤以外は、日本盤です。

 

【香吃大食堂(シャンチーダイショクドウ)】
 

外観。前から気にいっていますが、最近、出かける回数が増えています。

今週のランチもありますが、冷やし中華の気分でした。

冷やし中華

   

麺は細めです。特徴は、つゆ(スープ)がたくさんで、レンゲももってきてくれます。

   

定番の錦糸卵やハムは乗っていません。代わりに、エビやチャーシュー、蒸し鶏などが乗っていました。

   

麺は細いものです。汁(スープ)のやや酸っぱい味もあって、夏に相応しい一品です。また、行きたい。


上越市の地魚のお店「軍ちゃん 高田店」で海鮮丼のランチ。魚の種類が豊富で美味しい。

2023-08-19 19:30:00 | グルメ

新潟県上越市に出かけ、昼食に「軍ちゃん高田店」に入りました。飲会で一度入ったことはありますが、ランチは初めてです。こちらのお店は、地魚がいろいろ出てくるので、注文は「上海鮮丼」にしました。

上越でも人気のあるお店だけに、多くのお客様で賑わっていました。魚の種類が豊富なのはさすがに直江津が本店のお店です。魚の種類を記した紙片もいただいたので、参考にそれを記しました。

入口。お店はアーケード街にあり、高田駅からも比較的近いです。

一番上にある、海鮮丼を注文。なお、味噌汁をカニ汁に変更しました。

おすすめの地魚のメニュー。「のどぐろ」もいいけど、「かさご」あたりも好きです。

上海鮮丼。器が二段になっていますが、上にはお刺身が乗り、下にはごはんが入っています。

お刺身。お魚の種類ですが、一番上の段が、ワラサ、ベニズワイガニ、イクラ、二段目が左から、フグ、レンコダイ、カワハギ、カレイ、上から三番目の段が、タコ頭、真イカ、肝、一番下が、イシモチ、甘エビ、チダイ。です。

イカや甘エビも美味しかった。

 

ワラサ、フグ、カレイあたりは馴染みがあります。

ごはん。酢飯にも変更できますが、僕は普通のもので。

カニ汁です。久しぶりにお魚をたくさんいただきました。また行きたいですが、次回は寿司でもいいかも。

【軍ちゃん 高田店】

住所:新潟県上越市本町4‐1‐8
電話:0120-28-3950
ホームページ:海の幸味どころ 軍ちゃん - 日本海の新鮮な地魚と地酒 -   ホーム (gunchan.net)


水野美術館(長野市)「美を競う肉筆浮世絵の世界(光ミュージアム所蔵)」展に行きました。

2023-08-18 19:30:00 | 美術展

先日、長野市の水野美術館で開催中の「美を競う肉筆浮世絵の世界」展に行ってきました。「肉筆浮世絵」は浮世絵師が直接筆をとり丹念に描いた1点物の作品だそうです。本展は、9月24日まで開催中。

光ミュージアム(岐阜県高山市)の所蔵作品から、111点を公開するもので、葛飾北斎、歌川広重、歌川国芳とその門下たちの作品を展示し、江戸中期から明治期までの肉筆浮世絵の流れを紹介するものだそうです。

   

チラシ表。上の絵は、宮川長春《立ち美人》部分(1711~36年)、下の絵は、渓斎英泉《立ち美人》部分(1818~30年)

   

チラシ裏

(チラシ裏の拡大)

   

   

   

   

以上は光ミュージアム所蔵の作品。掛け軸になっているものが多く、構図は先生のものを受け継ぐためか、似たものも見受けられました。どの作品も精緻に描かれていて、素晴らしかった。

水野美術館所蔵の伊東深水の作品。本物は飾ってあり鑑賞しましたが、買い求めた絵葉書です。顔が写実的になってきていて、構図といい魅力的な作品です。しばし、外の暑さを忘れて、絵の世界に没入できました。

