国立民族学博物館のウィークエンドセミナー。
インドの子育て〜授乳編〜
どうしても行きたくて小雨パラパラの中、自転車漕いで行って来ました。ちょっと転んで膝を擦りむいた。久しぶり。
その人はHuman reproduction の研究者。女性です。
一般に民俗学はフィールドワークが肝心で、その地域の対象の人や事柄に直に接する必要がある。男性が研究する限り、出産や子育てに関してのフィールドワークをすることが難しいという事。その人はインドを中心として女性の暮らしの産む育てるを研究しています。
私もとても関心のある分野。それで聴きに行った。
日本を含むいろんな国の母乳育児の歴史や考え方の変遷をまず取り上げて、
インドの伝統的な出産や産後の過ごし方。考え方もとても興味深く。
そして現在の傾向など。
自宅で産婆さんでお産し、産後は隔離されて充分に専門家と周りの女性に世話される。母乳で育てる。
それが病院で産んで、ミルクで育てる方向に変わって来ているらしい。
日本はその時代は戦後しばらくの頃にあって、私が出産した頃には母乳で育てたい。自然なお産をしたいという人が出て来始めて、その流れは病院や産院にもその後、広まって行ったようです。
と言うのは、ここ10年余り外国から日本に来た女性のお産や赤ちゃんの子育ての助けをするのが偶然だけど私のライフワークになっていて、いろんな国の人のお産や子どもの育て方に触れて来ました。その中で、病院のやり方を観てても自然なお産や子育てへの流れはたしかにあるなと当たり前になって来てるんだなと感じていました。
彼女たちが言葉も通じない国で、産んで育てる事は並大抵の事ではないです。
それでも国からお母さんを呼んだりして自分の文化で育まれたやり方と力でぐいぐいと子育てするのを見ると頼もしいと思いました。
今回、娘の妊娠出産を経験して、そこで今までとは違う流れでとても戸惑いました。揺れ戻しが起こっていました。
このタイミングで実の娘でそれを経験した事のショックがとても大きかった。
思えば、人と出会って結婚して一緒に暮らして赤ちゃんを作って妊娠して産む。そして子どもを育てる。この事はとても動物らしい。現実的で手間がかかってしんどい作業です。
この原始から変わらぬ営みを省こうとする流れが確かにあるのだなと実感しました。
元々、3時間おきの定時授乳。子どもと親を離して暮らす方法はアメリカから始まりました。その流れが戦後日本に来た。それが楽でおしゃれで先進的と言うイメージで。
その後にそこから私も関わった自然の力を取り戻す動きが始まり、そのせめぎ合い。企業の利益も絡まって大きな動きになってると思う。
でも女性としては産み育てる事を社会や企業の利益に操作されたくない気持ちが私にはあります。何千年もの間に大切にされて来たものを捨てる事の危うさを感じます。
それは原始的なのが良いと言う意味ではありません。その2つの力と流れのちょうど良いところで実践できたら良いのに。手間がかかって面倒でも一生で観たら1番意味のあるお産と子育てが少なくとも自分で選べたらいいのに。
赤ちゃんに優しい病院。WHO とユニセフの薦める母乳育児のための10カ条が病院で実践されたら良いのにと心から思います。