各演目のポトラッチ・ポイントをまとめると、
・「彦山権現誓助剱」・・・5.0
・「絵本太功記」より「尼崎閑居の場」・・・10.0
・「寿曽我対面」・・・0
・「陰陽師」より「大百足退治」・・・0
・「陰陽師」より「鉄輪」・・・0
・「恋飛脚大和往来」より「封印切」・・・10.0
・「熊谷陣屋」・・・5.0
で、合計すると、30.0ポイントとなる。
こうやって演目を並べると、1月は「劔」(剣)が大活躍したという印象である。
「劔」の位置づけについては、私も余り自信はないのだが、やはり「魂」(原animus)の象徴であり、「第2のanimus」ということになるのではないだろうか?
つまり、ホメロス的な 「心」(animus)-「体」(corpus): (A-C)二元論ではなく、間に「劔」のような物的な存在が入ってくるというのが、江戸時代の武家の特徴なのではないかと思うのである。
ということは、「劔」は、イエにおける苗字(音韻)のような機能を営んでいることにもなるのではないだろうか?
・・・さて、去年の2月から主に歌舞伎と文楽についてポトラッチをカウントしてきたのだが、ちょうど1年がたったこともあり、これでひとまず終了ということにしたい。
振り返ってみると、やはり文楽の演目には、「仮名手本忠臣蔵」を筆頭に、沢山のポトラッチが出て来る。
これは、江戸時代=「絶望の社会」を忠実に反映したものだろう。
その一方で、歌舞伎の演目では、「お富さん」や「引窓」のような、希望の光を感じさせてくれるものも出て来る。
というわけで、今後も”希望の光”を求めて鑑賞を続けていきたいと思う。