Don't Kill the Earth

地球環境を愛する平凡な一市民が、つれづれなるままに環境問題や日常生活のあれやこれやを綴ったブログです

妖怪と表象

2013年08月18日 07時02分09秒 | Weblog
 実家の倉庫で再発見した「山ン本五郎左衛門只今退散仕る」を約20年ぶりに再読する。読後感がさわやかである。
 著者(稲垣足穂)は、妖怪は「愛」ゆえに平太郎を驚かし続けたと解釈しているが、ここで私は、ショーペンハウアーの「表象」を思い出した。
 妖怪(山ン本)が繰り出す女の生首などの妖怪は、いわば「表象」であり、そんなものに動じることなく「物自体」をとらえ続けた平太郎は、妖怪が与えた試練を克服したという風に読めたのである。「妖怪」は、少年がこれからの人生で出会うであろう、さまざまな試練(もっとも、それは「表象」に過ぎないのだが)を象徴しているのではないか。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする