夜の部は、
「熊谷陣屋」
「二人椀久」
「大富豪同心」より「影武者八巻卯之吉篇」
の三本立て。
だが、「二人椀久」は舞踊、「大富豪同心」は面白かったがポトラッチ的な現象が出て来なかったので分析の対象外。
残る「熊谷陣屋」だが、人気の演目でもあり、昨年は2回観ている(「周辺」からの逆襲(3)、12月のポトラッチ・カウント(3))。
なので、結論として、ポトラッチ・ポイントが5.0:★★★★★であるのは変わらない。
それにしても、観れば観るほど理不尽なストーリーで呆れてしまう。
「平清盛亡き後の源平の合戦を描いた名作の一つで、一の谷の合戦で敗れ、西国に落ち延びようとする平家の若き武将敦盛と、源氏の武士熊谷直実の悲劇を描きます。源氏方の武士平山武者所を追っていた敦盛は、途中で敵を見失い、須磨浦の波打ち際に出て、沖にいる味方の軍船に追いつこうとしていました。しかしその姿を熊谷が見つけ、戦いとなります。熊谷が組み敷いた若武者の顔を見ると、ちょうど我が子と同じ年頃でした。哀れに思った熊谷は、見逃すので落ち延びるようにと敦盛に勧めますが、味方の平山に見咎められ、泣く泣く敦盛の首を討ちます。熊谷は心重く馬を引き、その場を立ち去るのでした。後の場面で、熊谷の討った敦盛は、実は熊谷の息子小次郎であったことがわかります。熊谷が敦盛〈後白河院の落胤〉を助けるために、我が子を身替りにしたのでした。」
これを読むと、敦盛の命は助かったということのようだ。
そして、熊谷陣屋」のラスト近くで、何と「鎧櫃に入った敦盛」が登場する。
だが、中身は見えないし、一見すると人が入れるような大きさでもないので、生きているのか死んでいるのかわからない。
しかも、これについての説明は出て来ないのである。