野口悠紀雄著「戦後日本経済史」(新潮選書)を読了。「戦時経済体制」(要するに共産主義の亜種)の残存と崩壊という日本経済の現状を鋭く抉り出した好著である。
「企業の公共性」が強調される一方、利潤の追求は罪悪視される。官僚が経済を主導し、国民は蚊帳の外に置かれる。間接金融主体の資金調達のため、株主による経営のハンドリングが骨抜きとなる、云々。
とりわけ目をひくのが、「国家的プロジェクト」だった不良債権処理問題である。これは結局、「1家計あたり192万円」を費やした「放漫融資の尻拭い」に過ぎず、それ以上のものではなかったのだ。常識で考えても、銀行から融資を受けて返済せずにすむ企業がたくさん存在するというのは、明らかに正義に反する。
まあ、過去を批判しても益のないことである。問題はこれからの日本なのだが、野口氏にも、視野は開けていないようである。
「企業の公共性」が強調される一方、利潤の追求は罪悪視される。官僚が経済を主導し、国民は蚊帳の外に置かれる。間接金融主体の資金調達のため、株主による経営のハンドリングが骨抜きとなる、云々。
とりわけ目をひくのが、「国家的プロジェクト」だった不良債権処理問題である。これは結局、「1家計あたり192万円」を費やした「放漫融資の尻拭い」に過ぎず、それ以上のものではなかったのだ。常識で考えても、銀行から融資を受けて返済せずにすむ企業がたくさん存在するというのは、明らかに正義に反する。
まあ、過去を批判しても益のないことである。問題はこれからの日本なのだが、野口氏にも、視野は開けていないようである。