【水野美術館】

住所:長野県長野市若里6丁目2−20
電話:026-229-6333
ホームページ:水野美術館|MIZUNO MUSEUM OF ART |長野県 (mizuno-museum.jp)


横井雅子著「ハンガリー音楽の魅力 リスト・バルトーク・コダーイ」(東洋書店)を読み、関連のCDを聴きました。

2023-08-17 19:30:00 | 読書

7月22日開催の角田鋼亮指揮 群響定期演奏会(その記事へのリンク)で、初めてコダーイ作曲「ガランタ舞曲」を聴いたら、コダーイやハンガリーの音楽に興味が湧き、横井雅子著「ハンガリー音楽の魅力」を読んでみました。また、関連のCDを聴きました。

   

表紙

(著者紹介)

横井 雅子(よこい まさこ)

桐朋学園大学作曲理論科卒業、ハンガリー国立科学アカデミーに留学後、東京藝術大学大学院音楽研究科修了、現在、国立音楽大学大学院特任教授。専門は音楽民族学。中・東欧の音楽文化研究に幅広く取り組み、特にロマ音楽の調査を通して民俗音楽、大衆音楽、古典音楽を取り繋ぐ楽師像を探求。主な著書に『音楽でめぐる中央ヨーロッパ』、『伝統芸能復興-ハンガリーのダンスハウス運動』、『音楽論』など。

(大まかな目次)

1 リスト ―「ハンガリー風」・「ジプシー楽団」・「祖国」
  リストの生涯(1811~86)、リストはハンガリー人だったのか―リストと“祖国”のかかわり

2 バルトーク ― 伝統音楽に新しさを求めた音楽家
  バルトークの生涯(1881~1945)、伝統音楽との出会い、バルトークの創作と伝統音楽

3 コダーイ ― 人間の声のもつ可能性を信じて
  コダーイの生涯(1882~1967)、伝統との出会い、声に秘められた可能性をさぐる

(本書の感想など)

プロローグにある『「アジア」の人々が住むハンガリー』という小見出しにはびっくりしましたが、同国に親近感がわきました。リスト、バルトーク、コダーイという作曲家の生涯や楽曲にも触れますが、その3人を通してハンガリーの音楽史をたどっていくといった内容で、かなり面白い本です。

リストは、小さい頃からパリで活動していただけに、ハンガリーの音楽家という位置づけは新鮮でした。バルトークとコダーイは、同国の民謡を研究していて、ジプシー(ロマ)の音楽は、それらとは別のものだということも強調されています。

コダーイの曲を聴くと、稀にですが、日本の音階が使われたような部分が出てきます。ハンガリー民謡から採譜したメロディを使っていると思うのですが、ルーツはアジアにあるのかもしれないと想像を逞しくしました。

(扉ページにある3人の肖像)

   

   

   

(CDを新たに購入して、コダーイ、リストの音楽を聴きました。)

    

コダーイ:管弦楽曲全集。アンタル・ドラティ指揮フィルハーモニア・フンガリカ(DECCA  1973年録音 CD3枚組)。コダーイの主要な管弦楽曲が網羅されています。「ハンガリー民謡〈孔雀〉の主題による変奏曲」には日本の曲かと思うような部分がでてきます。解説を読むと、この民謡自体が五音音階旋律だそうです。

   

コダーイ:「ハーリ・ヤノシュ」他名曲集。シャルル・デュトワ指揮モントリオール交響楽団(LONDON 1994年録音)。デュトワがコダーイの音楽を録音していました。洗練されていて、ちょっとフランス音楽のムードも。

   

リスト:ハンガリア狂詩曲集。ジョルジ・シフラ(ピアノ)(ERATO 1972年~75年録音)この本の巻末のディスク案内で、『ただでさえ難しいリストの曲に、シフラはさらに手を加えてほとんど曲芸的な演奏を聴かせている。』と横井さんは記しています。シフラはハンガリー出身で、父はロマでジプシー楽団の音楽家。